大平正芳の発言 (本会議)
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○国務大臣(大平正芳君) 山崎さんの最初の御質問は、政治姿勢についてでございました。
申すまでもなく、自由民主党内閣の責任者といたしまして、議会制民主制を中央、地方を通じて堅持し、活力のある公正な自由市場経済体制を堅持しながら、日米安保条約、自衛力の整備を軸とする安全保障体制を踏まえて、信頼と合意に基づく政治を着実に進めさしていただきたいと念願しておるわけでございます。
曲がり角に来た八〇年代の展望はどうかというお尋ねでございます。八〇年代はどういう試練が私どもを待っておるか定かではございませんけれども、恐らく、石油を初め、資源の供給、あるいは食糧問題、通貨問題等、安定化に向かう展望をつかみ切ることはできないのではないかと考えております。よほどの決意を持って政局に当たらないといけないのではないかという緊張を覚えておるところでございます。しかしながら、これまでの経過から見まして、八〇年代は経済重視の時代というよりは文化を重視する時代になるのではなかろうか、地方の活力と地方の自主性を尊重する時代になるのではなかろうか、国際的協力がいよいよ強く要請される時代になるのではないかというような展望を持っておるわけでございまして、そういうことを考えながら慎重に責任を果たしていかなければならぬと考えております。
第二の御質問は、エネルギーの問題でございます。エネルギー問題の重要性に対する基本的認識につきましては、山崎さんと私は全く同一でございます。
第一の御質問は、省エネルギーは単なる石油という商品の需要の抑制にとどまらないで、産業の構造、生活の様式、あるいは進んで生活意識にも関連する問題ではないか、二十一世紀の文化の質的転換を促すという性質のものではないかという御指摘でございますが、全くこの点につきましても私も同感に存ずるのでございまして、そういう視野から省エネルギー問題に接近していかなければならぬと考えております。
第二の石油代替エネルギーの開発導入の問題でございます。これにつきましては先ほど小野先生にもお答えいたしたところでございますけれども、われわれといたしましては、信頼性の置けるエネルギー源として原子力、石炭、新エネルギーをいろいろ考えておるわけでございますが、八〇年代の終わりには、現在二%にすぎない原子力をエネルギー源のシェアといたしまして一〇・九%、それから海外石炭、現在一一・六%でございますが、これを一五・六、LNGが二・九を九%、それから新エネルギー、わずか〇・一%の現状でございますが、これを五・五%程度、そして輸入石油、いま七四・五%輸入石油に依存いたしておりますものを五〇%程度に引き下げようじゃないかという目標を設定いたしました。これは総合エネルギー調査会の需給部会の作業で出てきた数字でございますが、おおむねこういう目標を目標といたしまして代替エネルギーの開発、そしてその活用に当たりたいと考えております。
それからそのためには財源の確保が第一じゃないかという御指摘でございます。そのとおりでございます。しかし、財源につきましては、これは主としてその調達は民間セクターの問題になると思いますけれども、研究開発を中心といたしまして相当政府がめんどうを見なければならぬ面もあろうかと思います。官民の分担の問題、受益者負担のあり方の問題等を踏まえて具体的な検討を進めていきたいと考えておりますが、ただいまどのぐらいの財源が必要であるか、年次別の具体的な数字を申し上げられるまでの用意はまだ持っておりません。
それからエネルギーの安全性と環境整備、これは政治の責任として周到な配慮が望ましい、とりわけ酸素不消費のエネルギーの開発という点に力をいたさなければならぬという御指摘はごもっともに存じます。
それから財政再建の問題でございます。
これは、仰せのように、既存の歳入、歳出の徹底した見直しがまず第一でございます。それには、税の面におきましてもただいままでも鋭意不公平税制の是正の問題でございますとかあるいは既存税制の見直しを鋭意やってきたわけでございますが、さらに一層深くこの問題に立ち入って見直しをしなければならぬと考えておるわけでございます。
それから歳出の問題につきましては、ひとり行政費ばかりでございませんで、定員、機構につきましても、また補助金につきましても相当思い切った見直しをいたさなければならぬとサマーレビューを通じていま鋭意やってまいっておるところでございます。
それから先ほど申しましたように、経済が幸いに回復の軌道に乗りまして、きょうの発表にございますように、自然増収も相当期待できる状況になっておりまするけれども、そういったものを一切合財傾けましてどうしても赤字公債の絶対額を来年度から減らしていく、そして五十九年度までには少なくとも赤字公債からは完全に脱却したいというのが私が構想いたしておりまする財政再建の目標でございます。そのために、既存の歳入、歳出の徹底した見直しと自然増収を傾けてなお足らないという場合こそ新たな負担——あなたの御質問の新たな負担でございまして、この問題がどのぐらいの金額になるか、そしてそれをどういう税目にお願いするかという具体的な決定はまだ政府はいたしていないわけでございまして、五十五年度の予算の編成で具体的な答えを出したいと考えておるわけでございます。
それから次には行政改革についてのお尋ねでございます。
行政改革につきましては、政府は毎年毎年人員の削減に努めてまいりまして、この十年間少なくとも中央に関する限りにおきましては人員の増加はないわけでございますが、これから来年度を起点といたしましてさらに新たな計画を策定いたしまして、いままでよりも大幅の定員の削減計画をいま打ち立てつつあるわけでございまして、明年度を起点といたしまして人員の削減に思い切って対処しなけりゃならぬと考えております。
それからなかなか進まなかった配置転換の具体化にも決心して当たらなければならぬと考えておるわけでございます。
機構並びに特殊法人等につきましては、その膨張を抑制することはもとよりでございますけれども、役割りを終えたものにつきましては、その整理、整備を考えていかなければならぬと思っております。
それから地方分権の問題でございますが、仰せのとおりでございまして、また地方の時代を迎えまして、いままで中央集権に偏り過ぎておったという認識はあなたと共通に私も持っておるわけでございます。近く地方制度調査会の方から御答申がいただけるわけでございまして、これを踏まえた上で御指摘の方向に全力を挙げたいと考えております。
地方におきまして、やみ給与その他感心しない慣行が見られるということははなはだ残念でございまして、自治省を通じてこれは指導をいたしておるわけでございますけれども、地方自治体におかれましても今後十分自粛していただきたいものと念願しております。
その次の御質問は、政治倫理の確立の問題でございます。
これは小野委員に答えましたとおりでございまして、きのう受けました対策協議会の御提言につきましては、直ちに実行するもの、国会等に要請するもの等を振り分けまして、早急な実施に向けての努力を精力的に傾けてまいるつもりでございます。
最後に、外交問題でございます。
年内訪中は事実かということでございますが、私は全世界の多くの国から訪問の招待を受けておるわけでございます。また、方々の国から政府首脳等が訪日をされておるわけでございまして、彼此勘案いたしまして、国際的に非礼にならないように、政治日程の許す限り外国訪問を考えなければならぬと考えておるわけでございまして、中国に対しましても政治日程の都合さえつけば年内にでも実現したいものと念願しておることは事実でございますけれども、具体的な日程等につきまして外務省でいま検討いたしておるところでございます。
対ソ外交の基本的考え方につきましては、先ほど小野さんにもお答えしたとおりでございます。重要な北の隣国でございまして、各般にわたりまして日ソの間の理解と交流はいよいよ深まっておりますことを私は評価いたしております。今後もこの信頼と交流は揺るぎなく続けていかなければならぬと考えておりまするし、不幸にしてまだ解決をしていない領土問題等につきましては、しんぼう強く交渉をいたしまして、何とか平和条約の締結にこぎつけたいものと考えております。
韓国との間の問題でございますが、隣国でありながらお互いに理解が十分であるとは言えないと思うのでございまして、今後理解と友好を進めてまいること、そして朝鮮半島をめぐる国際環境を整えるということに応分の日本も貢献をしなければならないのではないかと考えております。
開発途上国との問題でございますけれども、開発途上国に援助協力することは大事だと思いますが、とりわけ開発途上国のマンパワー、人づくりの問題に御協力申し上げることがその国の立場から見ましても大変望ましいことではないかと考えておるわけでございまして、農業開発、 エネルギー開発とあわせまして、その国の人づくりに協力する、教育、技術等の面におきまして御協力申し上げることに重点を置いて政府援助を考えたいと存じております。
ASEANとの連帯はいよいよ強めていかなければならぬと考えております。御指摘のように、約束いたしましたことは実行していくという外交的信頼を落とすことのないように引き続き努力をしてまいることに御理解をいただきたいと思います。(拍手)