大平正芳の発言 (本会議)

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○国務大臣(大平正芳君) 国会が論議すべき問題は山積しておる、衆議院の解散を急ぐべきでないじゃないかという御意見でございました。
 私は、国会に論議すべき問題が山積しておることも、われわれが解決しなければならない問題が山積しておることも、よく承知いたしておるわけでございます。これに対処いたしますためには、それ相応の対応した姿勢が確立されなければならぬと考えておりまして、政局の転換もそういう観点からいたしますならば国民の理解が得られるのではないかと考えております。
 航空機疑惑の隠蔽でないかというようないわれない批判が寄せられましたけれども、私ども長期にわたりまして日本の政治を預かっておるわけでございまして、終始国民の厳しい監視のもとで選択をいたしておるわけでございまして、一時の安易につこうとは考えていないのであります。航空機疑惑の解明につきましては、先ほども白木さんにもお答え申し上げましたとおり、いままでやるべきことはやってまいりましたし、今後もやるべきことはやってまいることに変わりはないことを御理解いただきたいと思います。
 第二の問題は、八〇年代の展望、八〇年代を展望する曲がり角というのはどういうことを意味するのかということでございました。
 私は、来るべき八〇年代というのは、八〇年代における内外の状況を考えてみますと、世界経済は多極化していくであろう、複雑化していくであろう、資源エネルギー供給事情は制約が厳しくなっていくであろう、人口の急速な高齢化は国内に進んでいくであろう、国民の価値観も多様化するであろう、社会、経済の両面におきまして大きな構造変化に直面するのではないかと考えておるわけでございます。こういう時代におきまして中長期の展望に立ちまして内外の課題に果断にこたえなけりゃならぬのがわれわれの責任ではなかろうかと思っておりまして、このためには、エネルギー問題の制約を克服しながら、内需中心の安定した成長パターンを確実なものにすることによってわが国経済を新しい安定した成長軌道に乗せなけりゃならぬのではないかと考えております。
 また、国内におきまして、新しい日本型福祉社会の実現を目指しまして国民生活の質的な充実を図ってまいるとともに、国際社会の名誉ある一員といたしましてわが国の国際的地位にふさわしい責任と役割りを果たしつつ八〇年代の挑戦にこたえていかなければならぬと考えております。
 第三の問題は、日米共同演習についてのお尋ねでございました。
 一般的に申しまして、日米共同訓練というものは、自衛隊の練度の向上の面から申しまして望ましいことと考えております。
 それから沖繩の演習に自衛隊が参加したではないかという御指摘でございますが、そうではなくて、これは米側の御招待を受けて見学をいたしたにすぎないわけでございます。
 米軍の沖繩上陸演習をなぜ了承したかということでございますが、私も上田さん同様、沖繩がさきの大戦におきまして痛ましい戦禍の犠牲を受けておることに対しまして十分同情もし、これに対しまして政治が責任を持ってこたえなければならぬ多くの課題を抱えておることを承知いたしておるつもりでございます。しかし、悲劇は二度と繰り返してはいけないのでございまして、われわれは国際紛争を防止いたしまして安全で平和な日本を築いてまいらなければならぬわけでございまして、日米安保条約はそういう紛争の抑止力としてあるわけでございまして、こういうことのために即応能力を維持する意味におきまして米軍が演習をしておるということ自体は、沖繩県民も含めて日本国民の理解が得られるのではないかと思います。しかしながら、この演習につきまして、国民生活への影響を最小限度にとどめてもらわなければならぬわけでございまして、政府は安全面等から最大限の配慮を米軍に求めてあったわけでございますが、幸いに事なく演習が終わりましたと承知いたしております。
 石油の価格政策につきましては、白木さんにもお答え申し上げましたように、需給の均衡をいかにかして確保しなければならぬ、それを価格政策の基本に据えなければならぬと考えておるわけでございまして、石油三法を発動する、行政が過剰に介入するというようなことをもって石油の価格政策が周到を期せられると私は考えていないわけでございまして、需給が均衡がとれたならばそこに価格問題は発生する余地がないようになるわけでございますので、そういう状況を招来するために政府は鋭意努力をしていることを御理解をいただきたいと思います。
 それから四〇%まで低下した穀物の自給度を高めて日本の農業を再建するためには適切な輸入規制が必要でないかという御意見でございました。
 国民に食糧を安定的に供給することは政治の基本的な課題でございまして、このため、政府としては、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄う方針のもとに、輸入制度につきましては国内農業の健全な発展と調和のとれた形で運用してまいりましたし、今後もそういう趣旨でやってまいるつもりでございます。
 それから企業献金を廃止すべきではないかということでございますが、白木委員にもお答え申し上げましたとおり、私は、最高裁の判決にもありまするように、企業も一つの社会的存在である以上政治活動の自由を持っておると思いますので、その政治献金を一切禁止するということは必要はなかろうと思います。しかしながら、方向といたしましては企業献金から個人献金に移していくということはしなければならぬと思いますし、事実、わが党もそういう方向で努力をいたしておるわけでございます。企業献金の規制を緩和するというような考えは毛頭持っておりません。
 それから選挙制度でございますけれども、さきの国会で私が述べた考えに変わりはございません。私は、選挙制度の改正というのは、各政党の間で、これは選挙の共通のルールでございますから、御相談の上、公正なルールをつくるべきものと承知いたしておるので、政府がイニシアチブをとるような性質のものではないと承知いたしておるのでございます。小選挙区比例代表制につきましても、各政党の話し合いの中で、これが是という結論が出ましたらそれは尊重せなきゃならぬと考えておりますけれども、政府がこれを構えて求めるというような考えは持っておりません。
 それから高松での私の発言についての御批判でございました。
 私は、東京ばかりでなく、大都市の生活は三代目白痴論が出るほどの用心すべき事態であるということを警告したわけでございまして、われわれは、そういう厳しい環境下でございまするから、都市政策については十分の配慮をしなければなりませんし、環境政策についても緊張した対応をしなければならぬということを申し上げたわけでございますので、そういうことを非常に憂えておる大平の気持ちを御理解をいただかなければならぬと思うのであります。
 たとえば、低額所得者に私が増税を考えておるとか、農業者に増税を考えておるとかいうようなことも先ほど白木さんからも言われたわけでございますけれども、私はそんなことを言うた覚えはないのです。日本の税負担が諸外国と比べてどうかということ、各階層別の負担が諸外国に比べてどうかということが問われたから、必ずしも高くはありませんよということを申し上げたら、私は増税をねらっておるというようにとられたのでございます。大変迷惑なんでございます。でございまするから、民主主義というものはやっぱりお互いの立場を尊重しながら正確なデータを基礎にして公正な論議を交わしたいものでございまして、高松の私の発言につきましても公正な論議をお願いしたいものと思います。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 108815254X00419790907_010

発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1979-09-07

院: 参議院

会議名: 本会議