大平正芳の発言 (本会議)

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○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、政局転換は勝手過ぎるではないかという意味の御批判でございます。
 私も和田さんと同様に、山積する課題に責任を持って政治は対応せねばならぬことは十分承知いたしておるつもりでございます。問題は、これをいかに有効に対応し適切に処理していくかということは常に政局を担当する者として考えておかなければならぬことと存じます。政局の転換ということも、より適切に山積する課題に取り組むに当たっての態勢を整えるという意味でございますならば国民の理解が得られるものと判断をいたしております。
 第二に、エネルギー問題につきまして、代替エネルギーの開発との関連で資金対策が一番重要ではないか、その場合のエネルギー新税というものを考えておるかということ、また、財政投融資計画はこれに関連して重点の置き方を変えなければならないのじゃないかという御指摘でございました。
 エネルギー対策といたしまして、とりわけ代替エネルギーの開発、活用という点には、仰せのように、資金の対策が一番力点になるものと私も承知いたしておりまして、これに対しましてはあらゆる手だてを講じて充足を図らなければならぬと考えておりまするけれども、エネルギー新税というようなものをいま政府が具体的に構想をいたしておるわけではございません。
 財政投融資計画につきましては、仰せのように、重点の置き方がその時点における経済の全体との関連におきまして考えなけりゃならぬことは当然であろうと思うのでございまして、エネルギー政策がこのように日本の経済の死活を左右するような課題になってまいりました以上、財政投融資計画もこれを念頭に置いて充実した編成をやらなければならぬと考えております。
 第三の問題は、財政再建の問題でございます。
 一般消費税を実施するつもりか否か率直に真実を国民に語れと。私は真実を国民に語っておるつもりでございます。政府は一般消費税というものを場合によって考えなければならないのではないかと。もっとも、これは国民の理解を得て必要である場合には考えなければならぬのではないかということで、二、三年前からこういう案を提示して各方面の論議を招いてまいったことは御指摘のとおりでございますが、一般消費税をやるという決定はまだいたしていないのであります。これは、まず財政再建に当たりましては歳入、歳出全体にわたりまして徹底した見直しをしなけりゃならぬことは和田さんの仰せのとおりでございまして、そのようにやってまいるつもりでございます。また同時に、いまのような赤字国債を多く出しておるという事態は早く解消いたしまして、財政体質を改めなけりゃならぬこともまたわれわれの任務であろうと思っておるわけでございます。それに必要な手だてがつくのでございますならば、一般消費税その他増税に訴えなくて済むのであれば、それは非常に結構なことだと思っておるわけでございます。しゃにむに増税を主張しているわけでは決してないのであります。どうしても必要な場合にはあるいはそういう新たな負担を国民に求める場合があるかもしれないということは申し上げなけりゃならぬ立場にあるわけでございますが、それをどのようにするかは五十五年度の予算の編成で具体的なお答えを申し上げますと申し上げているのでございまして、いまそれが具体的にどのぐらいの金額になるかならないか、それに対しましてどういう税目を選択するかということは、いろいろな手順を経て決定しなければならぬことでございますので、いまの段階で申し上げることができないことは和田さんもよく御理解いただかなければならぬと考えておるわけでございます。
 一般消費税というのはわが党内外におきましても非常な批判があるものであることは政府もよく承知いたしておるわけでございまして、われわれといたしましては、財政再建ができるだけの財源の手だてがつきますならば何も一般消費税に固執する必要はないと初めからそう考えておるわけでございまして、そのことは御理解をいただきたいものと思います。
 それからその次に租税特別措置でございますが、これは一般の課税原則を犠牲にして特定の政策目的、たとえば少額所得者の保護でございますとか、あるいは社会保険診療報酬でございますとか、そういうものに特別の税率を考えるということあるいは非課税にするというような措置が特別措置というものだと思いますけれども、そういうものは最小必要限度にとどめなければならぬわけでございまして、いま政府全体で特別措置によりまして一般の課税原則が曲げられておる部分が三千億ぐらいあると思うのでございます。これは鋭意毎年精力的に切り込んでいっておりますことは和田さんも御承知のとおりでございまして、今後ともそれに努力をしてまいるつもりでございます。
 私が年収二、三百万円の所得者の増税を考えておるというのは非常に迷惑でございます。わが国の低額所得者は諸外国に比べて決して高くはないと、課税最低限も一番高く設定してあるじゃありませんかと、そういう事実を申し上げると、ああ大平君は二、三百万円の所得者に課税を考えておるんだというようにすぐおとりになることは、私にとって非常に迷惑なんでございます。もっとも、私の立場から申しますと、非常に言葉に注意せにゃならぬわけでございまして、そういうことを言えばすぐ、これは必ずしも外国に比べて高くないと、それから農業者の所得は他の産業に従事する方々と比べて高くありませんということを申し上げると、今度は農業者に課税するのじゃないかととられるわけですから、こんなことを言っておったら私なんかは物を言えなくなるわけでございます。だから、先ほども上田さんにもお願いしたように、正確なデータを基礎にいたしまして公明に議論していただかないと、こういう偏見を交えて議論を吹っかけられることは大変迷惑なんでございます。そのことについて特に御理解をいただきたいと思います。
 次に、行政改革でございますが、これは先ほど申しましたように、明治、大正、昭和をかけまして行政改革の歴史というのは大変むずかしい苦難の道を歩んでまいりましたことは和田さんも御承知のとおりでございまして、容易ならぬことだと思うのでございます。容易ならぬ問題だと考えまして、私は気軽に行政改革を言うことを遠慮いたしておるわけでございますが、このように財政再建につきまして国民の御理解を得なけりゃならぬときには、いままでより一歩進められないかということを骨にまで達する、肉を切って骨に達するような気概でもって当たらなけりゃならぬじゃないかというわけで、いま各省に私はハッパをかけておるところでございます。
 いまここで具体的に言えという、言えるところまではいま皆さんに申し上げているわけでございますが、それは定員削減も従来の計画を上回る規模で来年を起点といたしまして新定員削減計画を策定して実行いたしますということを申し上げておるわけでございまして、従来の計画を上回る規模で、それは何万人になるかというところをいま盛んに部内を督励いたしておるところでございますけれども、少なくともこれは現行の規模を上回るものでなけりゃならぬということを国会を通じて公約をいたしておるわけでございますし、配置転換の具体化に努めますと、配置転換を言うだけでなくてこの具体化をやりますということも相当思い切って言っておるつもりでございますし、許認可事務の整理その他につきましても誠実にいま当たっておるわけでございます。そういった点は御批判もあろうかと思いますけれども、政府といたしましては精いっぱいのところを申し上げて、この具体的な答案は、五十五年度の予算を通じて御審議をいただかなければならぬわけでございます。それまでに正確な答案を出す以外に道はないわけでございます。そのことを御理解いただきたいものと思います。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 108815254X00419790907_021

発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1979-09-07

院: 参議院

会議名: 本会議