馬場昇の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)

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○馬場議員 私は、提案者を代表いたしまして、水俣病問題総合調査法案につきまして、その提案理由及び主要な内容について、御説明申し上げます。
 水俣病は、世界最大の水汚染公害であり、その被害は、原爆被害に匹敵する人類の経験した最も悲惨な被害であると言われています。
 水俣病問題について、その広さ深さを正しく総合的に把握し、その対策を樹立することは、被害者に対する救済対策の完全を期するだけでなく、人類の未来に対する今日の行政の責務であります。
 今日までの水俣病問題に対する行政の対応は、不十分であったばかりでなく、不作為があったと言っても言い過ぎではないのであります。また、行政の想像力の追いつかない事態があったため、有効な手を打つことができなかった点も多くあるのであります。
 そのため、水俣病の事実判明後二十年を経過した今日において、言語に絶する水俣病の医学的病像さえも今なお未解明であり、被害の全体像及びそれが及ぼした影響等について実態が明らかではありません。水俣病問題は、いまだ混迷の状態にあるのであります。
 水俣病の前に水俣病はなかったのであり、水俣病のあとに水俣病があってはならないのであります。
 水俣病問題は、総合的な実態把握なしには完全な対策は樹立されません。水俣病問題解決の遅滞をなくし、不作為を解消し、住民の健康が守られ、環境が改善され、豊かな社会生活が営まれるための、完全な水俣病対策が樹立できるための基礎となる総合調査を行うことがこの法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的は、水俣病の健康被害及び環境破壊等の医学的生物学的調査はもちろんのことでありますが、さらに、水俣病が及ぼした社会学的、経済学的、政治学的、教育学的等の各分野への影響とその実態を総合的に調査を行い、その全体像を明らかにしようとするものであります。
 第二に、調査の目的を達成するために、政府は総合調査計画を定めることとしていますが、水俣病問題は、住民、特に被害者の心に立った調査及び対策でなければなりませんので、総理大臣は、住民、特に被害者代表を含む水俣病問題総合調査審議会の意見を聞かなければならないこととし、住民の意見が十分反映された総合調査計画としなければならないこととします。
 第三に、調査実施は関係県が行うことにしていますが、関係県知事は、国の総合調査計画に基づき、実施計画を策定することにしています。実施計画を定めるに当たっては、国が調査計画策定に当たって行った精神で行うことは当然ですが、住民の意向を反映させるために、特に、調査に当たっては関係住民に説明し、理解を得るようにしています。
 第四に、調査のため、工場、事業場等に立入検査ができるようにしています。
 第五に、総理大臣は、毎年、知事の報告に基づく実施状況を国会に報告し、国民の理解を求めるとともに批判を受けなければならないこととします。
 第六に、調査に要する経費は全額国の負担としています。
 第七に、水俣病問題総合調査審議会委員は、被害者を中心とする住民代表、関係自治体代表及び学識経験者の三者構成に関係行政機関の職員を加えて構成することにしています。委員の選任は民主的に行うことは当然であります。
 第八に、この法律は五年間の時限立法でありますが、十分な調査が終わらない場合は、法改正で延長が議論されるのは当然であります。
 以上が本案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)

発言情報

speech_id: 109104209X00619800325_002

発言者: 馬場昇

speaker_id: 10581

日付: 1980-03-25

院: 衆議院

会議名: 公害対策並びに環境保全特別委員会