馬場昇の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)
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○馬場委員 これは運輸省にもお願いしたいのですが、特に長官も聞いておいていただきたい。
いま言われましたように、もう六月初旬には工事を始めるわけです。実は患者あるいは住民は控訴を断念しました。控訴を断念したというのは、熊本地方裁判所の判決が正しいからそれを受諾するという意味で控訴を断念したのじゃないのです。これは訴えた側の考え方ですけれども、こういう間違った判断を出す司法にはもう頼らない、こんな裁判所に訴えたって間違った判決をする、もう当てにならない、自分たちの力で安全性を求める闘いをするという意味で控訴を断念したのであって、判決に服したわけではないのです。
そういうことですけれども、いよいよ工事が始まるわけでございます。そこで、こういう経験を持っているのです。私はこういう姿勢をとっていただきたいということをお願いしたいのです。世界に類例のない最大の工事をするわけですから、そしてこれはまかり間違えば二次公害、水俣病を引き起こすわけですが、住民とか患者、特に漁代は経験があるのです。いままであそこは三回ぐらい小規模なしゅんせつが行われたのです。それが行われたときに、そのたびにヘドロが撹乱されて水銀が海に広がって患者が多発しておる。そういうことを地域の住民はよく知っているのです。漁民が海の底も一番知っているのです。そういうことですから、住民とか患者、特に漁民なんかが前例のない最大な工事の最大の科学者だ。言葉はちょっときざに聞こえるかもしれませんけれども、この人たち、住民こそ、漁民こそヘドロ処理事業の最大の技術者、科学者だ。そこから学ばなければならないという姿勢はぜひとってもらいたいと思うのです。それをとらないと、工事は必ず間違えます。そういうことをまず一つ申し上げておきたい。
それから、これは工事担当の方に申し上げますけれども、まだまだいまの監視体制を信用していないのです。心臓手術のときにいろいろな計器をつけて監視体制をとるような、そんな十分な監視体制がまだないと現地の人は思っております。だから、この監視体制を住民が納得するように、たとえば自分たちを加えてくれとか私たちの信頼する科学者も入れてくれとか、とにかく納得するような監視体制をつくり上げなければ大変なことになる。
それから、いま言われたのは本工事ではないようでございますけれども、いきなり本工事をやったってだめだと思うのです。やはり小さい規模の中で試験をし、ああここは大丈夫だったということで次に広げていくとか、小さい枠の中で実験的な試験工事を繰り返し繰り返しやりながら、それを全体的に広げていく、こういうようなテストなんかをして、安全性を確認しながらやっていかなければならないというぐあいに思うわけでございます。そして資料はみんな公開する。賛成する学者、反対する学者もおると思います。住民もおります。そういうすべての人に逐一資料を公開しながら、批判を受けながら仕事をしていくという態度を、やる場合にはぜひやらなければならない。その前に、まず納得していない訴訟をしたような住民の人とはぜひコンセンサスをとるような話し合いをしなければならない。たとえば着工を強行したと言われるようなことが絶対にないようにしなければならぬ、私はこう思うのですが、このことに対して長官と運輸省の方の見解を聞いておきたい。