古市圭治の発言 (社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会)
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○古市説明員 老人保健課長でございます。
いまの資料に引き続き、十四ページでございます。十四ページの縦長の表から説明させていただきます。
最初に、「老人保健医療関係検討経緯」ということでございますが、御承知のとおり、四十七年の二月に老人福祉法の改正法案が国会に提出されまして、六月十六日に成立いたしました。現行の老人医療費の支給制度というものが四十八年の一月から実施に移されているわけでございます。
それで、当時から問題にされておりましたが、これによりまして老人の受療というものが容易になる反面、それが安易な受療から医療費が上がるのではなかろうかというようなことも危惧されたわけでございますが、五十年七月に国保中央会の方から「老齢者保健特別対策の創設」という中間報告の意見が打ち出されております。これは国民健康保険の中に老齢者が多いことから、いわゆる老人につきましては別建てにいたしまして、公費でもって新しい制度を創設すべきである、このような趣旨でございます。
五十年の十二月になりまして、予算編成に際しまして老人医療費の一部有料化ということが大蔵省から話が出ましたが、これは結論的にはいわゆる次官の復活折衝で白紙撤回ということになったわけでございます。
それで、老人保健医療制度につきましては非常に基本的な重要な問題であるということから、厚生大臣の私的諮問機関といたしまして老人保健医療問題懇談会、これが五十一年二月に一応設置されました。その後、数十回の検討を経まして、五十二年十月にいわゆる老人懇からの報告書、「今後の老人保健医療対策のあり方について」というものが提出されたわけでございます。この中で指摘されております現行制度の問題点というのが三つございまして、現在の制度というものは医療費の保障に偏重しているという点が第一点。それから二番目といたしまして、保健サービスの一貫性に欠けている。これはいわゆる健康増進から医療、疾病予防、機能回復という中で臨床的な治療が中心になっている。その前後の方が手薄である。それからもう一点は、いわゆる壮年期から十分な健康に注意しなかったら老人病というものは防げない。それにしては壮年期から老齢に至るそこがまた一貫して健康管理がなされていない、この縦横の御指摘であったかと思います。それから、次の第三点目といたしましては、医療費負担に不均衡が生じている。これは保険制度間における老齢者を抱える率の相違からくるいわゆる財政的な不均衡、この三つの御指摘でございました。
そのような意見を受けて厚生省の中で種々検討したわけでございますが、その間国会におきましても右側に書きましたように、五十二年の十一月には参議院の社労におきまして十四項目の医療保険制度についての考え方というのが提出されました。その中に十一番目に「老人保健医療制度の整備」というのが盛り込まれているわけでございます。
五十三年の二月に至りまして、小沢前々大臣のときに、老人の総合的な保健医療制度を次期通常国会に提出し、来年秋から実施したいという答弁がなされております。いわゆる五十四年秋から実施したいといった訴えをしたわけでございます。その線から検討を経ました結果、小沢大臣が五十三年十二月にいわゆる小沢構想という一つの御見解を記者発表されたわけでございます。
次に、橋本前大臣になりまして、またいろいろ内部検討を経ましたが、橋本大臣の一つのお考えといたしまして、五十四年の十月に橋本構想というのが出されたわけでございます。
以後は、先生方御承知のとおり、年末の予算編成に当たりまして厚生、大蔵両大臣の間で、五十六年度に老人保健医療制度の改正を図るため鋭意検討する、いわゆる覚書というものが結ばれて今日に至っておるわけでございます。
次のページでございます。小沢前々大臣と橋本前大臣のそれぞれの構想についてでございますが、いわゆる小沢構想につきましては、一言で申しますと、現在の制度から別建てにして老人保健医療制度というものを構築する。そのために、給付の内容といたしましても、医療給付だけではなくて、この括孤内に書きましたような種々の健康増進、それからリハビリを含めました予防給付というものも総合的に行っていく。実施主体は市町村であり、医療給付の方は七十歳以上、予防給付については六十五歳以上。この場合、所得のある方には、一部負担もごくごくわずかな一部負担を考える。それから、財源はここに書いたとおりでございますが、これは当時と申しますか、現行の老人医療費の財源負担割合と同じ率で、大きな変動を与えないという形でこういう数字が出されたというように聞いております。
それから、橋本前大臣の構想につきましては、現行制度を前提といたしまして別建てにはしない、いわゆる各種保険間で財政調整を行うという案でございます。括孤内に書いてありますように、たとえば三割程度は加入者の数で案分する。また、別案といたしましては、三割程度を被保険者の数、ここで言いますと世帯主の数で案分する。さらに、あわせて被用者保険間で五割程度財政調整するというような考えでございます。
それから、中高年の保健事業につきましては、このような財調によって浮きました公費でもって拡充を図るということで、その場合に市町村住民を対象といたしまして、小沢構想では六十五ということでございましたが、四十歳まで下げて住民の健康増進を行う。この場合に受益者負担というものも一部考慮する、このような案でございました。
次に、老人医療費関係の数字につままして簡単に御説明申し上げますが、十六ページの縦長の表は、いわゆる人口構造の老齢化が急速に進んでいくという、よく出されている表でございまして、五十五年、上から二段目におきましては、ちょうど真ん中でございますが、六十五歳以上の人口が八・九%でございますが、七十五年に至ると一四・三%になる。したがいまして、老年人口指数、いわゆる生産人口、十五から六十四歳の間の人口を分母にいたしまして、六十五以上の老人を分子にいたしまして、どの程度の生産人口で何人の老人を扶養するかということでございますが、一番右端の数字で、五十五年のところが一三・二、すなわち約八人の生産人口で一人の御老人を扶養していくということでございますが、七十五年になりますと二一・七、すなわち五人の若い人で一人のお年寄りを支えていく、よく言われている数字でございます。
下段の表は六十五歳以上の人口比でございますが、わが国では昭和七十五年に一四・三という形になって、大変だ大変だということでございますが、欧米先進諸国ではすでに昭和五十年のところで各国大体一四%前後をすでに突破しているところも出ている。ただ問題は、ここに至るまで、数十年、数百年という経緯で欧米諸国はなったわけでございますが、わが国では約二十年から二十五年でこの非常に大きな老人を抱え込む社会になったということが言われているわけでございます。
それから、次の表でございます。六十五歳以上人口比率が五%から一二%になるまでの間に何年たつかということでございますが、一番右に書きましたように、わが国では二十五年から七十年の四十五年間でこういう状態になる。西独では七十五年、フランスでは百七十年、スウェーデンでは百五年という経緯を経てこういう高齢化社会に至ったということでございます。
次に、老人医療費の方でございますが、まず国民医療費は、御承知のとおり、十兆を突破いたしまして、見込みでございますが、五十五年には十一兆九千億というような数字が想定されておりまして、国民所得に対する割合は六%ということでございます。このうち国庫負担の割合が三割ということで推移をしてきているわけでございます。
次の十八ページでございますが、この全体像の中におきまして老人医療費の推移を見ていただきますと、一番上がいま申し上げました十兆なり十一兆の国民医療費の伸びでございますが、対前年度約九%になっております。二行目は、老人医療費、これは七十歳以上の老人の方にかかる医療費まるまるでございます。国の制度の方は、七割の自己負担分を公費で置きかえての老人医療費の支給と言っておりますが、ここにいいます老人医療費というのは、その人まるごと、保険を含めてかかった額でございます。これはここに書きましたように二兆四百五十一億が五十五年度見込まれているわけでございまして、対前年度伸び率は、国民総医療費よりも少し高いところでございます。これを分解いたしますと、いわゆる老人人口がふえているということが一つと、それから老人医療費は一般の医療費よりもやや高いという二つの積からこういう形になっているかと思います。そういうことで、国民医療費の中における老人医療費の割合が一三、一四、一五、一六、一七という形で微増しつつあるということでございます。その二兆のうち、いわゆる老人医療費の国庫負担分というのが九千八十七億、先ほど申し上げました二兆を一〇〇%といたしますと四四・四%になるわけでございます。さらにこの中で、四十八年からできました国のいわゆる老人医療費無料化制度で持っておる額が二千九百五億という形でございます。
その関係を負担別に少し詳しく書いたのが次の表でございます。一番右側から二欄目でございますが、先ほどの二兆、これが十割分の老人医療費でございます。この負担区分を縦に見ていただきますと、一兆六千億、七八・七%、これが保険者負担分になっております。この保険者負担分の中には国保等については国庫負担がございますので、さらに分けますと、四八・五%、三〇%で、国庫負担がここにも三〇%いっているということでございます。それから、公費負担が四千三百五十八億、二一・三%、これがいわゆる老人医療費の無料化制度で行っている額でございますが、これをさらに分けますと、国が三分の二でございますから二千九百五億、一四・二%、三分の一が地方自治体、都道府県、市町村で持っている額でございまして、七・一%。そういうことで、国庫だけ再掲いたしますと、九千八十七億、四四・四%というような負担になっております。
次の十九ページでございますが、先ほど申し上げましたように、七十歳以上の加入者の割合は各種保険制度によって相違しておりまして、一番下の五十三年度を見ていただきますと、国保が六から七、八と、七十歳以上の比率が多くなってきている。各管掌別に全部多くなってきております。一番右側の保険全体では、四から五・三%までふえてきております。国保の加入率が高いということでございます。
それを反映いたしまして、その中段の表でございますが、老人医療費の割合も国保の方が二七・七%、一番右側に書いてありますように保険全体では一八・三%ということで、国保に重圧がかかっていると言われているゆえんでございます。
以下の二表は、公費負担制度による予算の推移を書いたものでございまして、先ほど申し上げました二千九百五億という数字が一番右にございます。それから、現行制度で老人医療費の支給対象者の数の推移がその下に書いてありまして、五十五年度では五百八十万八千人という数でございます。
次の二十ページの表は、いわゆる所得制限の話がよく出てまいりますが、老人医療費支給制度の場合にはいわゆる所得制限がございます。本人収入額(二人世帯)の所得制限額で申しますと毎年改善されてきておりまして、現在二百十六万四千円という額でございます。これは老齢福祉年金の所得制限とリンクして進んでいるということでございます。それから、扶養義務者等の収入額につきましては、六人世帯にありましては、昭和五十年の八百七十六万から据え置きになっている状況でございます。
次のページは、被用者保険の老人、それから政管全体の比較という形、次に国保の中での老人医療費の支給対象者の受診率、一件当たり診療費、一人当たり診療費と国保全体との比較。これは一言で申し上げますと、受診率の方は老人の方がやや高くなってきておりますが、一件当たり診療費の伸びは全体より低いということで、トータルの一人当たり診療費は老人だけ特別高くなっているわけではございませんで、やはり全体と同じ伸び率を示すに至っておるということでございます。
それから、二十三ページでございますが、よく受診率がどんどん高くなるという話がございますので、一つ表をつけさせていただきましたが、確かに患者調査によりますと、国民の受診率は四十七年から総数で六・二二から七・〇七まで上がってきておるわけでありますが、ここでごらんになっていただきますとおり最近の受診率の伸びは鈍化しておりまして、五十三年には五十二年の受診率を各年齢層とも下回っているわけでございます。
その下の図は、年齢階級を横軸にとって縦に受診率を書いております。点線が一番上にいっておりますが、これは五十二年七月の受診率でございます。五十三年の調査では、高齢者もそれより下回っている。だから、受診率が青天井で伸びていっているという形ではなくて、ある一定限度のところでほぼ落ちつきを見せておる、このように解釈することもできるかと思います。
最後の二十四ページの表でございますが、国民がどの程度病気であるかということで毎年十月に国民健康調査というのを行っておるわけであります。これもごらんになっていただきますように、調査当日、百人のうち何人病気であったかというのを見た数字でございますが、これも横ばいでございます。六十五歳以上につきましても横ばいでございます。ただ、官同齢者の病気の率が総数の平均よりも三倍程度高い、高齢者の方が病気がちであることが明らかでございますが、国民の病気の量がどんどんふえていくということじゃなくて、有病率も大体落ちつくべきところへ落ちついているということであろうかと思うわけでございます。
それから、七十歳以上の人の病床利用率の推移でございますが、やはり病院の患者の老齢化がうかがわれるわけでございます。
それから、平均在院日数につきましても伸びておりますが、やや横ばいになっていくだろうか、このような見通しでございます。
以上、おわかりにくかったと思いますが、取り急ぎ御説明いたしました。