中山昌作の発言 (社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会)
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○中山参考人 それでは、御説明申し上げます。
まず、私ども社会保障として医療保険を考えておりますので、その社会保障としての要件について初めにちょっと御説明を申し上げて、それが関連あるということでございますので御説明申し上げます。
いままで述べてきたような医療の特性を支えるものでなければならないということと同時に、社会保障であり得るためには医療への患者、国民の接近が容易で平等でなければならないということがあります。そして、さらに所得再配分の機能を持たねばならないと思うわけであります。所得再配分というのは税でやるからよろしいではないかという議論がございますけれども、やはり税だけでは完全でないということがございます。なぜかと言えば、健康保険に関しましては健康者から病者へという所得の再配分がございます。老齢化問題を考えれば、若い人から老人へという所得の再配分もございます。さらに、健康なグループ、これはグループをつくりますと健康なグループは裕福なグループになります、それから不健康なグループ、結果として裕福でないグループヘの所得の再配分、これらの機能も持っていなければならないということになります。現在一と二、つまり健康者から病者へ、若い人から老人への機能は比較的よく行われております。しかし、たとえば老人保険を健康保険から切り離すということになりますと、ここはまた問題が出てきてしまいます。三番の裕福なグループから裕福でないグループヘの所得再配分、これがうまくいっていないということが現在の問題になろうかと思います。
そこで、私どもがまず理想的と考えております医療制度、もちろん理想的と言っても今後社会の進歩に伴ってさらにどんどん修正を積み重ねていかなければならぬと思いますけれども、それは先ほどから言いましたように、まず地域医療ということでございます。地域医療というものは、その情報の核としまして私どもは地域保険調査会というものを考えております。これは昭和三十八年の医療制度調査会の答申の中にもその文言がすでに出てきておりますが、現在日本でもう数百のその調査会ができておりますが、ここでは医師だけではなくて地域の住民あるいは行政その他の学識経験者が入って、その地域における医療をどのように進めていったらいいかということを検討していくわけであります。そして、私ども医師の立場としましては、医師会で医師会員の意識を集めまして医師会病院というものをつくって、あるいはそれができないところでは臨床検査センターというものをつくっているところがございます。ここでお互いの技術を高めながらそれを公開する、そして患者にそれを十分に利用していただくという形で推し進める。
それから、いま一方では国民に対する健康教育というのを非常に重点的にやっております。先ほど来説明してまいりましたように、医師と患者の人間関係というのは、医師側の倫理だけでは成立しません。患者側にもそれを受け入れる、みずから健康になろうという倫理観がなければならないということでございます。不健康は現在では不倫理であります。健康であろうということはみずからの努力で、努力はしなければならないわけであります。それらを健康教育という形によって国民に理解していただく、実践していただくという形をとっております。この三つの柱の上に成り立つのが地域医療ということで私どもは考えております。そして、これを支える医療保険制度として私どもが考えますのは、先ほどの資料の昭和五十三年八月の会長の論文の中にあるものでございます。地域保険というものを考えております。
これは地域単位でつくりまして、あくまでも地域の特性を踏まえる。地域の特性ということの中には、地域住民の健康の状況、社会環境の状況、自然環境の状況、そしてそこにおける医師と患者の人間関係ができ上がっております。幸いに私ども医師、特に開業医というのは住民の中に一緒に住んでおりますので、非常にコミュニケーションがよろしゅうございます。現在コミュニティーの崩壊ということが言われてコミュニティーづくりの必要が言われておりますけれども、少なくともわれわれ医師は地域の住民との間にコミュニケーションを持っております。そのコミュニケーションをてこにして医療というものへのコンセンサスをまとめていくということがなければ、これは発展のしようがないわけであります。そのようなものをまとめる形で地域保険というものを考えます。三本立ての構想と私どもも言っておりましたけれども、本質はこの地域保険一本やりでございます。すべての人がこの地域保険に入り、そこでお互いのコミュニケーションを高め、お互いの情報を集めて将来の健康への対応をしていくということであります。しかし、これだけではもちろん不十分であります。現在非常に産業が高度化し、そこにおいて労働環境あるいはその地域の住民に与える影響というものもいろいろございます。また一方では、科学的には産業保健の科学が非常に進歩いたしました。それの専門の研究所もあれば大学もできたという状況でございますので、そのような科学的な進歩をとらえて、そして職場環境における健康づくりあるいは将来の疾病予防ということへの対応、このために産業保険というのを考えております。
さらに、先ほど言いましたように、老齢対策としましては、老齢になった人の病気を治すのは地域保険の中でできるわけですし、それが望ましいのでありますけれども、その老齢化して病気になる前の、すでに若いときの段階から老齢化したときの不健康を防ぐための健康のチェックなり指導、生活指導でございますね、管理なり、そういうものをやるための、いわゆるプライマリーケアをやるための保険として老齢保険を考える。これをあわせて三本立てと言っております。
これが現在私どもの考えている最も理想的な形でございます。