中山昌作の発言 (社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会)
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○中山参考人 幾つかの質問がありますので、順番にいきます。
まず、薬を患者が飲み残すからむだだというのは、非常に短絡的だと思います。私どもから言わせれば、患者が命をむだにしていると思う場合がしばしばございます。抗生物質なんか、治ってもやめたらだめなんであります。また再発しちゃうのですね。十分やって病気が起こらないようにしておかないと、この次再発したときには、その薬をやってももう効かなくなる危険さえあるわけです。そういうことまでもむだと思われては、これは心外でございます。しかし、実際にむだがないとは言っておりません。ある部分では多少あるでしょう。しかし、そこを混同なさらぬようにしていただきたいと思います。
それから、外国で財政の枠をはめているから、やはり日本でもやるべきではないかということですが、それが最善の方法であればまねするのもいいですが、私どもはあれは最善の方法とは思っておりません。最善の方法は、私どもは、先ほど説明しましたように思っております。あれは最後の手段だ。確かに、医療費のために人間が餓死するような極端な場合があれば、これは抑制するのがあたりまえです。そうでないのに抑制するとしたらば、それは人権尊重の立場に立ったと言えるでしょうか。
それから、財政好転の原因でございますが、幾つもありますが、その中で二つだけ説明します。
私どもは、よく組合健保をつくらせなかったからだというふうに言ったことがあるのを御存じだと思います。確かにこの効果は、ここ二、三年の間ではそれほどではありませんが、かつて数年来のことを考えますと、これは明らかに大きな効果があります。
しかし、もっと本当の効果は、これは厚生省などの出した統計を見ていただくとわかると思いますが、ずっと伸びてきた有病率が、ここ数年来頭打ちになってきております。これは非常に重大な事実であります。地域医療の展開の効果があったというふうに私どもは考えております。長い目で見ていただくと、医療費の増大というのも決して悲観的ではない。
たとえば、いま非常に高い高いといって問題になっている人工透析の話に触れてみたいと思いますが、私が大学を出て医局に入って間もなく、初めて私どもの医局で人工透析を一回やりました。医局の総スタッフ、恐らく十二、三人から二十人の医師がかかりっ切りで、看護婦も二十人ぐらいついて、一晩も二晩もかかってやりまして、結局、不幸なことにその患者は亡くなりましたけれども、そのときの医療費は恐らくゼロであります。コストはゼロではないはずであります。医師が二十人、看護婦が数十八ついたわけであります。検査もかかっております。現在はそれに比べてはるかに安くできているのですね。しかも、それによって患者の生命が長らえて、ある部分社会復帰もできている。
効果はそれだけではないのであります。その間に腎臓学の進歩がどんどんあって、将来はそういう患者が出なくなるための治療が現在開発されつつある段階です。あれはそのための一つの投資になっているわけです。そういうふうに見ていただきたいと思います。それが完成すると、医療費は途端にその部分に関しては安くなります。
これはたとえば種痘のことを考えてもわかると思います。種痘ができるまでは、痘瘡で大ぜいの人が死んだ。それが種痘ができてぱたっと痘瘡が減るわけですね。それまでには相当長い期間がかかっている。結核についてもそうです。したがって、医療というのは、二年や三年で見てはだめであって、やはり二十年、三十年の歴史的な考察をしていただきたいと思います。