大野明の発言 (本会議)
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○大野明君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました大平内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)
そもそも内閣の不信任案は、みずから政権を担当する能力のある政党が、内閣の著しい失政の場合に提案することによって、初めて意義のあるものであります。(拍手)
政権を託するに足る国民の信頼も得られず、また、その主義、その政策においても、現実の政治を担う資質と能力に乏しい野党が、この時期にあって何ら理由のない不信任案を無理やり出したことは、来る参議院選挙目当ての、きわめて宣伝臭の強い党利党略に発したものであると断ぜざるを得ないのであります。議会制民主政治のもとでは、政権を選択するのは、主権者たる国民であります。その国民の意思を無視し、このように内閣不信任決議案を党略に利用する野党の諸君に対し、激しい憤りを覚えるものであります。
今回の大平内閣不信任案の理由として、第一には、健康保険法改正案や厚生年金法改正案の取り扱いを挙げておりますが、これは内閣の問題でなく、国会の問題であります。また、環境アセスメント法案及び週休二日制法案の未提出を、これまた一つの理由として言っておりますが、国民経済に著しい影響をもたらすような重要法案について慎重に事前の審議を重ねることは、責任ある政府として当然のことであります。
また、物価対策について、生活二法を発動しないことを不信任理由の一つとして挙げておりますが、現在、わが国の物価動向は、第一次オイルショック後の狂乱物価の状態とは異なり、生活二法の発動を必要とする事態では決してありません。
このことに関しては、さきに社公民三党からわが党に対して物価対策についての申し入れを受け、わが党も誠意をもって三党と懇談し、その対応について回答申し上げたことは承知されておるはずであります。
最近は、第二次オイルショック以降の世界的インフレ等の海外要因によって一部の物価が多少上がってはおりますが、それでも現在、わが国消費者物価の値上がりは、西ドイツと並んで、先進諸国中最も低い率で推移しているのであります。
われわれは、第一次オイルショック後の狂乱物価を、世界各国が賛辞を惜しまぬほどみごとに安定させた実績を持っております。私は、今後の国際物価情勢の動向や、大平内閣の適切な物価対策と国民の英知が相まって、必ずや国民の期待する物価の安定が達成されることを確信して疑わないものであります。(拍手)
また、浜田幸一前議員の証人喚問等に関しての大平内閣に対する余りにも理不尽な誹謗は、許せないものがあります。
わが党においては、過般来、綱紀の粛正と政治に対する国民信頼確保のため、全党一丸となって努力を重ねており、本日も、その一環として、党倫理憲章の制定を決めたのであります。浜田前議員の証人喚問は、国会の問題であり、大平内閣不信任の理由としてこれを取り上げるのは、筋違いもはなはだしいと言わざるを得ないのであります。当該委員会において十分話し合いをして決めるべき問題であり、わが党がこれを妨害しているような事実は断じてないのであります。
大平内閣が、国の防衛について、米国に追随し、外交、防衛政策に自主性がないということを理由として不信任を主張されております。しかし、一体現在の国際情勢をどのように見ておられるのか、その認識の非現実性には公党として一片の存在価値すら認めるわけにはいかないのであります。
ここ数年間の国際情勢、なかんずく軍事情勢の流れを見ると、ソ連軍事力の急速な増強の結果、米国軍事力の相対的な低下を残念ながら認めざるを得ないのであります。いまや米国は、軍事力においてかつてのごとく絶対優位の態勢を維持することはきわめて困難な事態に立ち至っていることを、友好国としてはまことに残念に思うのであります。
ことにソ連のアフガニスタン軍事介入と、わが国が多年日ソ交渉で返還を求めておるわが国の北方領土にソ連が強大な軍事基地を建設し、わが国の安全にとってあからさまな脅威を与えることに日本人のだれしもが不安を感じている事実を、野党の諸君は正確に把握しておるかどうか、はなはだ疑問であります。
大平総理は、このような背景のもとに、世界の平和はもとより、アジア地域及びわが国の平和と安全保障を国民生活に影響することなく確保する道を求め、このたびの首脳会談に臨んだのであって、国政の責任者として当然なことであります。国の命運を左右する首脳会談の内容については、野党の言うがごとき追随外交では決してないのであります。
いまこそ大平内閣は、国際緊張の高まりとOPECの石油戦略による国際経済の不安の増大に対し、国民にその所信を述べ、国内においてはエネルギー、物価、財政再建等、幾多の困難な課題に直面しておる事態を率直に訴え、国民の自覚と理解を求めるときであります。
大平内閣のあまたの実績の一つを申し上げますと、国内経済において、不況の中にあっても景気の浮揚に努め、最近の経済は安定するとともに、雇用の増加、賃金の向上等、その経済政策が適切であったことを証明しているのではありませんか。
私は、国民はこのような大平内閣の成果と政治の取り組み方をより高く評価していると信ずるものであります。それは間もなく行われる参議院選挙の結果が明確に証明することでありましょう。
野党の内閣不信任決議案は、従来もいわれのない党利党略のものでありましたが、本日提出されました内閣不信任案は、憲法に定める不信任案の意義を履き違えたものであり、否、履くことさえ知らぬ無知をさらけ出したのみであり、まさに国会の権威を著しく傷つけたものと言えるのであります。(拍手)
間もなく否決されるこのような理由の乏しい不信任決議案に対し、重ねて断固反対をいたし、私の討論を終わります。(拍手)