小倉武一の発言 (大蔵委員会)
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○参考人(小倉武一君) 大変傾聴に値すると申しましては失礼でございますが、示唆の深い御意見かと思います。
私事にわたりまして恐縮でございますけれども、あるいはお耳ざわりかもしれませんが、かつてイギリスでもって、日本でいえば農業白書みたいなものが、あれは毎年出しておるのでしょうが、最近は知りません、非常に薄いものですが、その中に、イギリスの農林省は何を努力しておるかというと、いかに農林省の予算を縮減するかということに努力しておるのだということが書いてあって、私など本当に驚いたことがあるのです、そのころは日本の農林省はいかにして予算をふやすかということに努力しておったという時代でありますから。近ごろはそうでもないかもしれませんが。オランダの農林省へ行きましたときも、予算のことになりますと、やはりタックスペイヤーのことを考えなきゃならぬ——主税局なり主計局がそうおっしゃるならばいいかもしれませんが、歳出を専門として行政をやっているところでそういうことをおっしゃるということで、非常に大きく印象に残っておりまして、もう十年以上も前でありますけれども、日本の役所で大蔵省以外に一体そういうことを言う役所があるのだろうかと、はなはだ意外に思ったことがあります。
最近、税制調査会に関係をいたしまして、税制のことはよくわからぬのですけれども、どういう因縁かそういうことになってまた考えますのは、ちょうどいま先生のお話のような、日本の国民にはタックスペイヤーとしての意識があんまりないのじゃないかと。税金はいやいやながら払うけれども、払ってしまった以上はもう使い道には余り関心なくて、自分の業界なり自分の利益についての歳出予算については発言するけれども、国全体の歳出についての効率的なあり方、これについてはほとんど発言されないと言っちゃ語弊がありますけれども、どうもそういう感じがいたしまして、その間の一体社会教育といいますか、そういう教育はどうなっているのだろうかということになりますというと、どうもそういう教育というものは行われていないのじゃないか、多少は行われているのでしょうけれども、深くは調べていませんけれども、漠然とそういう感じがいたします。
今後、財政再建のために何かの方法で大幅の一般的な増税をお願いしなきゃならぬのだということだろうと思うのでありますが、仮にそうだとすれば、不公平税制の是正とかそういうことの前に、納税思想といいますか、タックスペイヤーの思想といいますか、そういうことから始めなきゃならぬのじゃないかというふうにひそかに実は考えておりますけれども、税制調査会でそれをどうするかというところまでの元気は、私にまだございません。