大蔵委員会
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会
会議録情報#0
昭和五十五年三月二十六日(水曜日)
午後二時五分開会
—————————————
委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
八木 一郎君 塚田十一郎君
林 ゆう君 岩動 道行君
坂野 重信君 衛藤征士郎君
藤田 進君 竹田 四郎君
村田 秀三君 和田 静夫君
小野 明君 福間 知之君
喜屋武眞榮君 市川 房枝君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 世耕 政隆君
理 事
中村 太郎君
細川 護煕君
片岡 勝治君
矢追 秀彦君
中村 利次君
委 員
衛藤征士郎君
河本嘉久蔵君
塚田十一郎君
藤井 裕久君
藤田 正明君
丸谷 金保君
多田 省吾君
佐藤 昭夫君
野末 陳平君
政府委員
大蔵政務次官 遠藤 要君
大蔵大臣官房審
議官 梅澤 節男君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
参考人
税制調査会会長 小倉 武一君
中央大学教授 一河 秀洋君
一橋大学助教授 野口悠紀雄君
—————————————
本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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この発言だけを見る →午後二時五分開会
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委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
八木 一郎君 塚田十一郎君
林 ゆう君 岩動 道行君
坂野 重信君 衛藤征士郎君
藤田 進君 竹田 四郎君
村田 秀三君 和田 静夫君
小野 明君 福間 知之君
喜屋武眞榮君 市川 房枝君
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出席者は左のとおり。
委員長 世耕 政隆君
理 事
中村 太郎君
細川 護煕君
片岡 勝治君
矢追 秀彦君
中村 利次君
委 員
衛藤征士郎君
河本嘉久蔵君
塚田十一郎君
藤井 裕久君
藤田 正明君
丸谷 金保君
多田 省吾君
佐藤 昭夫君
野末 陳平君
政府委員
大蔵政務次官 遠藤 要君
大蔵大臣官房審
議官 梅澤 節男君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
参考人
税制調査会会長 小倉 武一君
中央大学教授 一河 秀洋君
一橋大学助教授 野口悠紀雄君
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本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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世
世耕政隆#1
○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、喜屋武眞榮君、藤田進君、村田秀三君、小野明君、八木一郎君、林道君が委員を辞任され、その補欠として市川房枝君、竹田四郎君、和田静夫君、福間知之君、塚田十一郎君、岩動道行君が選任されました。
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この発言だけを見る →まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、喜屋武眞榮君、藤田進君、村田秀三君、小野明君、八木一郎君、林道君が委員を辞任され、その補欠として市川房枝君、竹田四郎君、和田静夫君、福間知之君、塚田十一郎君、岩動道行君が選任されました。
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世
世耕政隆#2
○委員長(世耕政隆君) 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
本日は、右両案審査のため、税制調査会会長小倉武一君、中央大学教授、河秀洋君及び一橋大学助教授野口悠紀雄君の三名の方々に参考人として御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々におかせられましては、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
皆様から忌憚のない御意見を承りまして、今後の両案審査の参考にいたしたいと存じております。
これより、参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上、大変失礼でありますが、お一人十五分程度でお述べ願いたいと思います。参考人の方々の御意見の陳述が全部終わりました後に、委員の質疑にお答えいただくという方法で進行させてまいりたいと思います。どうぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
それでは、まず小倉参考人からお願いいたします。
この発言だけを見る →本日は、右両案審査のため、税制調査会会長小倉武一君、中央大学教授、河秀洋君及び一橋大学助教授野口悠紀雄君の三名の方々に参考人として御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々におかせられましては、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
皆様から忌憚のない御意見を承りまして、今後の両案審査の参考にいたしたいと存じております。
これより、参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上、大変失礼でありますが、お一人十五分程度でお述べ願いたいと思います。参考人の方々の御意見の陳述が全部終わりました後に、委員の質疑にお答えいただくという方法で進行させてまいりたいと思います。どうぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
それでは、まず小倉参考人からお願いいたします。
小
小倉武一#3
○参考人(小倉武一君) 本日、大変貴重なお時間を割いていただきまして、所得税法と租税特別措置法の一部を改正する法案について所見を述べたらと、こういうお招きでございましたので申し上げますが、私どもの職責から申しますと、どうしても五十五年度の税制改正に関する答申、税制調査会で昨年十二月でございましたが、出しましたその答申に沿ってお話を申し上げると、こういうことになろうかと思います。
そこで、まず答申に当たりましての背景と申しますか、その基本的な考え方をまず申し述べたいと思います。
御承知のとおり、財政再建が昨今の非常な緊急の課題でございますので、また現にそうであるわけですが、歳出歳入の両面にわたって幅広く検討を要すると、こういう考え方でスタートをしたわけであります。
そこで、税制調査会では、どうしても公共サービスの不可欠なことは国としても実行していかなければならぬというために、必要な歳入を安定的に確保すると、こういう趣旨で税制のあり方も考えたわけでありますが、それにはどうしても一般消費税を導入する必要があるということの認識に立ちまして、これを五十五年度から導入すべきである、こういう答申になったわけであります。ところが、その後の諸般の情勢を見ますというと、一般消費税の導入ということについては、なお国民各層の十分な了解あるいは了承を得ていないと、こういうようなふうに見受けられたのであります。
そこで、五十五年度の税制改正におきましては、一般消費税の導入というような手段によらないで、ともかくも財政再建についての第一歩を踏み出したいと、こういうような趣旨で、あるべき税制の姿を考えるということにいたしたわけであります。
そうなりますと、勢いこれは税制調査会の担当でもございませんけれども、歳出の抑制ということも考えていただく必要がある。それを前提にいたしまして、歳入面においての増収ということについてはこれは後の課題とする。本格的な歳入の増収措置というのは、むしろ五十六年度以降のことに属すると。その考え方でもって、五十五年度におきましては、まずもって税負担の公正を確保するという見地から、租税特別措置の大幅な縮減、合理化を図るということにいたしたわけであります。
なお、歳入の面につきましては、退職給与引当金の見直しということを中心にいたしまして、若干の歳入増の措置を講ずるということにいたしましたが、歳入の増を図るということはやむを得ざる最小限度にいたす、こういうような提言を行った次第であります。
そこで、次に税制改正につきましての主要な項目につきまして、もう少し具体的な内容を御説明いたします。
まず、企業関係の税制の特別措置でございますが、従来でございますれば、この整理、合理化は、期限の到来したものを主として対象にいたしたわけでありますけれども、今回は期限の到来の有無にかかわらず、廃止もしくは一律の大幅な縮減をするという趣旨の方針を提言したわけであります。
したがいまして、今回の縮減措置とあわせまして、従前から租税特別措置あるいは不公正税制の是正ということは、税制調査会の一貫した方針でもございましたのでありますけれども、この五年間に社会保険診療報酬の課税についての特例につきましての是正を図るということをいたしましたが、なお、今回は利子・配当所得の総合課税移行につきまして、大きな一歩前進を図るということにいたしました。その他の特別措置の関係におきましても、これまで五年間の成果を集計してみますというと、約八割にも及ぶ、あるいはそれ以上にも及ぶ税制措置が講ぜられたのであります。
そこで、この租税特別措置を中心とする税制の公正化を図るという必要に応ずる措置というのは、大方この辺で一段落をしたというふうに税制調査会では考えておるわけであります。もっとも、この税制の公正を図るという点につきましては、租税特別措置に限らず、また税制に限らず、徴税の面といったような方面にまでわたりますというと、非常な広範な問題になりますので、これはなお今後検討を重ねる必要があろうかと思います。
〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
特にその中で問題になりますのは、法人税の仕組みに関係する点がございます。法人税の仕組みにつきまして、これがやはり不公平ではないかという意見がありますけれども、税制調査会としては、これは不公平税制というよりは法人税をどう仕組むかということに関係する問題であるということで、その検討は別途進める必要があるというのが従来からの考え方でありましたけれども、この考え方に即しまして、法人税についても今後なお検討を重ねるということにいたしたいと思っております。
次は、利子・配当所得の総合課税でございますが、これは、利子・配当の総合課税に移行するということは、税制調査会の内外を問わず、いわば一致した意見でございますが、ただ、いかにして総合課税に移行するかということになりますというと、なかなかこれはむずかしい問題がございます。
ちょうど今年末に特例措置が期限が切れますので、いよいよ総合課税に移行するということについての方針を決めなければならないようなことに時期的にも来ていると言われておりますので、総合課税に移行というような決定をいたしたわけでございますけれども、
〔理事中村太郎君退席、理事細川護煕君着席〕その移行につきましては、若干の経過期間を必要とするということで、その経過期間のうちに、総合課税に移行するような体制を整えるということにいたしたわけでありますが、総合課税に移行するための一つの制度といたしまして、いわゆるグリーンカード・システムを導入するという提言をいたした次第であります。
申すまでもなく、利子・配当所得の総合課税につきましては、単に総合課税をするということだけでは、かえって実際上不公正を助長するというようなことにもなりかねませんので、貯蓄の税金のかかる部分、あるいは税金のかからない部分を通じまして、基本的に考えますれば、いわゆる納税者番号が最も適当であるというふうに、税制調査会でもほとんど異論なくそういうふうになったわけでありますけれども、何しろ新しい制度でございまするし、いわば国民全体に、本人の意思いかんにかかわらず、税務署に番号を登録するということになりますというと、なお国民のいわば了承を得るということにつきましては相当のことが必要であるということでございまするので、それを待って総合課税移行ということになりますというと、これまた相当先の話になるというわけでございまするので、納税者番号ということはあきらめて、もう少し簡便な、実行可能な、あるいは国民各層に受け入れられる制度は何かということを考究した結果、グリーンカード制度にいたしたわけであります。
それから次は、土地税制についてでございますが、昨今、土地税制については、税制調査会の中のみならず、外におきましても、譲渡所得につきましては所得税法の本則に返って、その上なおかつ宅地造成あるいは宅地供給に必要な点については特例措置を講じたらどうかという意見が一方においてあり、他方において、土地税制については、これまでのように現行の制度をそのまま持続すべきである、こういう両方の意見があったわけであります。
税制調査会としては、できるだけ現行制度のたてまえを堅持しながら、宅地の供給について必要最小限度の例外的な特別措置を講ずるというようなことが、妥協的でありますけれども、よろしいのではないか、こういうような考え方に一応統一をした結論になったわけであります。
以上のようなことが、次の年度の税制改正の大まかな、おおよその考え方でございまするけれども、幸いにして五十五年度におきましては、御承知のとおり、日本の経済が比較的順調な回復をいたしましたので、相当規模の自然増収が図られるというようなことの見込みもできましたので、聞くところによるというと、何とか予算の編成もできたと、こういうことになり、また、財政再建につきましても一歩を踏み出すということになったわけでありますけれども、今後におきましては、どうもやはり歳入歳出の両面におきまして相当の決意を持って検討を行うというようなことが必要ではないかというのが、どうも大方の意見ではないかと思います。
そこで、これからどうするかという問題もございまするけれども、これはなお今後の問題として、きょうは詳しくお述べするわけにもまいりません。まだその点については、税制調査会においても討議を重ねるという段階にはなっておりません。
〔理事細川護煕君退席、理事中村太郎君着
席〕
以上、簡単でございまするけれども、私の御説明は以上によって終わりたいと思います。
この発言だけを見る →そこで、まず答申に当たりましての背景と申しますか、その基本的な考え方をまず申し述べたいと思います。
御承知のとおり、財政再建が昨今の非常な緊急の課題でございますので、また現にそうであるわけですが、歳出歳入の両面にわたって幅広く検討を要すると、こういう考え方でスタートをしたわけであります。
そこで、税制調査会では、どうしても公共サービスの不可欠なことは国としても実行していかなければならぬというために、必要な歳入を安定的に確保すると、こういう趣旨で税制のあり方も考えたわけでありますが、それにはどうしても一般消費税を導入する必要があるということの認識に立ちまして、これを五十五年度から導入すべきである、こういう答申になったわけであります。ところが、その後の諸般の情勢を見ますというと、一般消費税の導入ということについては、なお国民各層の十分な了解あるいは了承を得ていないと、こういうようなふうに見受けられたのであります。
そこで、五十五年度の税制改正におきましては、一般消費税の導入というような手段によらないで、ともかくも財政再建についての第一歩を踏み出したいと、こういうような趣旨で、あるべき税制の姿を考えるということにいたしたわけであります。
そうなりますと、勢いこれは税制調査会の担当でもございませんけれども、歳出の抑制ということも考えていただく必要がある。それを前提にいたしまして、歳入面においての増収ということについてはこれは後の課題とする。本格的な歳入の増収措置というのは、むしろ五十六年度以降のことに属すると。その考え方でもって、五十五年度におきましては、まずもって税負担の公正を確保するという見地から、租税特別措置の大幅な縮減、合理化を図るということにいたしたわけであります。
なお、歳入の面につきましては、退職給与引当金の見直しということを中心にいたしまして、若干の歳入増の措置を講ずるということにいたしましたが、歳入の増を図るということはやむを得ざる最小限度にいたす、こういうような提言を行った次第であります。
そこで、次に税制改正につきましての主要な項目につきまして、もう少し具体的な内容を御説明いたします。
まず、企業関係の税制の特別措置でございますが、従来でございますれば、この整理、合理化は、期限の到来したものを主として対象にいたしたわけでありますけれども、今回は期限の到来の有無にかかわらず、廃止もしくは一律の大幅な縮減をするという趣旨の方針を提言したわけであります。
したがいまして、今回の縮減措置とあわせまして、従前から租税特別措置あるいは不公正税制の是正ということは、税制調査会の一貫した方針でもございましたのでありますけれども、この五年間に社会保険診療報酬の課税についての特例につきましての是正を図るということをいたしましたが、なお、今回は利子・配当所得の総合課税移行につきまして、大きな一歩前進を図るということにいたしました。その他の特別措置の関係におきましても、これまで五年間の成果を集計してみますというと、約八割にも及ぶ、あるいはそれ以上にも及ぶ税制措置が講ぜられたのであります。
そこで、この租税特別措置を中心とする税制の公正化を図るという必要に応ずる措置というのは、大方この辺で一段落をしたというふうに税制調査会では考えておるわけであります。もっとも、この税制の公正を図るという点につきましては、租税特別措置に限らず、また税制に限らず、徴税の面といったような方面にまでわたりますというと、非常な広範な問題になりますので、これはなお今後検討を重ねる必要があろうかと思います。
〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
特にその中で問題になりますのは、法人税の仕組みに関係する点がございます。法人税の仕組みにつきまして、これがやはり不公平ではないかという意見がありますけれども、税制調査会としては、これは不公平税制というよりは法人税をどう仕組むかということに関係する問題であるということで、その検討は別途進める必要があるというのが従来からの考え方でありましたけれども、この考え方に即しまして、法人税についても今後なお検討を重ねるということにいたしたいと思っております。
次は、利子・配当所得の総合課税でございますが、これは、利子・配当の総合課税に移行するということは、税制調査会の内外を問わず、いわば一致した意見でございますが、ただ、いかにして総合課税に移行するかということになりますというと、なかなかこれはむずかしい問題がございます。
ちょうど今年末に特例措置が期限が切れますので、いよいよ総合課税に移行するということについての方針を決めなければならないようなことに時期的にも来ていると言われておりますので、総合課税に移行というような決定をいたしたわけでございますけれども、
〔理事中村太郎君退席、理事細川護煕君着席〕その移行につきましては、若干の経過期間を必要とするということで、その経過期間のうちに、総合課税に移行するような体制を整えるということにいたしたわけでありますが、総合課税に移行するための一つの制度といたしまして、いわゆるグリーンカード・システムを導入するという提言をいたした次第であります。
申すまでもなく、利子・配当所得の総合課税につきましては、単に総合課税をするということだけでは、かえって実際上不公正を助長するというようなことにもなりかねませんので、貯蓄の税金のかかる部分、あるいは税金のかからない部分を通じまして、基本的に考えますれば、いわゆる納税者番号が最も適当であるというふうに、税制調査会でもほとんど異論なくそういうふうになったわけでありますけれども、何しろ新しい制度でございまするし、いわば国民全体に、本人の意思いかんにかかわらず、税務署に番号を登録するということになりますというと、なお国民のいわば了承を得るということにつきましては相当のことが必要であるということでございまするので、それを待って総合課税移行ということになりますというと、これまた相当先の話になるというわけでございまするので、納税者番号ということはあきらめて、もう少し簡便な、実行可能な、あるいは国民各層に受け入れられる制度は何かということを考究した結果、グリーンカード制度にいたしたわけであります。
それから次は、土地税制についてでございますが、昨今、土地税制については、税制調査会の中のみならず、外におきましても、譲渡所得につきましては所得税法の本則に返って、その上なおかつ宅地造成あるいは宅地供給に必要な点については特例措置を講じたらどうかという意見が一方においてあり、他方において、土地税制については、これまでのように現行の制度をそのまま持続すべきである、こういう両方の意見があったわけであります。
税制調査会としては、できるだけ現行制度のたてまえを堅持しながら、宅地の供給について必要最小限度の例外的な特別措置を講ずるというようなことが、妥協的でありますけれども、よろしいのではないか、こういうような考え方に一応統一をした結論になったわけであります。
以上のようなことが、次の年度の税制改正の大まかな、おおよその考え方でございまするけれども、幸いにして五十五年度におきましては、御承知のとおり、日本の経済が比較的順調な回復をいたしましたので、相当規模の自然増収が図られるというようなことの見込みもできましたので、聞くところによるというと、何とか予算の編成もできたと、こういうことになり、また、財政再建につきましても一歩を踏み出すということになったわけでありますけれども、今後におきましては、どうもやはり歳入歳出の両面におきまして相当の決意を持って検討を行うというようなことが必要ではないかというのが、どうも大方の意見ではないかと思います。
そこで、これからどうするかという問題もございまするけれども、これはなお今後の問題として、きょうは詳しくお述べするわけにもまいりません。まだその点については、税制調査会においても討議を重ねるという段階にはなっておりません。
〔理事細川護煕君退席、理事中村太郎君着
席〕
以上、簡単でございまするけれども、私の御説明は以上によって終わりたいと思います。
中
一
一河秀洋#5
○参考人(一河秀洋君) 一河でございます。税制改正についての意見を申し述べる機会を与えられまして、非常に光栄に存じております。
ただいま小倉税調会長からのお話にもございましたように、財政が非常に逼迫をしており、その再建のあり方として、いわば安上がりの政府を志向するか、あるいは高福祉高負担増もやむを得ないのかという意見が揺れ動いているようでございます。しかし、結局のところは、財政の機能の拡大が現在の経済社会の要求でもあり、今後支出増は結果として避けられないものと予想されますし、その意味では、基本的に負担のあり方が問い直されるべき段階だろうかと思うのであります。
ただ、このような状況の中での五十五年度の改正案でございますが、先ほどのお話にもございましたように、基本的な見直しは今年度は行わず、今年度はとりあえず公正の確保に努めるということでございまして、しかし、公正の確保という観点から考えたといたしましても、必ずしも私、今年度の改正案が徹底したものとは言い切れないものではなかろうかという感じを多少持つのでございます。
そこで、利子・配当課税の問題を中心にして、この点について二、三の意見を申し上げさせていただきたいと思うのでございます。
これはいまさら申し上げるまでもないことでございますが、わが国の所得税構造は、本来から言えば私、かなり公平な税構造ではなかろうかと思うのでございます。どのような税が公平かということは、必ずしも客観的な基準があるわけではございませんが、少なくとも主要諸国との比較で見る限りは、わが国の税負担構造は主要諸国の中では英国に次いで、あるいは英国と並んで累進的な税負担構造を持っていると言ってもよかろうかと思うのでございます。
ただ、しかしながら問題は、高率の税を適用されるべき種類の高所得がさまざまの理由で高税率の適用を免れてしまっているという点でございまして、高所得層の源泉でございます利子・配当所得あるいは証券等のキャピタルゲイン、あるいは事業所得、こういうものについて税法等の規定による脱漏があるし、また、税務執行上の理由での脱漏があって、高率の税率が適用されていないという点に問題が本当はあるのじゃなかろうかと思っております。で、税法等の規定によるいわば脱漏、不公平と申しますのは、利子・配当所得の源泉分離選択課税の問題がございますし、証券等のキャピタルゲインについては実質的にはほとんど課税されていない、こういう問題があろうかと思うのでございます。
さらにはまた、所得の分配だけではなくて、富の再分配ということも重要な観点だろうかと存じますが、その意味で富の再分配を実現するような経常的な資産課税がないということも大きな問題だろうと思います。単に一時的な相続税並びにそれを補完すべき贈与税にとどまっているという点、問題だろうかと思うのでございます。
また、税務の執行上の理由といたしましては、これはいまさら申し上げるまでもなく、トーゴーサン税制と言われます所得の捕捉率の差の問題がございますし、また、少額貯蓄非課税制度を通じましての脱税と申しますか、利子所得の脱漏の問題もございます。
また、相続税にいたしましても、税務執行上の理由と言われますが、年間六十万円までは贈与税もかからない、したがって毎年毎年六十万ずつ贈与を繰り返していけば、金利年六%としても三十年間では五千万円非課税で相続できるとか、五十年間では一億八千万非課税で相続できるとか、こういう計算をなさ一、ている方もいるわけでございます。
こういう不公平が、特に給与所得課税との比較で不公平感を大きくしておりますし、これが税負担に対する国民の不満感を強めているのが現状ではなかろうかと思うのでございます。
五十三年から四年にかけて実施されております、市民生活意識研究会というところで行っているのでございますが、納税者意識調査というのがございます。この納税者意識調査の結果を見てみますと、税負担が重いから脱税はやむを得ないと思うかという質問に対しては、ノーと答えている人が七七・五%あります。税負担が重くても脱税しちゃいかぬと。しかし、ところがその反面で、税金の負担が公平でないから税金を払うのに抵抗を感ずるか、こういう質問に対してイエスという答えを出している人が六九・三%、税の負担そのものの重さよりはむしろ不公平が問題であると、こう言ってよかろうかと思うのでございます。したがって、不公平の是正ということが急務であることは言うまでもないことでございます。
この不公平の是正のためには、税法等の規定の改正と申しますか、今年度取り上げられております利子・配当所得の総合課税の方向、あるいは証券等のキャピタルゲインに対する課税の強化、こういうことも必要だろうかと思いますが、ただ単に税法等の規定の改正だけではやはり問題は解決しないわけでございまして、税務執行上から生ずる不公平の排除ということがより強調されるべきではなかろうかと存ずるのでございます。
税務執行上の不公平の是正という観点から申しますと、一つは、徴税機構のモラル並びに納税者のモラルの向上ということが必要だろうかと思いますが、しかし、これはいずれの面におきましても、わが国の場合、諸外国に比較して必ずしも低い水準ではないという感じを持っております。スウェーデンにおける納税者の意識調査とわが国における納税者の意識調査とを比較をしてみますと、わが国における納税者のモラルは必ずしも低くはないのじゃなかろうかという感じを持つのでございます。ただ、こういうモラルの向上のためにももう一つ必要なことは、税務執行を公平に行うようなメカニズムを確立するということではなかろうかと思います。
利子・配当所得について言えば、少額貯蓄の名義の確認、総合課税のための名寄せを確実に行うメカニズム、こういうものが必要だろうかと思うのでございます。これについては、従来からさまざまの主張があるようでございます。高率源泉課税をしておいて、払い過ぎの人には後で還付をする高率源泉徴収還付方式も主張されておりますし、緑の手帳という御主張もあったようでございます。納税者番号制という御主張もあったようでございます。また、それぞれにかなり難点もあるようでございます。
高率源泉徴収還付方式でございますと、七〇ないし七五%あるいは人によっては四〇%、高率の源泉徴収をしておいて、低所得層については確定申告で払い過ぎの税金を還付する。しかし、そうは申しましても、七〇%か七五%という高率の源泉徴収を利子所得について取られたとすると、いわば所得受取者は手取りの所得で判断する傾向がございますので、利子率が結果としては異常に低いものになって貯蓄を阻害する、利子率を高くしても貯蓄はふえるとは思いませんが、現行の利子率の三分の一、ここまで低くなると貯蓄を阻害する効果は出てくるという感じがいたします。
また、徴税事務の膨大化は言うをまちませんが、いま一つは、低、中所得層で、果たしてわずかばかりの払い戻しを受けるために確定申告をするという繁雑さをあえてするだろうかという疑問もございます。もし、それが行われないとすれば低、中所得層に対する非常な重課になってしまう、こういうこともあろうかと思います。あるいは緑の手帳方式も一つの案ではございますが、少額貯蓄非課税の名義確認だけにとどまって、それ以上の可能性はこれには期待できない。
あるいはまた、現在の徴税機構でもできるのだという主張もございます。それは、たとえば一千万円以上の高所得者ということになるとせいぜい二十数万人なんだから、そこのところをひとつ集中して徹底的に調査をする、これは大したことじゃないじゃないか、こういう御意見もあるようでございますが、しかし、一千万円以下の低所得層であっても利子所得だけは非常に大きい、配当所得だけは非常に大きいという階層もあるわけでございまして、一千万以上の現在の高所得層に調査を限定するというのは、また新たな不公平の問題を生ずる可能性もあろうかと思うのです。したがって、いろいろな案は出ておりますけれども、必ずしも効果がない。結局、最も効果的な方法は、すでにフランス、アメリカ、スウェーデン等で実施されております納税者番号制しかないのではなかろうかという感じがするのでございます。
ただ、もちろんこれにもしばしば言われますように、プライバシーの侵害、国民の管理の手段になると、こういう問題がございますし、あるいは費用が非常に高くつくじゃないかと、コスト・ベネフィットの面で合わないのじゃないか、こういうふうな批判もあるかと思うのでございます。しかし、費用の点から言えば、少額貯蓄非課税からの、あるいはこれを利用しての脱税をなくす、それによって増収が生ずる、これだけのことであれば費用を賄うだけの増収はあるいは期待できないかもしれないと思います。
しかし、こういう方法によって利子・配当所得の総合課税が徹底化できる、あるいは相続税について六十万円ずつ分割をして相続をしていけばと、こういう道を閉ざして、むしろシャウプ勧告で二十五年からたしか二十七年にかけて実施されております生涯の相続あるいは贈与財産に対して累積的に課税をしていくと、こういう方法を採用できるとすれば、その増収はかなり大きいと思います。あるいはさらに、経常的な資産課税を実施をすることで富の再分配にまでの道を開くということになれば、コスト・ベネフィットの面ではつり合う以上のものがあろうかと思いますし、また、たとえ多少コストがかかったといたしましても、それは公平な課税のために必要なコストと言ってよろしいのではなかろうかと思います。
ただ問題は、プライバシーの侵害という問題でございますが、この問題、非常に重要な問題であるとは思いますし、いわば個々人の判断の問題、これがかなりかかわってくるような気がいたします。確かにデータが税務以外の目的に容易に利用されたといたしますと、結果はきわめて重大でございますし、こういう制度を行うとすれば、運用には十分な拘束性を持たせる必要がございます。しかしながら、私自身は危険性は確かにありますが、拘束することのできる危険性だという感じがいたします。また、若干の危険性を理由にしてそれを排除しようとすることは、所得資産課税の公平性の追求をむしろ打ち切ってしまうのじゃないかという感じもして、総合的にはやはり導入すべきではなかろうかという感じがしています。
ただ、しかしながら、今年度の改正の中に出てまいります少額貯蓄利用者カード、いわゆるグリーンカードにつきましては、非課税貯蓄利用の条件というだけにすぎないわけで、これを受けるかどうかは貯蓄者の任意の申請によるということであるようでございますし、また、所得資産の申告とは関係ないわけでございまして、その意味では、プライバシーの問題ははるかに小さなものと言ってよかろうと思うのでございます。
ただしかし、その反面で、少額貯蓄非課税を利用しての脱税には貢献があったにいたしましても、さらにそれを越えて総合課税の手段になるかといえば、これは恐らくなり得ないのでございまして、その意味での不徹底さということには不満を感じるのでございます。ただ、その厳格な、しかも円滑な運用を行うことによって、将来のシステムといいますか、これを円滑に国民の合意を得て実施できるかどうか、あるいはそれに対してはもっと重大な問題があるかどうかを判断する材料にはなるだろうという意味で、今年度の改正、基本的にはグリーンカードというのは、結構な案ではなかろうかと思っております。
ただ、最後に一つだけ愚見を申し上げたいのは、グリーンカードが問題になっておりますのは、結局、一つの理由は、少額貯蓄非課税制度を利用してさまざまの脱税が行われている。郵便貯金にいたしましても、三百万円一人一口という制限がほとんど意味がない、こういうことだろうと思うのでございます。
ただ、しかしながら、この少額貯蓄非課税制度そのものにも問題があろうかと思うのでございます。今年度の改正においても出てまいりませんし、将来の方向性といたしましても手がつけられていないようでございますが、少額貯蓄非課税制度そのものが、私にとっては必ずしも納得のできるものではないのでございます。それは少額貯蓄非課税制度、これはある意味では脱税の手段にたとえならないといたしましても、総合課税が実施できた段階では、廃止すべきものであると言ってよろしいのではなかろうか。
といいますのは、一つは、もし総合課税が実施をされたとすれば、源泉課税との間での低所得層の貯蓄のバランスの問題がなくなってしまいますし、また、この制度が貯蓄の奨励措置に対して効果がある、生活の安定に対して効果があるとは必ずしも言えなかろうと思うのでございます。利子率が多少高くなったといたしましても貯蓄が必ずしも増大しないことは、貯蓄の動機でありますとか、あるいは諸外国における同様の経験のアフターケアの調査等からいいましても言えるものではなかろうかと思います。
そういたしますと、公平の問題が残るわけでございますが、実際問題としては、少額貯蓄非課税の限度が余りにも大きいわけでございます。預金と郵便貯金と国債と合わせれば九百万、これに財形貯蓄を合わせると五百万がさらに加わって千四百万、夫婦の名義を利用すればほとんど青天井だと言ってもよかろうと思います。
勤労者家計調査によりますと、大体一軒平均の預金がたしか五十二年で三百八十万ぐらいかと思います。そして、大体この数年間の傾向として、年間の所得の大きさと貯蓄残高の大きさがほぼ同じ動きを示している。
そういたしますと、簡単に考えれば、年間所得三百万の人は三百万の貯蓄を持っている。金利が六%であるとすると利子所得が十八万円、このクラスでありますと限界税率が所得税と住民税を合わせて大体一六%でございますから、一万九千円税金が安くなる、その分税金を払わなくていい。ところが、年間所得一千万でありますと、貯蓄が一千万、利子所得が六十万、この階層でありますと、所得税、住民税合わせて限界税率五二%でありますから、税金は本来三十一万円払わなければいけないところが、少額貯蓄非課税で払わなくていい、三百万円のところでは二万円足らずしか減税になっていないのに、一千万のところでは三十一万円も減税になってくる、これは問題があろうかと思うのでございます。
したがって、将来の方向として、少額貯蓄非課税につきましてはこれを廃止をするか、あるいは少なくとも利子から生ずる所得につきまして一定範囲での税額控除を認める、こういう方式に改めた方がよろしいのではなかろうかというふうな気がしております。
どうも大変つまらない意見を申し上げて恐縮でございました。
この発言だけを見る →ただいま小倉税調会長からのお話にもございましたように、財政が非常に逼迫をしており、その再建のあり方として、いわば安上がりの政府を志向するか、あるいは高福祉高負担増もやむを得ないのかという意見が揺れ動いているようでございます。しかし、結局のところは、財政の機能の拡大が現在の経済社会の要求でもあり、今後支出増は結果として避けられないものと予想されますし、その意味では、基本的に負担のあり方が問い直されるべき段階だろうかと思うのであります。
ただ、このような状況の中での五十五年度の改正案でございますが、先ほどのお話にもございましたように、基本的な見直しは今年度は行わず、今年度はとりあえず公正の確保に努めるということでございまして、しかし、公正の確保という観点から考えたといたしましても、必ずしも私、今年度の改正案が徹底したものとは言い切れないものではなかろうかという感じを多少持つのでございます。
そこで、利子・配当課税の問題を中心にして、この点について二、三の意見を申し上げさせていただきたいと思うのでございます。
これはいまさら申し上げるまでもないことでございますが、わが国の所得税構造は、本来から言えば私、かなり公平な税構造ではなかろうかと思うのでございます。どのような税が公平かということは、必ずしも客観的な基準があるわけではございませんが、少なくとも主要諸国との比較で見る限りは、わが国の税負担構造は主要諸国の中では英国に次いで、あるいは英国と並んで累進的な税負担構造を持っていると言ってもよかろうかと思うのでございます。
ただ、しかしながら問題は、高率の税を適用されるべき種類の高所得がさまざまの理由で高税率の適用を免れてしまっているという点でございまして、高所得層の源泉でございます利子・配当所得あるいは証券等のキャピタルゲイン、あるいは事業所得、こういうものについて税法等の規定による脱漏があるし、また、税務執行上の理由での脱漏があって、高率の税率が適用されていないという点に問題が本当はあるのじゃなかろうかと思っております。で、税法等の規定によるいわば脱漏、不公平と申しますのは、利子・配当所得の源泉分離選択課税の問題がございますし、証券等のキャピタルゲインについては実質的にはほとんど課税されていない、こういう問題があろうかと思うのでございます。
さらにはまた、所得の分配だけではなくて、富の再分配ということも重要な観点だろうかと存じますが、その意味で富の再分配を実現するような経常的な資産課税がないということも大きな問題だろうと思います。単に一時的な相続税並びにそれを補完すべき贈与税にとどまっているという点、問題だろうかと思うのでございます。
また、税務の執行上の理由といたしましては、これはいまさら申し上げるまでもなく、トーゴーサン税制と言われます所得の捕捉率の差の問題がございますし、また、少額貯蓄非課税制度を通じましての脱税と申しますか、利子所得の脱漏の問題もございます。
また、相続税にいたしましても、税務執行上の理由と言われますが、年間六十万円までは贈与税もかからない、したがって毎年毎年六十万ずつ贈与を繰り返していけば、金利年六%としても三十年間では五千万円非課税で相続できるとか、五十年間では一億八千万非課税で相続できるとか、こういう計算をなさ一、ている方もいるわけでございます。
こういう不公平が、特に給与所得課税との比較で不公平感を大きくしておりますし、これが税負担に対する国民の不満感を強めているのが現状ではなかろうかと思うのでございます。
五十三年から四年にかけて実施されております、市民生活意識研究会というところで行っているのでございますが、納税者意識調査というのがございます。この納税者意識調査の結果を見てみますと、税負担が重いから脱税はやむを得ないと思うかという質問に対しては、ノーと答えている人が七七・五%あります。税負担が重くても脱税しちゃいかぬと。しかし、ところがその反面で、税金の負担が公平でないから税金を払うのに抵抗を感ずるか、こういう質問に対してイエスという答えを出している人が六九・三%、税の負担そのものの重さよりはむしろ不公平が問題であると、こう言ってよかろうかと思うのでございます。したがって、不公平の是正ということが急務であることは言うまでもないことでございます。
この不公平の是正のためには、税法等の規定の改正と申しますか、今年度取り上げられております利子・配当所得の総合課税の方向、あるいは証券等のキャピタルゲインに対する課税の強化、こういうことも必要だろうかと思いますが、ただ単に税法等の規定の改正だけではやはり問題は解決しないわけでございまして、税務執行上から生ずる不公平の排除ということがより強調されるべきではなかろうかと存ずるのでございます。
税務執行上の不公平の是正という観点から申しますと、一つは、徴税機構のモラル並びに納税者のモラルの向上ということが必要だろうかと思いますが、しかし、これはいずれの面におきましても、わが国の場合、諸外国に比較して必ずしも低い水準ではないという感じを持っております。スウェーデンにおける納税者の意識調査とわが国における納税者の意識調査とを比較をしてみますと、わが国における納税者のモラルは必ずしも低くはないのじゃなかろうかという感じを持つのでございます。ただ、こういうモラルの向上のためにももう一つ必要なことは、税務執行を公平に行うようなメカニズムを確立するということではなかろうかと思います。
利子・配当所得について言えば、少額貯蓄の名義の確認、総合課税のための名寄せを確実に行うメカニズム、こういうものが必要だろうかと思うのでございます。これについては、従来からさまざまの主張があるようでございます。高率源泉課税をしておいて、払い過ぎの人には後で還付をする高率源泉徴収還付方式も主張されておりますし、緑の手帳という御主張もあったようでございます。納税者番号制という御主張もあったようでございます。また、それぞれにかなり難点もあるようでございます。
高率源泉徴収還付方式でございますと、七〇ないし七五%あるいは人によっては四〇%、高率の源泉徴収をしておいて、低所得層については確定申告で払い過ぎの税金を還付する。しかし、そうは申しましても、七〇%か七五%という高率の源泉徴収を利子所得について取られたとすると、いわば所得受取者は手取りの所得で判断する傾向がございますので、利子率が結果としては異常に低いものになって貯蓄を阻害する、利子率を高くしても貯蓄はふえるとは思いませんが、現行の利子率の三分の一、ここまで低くなると貯蓄を阻害する効果は出てくるという感じがいたします。
また、徴税事務の膨大化は言うをまちませんが、いま一つは、低、中所得層で、果たしてわずかばかりの払い戻しを受けるために確定申告をするという繁雑さをあえてするだろうかという疑問もございます。もし、それが行われないとすれば低、中所得層に対する非常な重課になってしまう、こういうこともあろうかと思います。あるいは緑の手帳方式も一つの案ではございますが、少額貯蓄非課税の名義確認だけにとどまって、それ以上の可能性はこれには期待できない。
あるいはまた、現在の徴税機構でもできるのだという主張もございます。それは、たとえば一千万円以上の高所得者ということになるとせいぜい二十数万人なんだから、そこのところをひとつ集中して徹底的に調査をする、これは大したことじゃないじゃないか、こういう御意見もあるようでございますが、しかし、一千万円以下の低所得層であっても利子所得だけは非常に大きい、配当所得だけは非常に大きいという階層もあるわけでございまして、一千万以上の現在の高所得層に調査を限定するというのは、また新たな不公平の問題を生ずる可能性もあろうかと思うのです。したがって、いろいろな案は出ておりますけれども、必ずしも効果がない。結局、最も効果的な方法は、すでにフランス、アメリカ、スウェーデン等で実施されております納税者番号制しかないのではなかろうかという感じがするのでございます。
ただ、もちろんこれにもしばしば言われますように、プライバシーの侵害、国民の管理の手段になると、こういう問題がございますし、あるいは費用が非常に高くつくじゃないかと、コスト・ベネフィットの面で合わないのじゃないか、こういうふうな批判もあるかと思うのでございます。しかし、費用の点から言えば、少額貯蓄非課税からの、あるいはこれを利用しての脱税をなくす、それによって増収が生ずる、これだけのことであれば費用を賄うだけの増収はあるいは期待できないかもしれないと思います。
しかし、こういう方法によって利子・配当所得の総合課税が徹底化できる、あるいは相続税について六十万円ずつ分割をして相続をしていけばと、こういう道を閉ざして、むしろシャウプ勧告で二十五年からたしか二十七年にかけて実施されております生涯の相続あるいは贈与財産に対して累積的に課税をしていくと、こういう方法を採用できるとすれば、その増収はかなり大きいと思います。あるいはさらに、経常的な資産課税を実施をすることで富の再分配にまでの道を開くということになれば、コスト・ベネフィットの面ではつり合う以上のものがあろうかと思いますし、また、たとえ多少コストがかかったといたしましても、それは公平な課税のために必要なコストと言ってよろしいのではなかろうかと思います。
ただ問題は、プライバシーの侵害という問題でございますが、この問題、非常に重要な問題であるとは思いますし、いわば個々人の判断の問題、これがかなりかかわってくるような気がいたします。確かにデータが税務以外の目的に容易に利用されたといたしますと、結果はきわめて重大でございますし、こういう制度を行うとすれば、運用には十分な拘束性を持たせる必要がございます。しかしながら、私自身は危険性は確かにありますが、拘束することのできる危険性だという感じがいたします。また、若干の危険性を理由にしてそれを排除しようとすることは、所得資産課税の公平性の追求をむしろ打ち切ってしまうのじゃないかという感じもして、総合的にはやはり導入すべきではなかろうかという感じがしています。
ただ、しかしながら、今年度の改正の中に出てまいります少額貯蓄利用者カード、いわゆるグリーンカードにつきましては、非課税貯蓄利用の条件というだけにすぎないわけで、これを受けるかどうかは貯蓄者の任意の申請によるということであるようでございますし、また、所得資産の申告とは関係ないわけでございまして、その意味では、プライバシーの問題ははるかに小さなものと言ってよかろうと思うのでございます。
ただしかし、その反面で、少額貯蓄非課税を利用しての脱税には貢献があったにいたしましても、さらにそれを越えて総合課税の手段になるかといえば、これは恐らくなり得ないのでございまして、その意味での不徹底さということには不満を感じるのでございます。ただ、その厳格な、しかも円滑な運用を行うことによって、将来のシステムといいますか、これを円滑に国民の合意を得て実施できるかどうか、あるいはそれに対してはもっと重大な問題があるかどうかを判断する材料にはなるだろうという意味で、今年度の改正、基本的にはグリーンカードというのは、結構な案ではなかろうかと思っております。
ただ、最後に一つだけ愚見を申し上げたいのは、グリーンカードが問題になっておりますのは、結局、一つの理由は、少額貯蓄非課税制度を利用してさまざまの脱税が行われている。郵便貯金にいたしましても、三百万円一人一口という制限がほとんど意味がない、こういうことだろうと思うのでございます。
ただ、しかしながら、この少額貯蓄非課税制度そのものにも問題があろうかと思うのでございます。今年度の改正においても出てまいりませんし、将来の方向性といたしましても手がつけられていないようでございますが、少額貯蓄非課税制度そのものが、私にとっては必ずしも納得のできるものではないのでございます。それは少額貯蓄非課税制度、これはある意味では脱税の手段にたとえならないといたしましても、総合課税が実施できた段階では、廃止すべきものであると言ってよろしいのではなかろうか。
といいますのは、一つは、もし総合課税が実施をされたとすれば、源泉課税との間での低所得層の貯蓄のバランスの問題がなくなってしまいますし、また、この制度が貯蓄の奨励措置に対して効果がある、生活の安定に対して効果があるとは必ずしも言えなかろうと思うのでございます。利子率が多少高くなったといたしましても貯蓄が必ずしも増大しないことは、貯蓄の動機でありますとか、あるいは諸外国における同様の経験のアフターケアの調査等からいいましても言えるものではなかろうかと思います。
そういたしますと、公平の問題が残るわけでございますが、実際問題としては、少額貯蓄非課税の限度が余りにも大きいわけでございます。預金と郵便貯金と国債と合わせれば九百万、これに財形貯蓄を合わせると五百万がさらに加わって千四百万、夫婦の名義を利用すればほとんど青天井だと言ってもよかろうと思います。
勤労者家計調査によりますと、大体一軒平均の預金がたしか五十二年で三百八十万ぐらいかと思います。そして、大体この数年間の傾向として、年間の所得の大きさと貯蓄残高の大きさがほぼ同じ動きを示している。
そういたしますと、簡単に考えれば、年間所得三百万の人は三百万の貯蓄を持っている。金利が六%であるとすると利子所得が十八万円、このクラスでありますと限界税率が所得税と住民税を合わせて大体一六%でございますから、一万九千円税金が安くなる、その分税金を払わなくていい。ところが、年間所得一千万でありますと、貯蓄が一千万、利子所得が六十万、この階層でありますと、所得税、住民税合わせて限界税率五二%でありますから、税金は本来三十一万円払わなければいけないところが、少額貯蓄非課税で払わなくていい、三百万円のところでは二万円足らずしか減税になっていないのに、一千万のところでは三十一万円も減税になってくる、これは問題があろうかと思うのでございます。
したがって、将来の方向として、少額貯蓄非課税につきましてはこれを廃止をするか、あるいは少なくとも利子から生ずる所得につきまして一定範囲での税額控除を認める、こういう方式に改めた方がよろしいのではなかろうかというふうな気がしております。
どうも大変つまらない意見を申し上げて恐縮でございました。
中
野
野口悠紀雄#7
○参考人(野口悠紀雄君) 野口でございます。本委員会におきまして意見を述べる機会をお与えいただきましたことを、光栄に存じております。
私は、次の二点について意見を申し述べさしていただきたいと思います。
第一は、今回その改正が御審議中でございます土地税制の問題でございます。それから第二番目は、やや一般的な問題ですが、インフレーションのもとでの課税原則の問題ということについて、意見を申し述べさしていただきたいと思います。
まず最初に、土地税制の問題でございますが、譲渡益課税の変更が土地の売却を促進するかどうか、あるいはさらに、それが地価の水準や地価上昇率にどういったような影響を与えるかという問題は、実はかなりむずかしい問題でございまして、経済学者の間でも、この問題について必ずしも一致した意見があるわけではございません。税制調査会における議論でも、必ずしも同じような意見だけだったというわけではないということを伺っております。
大ざっぱに申しますと、譲渡益課税の強化がどういったような影響をもたらすかということについては、二つの異なった見方があると思います。
譲渡益課税を仮に強化した場合に、それが土地の売却を促進するかどうかという点に関して、まずそれが売却を阻害するという意見があるわけでして、これは結局、譲渡益課税で手取りが少なくなれば、それだけ土地を売ることが魅力を失うために売却量が減ってしまうという、いわば譲渡益課税の強化による土地の凍結効果を主張する考え方がございます。
これに対して、全く逆の効果があるという意見もあるわけでして、それは仮に、土地を売る人が一定の税引き後の手取り額を得ることを目的にして売却をするのであれば、その場合には、税金が高いほど手取り額が少なくなるわけですから売却量を多くしなくてはいけない、したがって譲渡益課税を強化すると土地の売却が促進される、あるいはまた、その譲渡益課税を強化した場合には、財産としての土地の価値が低下するために、持っていることの魅力が低下して売却が促進されるというような意見もあります。
そういったようなことで、譲渡益課税の強化が土地の売却に対してどういう影響を与えるかということに関して正反対の考え方があるわけですけれども、一般的には最初に述べました考え方、つまり土地税制の強化は土地売却を阻害する。したがって、譲渡益課税を緩和すれば売却がふえるという考え方を主張する方が多いようでして、実際、従来でも、分離課税の上限が二千万円だったことから、地主は一度に多くの量を売らないで、譲渡益が二千万円になるところまでしか切り売りしないというようなことがよく言われております。
仮にそういう考え方をとるとしますと、今回、分離課税の上限が二千万円から四千万円に引き上げられたということで、売却がそれだけ促進されるという評価も可能ではないかと思います。恐らくこの改正は、そういったような考え方を基本にして提案されているのだというふうに思いますが、しかし、もう少し考えてみますと、実は事態はそれほど簡単ではございませんで、いまの議論は、土地の税制を変化した場合にそれが土地の売却価格とか、あるいは将来の地価上昇の予想に対して影響を与えないという前提に立って売り手の行動を議論しているわけですが、しかし実際には、土地の売却価格とか、あるいは将来の地価上昇の予想というのは税制によって影響を受けるわけです。
たとえば、税制が強化された場合には、税引き後の手取り額が一定になるように地価が上がってしまうということは十分考えられるわけでして、もしそういうことがあるとしますと、譲渡益課税を強化すると、その分だけ地価が上がるという現象が生ずることになります。
実はこの問題は、税をかけた場合にその負担がどこに帰着するかという土地税制だけの問題ではありませんで、税一般に対して存在する帰着と言われる問題で、実はかなりむずかしい問題でございます。土地についても、土地に対する需要と供給の弾力性がどうなっているかということで、いま申しました結果が影響を受けるわけですが、一般に土地の場合には、供給の弾力性がかなり低いというふうに考えてよろしいかと思いますので、その限りで考えますと、譲渡益課税を強化した分だけ地価が上がってしまうと、そういう結果が生ずる可能性はかなり強いというふうに考えざるを得ないわけです。
実際、土地とその他の金融資産との間の裁定という問題を長期的に考えますと、資産としての土地とその他の資産との間には、一種の裁定関係が成立するということが考えられます。
若干込み入った議論になりまして恐縮でございますけれども、いま仮に、ある一定額の資産を持っている人が、それを土地という資産の形態で運用するか、あるいはほかの金融資産で運用するかという選択があったというふうに考えますと、長期的な均衡の状態においては、両者の税引き後の利回りが同じになるということが考えられるわけです。いま仮に、金融資産に対する利子その他の収益に対する課税を無視するとしますと、税引き後の土地の収益と金融資産の収益が一致するという条件が成立することになります。
よりもう少し詳しく申しますと、地価上昇率に一から譲渡税率を引いたものを乗じたものが、金融資産の利回りに等しくなるという関係が長期的には成立するというふうに考えられるわけです。
で、そういったような裁定条件が長期的に成立するというふうに考えますと、譲渡税率を高くすると、その分だけ実は地価上昇率が上がってしまうという結果が生じ得るわけです。現在、土地の譲渡益に対する課税は、短期保有の場合には住民税と合わせますと五〇%を超える水準になっておりますので、先ほど申しました公式で考えますと、地価上昇率というのは利子率の約二倍の水準になって均衡するということになります。短期保有の譲渡益課税を現在のように非常に高率なものに設定したときの理由は、土地に対する投機を防止するということが立法の趣旨だったと思いますが、それはそういう税制によって地価上昇率が影響を受けてしまうということを無視した考え方であるわけです。
いま申しましたように、長期的に地価上昇率が税制によって影響を受けて均衡が成立するということを考えますと、譲渡益課税が高くなることの結果というのは、結局、地価上昇率が高くなるということにあらわれてしまうことになります。
ところが、いま申しましたのは、資産を持っている人が土地か、あるいは金融資産で運用するという場合でしたけれども、実は土地に関してはそういったような選択とは違う選択をする人がいるわけでして、二つのグループがその例外になっております。
一つのグループは、すでに土地を持っている人でございまして、たとえば市街化区域内で先祖伝来の農地を持っているというような人の場合でございます。そういうような人の場合には、選択は結局いま持っている土地を持ち続けるか、あるいはそれを売って金融資産に乗りかえるかということが資産選択の代替案になるわけです。その場合には、いずれにしても譲渡益課税を免れることはできないわけですから、先ほどの裁定条件がどういうことになるかと申しますと、地価上昇率と利子率が等しいというのが裁定条件になります。
ところで、先ほど申しましたように、地価上昇率が利子率の約二倍の水準になっているというふうにしますと、そういったような人たちにとっては裁定条件が成立しないということになるわけですから、土地を持っていることの方が有利になってしまう。したがって、そういう人たちは土地を売らない。いわゆる売り惜しみが発生するという現象が生じます。
それからもう一つのグループは、居住用財産の買いかえをする人たちでございます。居住用財産を買いかえる場合には、特例措置によって譲渡益課税を免れることができるわけですから、この場合にも、やはり現在金融資産を持っていて将来不動産を買うか、あるいはいま仮に条件が悪くても不動産を買って将来それを買いかえるかという二つの選択を比較してみますと、どちらが有利になるかという裁定条件は、やはり地価上昇率と利子率が等しいという条件によって与えられることになります。
この場合にも、やはり地価上昇率が利子率の二倍の水準になっているとしますと、金融資産を持っていて将来土地を買うよりは、現在土地を買ってしまった方が有利になるということで、居住用財産を買えるだけの資力を持っている人は、それを金融資産で運用することはしないで、条件が悪くても土地ないしは住宅を買ってしまうという、いわゆる買い急ぎの需要が発生するわけです。
私は、実はこの土地の売り惜しみと買い急ぎという問題は、現在の大都市における土地問題においてきわめて重要な問題であるというふうに考えますが、その基本的な原因は、短期保有の譲渡益課税が、ほかの資産に対する課税に比べて高過ぎるという点にあるというふうに理解できるのではないかと思います。
ただ、ここで誤解のないように申し加えたいと思いますのは、私のいま申しました意見は、譲渡益課税の税率を下げた方がいいということを言っているわけではありませんで、そうではなくて、土地政策のために税制を使って政策的な誘導を行おうとすると、当初の意図とは全く違った効果が生じてしまう場合があり得るということです。
いまの短期保有の譲渡益の場合も、先ほど申しましたように、立法の趣旨は騰貴を防ぐということであったかと思いますが、実際にはいま申しましたような土地の売り惜しみと買い急ぎを助長してしまうという結果を生ぜしめているという点であるわけでして、したがって、そこから得られる結論というのは、結局、土地の税制を土地政策のために使う場合には非常に慎重である必要があるということでございます。
基本的には、土地の税制というのは、ほかの資産に対する課税と同一の課税を行う必要がある。つまり、資産の選択において、税制が中立性を確保する必要があるというふうに考えられます。ですから、これは譲渡益課税の税率を高くしろとか低くしろとかということを言っているわけではございませんで、ほかの資産課税と同じような課税を行って、中立性を確保する必要があるということでございます。
そういったような観点から考えますと、先ほど一河参考人からも御指摘がございましたように、少額貯蓄が非課税になっているとか、あるいは有価証券のキャピタルゲインが原則的に課税されないという点は、非常に大きな問題であろうかというふうに思います。一河参考人は、この問題を公平の観点からお述べになったわけでございますが、資源配分における中立性の確保という観点からしても、重要なことではないかと思います。
私は、基本的には、土地問題の解決には税制は補助的な手段であるべきであって、本来の土地対策というのは、それとは別の観点から考えられる必要があるのではないかというふうに思います。これに関して私は私なりに考え方を持っておりますが、この問題は、直接にはこの委員会の御審議の対象とは外れますので、もし御質問がございましたら後で申し述べさせていただきたいと思いますが、ここでは省略させていただきたいと思います。
それから、時間が若干超過しまして恐縮でございますが、簡単に第二番目の、インフレのもとでの課税の原則について申し述べさせていただきたいと思います。
インフレーションというのは、申すまでもなく所得分配にいろいろな変化を引き起こすわけでございます。たとえば、債権者と債務者の間での所得分配に変化が生ずる。いわゆる債務者が、実質債務が減少することによって得をするというような状況が発生します。これはこの問題だけではなくて、インフレーションはほかのいろいろな点で所得分配を撹乱していくわけですが、そういったような問題に対して課税が中立性を確保すべきではないかという議論がございます。これは所得税、法人税についてそういうことが言われるわけですが、アメリカではここ数年、ことに税制の問題に関しては、こういうインフレーションに対する中立性の問題について、さまざまな議論がなされております。
具体的な点を申しますと、たとえば在庫品の評価ないしは減価償却の計算において、歴史的なコストではなくてインフレーションでその価値、資産を再評価したものを用いるということであるとか、あるいは先ほど申しましたような借り手と貸し手の間の所得分配に対して課税を行う、具体的には借り手のキャピタルゲインに対して課税を行うというような問題等が指摘されております。
この問題につきましても、誤解がございませんようにつけ加えさせていただきたいと思いますが、いま申しましたのは、いわゆる物価調整減税の立場から所得税を減税しろということを言っているわけではございませんで、税収の総額と申しますのは、いま申し述べましたような中立性の観点ということのほかに、財政全般の事情を考慮して決められるべきものであろうかと思いますので、私の申し述べたいと思います意見は、総額の問題として減税をしろ、あるいは増税をしろということではなくて、税構造の問題として、税制がその当初予期していなかったような効果をインフレーションによって引き起こすことのないような調整が必要になるのではないかということでございます。
わが国におきましては、ここ数年間はインフレーションの率がそれほど高くはありませんでしたので、いま申しましたような問題はそれほど深刻な問題ではなかったかと思いますが、今後は、かなり重要な問題として考えなければならなくなってくるのではないかというふうに考えております。
以上で私の意見を終わります。
この発言だけを見る →私は、次の二点について意見を申し述べさしていただきたいと思います。
第一は、今回その改正が御審議中でございます土地税制の問題でございます。それから第二番目は、やや一般的な問題ですが、インフレーションのもとでの課税原則の問題ということについて、意見を申し述べさしていただきたいと思います。
まず最初に、土地税制の問題でございますが、譲渡益課税の変更が土地の売却を促進するかどうか、あるいはさらに、それが地価の水準や地価上昇率にどういったような影響を与えるかという問題は、実はかなりむずかしい問題でございまして、経済学者の間でも、この問題について必ずしも一致した意見があるわけではございません。税制調査会における議論でも、必ずしも同じような意見だけだったというわけではないということを伺っております。
大ざっぱに申しますと、譲渡益課税の強化がどういったような影響をもたらすかということについては、二つの異なった見方があると思います。
譲渡益課税を仮に強化した場合に、それが土地の売却を促進するかどうかという点に関して、まずそれが売却を阻害するという意見があるわけでして、これは結局、譲渡益課税で手取りが少なくなれば、それだけ土地を売ることが魅力を失うために売却量が減ってしまうという、いわば譲渡益課税の強化による土地の凍結効果を主張する考え方がございます。
これに対して、全く逆の効果があるという意見もあるわけでして、それは仮に、土地を売る人が一定の税引き後の手取り額を得ることを目的にして売却をするのであれば、その場合には、税金が高いほど手取り額が少なくなるわけですから売却量を多くしなくてはいけない、したがって譲渡益課税を強化すると土地の売却が促進される、あるいはまた、その譲渡益課税を強化した場合には、財産としての土地の価値が低下するために、持っていることの魅力が低下して売却が促進されるというような意見もあります。
そういったようなことで、譲渡益課税の強化が土地の売却に対してどういう影響を与えるかということに関して正反対の考え方があるわけですけれども、一般的には最初に述べました考え方、つまり土地税制の強化は土地売却を阻害する。したがって、譲渡益課税を緩和すれば売却がふえるという考え方を主張する方が多いようでして、実際、従来でも、分離課税の上限が二千万円だったことから、地主は一度に多くの量を売らないで、譲渡益が二千万円になるところまでしか切り売りしないというようなことがよく言われております。
仮にそういう考え方をとるとしますと、今回、分離課税の上限が二千万円から四千万円に引き上げられたということで、売却がそれだけ促進されるという評価も可能ではないかと思います。恐らくこの改正は、そういったような考え方を基本にして提案されているのだというふうに思いますが、しかし、もう少し考えてみますと、実は事態はそれほど簡単ではございませんで、いまの議論は、土地の税制を変化した場合にそれが土地の売却価格とか、あるいは将来の地価上昇の予想に対して影響を与えないという前提に立って売り手の行動を議論しているわけですが、しかし実際には、土地の売却価格とか、あるいは将来の地価上昇の予想というのは税制によって影響を受けるわけです。
たとえば、税制が強化された場合には、税引き後の手取り額が一定になるように地価が上がってしまうということは十分考えられるわけでして、もしそういうことがあるとしますと、譲渡益課税を強化すると、その分だけ地価が上がるという現象が生ずることになります。
実はこの問題は、税をかけた場合にその負担がどこに帰着するかという土地税制だけの問題ではありませんで、税一般に対して存在する帰着と言われる問題で、実はかなりむずかしい問題でございます。土地についても、土地に対する需要と供給の弾力性がどうなっているかということで、いま申しました結果が影響を受けるわけですが、一般に土地の場合には、供給の弾力性がかなり低いというふうに考えてよろしいかと思いますので、その限りで考えますと、譲渡益課税を強化した分だけ地価が上がってしまうと、そういう結果が生ずる可能性はかなり強いというふうに考えざるを得ないわけです。
実際、土地とその他の金融資産との間の裁定という問題を長期的に考えますと、資産としての土地とその他の資産との間には、一種の裁定関係が成立するということが考えられます。
若干込み入った議論になりまして恐縮でございますけれども、いま仮に、ある一定額の資産を持っている人が、それを土地という資産の形態で運用するか、あるいはほかの金融資産で運用するかという選択があったというふうに考えますと、長期的な均衡の状態においては、両者の税引き後の利回りが同じになるということが考えられるわけです。いま仮に、金融資産に対する利子その他の収益に対する課税を無視するとしますと、税引き後の土地の収益と金融資産の収益が一致するという条件が成立することになります。
よりもう少し詳しく申しますと、地価上昇率に一から譲渡税率を引いたものを乗じたものが、金融資産の利回りに等しくなるという関係が長期的には成立するというふうに考えられるわけです。
で、そういったような裁定条件が長期的に成立するというふうに考えますと、譲渡税率を高くすると、その分だけ実は地価上昇率が上がってしまうという結果が生じ得るわけです。現在、土地の譲渡益に対する課税は、短期保有の場合には住民税と合わせますと五〇%を超える水準になっておりますので、先ほど申しました公式で考えますと、地価上昇率というのは利子率の約二倍の水準になって均衡するということになります。短期保有の譲渡益課税を現在のように非常に高率なものに設定したときの理由は、土地に対する投機を防止するということが立法の趣旨だったと思いますが、それはそういう税制によって地価上昇率が影響を受けてしまうということを無視した考え方であるわけです。
いま申しましたように、長期的に地価上昇率が税制によって影響を受けて均衡が成立するということを考えますと、譲渡益課税が高くなることの結果というのは、結局、地価上昇率が高くなるということにあらわれてしまうことになります。
ところが、いま申しましたのは、資産を持っている人が土地か、あるいは金融資産で運用するという場合でしたけれども、実は土地に関してはそういったような選択とは違う選択をする人がいるわけでして、二つのグループがその例外になっております。
一つのグループは、すでに土地を持っている人でございまして、たとえば市街化区域内で先祖伝来の農地を持っているというような人の場合でございます。そういうような人の場合には、選択は結局いま持っている土地を持ち続けるか、あるいはそれを売って金融資産に乗りかえるかということが資産選択の代替案になるわけです。その場合には、いずれにしても譲渡益課税を免れることはできないわけですから、先ほどの裁定条件がどういうことになるかと申しますと、地価上昇率と利子率が等しいというのが裁定条件になります。
ところで、先ほど申しましたように、地価上昇率が利子率の約二倍の水準になっているというふうにしますと、そういったような人たちにとっては裁定条件が成立しないということになるわけですから、土地を持っていることの方が有利になってしまう。したがって、そういう人たちは土地を売らない。いわゆる売り惜しみが発生するという現象が生じます。
それからもう一つのグループは、居住用財産の買いかえをする人たちでございます。居住用財産を買いかえる場合には、特例措置によって譲渡益課税を免れることができるわけですから、この場合にも、やはり現在金融資産を持っていて将来不動産を買うか、あるいはいま仮に条件が悪くても不動産を買って将来それを買いかえるかという二つの選択を比較してみますと、どちらが有利になるかという裁定条件は、やはり地価上昇率と利子率が等しいという条件によって与えられることになります。
この場合にも、やはり地価上昇率が利子率の二倍の水準になっているとしますと、金融資産を持っていて将来土地を買うよりは、現在土地を買ってしまった方が有利になるということで、居住用財産を買えるだけの資力を持っている人は、それを金融資産で運用することはしないで、条件が悪くても土地ないしは住宅を買ってしまうという、いわゆる買い急ぎの需要が発生するわけです。
私は、実はこの土地の売り惜しみと買い急ぎという問題は、現在の大都市における土地問題においてきわめて重要な問題であるというふうに考えますが、その基本的な原因は、短期保有の譲渡益課税が、ほかの資産に対する課税に比べて高過ぎるという点にあるというふうに理解できるのではないかと思います。
ただ、ここで誤解のないように申し加えたいと思いますのは、私のいま申しました意見は、譲渡益課税の税率を下げた方がいいということを言っているわけではありませんで、そうではなくて、土地政策のために税制を使って政策的な誘導を行おうとすると、当初の意図とは全く違った効果が生じてしまう場合があり得るということです。
いまの短期保有の譲渡益の場合も、先ほど申しましたように、立法の趣旨は騰貴を防ぐということであったかと思いますが、実際にはいま申しましたような土地の売り惜しみと買い急ぎを助長してしまうという結果を生ぜしめているという点であるわけでして、したがって、そこから得られる結論というのは、結局、土地の税制を土地政策のために使う場合には非常に慎重である必要があるということでございます。
基本的には、土地の税制というのは、ほかの資産に対する課税と同一の課税を行う必要がある。つまり、資産の選択において、税制が中立性を確保する必要があるというふうに考えられます。ですから、これは譲渡益課税の税率を高くしろとか低くしろとかということを言っているわけではございませんで、ほかの資産課税と同じような課税を行って、中立性を確保する必要があるということでございます。
そういったような観点から考えますと、先ほど一河参考人からも御指摘がございましたように、少額貯蓄が非課税になっているとか、あるいは有価証券のキャピタルゲインが原則的に課税されないという点は、非常に大きな問題であろうかというふうに思います。一河参考人は、この問題を公平の観点からお述べになったわけでございますが、資源配分における中立性の確保という観点からしても、重要なことではないかと思います。
私は、基本的には、土地問題の解決には税制は補助的な手段であるべきであって、本来の土地対策というのは、それとは別の観点から考えられる必要があるのではないかというふうに思います。これに関して私は私なりに考え方を持っておりますが、この問題は、直接にはこの委員会の御審議の対象とは外れますので、もし御質問がございましたら後で申し述べさせていただきたいと思いますが、ここでは省略させていただきたいと思います。
それから、時間が若干超過しまして恐縮でございますが、簡単に第二番目の、インフレのもとでの課税の原則について申し述べさせていただきたいと思います。
インフレーションというのは、申すまでもなく所得分配にいろいろな変化を引き起こすわけでございます。たとえば、債権者と債務者の間での所得分配に変化が生ずる。いわゆる債務者が、実質債務が減少することによって得をするというような状況が発生します。これはこの問題だけではなくて、インフレーションはほかのいろいろな点で所得分配を撹乱していくわけですが、そういったような問題に対して課税が中立性を確保すべきではないかという議論がございます。これは所得税、法人税についてそういうことが言われるわけですが、アメリカではここ数年、ことに税制の問題に関しては、こういうインフレーションに対する中立性の問題について、さまざまな議論がなされております。
具体的な点を申しますと、たとえば在庫品の評価ないしは減価償却の計算において、歴史的なコストではなくてインフレーションでその価値、資産を再評価したものを用いるということであるとか、あるいは先ほど申しましたような借り手と貸し手の間の所得分配に対して課税を行う、具体的には借り手のキャピタルゲインに対して課税を行うというような問題等が指摘されております。
この問題につきましても、誤解がございませんようにつけ加えさせていただきたいと思いますが、いま申しましたのは、いわゆる物価調整減税の立場から所得税を減税しろということを言っているわけではございませんで、税収の総額と申しますのは、いま申し述べましたような中立性の観点ということのほかに、財政全般の事情を考慮して決められるべきものであろうかと思いますので、私の申し述べたいと思います意見は、総額の問題として減税をしろ、あるいは増税をしろということではなくて、税構造の問題として、税制がその当初予期していなかったような効果をインフレーションによって引き起こすことのないような調整が必要になるのではないかということでございます。
わが国におきましては、ここ数年間はインフレーションの率がそれほど高くはありませんでしたので、いま申しましたような問題はそれほど深刻な問題ではなかったかと思いますが、今後は、かなり重要な問題として考えなければならなくなってくるのではないかというふうに考えております。
以上で私の意見を終わります。
中
中
中
藤
藤井裕久#11
○藤井裕久君 きょうは参考人の皆様、大変お忙しいところをありがとうございました。時間の限定がありますので、一点ずつ御教示を賜りたいと思います。
それでは、野口先生にお願いしたいのでございますが、いまのお話とちょっと離れて恐縮なんでございますけれども、いま財政再建という形でこの税制改正をいろいろ議論しているわけです。今年度は、先ほど来お話のありましたように、とにかく行政の効率化といいますか、むだの排除といいますか、公平税制というような形でやってきておりますけれども、やや基本的にかつ長期的に言えば、どうしても行政サービスを抑えるという形での歳出の抑制、あるいは、そしてさらには本当の一般的な実質負担の増と、こういうことは、いろいろ数字的にやってみても避けられない事態じゃないかというふうに私は考えております。そういう中で、一体行政サービスのレベルをどのくらいに置いていくのがいいのかということは、これから大変大きな本当の問題だと思っております。
選挙以来の世論調査を見ても、いままでのようにとにかく福祉がふえればいいんだではなく、福祉がふえれば税金もふえるけれども、そういう考え方には賛成ですかというのに対しては、必ずしも賛成が多くないという、いろんな世論調査が出ておりますですね。
そういう一般的な話をひとつ伺いたいのと、具体的に言いますと、私は一つ公共事業があるのだと思うんです。公共事業七カ年計画、わが党でもこれは賛成して決めておりますから、はなはだ言いにくい点もありますけれども、二百四十兆円の公共事業というものは、昭和六十年、つまり赤字国債をなくした段階においても、国債依存度一七%を残しておこうという発想に立っておるわけですし、さらにこれは衆議院で私聞いておりますと、大蔵省が大胆な試算であるけれどもというような前提で、この二百四十兆円を消化すると昭和六十年代で百八十九兆円ですかなんかの元利償還が要るんだと、こういう試算を出しているように私は聞いております。こういう七カ年計画の二百四十兆円計画というものが、今後税制を考えていく上に妥当なのかどうかということを、全くフリーな立場でひとつ御教示をいただきたいと思います。
もちろん、公共事業の大きな意味、まだ日本のストックは足りませんし、地域の振興ということも必要です。景気の下支えということも必要だと思いますが、そこいらをどう考えるか。本当は社会保障にもそういう問題があると思います。社会保障が、実はもっと選択の幅が狭くいまなっているのだと思うんです。というのは、制度としてみんな仕組まれちゃっているわけですから、いまの社会保障の仕組みのままで成熟化というか老齢化を延ばしていけば、もう二十年後には国民所得に対して二〇%以上の振替所得になるという数字が出ていますから、選択の幅はもっと狭いと思いますけれども、しかし、今年度の予算の編成に当たって保険制度、年金制度についてもいろいろ議論が出ました。こういうものについてもフランクに考える必要があるんじゃないかというような点、そこいらの御意見。
ヨーロッパ並みの行政サービスということになれば、ヨーロッパ並みの税負担になっちゃうのはこれは常識なんで、そこいらをどういうふうに志向していったらいいのかということが、いま政治的に非常に大事なことだと思うんですが、野口先生にひとつ御教示をいただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →それでは、野口先生にお願いしたいのでございますが、いまのお話とちょっと離れて恐縮なんでございますけれども、いま財政再建という形でこの税制改正をいろいろ議論しているわけです。今年度は、先ほど来お話のありましたように、とにかく行政の効率化といいますか、むだの排除といいますか、公平税制というような形でやってきておりますけれども、やや基本的にかつ長期的に言えば、どうしても行政サービスを抑えるという形での歳出の抑制、あるいは、そしてさらには本当の一般的な実質負担の増と、こういうことは、いろいろ数字的にやってみても避けられない事態じゃないかというふうに私は考えております。そういう中で、一体行政サービスのレベルをどのくらいに置いていくのがいいのかということは、これから大変大きな本当の問題だと思っております。
選挙以来の世論調査を見ても、いままでのようにとにかく福祉がふえればいいんだではなく、福祉がふえれば税金もふえるけれども、そういう考え方には賛成ですかというのに対しては、必ずしも賛成が多くないという、いろんな世論調査が出ておりますですね。
そういう一般的な話をひとつ伺いたいのと、具体的に言いますと、私は一つ公共事業があるのだと思うんです。公共事業七カ年計画、わが党でもこれは賛成して決めておりますから、はなはだ言いにくい点もありますけれども、二百四十兆円の公共事業というものは、昭和六十年、つまり赤字国債をなくした段階においても、国債依存度一七%を残しておこうという発想に立っておるわけですし、さらにこれは衆議院で私聞いておりますと、大蔵省が大胆な試算であるけれどもというような前提で、この二百四十兆円を消化すると昭和六十年代で百八十九兆円ですかなんかの元利償還が要るんだと、こういう試算を出しているように私は聞いております。こういう七カ年計画の二百四十兆円計画というものが、今後税制を考えていく上に妥当なのかどうかということを、全くフリーな立場でひとつ御教示をいただきたいと思います。
もちろん、公共事業の大きな意味、まだ日本のストックは足りませんし、地域の振興ということも必要です。景気の下支えということも必要だと思いますが、そこいらをどう考えるか。本当は社会保障にもそういう問題があると思います。社会保障が、実はもっと選択の幅が狭くいまなっているのだと思うんです。というのは、制度としてみんな仕組まれちゃっているわけですから、いまの社会保障の仕組みのままで成熟化というか老齢化を延ばしていけば、もう二十年後には国民所得に対して二〇%以上の振替所得になるという数字が出ていますから、選択の幅はもっと狭いと思いますけれども、しかし、今年度の予算の編成に当たって保険制度、年金制度についてもいろいろ議論が出ました。こういうものについてもフランクに考える必要があるんじゃないかというような点、そこいらの御意見。
ヨーロッパ並みの行政サービスということになれば、ヨーロッパ並みの税負担になっちゃうのはこれは常識なんで、そこいらをどういうふうに志向していったらいいのかということが、いま政治的に非常に大事なことだと思うんですが、野口先生にひとつ御教示をいただければありがたいと思います。
野
野口悠紀雄#12
○参考人(野口悠紀雄君) 最初の、行政サービスのレベルを長期的にどういうふうに考えていくべきかという問題でございますが、これは御指摘にもありましたように、非常にむずかしい問題であることは事実ではないかと思います。ただ私は、この問題は必ずしもたとえば租税負担率というようなマクロ的な数字だけでは判断ができない問題なのではないか、特に中身を考えることが重要なのではないかということを常々考えております。
特に、最後で御指摘になりました社会保障の問題についてもそのことが言えるわけですが、一般に社会保障といいますと、福祉という名前だけで、これを見直すのは福祉の後退であるというような意見が間々見られますけれども、私は決してそうではないのであって、やはり社会保障という名前のもとに現在行われている施策が本当に重要なものかどうかという内容を検討することが、非常に重要なのではないかというふうに思います。
これは細かいことを申し上げますと切りがないわけですけれども、たとえばわが国の社会保障関係費はその半分近くが医療費で占められているということからもわかりますように、非常に医療に偏った構造になっておるわけでございます。したがって、医療費についてむだ遣いがないかどうかということを考えるのが、非常に重要なことであろうと思います。これは私は余り専門的に存じているわけではございませんが、しばしば薬代においてむだ遣いがあるというようなことがよく言われるわけですけれども、そういったようなことがあるとすれば、非常に重要な問題であるわけで、そういう行政サービスの中身を検討していくと、それを福祉とか社会保障とかという言葉に惑わされないで、その中身の本質がどういったようなものであるかということを考えていくことが、きわめて重要なのではないかというふうに思っております。
それから二番目の公共事業の問題でございますが、これも私は二百四十兆という数字自体がどうかという判断は非常にむずかしいと思いますが、やはりここでも、この公共事業の中身の問題があるのではないかというふうに思います。この二百四十兆の公共事業費をどういったような目的のために配分していくかということでございまして、私は、やはり従来のような産業基盤の整備に重点を置いたような方向から生活環境の整備に重点を置いた方向、特に都市の生活基盤を充実させるという方向に転換させていくということが必要ではないかと思います。
確かに御指摘のように、これが将来非常に大きな財政負担になるということは事実かと思いますが、ただ、御案内のように、この二百四十兆という数字は一般会計の公共事業だけではございませんで、国民経済計算ベースでの政府投資ということですから、そこには財政投融資で賄われるものとか、あるいは地方財政で賄われるものが含まれているわけでございます。私は、財政投融資で担当すべきものがどうなっていくかということも、かなり重要な問題ではないかと思います。
特に、財源という問題を考えますときには、現在、財政投融資で行われているいろいろな事業の内容を再点検して、その内容を先ほど申しましたような方向に沿ったような公共事業の方向に編成をし直していくということが、重要なのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →特に、最後で御指摘になりました社会保障の問題についてもそのことが言えるわけですが、一般に社会保障といいますと、福祉という名前だけで、これを見直すのは福祉の後退であるというような意見が間々見られますけれども、私は決してそうではないのであって、やはり社会保障という名前のもとに現在行われている施策が本当に重要なものかどうかという内容を検討することが、非常に重要なのではないかというふうに思います。
これは細かいことを申し上げますと切りがないわけですけれども、たとえばわが国の社会保障関係費はその半分近くが医療費で占められているということからもわかりますように、非常に医療に偏った構造になっておるわけでございます。したがって、医療費についてむだ遣いがないかどうかということを考えるのが、非常に重要なことであろうと思います。これは私は余り専門的に存じているわけではございませんが、しばしば薬代においてむだ遣いがあるというようなことがよく言われるわけですけれども、そういったようなことがあるとすれば、非常に重要な問題であるわけで、そういう行政サービスの中身を検討していくと、それを福祉とか社会保障とかという言葉に惑わされないで、その中身の本質がどういったようなものであるかということを考えていくことが、きわめて重要なのではないかというふうに思っております。
それから二番目の公共事業の問題でございますが、これも私は二百四十兆という数字自体がどうかという判断は非常にむずかしいと思いますが、やはりここでも、この公共事業の中身の問題があるのではないかというふうに思います。この二百四十兆の公共事業費をどういったような目的のために配分していくかということでございまして、私は、やはり従来のような産業基盤の整備に重点を置いたような方向から生活環境の整備に重点を置いた方向、特に都市の生活基盤を充実させるという方向に転換させていくということが必要ではないかと思います。
確かに御指摘のように、これが将来非常に大きな財政負担になるということは事実かと思いますが、ただ、御案内のように、この二百四十兆という数字は一般会計の公共事業だけではございませんで、国民経済計算ベースでの政府投資ということですから、そこには財政投融資で賄われるものとか、あるいは地方財政で賄われるものが含まれているわけでございます。私は、財政投融資で担当すべきものがどうなっていくかということも、かなり重要な問題ではないかと思います。
特に、財源という問題を考えますときには、現在、財政投融資で行われているいろいろな事業の内容を再点検して、その内容を先ほど申しましたような方向に沿ったような公共事業の方向に編成をし直していくということが、重要なのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
藤
藤井裕久#13
○藤井裕久君 ありがとうございました。
じゃ小倉先生、恐縮でございますが、五十五年度の税制改正では、いままで検討されていた一般消費税は「五十五年度においては、同税によらない」云々、こう書いてあるんでございますね。ところが、これは五十四年の十二月二十日ですが、その後国会、参議院におきます決議では、その明くる日なんですが、とにかく財政再建はいままで検討してきた一般消費税(仮称)にはよらず、これはもうやめるべきだというニュアンスのことがこの決議に出ております。そこのところはどうお考えかという——なかなかおっしゃりにくければそこは特にこだわりませんが、さらにこの中期答申なり五十四年度の答申では、やはりこれから大きな意味である程度国民の皆さんに負担を求めていく場合には、もちろん単なる直間比率というようなことではなく、間接税にある程度ウエートを求めていくことがよりベターであるというか、やむを得ないというようなトーンで書かれていると思います。
特に五十四年度では、所得税には物すごい超過累進機構だとか、あるいは国民の負担感というような点から言って、やっぱり選択としては消費税的なものだというようなトーンで答申をいただいておるように思うのでございますけれども、こういうお考えはこういう時点においてもまだ全然変わっておられないかどうか。一般に細かい問題について会長としてお尋ねするのははなはだ恐縮でございますが、基本的なそういうあたりでございます。
さらに、この中期答申では、そういう消費にウエートを持っていった場合に、一般消費税以外にもいろいろな税目について御検討がございますですね。たとえば、製造者の消費税とかございます。それからついでに申しますと、青色申告会でもって、大規模製造業者消費税とか、ああいうものを出しておる。結局、EC型というのは仕組みが違うのは事実でございますけれども、一般に広く消費課税を求めるということで、いわゆるいままで検討したものとある意味では近いのだと思いますが、そういう中で会長は、消費の方にある程度負担を求めていくというふうにまだいまもお考えであるかということと、その場合に、いまのような少し立場の違う税目についてどうお考えか、ちょっと教えていただきたいと思います。
〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
この発言だけを見る →じゃ小倉先生、恐縮でございますが、五十五年度の税制改正では、いままで検討されていた一般消費税は「五十五年度においては、同税によらない」云々、こう書いてあるんでございますね。ところが、これは五十四年の十二月二十日ですが、その後国会、参議院におきます決議では、その明くる日なんですが、とにかく財政再建はいままで検討してきた一般消費税(仮称)にはよらず、これはもうやめるべきだというニュアンスのことがこの決議に出ております。そこのところはどうお考えかという——なかなかおっしゃりにくければそこは特にこだわりませんが、さらにこの中期答申なり五十四年度の答申では、やはりこれから大きな意味である程度国民の皆さんに負担を求めていく場合には、もちろん単なる直間比率というようなことではなく、間接税にある程度ウエートを求めていくことがよりベターであるというか、やむを得ないというようなトーンで書かれていると思います。
特に五十四年度では、所得税には物すごい超過累進機構だとか、あるいは国民の負担感というような点から言って、やっぱり選択としては消費税的なものだというようなトーンで答申をいただいておるように思うのでございますけれども、こういうお考えはこういう時点においてもまだ全然変わっておられないかどうか。一般に細かい問題について会長としてお尋ねするのははなはだ恐縮でございますが、基本的なそういうあたりでございます。
さらに、この中期答申では、そういう消費にウエートを持っていった場合に、一般消費税以外にもいろいろな税目について御検討がございますですね。たとえば、製造者の消費税とかございます。それからついでに申しますと、青色申告会でもって、大規模製造業者消費税とか、ああいうものを出しておる。結局、EC型というのは仕組みが違うのは事実でございますけれども、一般に広く消費課税を求めるということで、いわゆるいままで検討したものとある意味では近いのだと思いますが、そういう中で会長は、消費の方にある程度負担を求めていくというふうにまだいまもお考えであるかということと、その場合に、いまのような少し立場の違う税目についてどうお考えか、ちょっと教えていただきたいと思います。
〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
小
小倉武一#14
○参考人(小倉武一君) お話にございましたようにちょっとお答えしにくい点もございますが、一般消費税につきましては名前が余りよくなかったと思う。と申しますのは、一般消費税というのは税調で答申をし、また皆さん方いろいろ御批判を寄せていただきましたものが、一種の固有名詞になっておるわけですね。税調で初め研究した場合は、普通名詞として一般消費税を検討したわけです。
というのは、それはいまお話のようなEC型の付加価値税から、あるいは大規模の取引についての税金であるとか、あるいは生産者段階において二段階の税金をかけるとか、いろんなものを含めて一般消費税というものとしてはどういうものがいいか、こういうことを検討して、いずれ固有名詞はつけなければならないというスタートをしたわけですが、とどのつまり、結論は、一般消費税というかっこうで世の中に出してしまったということです。
その一般消費税はあきらめたと申しますか、税調では少なくとも五十五年度はあきらめたということになっておりまして、将来については特に申しておりませんけれども、まあ将来についても税調の中では両論ありまして、一般消費税はこれで、何といいますか、お蔵入りしたのだという説と、いや、まだこれからなお検討を続けるべきだという両論がございまするけれども、私の答申の理解によりますというと、いろんな税のあり方を含めまして、消費にかける税あるいは間接税という意味におきまして、一般消費税というのはなお検討に値する大きな税目といいますか税収を上げるための税制である。したがって、なお今後も検討に値する問題であるというふうに考えております。
その私のいま言う一般消費税というのが、大綱を世の中に示したそのものであるかどうか、これまた別問題というふうにお考えを願いたいと思います。
一応、そういうことでひとつ。
この発言だけを見る →というのは、それはいまお話のようなEC型の付加価値税から、あるいは大規模の取引についての税金であるとか、あるいは生産者段階において二段階の税金をかけるとか、いろんなものを含めて一般消費税というものとしてはどういうものがいいか、こういうことを検討して、いずれ固有名詞はつけなければならないというスタートをしたわけですが、とどのつまり、結論は、一般消費税というかっこうで世の中に出してしまったということです。
その一般消費税はあきらめたと申しますか、税調では少なくとも五十五年度はあきらめたということになっておりまして、将来については特に申しておりませんけれども、まあ将来についても税調の中では両論ありまして、一般消費税はこれで、何といいますか、お蔵入りしたのだという説と、いや、まだこれからなお検討を続けるべきだという両論がございまするけれども、私の答申の理解によりますというと、いろんな税のあり方を含めまして、消費にかける税あるいは間接税という意味におきまして、一般消費税というのはなお検討に値する大きな税目といいますか税収を上げるための税制である。したがって、なお今後も検討に値する問題であるというふうに考えております。
その私のいま言う一般消費税というのが、大綱を世の中に示したそのものであるかどうか、これまた別問題というふうにお考えを願いたいと思います。
一応、そういうことでひとつ。
藤
藤井裕久#15
○藤井裕久君 ありがとうございました。
それでは一河先生、先ほど、一河先生御専門ですが、この利子・配当の納税者番号の問題について大変貴重な御意見をいただいたと思います。納税者番号についてどうお考えか伺おうと思ったんですが、いま端的に、やはり課税の公平ということとプライバシーというもののバランスを、課税の公平というのにうんとかけて、自分としては納税者番号が望ましいと思っておると、こういう御意見をいただきましたので、この点はもう伺いません。
ただ、やっぱり先進国の例なんか見ますと、日本もだんだんだんだんプライバシーの方にウエートがかかってくる要因があるんじゃないかという感じは非常に持っておりますけれども、そういう中で、ある意味の妥協の産物的なこのグリーンカードが出たんじゃないかと思います。
御指摘のように、グリーンカードは、まさに非課税貯蓄の特典を受けるための手段であるという意味におきまして、特に課税貯蓄に対する把握が非常に抜けるんじゃないかという、私も一番そこが心配でございます。ただ、民間については、何か聞いてみますと、グリーンカードを持っている者は課税貯蓄であっても持ってこさせる、もしグリーンカードがなかったら住民票を持ってこさせるというふうなことも聞いておりますので、それはある程度はいくのかなと思いますが、しかし、それでもやはりおっしゃるように、非常に穴があいていると思います。そこいらの民間の扱いについてどんなお考えかということと、特に私が非常に問題なのは、郵便局との関係だと思っております。
郵便局との関係というものは、やはり公的資金と民間資金の流れという意味において、これは本当は中立でなくちゃいけないというものが、税の制度、執行を通じて明らかに郵便局に有利なために、中立でなく、非常に郵便局に資金の流れを変えているという、金融メカニズムから言うと非常に問題になってきていると思います。このグリーンカードを採用するのに際して、そういうものを少しでも是正する方向に行かなきゃならないのが、どうも仕組み上、郵便貯金というのは三百万まで入れていいよ、それは当然非課税だよと、こういう仕組みでございますから、民間のような特典制度じゃないわけでございますね。特典制度じゃないということになると、グリーンカードになじまないという問題があるのだと思うんです。
つまり、グリーンカードを持ってこいということを郵便局が本当に言えるのかという、これは法律論で、大変次元が低くて恐縮でございますが、持ってこいということが言えるのか。あるいはまた、そこいらを適当にすると、私はグリーンカードなしでいいから、課税受けていいから郵便貯金へするよというふうに私など言っていった場合に、これは受け付けるかもしれない。そうすると、いまの郵便局の三百万が限度だよ、しかもそれが当然非課税だよという考え先の基本の方に触れてくるかもしれない、非常にむずかしい問題があるように思いますが、郵便局の執行の問題は、これは国税局長に大いに言わなきゃいけないところですが、制度としてグリーンカードがそれなりにうまく機能するようなことはお考えにございますでしょうか、お教えいただきたいと思います。
この発言だけを見る →それでは一河先生、先ほど、一河先生御専門ですが、この利子・配当の納税者番号の問題について大変貴重な御意見をいただいたと思います。納税者番号についてどうお考えか伺おうと思ったんですが、いま端的に、やはり課税の公平ということとプライバシーというもののバランスを、課税の公平というのにうんとかけて、自分としては納税者番号が望ましいと思っておると、こういう御意見をいただきましたので、この点はもう伺いません。
ただ、やっぱり先進国の例なんか見ますと、日本もだんだんだんだんプライバシーの方にウエートがかかってくる要因があるんじゃないかという感じは非常に持っておりますけれども、そういう中で、ある意味の妥協の産物的なこのグリーンカードが出たんじゃないかと思います。
御指摘のように、グリーンカードは、まさに非課税貯蓄の特典を受けるための手段であるという意味におきまして、特に課税貯蓄に対する把握が非常に抜けるんじゃないかという、私も一番そこが心配でございます。ただ、民間については、何か聞いてみますと、グリーンカードを持っている者は課税貯蓄であっても持ってこさせる、もしグリーンカードがなかったら住民票を持ってこさせるというふうなことも聞いておりますので、それはある程度はいくのかなと思いますが、しかし、それでもやはりおっしゃるように、非常に穴があいていると思います。そこいらの民間の扱いについてどんなお考えかということと、特に私が非常に問題なのは、郵便局との関係だと思っております。
郵便局との関係というものは、やはり公的資金と民間資金の流れという意味において、これは本当は中立でなくちゃいけないというものが、税の制度、執行を通じて明らかに郵便局に有利なために、中立でなく、非常に郵便局に資金の流れを変えているという、金融メカニズムから言うと非常に問題になってきていると思います。このグリーンカードを採用するのに際して、そういうものを少しでも是正する方向に行かなきゃならないのが、どうも仕組み上、郵便貯金というのは三百万まで入れていいよ、それは当然非課税だよと、こういう仕組みでございますから、民間のような特典制度じゃないわけでございますね。特典制度じゃないということになると、グリーンカードになじまないという問題があるのだと思うんです。
つまり、グリーンカードを持ってこいということを郵便局が本当に言えるのかという、これは法律論で、大変次元が低くて恐縮でございますが、持ってこいということが言えるのか。あるいはまた、そこいらを適当にすると、私はグリーンカードなしでいいから、課税受けていいから郵便貯金へするよというふうに私など言っていった場合に、これは受け付けるかもしれない。そうすると、いまの郵便局の三百万が限度だよ、しかもそれが当然非課税だよという考え先の基本の方に触れてくるかもしれない、非常にむずかしい問題があるように思いますが、郵便局の執行の問題は、これは国税局長に大いに言わなきゃいけないところですが、制度としてグリーンカードがそれなりにうまく機能するようなことはお考えにございますでしょうか、お教えいただきたいと思います。
一
一河秀洋#16
○参考人(一河秀洋君) 藤井先生から非常にむずかしい御問題をいただきまして、正直に申しますと、実施をしてみなければわからない問題が多々あろうかと思うのでございます。ことに、藤井先生御指摘の郵便預金の問題につきましては、現在、実際には確かに三百万という限度があってないような状態になっていることは事実だろうと思うのでございますし、また、この三百万の郵便預金については、租税特別措置と違って、法律そのものの規定でございますので、確かに押さえにくいことも事実であろうかと思うのでございます。
したがって、その意味では、郵便預金につきましての規制は、グリーンカードだけ実施をすれば片がつくという問題ではなくて、やはり郵便預金の受け入れ側での十分な管理徹底といいますか、法律をしっかり守るという態度が必要だろうかと思いますし、その点についての会計検査院の監督その他の強化も必要ではなかろうかと思うのでございます。
ただ、グリーンカードに賛成をいたします最大の理由は、少なくとも現在よりはかなりの前進であるということでございまして、このグリーンカードで一〇〇%すべてうまくいくのだと、そうは私も考えておりません。
この発言だけを見る →したがって、その意味では、郵便預金につきましての規制は、グリーンカードだけ実施をすれば片がつくという問題ではなくて、やはり郵便預金の受け入れ側での十分な管理徹底といいますか、法律をしっかり守るという態度が必要だろうかと思いますし、その点についての会計検査院の監督その他の強化も必要ではなかろうかと思うのでございます。
ただ、グリーンカードに賛成をいたします最大の理由は、少なくとも現在よりはかなりの前進であるということでございまして、このグリーンカードで一〇〇%すべてうまくいくのだと、そうは私も考えておりません。
藤
藤井裕久#17
○藤井裕久君 一つずつ伺いたいと申し上げて大変恐縮なんですが、調査会長に伺いたいのですけれども、これからやっぱりエネルギー税制が非常に重要になってくるのじゃないかと思うんでございます。これは何も民間だけにやらしておいていいという話じゃなく、国の財政資金をエネルギー、特に代替エネルギー対策などに大いに使っていかなきゃならないということは、これははっきりしていると思うんでございますが、ことしの答申を読んでいますと、特定財源はやむを得ずやったんだと、本来は一般財源だというようなニュアンスにも読み取れるんでございますが、そこいらの御真意を伺いたいということが一つでございます。
さらに、道路財源、揮発油税をはがして云々という問題がございます。これは私、確かに一つの考えだと思うのですが、どうも揮発油税、すなわちガソリンの使用者だけに石油代替全部の財源を求めることが、説明がつけ切れるのかどうかということをちょっと疑問に思うんでございますが、その点を教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →さらに、道路財源、揮発油税をはがして云々という問題がございます。これは私、確かに一つの考えだと思うのですが、どうも揮発油税、すなわちガソリンの使用者だけに石油代替全部の財源を求めることが、説明がつけ切れるのかどうかということをちょっと疑問に思うんでございますが、その点を教えていただきたいと思います。
小
小倉武一#18
○参考人(小倉武一君) 実は私、余り御参考になるようなことを申し上げる知識もないわけですけれども、代替エネルギーの開発のための税源をどうするかということは、恐らく政府部内でも、あるいは政党間でも、あるいはまた税制調査会でも若干の議論はございました。
一つは、特別会計をつくって特定の財源をそれに持っていくのだという御意見も政府にあったようでございますが、税制調査会としてはそれは困るというむしろ意見に近かったと思います。しかし、何かの税源というものを目当てにしなければ、一般財政の収入でもって今後相当多額の歳出を要するエネルギー開発の支出を賄うわけにもいくまいということで、石油関係の税その他を主としてこれに充てるということは、これはやむを得ないだろうと、またそのために税率を上げるということもやむを得ないだろうと、こういったようなのが税調内部の大方の意見でございました。
それから、ガソリン税でございますが、ガソリン税につきましては以前から、一体道路財源にこれを専用するということについてはいかがかという議論が税制調査会の中でもございまして、私どもも若干それに疑念を持っておったわけでありますが、実際問題としまして、ただいまの道路の関係の歳出というのは、ガソリン税を全部充ててもまだなお足りないというような状況のようでございまするので、それを余り深く論議しても実益に乏しいじゃないかという一方において一つの議論もございまして、なおそこを深く詰めるまでには至っていない、至っていなかったと、こういうわけであります。
この発言だけを見る →一つは、特別会計をつくって特定の財源をそれに持っていくのだという御意見も政府にあったようでございますが、税制調査会としてはそれは困るというむしろ意見に近かったと思います。しかし、何かの税源というものを目当てにしなければ、一般財政の収入でもって今後相当多額の歳出を要するエネルギー開発の支出を賄うわけにもいくまいということで、石油関係の税その他を主としてこれに充てるということは、これはやむを得ないだろうと、またそのために税率を上げるということもやむを得ないだろうと、こういったようなのが税調内部の大方の意見でございました。
それから、ガソリン税でございますが、ガソリン税につきましては以前から、一体道路財源にこれを専用するということについてはいかがかという議論が税制調査会の中でもございまして、私どもも若干それに疑念を持っておったわけでありますが、実際問題としまして、ただいまの道路の関係の歳出というのは、ガソリン税を全部充ててもまだなお足りないというような状況のようでございまするので、それを余り深く論議しても実益に乏しいじゃないかという一方において一つの議論もございまして、なおそこを深く詰めるまでには至っていない、至っていなかったと、こういうわけであります。
藤
丸
丸谷金保#20
○丸谷金保君 お三方に大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
小倉先生にお尋ねいたしたいんですが、いま財政再建ということから歳入をどう求めるかという意味での税調の役割りというのは大変重要さを増してきております。どうもこれは、まあ諮問機関としてそれぞれのセクションがあるんですからやむを得ないことだとは思いますけれど、国の予算の財政再建に対する帳じり合わせといいますか、それを税調に求められているという感が強いんでございますけれど、たとえば歳出の中で、それだけのことを要求するのなら、こういうことは直したらどうだというふうな建議の道というのは、税調の中には開かれているんでございましょうか。
一例を挙げれば、薬づけのいまの医療費十一兆円、それから、いまも問題になりましたけれども、福祉の財源としてのお年寄りの医療費の無料化は一兆円です。一兆円だから、税金がふえるんだからこの方はどうなんだということよりも、十一兆円の薬づけ医療、こちらの方にメスを入れれば、もうそれの何倍かのものは浮くじゃないか。こういうところが全くなおざりにされて即税金と結びつくような形、これらに対して税調としてはこういう点はちょっとひどいじゃないかというふうなことは言える仕組みになっておりますかどうか、ちょっとお伺いしたいんでございますけれども。
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一例を挙げれば、薬づけのいまの医療費十一兆円、それから、いまも問題になりましたけれども、福祉の財源としてのお年寄りの医療費の無料化は一兆円です。一兆円だから、税金がふえるんだからこの方はどうなんだということよりも、十一兆円の薬づけ医療、こちらの方にメスを入れれば、もうそれの何倍かのものは浮くじゃないか。こういうところが全くなおざりにされて即税金と結びつくような形、これらに対して税調としてはこういう点はちょっとひどいじゃないかというふうなことは言える仕組みになっておりますかどうか、ちょっとお伺いしたいんでございますけれども。
小
小倉武一#21
○参考人(小倉武一君) 御承知のとおり、税制調査会は主として税制のあり方を審議するわけでありまして、歳出の方はよく存じませんけれども、財政審議会等がありまして、そちらの方で御検討になっておるということでありまして、歳出全体につきましてできるだけ縮減、合理化をするといったような一般論は税制調査会でもいたしますけれども、要するに歳出が別途決まっちゃってそれに合うように税金を取ってくれと、こう言われても税制調査会としてはなかなかそうはいきませんぞと、俗に言えばこういうふうなことでありますけれども、歳出の中身に立ち入りまして、この点はひとつもっと節減できるじゃないかというところまでは審議をいたしておりませんし、また、そういう種類の、まあ委員の中には無論例として先ほどの薬づけみたいな話はございまするけれども、税調としてはそこまでは審議はいたしておりません。
この発言だけを見る →丸
丸谷金保#22
○丸谷金保君 同じく小倉先生にお伺いしたいんですが、納税思想といいますか、正直者にばかを見せないような、これは大変むずかしいことで、ただいまもECの話も出ましたけれど、ヨーロッパの納税思想、これは歴史的なものもございますし、それから、私どももよく出かけて地方の市長さん、あるいは県知事さんなんかにお会いしましても、市民がどう考えているか、県民がどう考えているかというよりも、私の町の納税者はこういうふうに言っていると、非常に納税者という言葉を使うんです、私たちが町民とか市民とかと言うのと同じ程度に。要するに、納税者というものを常に意識しながらの行政が行われている。ところが日本では、出すときには国民も文句を言いますけれど、払ってしまえば後のことについては納税者意識でもってその支出を見ていくという考え方が非常に薄い、そこから取られるという感じが出てくるわけです。これらに対して税調としてはもう少しそこいら辺の納税者教育といいますか、こういうことについて国の方に建議すると、こういうふうなことはないのでございますか。
この発言だけを見る →小
小倉武一#23
○参考人(小倉武一君) 大変傾聴に値すると申しましては失礼でございますが、示唆の深い御意見かと思います。
私事にわたりまして恐縮でございますけれども、あるいはお耳ざわりかもしれませんが、かつてイギリスでもって、日本でいえば農業白書みたいなものが、あれは毎年出しておるのでしょうが、最近は知りません、非常に薄いものですが、その中に、イギリスの農林省は何を努力しておるかというと、いかに農林省の予算を縮減するかということに努力しておるのだということが書いてあって、私など本当に驚いたことがあるのです、そのころは日本の農林省はいかにして予算をふやすかということに努力しておったという時代でありますから。近ごろはそうでもないかもしれませんが。オランダの農林省へ行きましたときも、予算のことになりますと、やはりタックスペイヤーのことを考えなきゃならぬ——主税局なり主計局がそうおっしゃるならばいいかもしれませんが、歳出を専門として行政をやっているところでそういうことをおっしゃるということで、非常に大きく印象に残っておりまして、もう十年以上も前でありますけれども、日本の役所で大蔵省以外に一体そういうことを言う役所があるのだろうかと、はなはだ意外に思ったことがあります。
最近、税制調査会に関係をいたしまして、税制のことはよくわからぬのですけれども、どういう因縁かそういうことになってまた考えますのは、ちょうどいま先生のお話のような、日本の国民にはタックスペイヤーとしての意識があんまりないのじゃないかと。税金はいやいやながら払うけれども、払ってしまった以上はもう使い道には余り関心なくて、自分の業界なり自分の利益についての歳出予算については発言するけれども、国全体の歳出についての効率的なあり方、これについてはほとんど発言されないと言っちゃ語弊がありますけれども、どうもそういう感じがいたしまして、その間の一体社会教育といいますか、そういう教育はどうなっているのだろうかということになりますというと、どうもそういう教育というものは行われていないのじゃないか、多少は行われているのでしょうけれども、深くは調べていませんけれども、漠然とそういう感じがいたします。
今後、財政再建のために何かの方法で大幅の一般的な増税をお願いしなきゃならぬのだということだろうと思うのでありますが、仮にそうだとすれば、不公平税制の是正とかそういうことの前に、納税思想といいますか、タックスペイヤーの思想といいますか、そういうことから始めなきゃならぬのじゃないかというふうにひそかに実は考えておりますけれども、税制調査会でそれをどうするかというところまでの元気は、私にまだございません。
この発言だけを見る →私事にわたりまして恐縮でございますけれども、あるいはお耳ざわりかもしれませんが、かつてイギリスでもって、日本でいえば農業白書みたいなものが、あれは毎年出しておるのでしょうが、最近は知りません、非常に薄いものですが、その中に、イギリスの農林省は何を努力しておるかというと、いかに農林省の予算を縮減するかということに努力しておるのだということが書いてあって、私など本当に驚いたことがあるのです、そのころは日本の農林省はいかにして予算をふやすかということに努力しておったという時代でありますから。近ごろはそうでもないかもしれませんが。オランダの農林省へ行きましたときも、予算のことになりますと、やはりタックスペイヤーのことを考えなきゃならぬ——主税局なり主計局がそうおっしゃるならばいいかもしれませんが、歳出を専門として行政をやっているところでそういうことをおっしゃるということで、非常に大きく印象に残っておりまして、もう十年以上も前でありますけれども、日本の役所で大蔵省以外に一体そういうことを言う役所があるのだろうかと、はなはだ意外に思ったことがあります。
最近、税制調査会に関係をいたしまして、税制のことはよくわからぬのですけれども、どういう因縁かそういうことになってまた考えますのは、ちょうどいま先生のお話のような、日本の国民にはタックスペイヤーとしての意識があんまりないのじゃないかと。税金はいやいやながら払うけれども、払ってしまった以上はもう使い道には余り関心なくて、自分の業界なり自分の利益についての歳出予算については発言するけれども、国全体の歳出についての効率的なあり方、これについてはほとんど発言されないと言っちゃ語弊がありますけれども、どうもそういう感じがいたしまして、その間の一体社会教育といいますか、そういう教育はどうなっているのだろうかということになりますというと、どうもそういう教育というものは行われていないのじゃないか、多少は行われているのでしょうけれども、深くは調べていませんけれども、漠然とそういう感じがいたします。
今後、財政再建のために何かの方法で大幅の一般的な増税をお願いしなきゃならぬのだということだろうと思うのでありますが、仮にそうだとすれば、不公平税制の是正とかそういうことの前に、納税思想といいますか、タックスペイヤーの思想といいますか、そういうことから始めなきゃならぬのじゃないかというふうにひそかに実は考えておりますけれども、税制調査会でそれをどうするかというところまでの元気は、私にまだございません。
丸
丸谷金保#24
○丸谷金保君 それから、具体的な問題に入るんですが、税調答申で一般消費税導入を考えたときに、一体これはだれにやらせようと、この仕事をやる職員、こういうふうなものは一体いまの制度の中でどこで扱い得るだけの能力があるというふうにお考えになったか。実は私、二十年田舎の町長をやっておりまして、いただく方の側ばっかりだったものですから、何かそういうことを計画しますと、必ずこれをだれにやらす、そんなことやれるだけの職員の能力があるかということが先に来るんです。そういう立場から言いますと、この一般消費税の場合ですね、そこのところを欠落したままの論議が行われてきたような感じがして仕方がないんです。この点について、税調はどういうふうな人員構成の中でこの仕事を行わせようということで答申なさったのか、お聞きしたいんです。
この発言だけを見る →小
小倉武一#25
○参考人(小倉武一君) 一般消費税を仮に実施をするということになりました場合に、徴税の仕組みなり担当なりどうするかというお尋ねでございましたが、実は税制調査会では深くそこまでは論議はいたしておりません。
若干出ました意見というのは、一般消費税というのは間接税だから、税務署の機構、仕組みをよく存じませんけれども、間接税の係がございましょう。しかし、それは間接税でなくて、むしろ直接税を担当する方が担当した方がいいじゃないかというふうなことであるとか、あるいは、できるだけ最小限度の人員でもってそれをカバーするということであれば、よけい別の仕組みをつくるよりは、既存の係の中で最も能率の上がるようなところで担当をしたらいいのじゃないかというようなことで、なおまた、この徴税の人員をどうするか、どれぐらいの増員になるかということにつきましては、これは国税庁の中のいろいろ職員との関係もございましょうし、また政府として、はっきりと導入するという決断ができるかどうかわからない段階で、そこまではよう詰め切れなかったと、税制調査会ではそういうことでございます。あるいは大蔵省ではある程度お詰めになっておったかと、こう思います。
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丸
丸谷金保#26
○丸谷金保君 いま先生御指摘のように、間接税の関係なんですけれど、私たちが心配いたしましたのは、たとえば三十人の税務署で、間接税の担当の職員というのは二人ないし三人なんです。これは大きくなっても大体その比は変わらない。間接税関係というのは非常に少ないんです。だから、とてもやれるわけがないだろう。またお蔵に入りましたのでいまの問題ではないんですが、実は先般の参議院の本会議で、一般消費税は五十六年度までやらないけれど、消費税一般までやらないとは言わないという大蔵大臣の答弁がありました。ですから、その点で、いずれまたこの問題が形を変えて持ち上がってくる場合に、まずその帳じり合わせの問題に利用されないことと、それからそういう具体的な、一体どこがやるんだというふうなことについての御配慮を、税調としてもひとつお願いをいたしたいと思う次第です。
それで、一河先生にお尋ねいたします。
グリーンカードの制度なんですが、まだきわめていろいろ問題があって、やってみなければわからない点があると。私もそう思います。しかし、いままでよりは一歩前進だろうというふうに評価しなきゃならない点もあるから、これは走りながら考えるということもときに必要だなと思うんですけれど、特にそのうちで一番心配いたしますのは、たとえばグリーンカードを使いましても、あるいはめんどうでこれらを税の申告とか、そういう段階で使わない方も多く出てくるのではないか。三百万、三百万、三百万ありますけれど、一般的に大半の人はとてもそんな余裕を持っているはすかないので、これは国民の九割まではほとんど関係のない話になると思うんです。
実際に現在の非課税の制度を上手にくぐって隠し預金をしているというのはそうたくさんではないけれど、やはりそういう不正直者に得することをさせないための制度だと思うので、それだけに、これらについてもう一度、非常に民間でむずかしいという点、具体的にちょっともう少し突っ込んで御指示をいただきたいと思いますけれど。
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グリーンカードの制度なんですが、まだきわめていろいろ問題があって、やってみなければわからない点があると。私もそう思います。しかし、いままでよりは一歩前進だろうというふうに評価しなきゃならない点もあるから、これは走りながら考えるということもときに必要だなと思うんですけれど、特にそのうちで一番心配いたしますのは、たとえばグリーンカードを使いましても、あるいはめんどうでこれらを税の申告とか、そういう段階で使わない方も多く出てくるのではないか。三百万、三百万、三百万ありますけれど、一般的に大半の人はとてもそんな余裕を持っているはすかないので、これは国民の九割まではほとんど関係のない話になると思うんです。
実際に現在の非課税の制度を上手にくぐって隠し預金をしているというのはそうたくさんではないけれど、やはりそういう不正直者に得することをさせないための制度だと思うので、それだけに、これらについてもう一度、非常に民間でむずかしいという点、具体的にちょっともう少し突っ込んで御指示をいただきたいと思いますけれど。
一
一河秀洋#27
○参考人(一河秀洋君) グリーンカードの実施が実際問題としては非常にむずかしいであろうという御意見でございまして、確かにそのとおりかと思うのでございます。
ただ、実際問題として、ほとんどの方がこの少額貯蓄非課税の制度を利用していることも事実でございまして、まあ預金の少なくとも個人だけに関連する分については、ほとんど八割程度が非課税預金の範囲におさまるかと思うのでございます。しかし、脱税できるのがわずかだからといって、わずかだからよろしいのだということがむしろ税負担感の不満を生じさせてくるわけでございますから、むしろこのわずかの部分を徹底的になくすことの方が大切だと思うのでございます。
ただ、グリーンカードを実施をすればそれがなくなる可能性があると申しましても、確かに実際問題としてはややっこしい問題があろうかと思います。それは、たとえばグリーンカードをどういう形式で交付をするかというようなことに関連をしてくるのではなかろうかと思うのでございますが、たとえば、グリーンカードの交付について金融機関の窓口を通じて受け付けると、こういうことも一つの方法ではなかろうかと思うのでございます。
この場合には、案にございました、金融機関の窓口で受け付けて、その金融機関に対する非課税預金の限度枠をそこに記載をして、税務署長の承認を受ける、こういうことにした場合には、金融機関はむしろ積極的にグリーンカードの普及に努めてくるのじゃなかろうか、非課税預金の受け入れを確保するために、むしろ積極的に協力する可能性もあるのじゃなかろうかという感じがいたします。
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ただ、グリーンカードを実施をすればそれがなくなる可能性があると申しましても、確かに実際問題としてはややっこしい問題があろうかと思います。それは、たとえばグリーンカードをどういう形式で交付をするかというようなことに関連をしてくるのではなかろうかと思うのでございますが、たとえば、グリーンカードの交付について金融機関の窓口を通じて受け付けると、こういうことも一つの方法ではなかろうかと思うのでございます。
この場合には、案にございました、金融機関の窓口で受け付けて、その金融機関に対する非課税預金の限度枠をそこに記載をして、税務署長の承認を受ける、こういうことにした場合には、金融機関はむしろ積極的にグリーンカードの普及に努めてくるのじゃなかろうか、非課税預金の受け入れを確保するために、むしろ積極的に協力する可能性もあるのじゃなかろうかという感じがいたします。
丸
丸谷金保#28
○丸谷金保君 昔、といっても大分昔なんで、戦前なんですけれど、当時はみんな利子は税額で当座預金も特別当座預金も全部細かく引いたものなんです。少額貯蓄の非課税制度でなくて、全体としては原則として課税すると、別な形で少額預金についての救済措置をとるというふうな、そういう制度の方が実際には大変やりやすくて、手間もかからない効率的な方法でないかという気もいたすのですが、そういう点についてはどのようにお考えでございますか。
この発言だけを見る →一
一河秀洋#29
○参考人(一河秀洋君) 丸谷先生のおっしゃること、まことにごもっともであると思います。ただ問題は、この場合に、源泉で取る場合、税率の問題だろうと思うのでございますが、これは余り高い税率をとることは非常に問題があろうかと思いますし、低い税率では意味がないという問題があろうかと思います。ですから、利子所得につきまして総合課税を実現できるということでありましたら、私は少額貯蓄非課税などという制度はやめてしまって、むしろ先生おっしゃいますように、少額預金の利子については一定金額の範囲で税額控除を認める、このようにすることが公平の理由にかなうと存じます。
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