高橋元の発言 (大蔵委員会)

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○政府委員(高橋元君) 利子・配当課税でございますが、これは四十五年に基本的に総合課税に移行することが望ましいという方向を出しまして、それをそのときから十年間、源泉選択、分離選択課税の制度を残しておりました。五十五年の末をもって源泉選択課税の期間が切れますので、今後は所得税法の大原則に戻りまして、利子・配当所得について総合課税を行うという時期であります。
 ところで、現在預金というのは、個人預金でございますと、二百数十兆という大きさになるわけでございますが、それが郵便貯金で三億口を超え、それから民間の金融機関の預金で一億数千万口を超えております。こういう非常に大量の預貯金について、また株式につきましても同様でございますが、配当につきまして、その支払いの際に、どうやって所得を把握するかということが一番基本でございます。
 そこで、いまもお話のございましたように、いろいろな方法につきまして税制調査会なり私どもの部内で検討いたしたわけでございます。いまお話のございました税額控除方式というのは、恐らく非課税貯蓄制度を一切やめる、郵便貯金なりマル優についても全部制度を廃止をいたしまして、すべての預金について課税をいたします。そのかわり、マル優でもって比較的低額の所得者が受けておられる税制上の優遇に相当する部分をそれぞれの所得税から控除してもらう、こういう御提案だと思うのであります。それは私どもも十分検討いたしておったわけでございますが、基本的に、いま申し上げた数億口という預金の口座、それから公社債の枚数、それから株式の株数、ぞれそれにつきまして、実は日本の長い間の慣行がそうなってきたわけでございますけれども、それが本当にだれの名義のものであるかということが把握できないわけでございます。
 したがいまして、全部について課税をすると、現在二〇%普通であれば源泉徴収いたしておりますが、二〇%の源泉徴収でその方のを総合した場合の税率に足りるのか足りないのかわからないわけでございます。ですから、マル優制度のもとに、また郵便貯金の非課税制度のもとに、少額貯蓄について優遇をしておるそれだけの税額控除を考えることはできますけれども、しかしながら、その基礎になります課税の公平、これはそれぞれの預金の名義を正確に把握して、御自分の預金についての利子、また御自分の株式についての配当、それらを他の所得に総合して課税をしていくということは理想でございますから、どうしても本人の名義を確認する方法、それから確認された名義について名寄せをする方法と、それを考えませんと実を上げることはとうていできない、形を変えたまた分離課税制度に戻ってしまうということが考えられます。
 そこで、税制調査会でも、それ以外にも、たとえば納税者番号というものをつくりまして、すべての人、それからすべての法人につきまして強制的に付番をいたすわけであります。その番号がなければ預貯金に関する取引、利子・配当に関する取引ができないわけでございます。取引をする際にはその付番された番号を全部通知をすると、こういう制度を考えたこともございますけれども、これもすべての国民にいわば一斉に事前に付番をするという制度でありますから、これにつきましても国民のプライバシーと申しますか、そういうこともございまして、一般の御理解が行き届かない面がまだまだある。
 もう一つ考えました制度は、先ほど申し上げました、丸谷先生からお話ありました制度をちょっと変えた形になりますけれども、すべての預貯金について、たとえばいま所得税の最高税率が七五%でありますから、七五%で源泉徴収してしまう。それで後は御本人が、自分のどういう名義になっておるものであれ、自分の金融資産を自分で名寄せをして税務署に申告していただく。そうしますと、その分は還付になるわけです。七五%以上の税率の方はないわけでございますから、すべての場合に還付が起こってまいります。
 そういう制度も考えてみたわけでございますが、冒頭おっしゃいます税額控除方式とこの最高率源泉徴収方式とには、物すごい数の還付が伴うという問題が起こってまいります。現在、三月十五日に確定申告をしてくださる方が約四百万ぐらいおります。還付を受けにおいでになる方も、同じ数おいでになるわけでございます。もとより正当な還付は国民の権利でありますから、税務署の窓口でも極力優先してやっておるつもりでございますけれども、短期間のことでございますから非常に事務が錯綜いたします。四百万ですらそうでございますから、仮に最高率源泉徴収いたしますと、一億の方が全部還付を請求されるということになってしまって、これはもう窓口の混乱ははかり知れない。それはひいては国民に非常に御不便をおかけするということになりますので、実際的にはできない制度であろうという結論に達しております。
 で、いろいろ申し上げましたけれども、いろいろな方式を検討いたしました結果、現在御提案いたしております所得税法によるグリーンカード制度を採用して、五十九年一月一日から全体の利子・配当所得について総合課税に移行するという結論に達したというのが、私どもの検討の結果であります。

発言情報

speech_id: 109114629X00919800328_003

発言者: 高橋元

speaker_id: 29635

日付: 1980-03-28

院: 参議院

会議名: 大蔵委員会