竹田四郎の発言 (本会議)

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○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました日本専売公社法等の一部を改正する法律案に対し、若干の質問をするものであります。
 八〇年代に入って、国民の生活は物価の脅威にさらされ、不安と不満はうっせきし、それが政治不信や社会不安を生みつつあります。
 折しも、去る二月十二日、日本銀行は一月の卸売物価の動向を発表しましたが、この数字はまさに驚くべきものであります。前月比二・一%、年率にして二八・三%、前年同月比一九・三%で、昭和四十九年以来の狂乱ぶりであります。しかも、この数字内容を分析していくと、輸入品が前月比〇・九%上昇に対して、国内品が一・二%上昇となっているのであります。OPECの原油価格の引き上げ、アフガニスタン情勢から金属市況の高騰などが卸売物価高騰の第一次要因であったことは事実といたしましても、一月の卸売物価指数の中で中間品の値上がりが一番大きいということは大変問題であります。このことは、業者が素原材料の価格を中間製品に過剰に転嫁していることを示していると思います。便乗値上げや先高を見込んだ仮需の発生が起こってきているものと見なければなりません。輸入インフレが逆にホームメードインフレへと転換し始めていることを示すものと言ってよいと思います。
 大平首相は、過日、石油価格の転嫁は市場原理に任せて政府は介入しないと言ってまいりました。総理の期待に反して、数カ月を経ずして値上げと投機によって物価は危機的な状況に達してしまいました。総理は物価を暴騰させた責任をとるべきであると思うが、御心境はいかがか、お尋ねいたします。
 この状況がそのまま推移するならば、当然消費者物価にはね返っていくことになるのでありますが、政府はこれに対していかなる施策を準備しているのか、明らかにしてほしいと存じます。
 例の六・一国債は、金利の先高を見込んで暴落しております。公定歩合は引き上げるのかどうなのか、金融引き締めはどう強めていくのか、あるいは国民生活安定緊急措置法や生活関連物資等の緊急措置法を発動して在庫調査、価格監視体制を強化して反社会的経済行為を取り締まろうとする意思があるかどうか、御答弁を求めます。
 第二に、今日最も必要なことは、ホームメードインフレを封殺することが政府の最大の責任であります。もちろん、国際商品価格の高騰防止にも十分な配慮を加えることは必要であります。政府の五十五年度経済見通しにおいては、卸売物価指数九・三%、消費者物価指数六・四%の値上がりとなっているが、この程度で物価上昇を抑える自信があるかどうか。
 卸売物価九・三%のうち、国内要因分は約六%、海外要因分は約三%ぐらいに見込んでおり、消費者物価指数については、六・四%のうち、公共料金値上げ分が、直接的には二%、間接的には四%を占めていると言われておりますが、経済企画庁長官はどう考えているか、お示しをいただきたいのであります。
 そして、この中で電力、ガス料金分はどれだけ含まれているのかもあわせてお答えいただきたいのであります。
 通産大臣は、電力、ガス料金の大幅な値上げ申請にどのように対処し、値上げ幅はどのように抑えるつもりか、あわせて御答弁をいただきたいのであります。
 第三に、今日インフレの高進を防ぐために政府のとるべき最重点政策は、国民の間にいささかなりともインフレマインドを起こさせないことであろうと思います。いま、各企業は、生産量や営業量を上げることの限界を知って、価格値上げ指向によってその利益を得ることを図っております。いまそれがわずかに消費者の慎重な態度によってやっと食いとめられているのが現状であります。かずのこによる北商の倒産はその見本であります。
 しかるに、大平内閣は、続々と公共料金の値上げを行ってきましたし、今後も続々と決行しようとしているのであります。かかる政府の行動は、企業に対してインフレマインドをかき立てる危険性を有するきわめて遺憾な政策と言わざるを得ません。公共料金の値上げは今日の段階においてはやめるべきであります。
 特に、たばこの販売価格の引き上げは、会計の赤字によるものではなく、国の取り分の減少を一般国民の負担に転嫁させようとするもので、全く理解に苦しむものであります。歳入の不足については、わが党がすでに指摘し要求しておりますように、法人税の引き上げ、キャピタルゲイン課税の強化によってカバーできるのであります。今日の物価情勢の中でたばこの値上げは延期すべきが妥当であろうと思いますが、総理の決意をお伺いいたします。
 第四に、納付金率を五六%に法定化することは、専売益金納付制度を廃止し、消費税制度への抜本的な改革であり、たばこ専売事業の民営化への基本的な布石であろうと考えますが、いかがでしょうか。いままでの専売納付金制度は、売り上げ総額からコストと地方たばこ消費税分を差し引いた純利益から専売公社の内部留保金を引いた残りを財政収入として国税へ納付するのであって、納付金の額が不安定であること、企業努力の成果がつかみにくいこと、経営意欲を阻害することなどの点があったことは確かであります。今度の改正は、一般消費税制度の導入とともに民営へ移していくための基本的な改正であり、許すことのできない改正であります。
 また、納付金率を法定化することは、経営成果を具体的に見ることのできる反面、コストを最小限にして利益を最大限にすることに走るため、従業員や葉たばこ耕作者、たばこ小売人などの関係者に過度の合理化や納入価格の値引きを迫ることにならないか。また、たばこの品質の劣悪化を招き、消費者に犠牲を強いることになる懸念があると思いますが、大蔵大臣の御答弁を求めます。
 第五に、販売価格の法定化緩和について、一定の制約はあるものの、たばこの販売価格値上げの歯どめを失ってしまう結果、政府に納付する金額が予想どおり伸びない場合には、小売定価を引き上げるか、納付率の五六%を引き上げるかでありましょう。納付金率が法定されているため安易に価格の引き上げに走ることは明らかであって、独占的企業体の常道として、サービスの低下もこれに並行して行われる可能性が強くなるわけであります。真に法定化緩和を考えるというならば、これにかわる歯どめ策を持つことが絶対に必要であると考えます。
 たとえば、専売事業に関する審議会をつくり、消費者代表を参加させ、その審議状況を公開し、あるいはその詳細な審議会速記録を公開するなどの措置をあわせ行うべきであります。これなくして、国営企業の実態、内容、もうけ過ぎ、サービスの劣悪化などについて国民は知ることができないし、また是正する方法がなくなってしまうのであります。販売価格法定化緩和に対置するチェック機能は絶対につくるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 第六に、「国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」とする財政法第三条に明らかに違反するのが今度の改正であると言わなければなりません。財政法第三条は、租税が大宗を占めていようがいまいが、それは法定あるいは国会の議決を必要とすることをうたっているものであって、消費税部分が納付金率五六%と明確に法定したからといって、価格、料金の法律化は必要ないとか、租税部分以外は具体的金額について法定を要求するものでないとか、価格の上限を決めればよいとか、基準を示せば足りるとか、審査を経るべき方式を示せば足りるとするなどの見解を根拠とされているようでありますが、価格についての法定化を緩和しようとするかかる態度は、法律を故意にこじつけて解釈するやり方であって、いわゆる牽強付会の説と言うべきであります。民主主義の原理は、常識的な、国民だれでもが素直にわかる法律に基づいて解釈するのが当然であるにもかかわらず、政府の考え方は全く官僚独善で、国民生活に対する配慮の欠けたものとして認めるわけにはまいりません。国民の代表の国会を無視し、法律を空洞化するものと言わなければなりません。
 あえて緩和するというならば、まず財政法第三条を改正することが先であると考えるがどうか、お伺いいたします。
 第七に、たばこ消費税率の五六%は、中長期にわたって不変の税率として考えてよいのか、それとも、財政再建上の必要があるならばそのときどきの財政事情に即応して変更することがあり得ると解してもよいのか、また、逆に、財政事情が好転すれば、税率を引き下げ、価格の引き下げを行う可能性があるのかどうか、大蔵大臣に質問いたします。
 最後に、たばこと健康についてお尋ねいたします。
 たばこの喫煙は百害あって一利なしと言われており、喫煙者には肺がんや心臓関係疾患が多く、死亡率も高いと言われておりますが、どうでありましょうか。一方でたばこ消費による税収がふえると、他方では喫煙による罹病率が高まり、これに対する医療費が多くなるということになれば、財政的にも決してプラスになるものではないと存じます。専売公社はかつて「たばこは動くアクセサリー」というスローガンを広く流行させて問題になり、国会を初め各方面から故意にたばこ消費をふやさせないようにとのことで、たばこの人体に与える害を宣伝するように要請され、今日、「たばこの吸い過ぎに注意しましょう」とたばこの包装に表示することになったわけであります。
 ことしはWHOが決めた世界禁煙年でありまして、日本循環器学会は、「患者さんはあなたをみています。まずわれわれドクターからやめようではありませんか」というポスターをつくろうとしておりますし、厚生省は世界禁煙年を受けて「喫煙か健康か」でシンポジウムを開こうというのに、公社は再び「たばこは心の日曜日」などというスローガンを掲げるようになったことははなはだ遺憾であります。総理大臣、厚生大臣、大蔵大臣に伺いますが、「たばこは心の日曜日」になるのかどうか、お答えをいただきたいのであります。
 故意にたばこの消費を促進するあり方を即刻中止するだけでなく、たばこが具体的に健康を阻害する実例を示し、たばこの弊害から国民の健康を守るようにすべきであると思うのですが、いかがでしょうか。
 以上をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109115254X00519800214_027

発言者: 竹田四郎

speaker_id: 7692

日付: 1980-02-14

院: 参議院

会議名: 本会議