鈴木一弘の発言 (本会議)

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○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま提案されました昭和五十五年度の公債発行の特例に関する法律案に対して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 昭和二十二年三月に制定された現在の財政法は、戦前の公債発行による財政破綻という苦い経験を反省してつくられたものであります。それは、財政法第四条において赤字国債の発行を禁止し、健全財政主義を貫いているのを見ても明らかであります。
 しかるに、この精神に違反する財政特例法案を昭和五十年度より毎年連続して国会に提出しているばかりか、これから先についても赤字財政からの脱出について明確なる見通しを示さない政府の姿勢は、無責任そのものであると言わざるを得ません。
 以下、若干の点を指摘して答弁を求めるものであります。
 第一は、財政再建の基本的な考え方についてであります。
 政府は、昭和五十五年度予算は「財政再建の第一歩を踏み出した」と宣伝し、また、「財政再建元年の前年」と言っておりますが、果たしてそうでありましょうか。
 一般消費税の導入が否定されたいま、財政再建のためには歳出の削減が最大の課題であるにもかかわらず、昭和五十五年度予算にはこの歳出削減の努力の跡がほとんど見られません。国民が望む財政再建とは、まず政府みずからが姿勢を正すことであります。
 第一次オイルショック以後の経済環境の変化に対して、民間企業は血のにじむような減量経営への努力をし、その後の経済構造の変化に対応してきております。また、庶民の家計も同様の努力をしてきたことは申すまでもありません。
 これに対して、政府は何をしてきたのでありましょうか。
 国民の徹底した行政改革の要求に対して、政府の示した行政改革案は、すでに過去に言われていた特殊法人の整理統合のみで、それも大部分が昭和五十九年度までに行うというスローテンポであります。一般会計予算の赤字解消に最も必要不可欠な中央省庁の機構の簡素化などには全く触れていない、単に見せかけの行政改革と言っても過言ではありません。
 また、補助金の整理についても政府は自画自賛をいたしておりますが、果たしてそうでありましょうか。補助金整理の実績として政府は昭和五十五年度一般会計予算で千六百億円と言っておりますが、三百件を超える新規の補助金を認め、さらに補助金の増加額は一般会計分のみでも九千八百六十九億円も増加し、伸び率は三二・五%であり、補助金整理とはまさに逆行の方向であります。
 このような財政再建に対する政府の姿勢は、かけ声ばかりで、中身のないものであり、納得できません。総理の財政再建策、特に行政改革と補助金の整理についていかにされるか、答弁を求めるものであります。
 第二に、財政再建策の歳入面についてであります。
 昭和五十四年度までの大蔵省提出の財政収支試算では、財政再建の土台に一般消費税導入による大型増税を言っており、また、新経済社会七カ年計画においても特に一項目を設けて五十五年度に一般消費税の導入を明確にしておりました。その後、総理自身が一般消費税の五十五年度導入を断念したにもかかわらず、昭和五十五年度ベースの財政収支試算は依然として巨額の増税を前提としたものであります。一体、総理は、一般消費税については五十六年度以降には実施したいと考えているのかどうか、明確にしていただきたいのであります。第三に、国債の発行についてであります。
 わが国の昭和五十年度以降の国債発行額は、先進諸外国に類例のない異常なものであります。第一次オイルショック以降の経済の変化が激しかったのはわが国のみではありません。しかるに、先進諸外国の公債依存度はわが国とは逆に着実に低下してきております。アメリカにおいては、一九七六年度一八・一%であったものが一九八〇年度には五・三%に、また、イギリス、西ドイツ、フランスも、それぞれ四ないし一〇%も依存率を下げてきておりますが、わが国のみ昭和五十一年度二〇・四%から五十五年度三三・八%と大きく増加させているのであります。先進主要国が皆同様にオイルショックの影響を受けた中で、わが国のみが財政における公債依存度を大きく高めていることは、政府が公債発行を安易に考え、公債依存度低下への努力を怠った結果であります。総理は、この事実に対し、いかに反省し、また国債依存率低下への対策及び見通しについて明確にどうなさろうとしているのか示していただきたいのであります。
 第四に、国債の消化難にいかに対応するかということであります。
 毎年巨額の国債を発行してきており、この五十五年度も十四兆二千七百億円の発行を予定しておりますが、このような大量の国債の円滑な消化が可能でありましょうか。国債の消化難は五十三年の秋口から言われ始め、五十四年度にはさまざまに発行条件を変えてさえも、その消化が危ぶまれているからであります。それは、都市銀行などの実質預金の増加を上回る国債引き受けの割り当てがあり、四月に予定していた中期債の公募の中止、ロクイチ国債が市場では一時は七十七円台にまで落ち込むなど、国債消化については明るい見通しの材料は見当たりません。一体、政府は昭和五十五年度の国債消化についていかなる方法により行うのか、具体的な答弁を求めるものであります。
 また、国債相場の下落について、昨年も五月に新たな七項目の対策を行いましたが、ほとんど効果がなく現在に至っております。国債の値下がり防止策について示していただきたい。
 さらに、国債消化を無理に強行するならば、マネーサプライを過度に増加させ、財政インフレのおそれが十分考えられますが、その点はどうか、答弁を求めるものであります。
 最後に、財政再建法を制定することについてお伺いします。
 本来ならば、昭和五十年度に赤字国債を発行せざるを得ない段階で、この危機的な財政から脱却すべく財政再建法を制定すべきでありました。しかるに、政府・大蔵省は、単なる数字合わせに終始した財政収支試算しか出さず、赤字国債の発行を年々大きくしてしまったのであります。その結果、昭和五十五年度末には国債の発行残高は五十五年度予算規模の一・七倍の実に七十一兆円にもなるのであります。このことから見ても、財政収支試算は財政再建には全く何の役にも立たなかったのであります。ここに、私は、財政再建の目標年度、具体的手段、方法を明確にした財政再建法の制定を強く総理に要求するものでありますが、総理の見解を示していただきたいのであります。
 以上、質問を終わりますが、明快なる答弁を求めるものであります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109115254X00819800331_018

発言者: 鈴木一弘

speaker_id: 33756

日付: 1980-03-31

院: 参議院

会議名: 本会議