立木洋の発言 (本会議)
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○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、ただいまの大平総理の帰国報告について質問いたします。
イラン、アフガニスタン問題など緊迫する国際情勢のもとで開かれた日米首脳会談で、総理がカーター戦略への全面協力と軍事分担を増大する努力を約束したことは、八〇年代の日本の進路と国民生活にとってきわめて重大な選択を行ったと言わなければなりません。この選択は、日本の平和と安全のみならず、国民生活にも重大な事態をもたらすものであります。
質問の第一の点は、アメリカが、昨年十一月、第七艦隊のアラビア海出動という軍事脅迫に続いて、今度は直接イランの主権を乱暴にじゅうりんした人質奪還作戦と称する軍事行動を展開したことについてであります。
もちろん、イランの人質事件が国際法に反していることは明白であります。しかし、アメリカのかかる軍事行動に総理が理解を表明したということはきわめて重大であります。もしアメリカのこうした行動が容認されるならば、平和的手段で国際紛争を解決していくべき国連憲章の原則そのものをも脅かすことになると考えないのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
しかも、許すことができないのは、日本がアメリカの対イラン干渉の拠点にされていることであります。昨年、横須賀を母港とした第七艦隊がアラビア海に出撃し、今回の人質奪還作戦の当日には沖繩に駐留していた第一特殊作戦中隊のMC130E輸送機四機が姿を見せず、四月二十九日に三機しか沖繩に帰ってこなかったことを見ても、嘉手納基地のMC130E機のイラン出動の疑いの根拠は十分であります。また、嘉手納基地関係者は、問題の第一特殊作戦部隊がイラン人質救出との関連で出動しているとさえ言明しているのであります。これだけ重大な問題になっているにもかかわらず、このMC130E四機が四月二十五日当日どこに存在していたのかいまだに報告されていないのはゆゆしい問題であります。在日米軍の中東への出動は日米安保条約でさえ認めていないところであり、責任をもって明確にしていただきたい。
第二に、アメリカのイラン干渉問題について、総理は、昨日の答弁で「米側の行動はまだ明らかになっていない」と述べましたが、当時のアメリカCIA長官アレン・ダレスが「モサデク政権にとどめを刺せ、手段を選ばなくてもよい」とカーミット・ルーズベルトに指示し、クーデター推進本部をつくってモサデク政権打倒の策謀を進めていたのであります。当時のアイゼンハワー大統領はCIAなどがシャーの支持者とともに活発に工作していたことを公然と認めていることによっても、国際法に反するアメリカのイランへの内部に対する重大な干渉、介入は明白な歴史的な事実であります。
日本政府は、これまでも、アメリカのベトナム侵略、チリ政権転覆など、数多くの他国への軍事介入、干渉を不問に付してきましたが、総理は、今回もまたイランの国際法違反のみを取り上げて、こうしたアメリカの重大な国際法違反の行動を知らないとして弁護し続けるつもりかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
イランの人質事件は国際法に反するものであります。しかし、これに対抗して同盟国を総動員した政治経済制裁、あるいは軍事行動を進めることは、問題の解決をますます困難にするばかりではありませんか。総理は一体どのようにお考えになっているのか。総理の対米追随外交が、アメリカの干渉政策に反対する中東諸国との真の友好関係確立の道を閉ざし、日本と中東諸国との友好関係確立を妨げるとはお考えにならないのかどうか、所見を求めるものであります。
第三は、イラン原油の供給停止による国民生活への深刻な打撃についてであります。
イラン原油は四月二十一日より入手できなくなっておりますが、政府はイラン原油購入拒否は価格が高いためだと説明しております。しかし、いみじくも伊東官房長官が記者会見で「広い意味では同調の一つ」と表明いたしましたように、これは明らかにECなどに先駆けてアメリカの対イラン制裁のために旗振り役を果たすためにとられた措置にほかならないのではないですか。カーター大統領があなたに感謝を表明したのはそのためではございませんか。わが国エネルギー供給の七割を超える石油のうち一一%が入手できなくなったことは、国民生活に重大な影響があるのであります。
総理、あなたは、この対米同調がわが国のエネルギー問題をきわめて困難な事態に導く危険な道であるということを知っていてあえて選択されたのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
石油について、政府は、備蓄があるから大丈夫だと言っておりますが、石油大企業は、備蓄を取り崩すのではなく、国民への供給を削減することによって事態を乗り切ろうといたしております。イラン原油への依存度一六・七%の大協石油がすでに国内供給削減を決定したと伝えられており、他の石油会社も同様の行動をとると見なければなりません。実際に被害を受けるのは国民ではないでしょうか。七三年の石油パニックの再現さえ予想される事態であります。すでに価格の面でも重大な影響が出ているのであります。
総理、あなたがカーター大統領に表明した「犠牲をも辞さない」というのは、石油供給による国民生活の犠牲を意味するのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
第四に、いわゆる防衛力増強問題についてであります。
カーター米大統領が政府部内の計画の繰り上げ達成を強く要求したことに対して、総理は、真剣に検討すると述べただけで中期業務見積もり自体について約束したわけではないなどと弁明いたしております。しかし、経過を見ますと、昨年八月山下防衛庁長官が訪米した際中期業務見積もりについてブラウン国防長官に説明したことに対し、今年の一月ブラウン長官がその見直しを要求してきたのであり、また、三月に大来外相が訪米したときにもこの繰り上げ達成が問題になったのではありませんか。こうした点から、カーター大統領の今回の要求は中期業務見積もりの早期達成を要求したものと考えると大来外相は明確に述べております。あなたのそれに対して回答されたことが何を意味しているのかは明白ではありませんか。どうしてあなたは国民の前に真実が語れないのか、総理として真相をはっきりとさせていただきたい。
また、首相は、出発前に、中期業務見積もりについて、「防衛庁の内部資料にすぎない」とか、「これを一々取り上げない」とかと明言されていたはずであります。それにもかかわらず、カーターの要求の前になるとなぜ「真剣に検討する」と態度を豹変されたのか、はっきりとお答えをいただきたいのであります。
さらに、総理は、軍事費増大について、赤字公債発行、生活関連投資のカット、それと増税の三つしかないと述べていました。大来外相は、昨日の私の質問に対し、公共投資を削減して軍事費に回す可能性も示唆しておりますが、あなたは一体どの道を選択されようとしているのか、明確にしていただきたいのであります。
私は、アメリカの要求に屈服して国民に犠牲を強い、日本の進路を誤らせるかかる軍事費増強は断じてやめるように強く主張するものであります。
最後に、日本の進むべき道は、軍備増強や軍事ブロック強化の方向ではなく、全般的軍縮、そして平和、中立、非同盟の道でなければならないことを私は重ねて強調するとともに、日米首脳会談で総理が選択した道が八〇年代の日本の進路にとってきわめて危険な選択であったことを厳しく糾弾して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕