本会議
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会
会議録情報#0
昭和五十五年五月十四日(水曜日)
午後一時八分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十四号
昭和五十五年五月十四日
午後一時開議
第一 会期延長の件
第二 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大
臣の帰国報告)
第三 航空業務に関する日本国とニュー・ジー
ランドとの間の協定の締結について承認を求
めるの件(衆議院送付)
第四 航空業務に関する日本国とバングラデ
シュ人民共和国との間の協定の締結について
承認を求めるの件(衆議院送付)
第五 航空業務に関する日本国とフィジーとの
間の協定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第六 航空業務に関する日本国とスペインとの
間の協定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第七 千九百六十九年の船舶のトン数の測度に
関する国際条約の締結について承認を求める
の件(衆議院送付)
第八 千九百二十八年十一月二十二日にパリで
署名された国際博覧会に関する条約を改正す
る議定書の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第九 千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締
結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第一〇 国際連合工業開発機関憲章の締結につ
いて承認を求めるの件(衆議院送付)
第一一 日本国とフィリピン共和国との間の小
包郵便約定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第一二 日本国とフィリピン共和国との間の友
好通商航海条約の締結について承認を求める
の件(衆議院送付)
第一三 石油代替エネルギーの開発及び導入の
促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第一四 昭和四十二年度以後における国家公務
員共済組合等からの年金の額の改定に関する
法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第一五 昭和四十二年度以後における公共企業
体職員等共済組合法に規定する共済組合が支
給する年金の額の改定に関する法律及び公共
企業体職員等共済組合法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第一六 地震保険に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一七 昭和四十四年度以後における私立学校
教職員共済組合からの年金の額の改定に関す
る法律等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第一八 中小企業信用保険法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一九 中小企業倒産防止共済法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二〇 中小企業等協同組合法等の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二一 昭和四十二年度以後における地方公務
員等共済組合法の年金の額の改定等に関する
法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第二二 日本放送協会昭和五十一年度財産目
録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに
関する説明書
第二三 都市再開発法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第二四 外国人登録法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第二五 国際捜査共助法案(内閣提出、衆議院
送付)
第二六 砂糖の価格安定等に関する法律第五条
第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売
戻しについての臨時特例に関する法律の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
第二七 地方自治法第百五十六条第六項の規定
に基づき、農林規格検査所等の設置に関し承
認を求めるの件(衆議院送付)
第二八 農地法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第二九 農業委員会等に関する法律等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三〇 農用地利用増進法案(内閣提出、衆議
院送付)
第三一 遺族年金・扶助料の改善に関する請願
(四件)
第三二 旧陸海軍人等の戦後強制抑留者補償に
関する請願(二件)
第三三 寒冷地手当改善に関する請願
第三四 ソ連強制抑留者に対する恩給法上の抑
留加算改正等に関する請願
第三五 傷病恩給等の改善に関する請願(二十
六件)
第三六 傷病恩給等改善に関する請願(三件)
第三七 戦後強制抑留者補償要求実態調査費予
算計上に関する請願(五件)
第三八 義務教育諸学校の新増設に対する国庫
負担等に関する請願(九件)
第三九 義務教育諸学校教職員定数の改善に関
する請願(二件)
第四〇 青少年健全育成を阻害する有害図書自
動販売機規制等に関する請願(六十四件)
第四一 私学に対する大幅国庫助成等に関する
請願(四件)
第四二 私学助成に関する請願
第四三 私立幼稚園の維持発展と保護者負担の
軽減に関する請願
第四四 教職員の退職勧奨年齢の男女差撤廃に
関する請願
第四五 過疎県の教職員定数確保に関する請願
第四六 産炭地域振興臨時措置法等石炭関係六
法の延長に関する請願(二件)
第四七 絹織物・絹製品輸入一元化立法の即時
制定等に関する請願
第四八 身体障害者に対する地方行政改善に関
する請願(十五件)
第四九 地方事務官制度の廃止に関する請願
第五〇 高校増設のため地方税財政制度改善に
関する請願
第五一 身体障害者に対する郵政行政改善に関
する請願(四件)
第五二 「釣り人課」(仮称)新設に関する請
願(八件)
第五三 農業改良普及事業及び農業試験研究機
関に関する請願(四件)
第五四 農業改良普及事業に関する請願
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、鉄道建設審議会委員の選挙
一、国家公務員等の任命に関する件
一、日程第二より第三〇まで
一、地震防災対策強化地域における地震対策緊
急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関
する法律案(衆議院提出)
一、昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その2)(衆議
院送付)
一、昭和五十三年度特別会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その2)(衆議
院送付)
一、昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条
に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経
費増額調書(その2)(衆議院送付)
一、昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その1)(衆議
院送付)
一、昭和五十四年度特別会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その1)(衆議
院送付)
一、昭和五十四年度特別会計予算総則第十条に
基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費
増額調書(その1)(衆議院送付)
一、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為
総調書(その2)
一、昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為
総調書(その1)
一、日程第三一より第五四までの請願及び国の
保育予算の大幅増額等に関する請願外二百九
十一件の請願
一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
の件
—————・—————
この発言だけを見る →午後一時八分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十四号
昭和五十五年五月十四日
午後一時開議
第一 会期延長の件
第二 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大
臣の帰国報告)
第三 航空業務に関する日本国とニュー・ジー
ランドとの間の協定の締結について承認を求
めるの件(衆議院送付)
第四 航空業務に関する日本国とバングラデ
シュ人民共和国との間の協定の締結について
承認を求めるの件(衆議院送付)
第五 航空業務に関する日本国とフィジーとの
間の協定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第六 航空業務に関する日本国とスペインとの
間の協定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第七 千九百六十九年の船舶のトン数の測度に
関する国際条約の締結について承認を求める
の件(衆議院送付)
第八 千九百二十八年十一月二十二日にパリで
署名された国際博覧会に関する条約を改正す
る議定書の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第九 千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締
結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第一〇 国際連合工業開発機関憲章の締結につ
いて承認を求めるの件(衆議院送付)
第一一 日本国とフィリピン共和国との間の小
包郵便約定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第一二 日本国とフィリピン共和国との間の友
好通商航海条約の締結について承認を求める
の件(衆議院送付)
第一三 石油代替エネルギーの開発及び導入の
促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第一四 昭和四十二年度以後における国家公務
員共済組合等からの年金の額の改定に関する
法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第一五 昭和四十二年度以後における公共企業
体職員等共済組合法に規定する共済組合が支
給する年金の額の改定に関する法律及び公共
企業体職員等共済組合法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第一六 地震保険に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一七 昭和四十四年度以後における私立学校
教職員共済組合からの年金の額の改定に関す
る法律等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第一八 中小企業信用保険法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一九 中小企業倒産防止共済法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二〇 中小企業等協同組合法等の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二一 昭和四十二年度以後における地方公務
員等共済組合法の年金の額の改定等に関する
法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第二二 日本放送協会昭和五十一年度財産目
録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに
関する説明書
第二三 都市再開発法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第二四 外国人登録法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第二五 国際捜査共助法案(内閣提出、衆議院
送付)
第二六 砂糖の価格安定等に関する法律第五条
第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売
戻しについての臨時特例に関する法律の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
第二七 地方自治法第百五十六条第六項の規定
に基づき、農林規格検査所等の設置に関し承
認を求めるの件(衆議院送付)
第二八 農地法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第二九 農業委員会等に関する法律等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三〇 農用地利用増進法案(内閣提出、衆議
院送付)
第三一 遺族年金・扶助料の改善に関する請願
(四件)
第三二 旧陸海軍人等の戦後強制抑留者補償に
関する請願(二件)
第三三 寒冷地手当改善に関する請願
第三四 ソ連強制抑留者に対する恩給法上の抑
留加算改正等に関する請願
第三五 傷病恩給等の改善に関する請願(二十
六件)
第三六 傷病恩給等改善に関する請願(三件)
第三七 戦後強制抑留者補償要求実態調査費予
算計上に関する請願(五件)
第三八 義務教育諸学校の新増設に対する国庫
負担等に関する請願(九件)
第三九 義務教育諸学校教職員定数の改善に関
する請願(二件)
第四〇 青少年健全育成を阻害する有害図書自
動販売機規制等に関する請願(六十四件)
第四一 私学に対する大幅国庫助成等に関する
請願(四件)
第四二 私学助成に関する請願
第四三 私立幼稚園の維持発展と保護者負担の
軽減に関する請願
第四四 教職員の退職勧奨年齢の男女差撤廃に
関する請願
第四五 過疎県の教職員定数確保に関する請願
第四六 産炭地域振興臨時措置法等石炭関係六
法の延長に関する請願(二件)
第四七 絹織物・絹製品輸入一元化立法の即時
制定等に関する請願
第四八 身体障害者に対する地方行政改善に関
する請願(十五件)
第四九 地方事務官制度の廃止に関する請願
第五〇 高校増設のため地方税財政制度改善に
関する請願
第五一 身体障害者に対する郵政行政改善に関
する請願(四件)
第五二 「釣り人課」(仮称)新設に関する請
願(八件)
第五三 農業改良普及事業及び農業試験研究機
関に関する請願(四件)
第五四 農業改良普及事業に関する請願
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、鉄道建設審議会委員の選挙
一、国家公務員等の任命に関する件
一、日程第二より第三〇まで
一、地震防災対策強化地域における地震対策緊
急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関
する法律案(衆議院提出)
一、昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その2)(衆議
院送付)
一、昭和五十三年度特別会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その2)(衆議
院送付)
一、昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条
に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経
費増額調書(その2)(衆議院送付)
一、昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その1)(衆議
院送付)
一、昭和五十四年度特別会計予備費使用総調書
及び各省各庁所管使用調書(その1)(衆議
院送付)
一、昭和五十四年度特別会計予算総則第十条に
基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費
増額調書(その1)(衆議院送付)
一、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為
総調書(その2)
一、昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為
総調書(その1)
一、日程第三一より第五四までの請願及び国の
保育予算の大幅増額等に関する請願外二百九
十一件の請願
一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
の件
—————・—————
安
安井謙#1
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
日程第一 会期延長の件
議長は、今期国会の会期を来る二十七日まで九日間延長いたしたいと存じます。
会期を九日間延長することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
この発言だけを見る →日程第一 会期延長の件
議長は、今期国会の会期を来る二十七日まで九日間延長いたしたいと存じます。
会期を九日間延長することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
安
安
中
野
安
安
安
安井謙#8
○議長(安井謙君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
内閣から、科学技術会議議員に岡本道雄君、山下勇君を、
国家公安委員会委員に橘善守君を、
公害等調整委員会委員に大橋進君、宮崎隆夫君を、
社会保険審査会委員に河野共之君を、
漁港審議会委員に青木和夫君、及川孝平君、岡部保君、喜多條瑞穂君、坂本富雄君、瀬尾五一君、高平米雄君、竹鼻三雄君、茶谷一男君を、
運輸審議会委員に内藤良平君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
まず、科学技術会議議員、国家公安委員会委員の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
この発言だけを見る →内閣から、科学技術会議議員に岡本道雄君、山下勇君を、
国家公安委員会委員に橘善守君を、
公害等調整委員会委員に大橋進君、宮崎隆夫君を、
社会保険審査会委員に河野共之君を、
漁港審議会委員に青木和夫君、及川孝平君、岡部保君、喜多條瑞穂君、坂本富雄君、瀬尾五一君、高平米雄君、竹鼻三雄君、茶谷一男君を、
運輸審議会委員に内藤良平君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
まず、科学技術会議議員、国家公安委員会委員の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
安
安
安井謙#10
○議長(安井謙君) 次に、公害等調整委員会委員、社会保険審査会委員、漁港審議会委員、運輸審議会委員の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
この発言だけを見る →内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
安
安
安井謙#12
○議長(安井謙君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大臣の帰国報告)
内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。大平内閣総理大臣。
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。大平内閣総理大臣。
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
大
大平正芳#13
○国務大臣(大平正芳君) 私は、四月三十日から五月七日まで、大来外務大臣を伴い、米国、メキシコ及びカナダを訪問いたしました。さらに、カナダ訪問への途次、チトー大統領の計報に接したため、五月八日ユーゴスラビアに赴き同大統領の国葬に参列し、帰路九日にはシュミット首相と会談するため西独を訪問し、十一日帰国いたしました。
米国におきましては、五月一日、カーター大統領と会談したほか、米国議会指導者と懇談いたしました。申すまでもなく、日米間にはあらゆるチャンネルを通じて不断に緊密な連絡がありますが、現在の厳しい国際情勢のもとではさらに十分な意見交換を行い、重要な国際的問題に対処していくことが緊要であると考えます。
カーター大統領との会談の中心は、今日の情勢を反映して、イラン、アフガニスタン問題でありました。この二つの問題は、性質を異にしておりますが、いずれも基本的な国際秩序に対する重大な脅威であります。これらの問題に対して、両者は、国際社会全体が協調して対処することが肝要であるとの点で意見の一致を見ました。
米側からは、わが国のこれまでとってきたこの二つの問題に対する措置を高く評価するとの発言がありました。当方からは、今後とも、米国の友邦としてのみならず、国際社会の一員として、これらの問題の早期解決のため、EC諸国等とも協力しつつ、可能な限り努力を続けてまいる所存である旨明らかにいたしました。
私から、大統領に対し、イランの人質問題については、米国があくまでも忍耐強く自制し、その平和的解決を図るよう率直に要望したのに対し、大統領は、同感の意を表しつつ、そのためにも友邦諸国の一層の協力が必要であることを指摘しました。
両者は、難民問題が国際社会全体にとってなお深刻な問題であり、今後とも引き続き協力して対処する必要があるとの認識で一致しました。
また、朝鮮半島情勢及び中国との関係についても有益な意見交換を行いました。
わが国の防衛力の問題については、大統領より、これまでのわが国のこの面での努力を多とし、また、日本の国内的制約を理解しつつも、今後の一層の努力がアジアの平和と安定のために有益であるとの見解の表明がありました。私からは、わが国の国内的制約に対する米側の理解を多とするとともに、わが国としても最近の国際情勢に照らし、防衛力整備の必要性が高まっていることについてはよく認識しており、今後とも自主的に一層の努力を続ける決意である旨述べました。
また、私は、広い意味での安全保障確保のため、わが国がこれまでも経済技術援助を通じ、アジアの政治的、経済的安定に資すべく努力してきたこと、及びこれからも一層その努力を強めていく考えであることを説明いたしました。
また、ベニス・サミットの関連では、エネルギー問題等につき、日米間はもとより、国際的な協調を強めることが重要であるとの点で一致しました。
日米貿易経済関係については、双方が自由貿易を堅持することの重要性を再確認の上、米側より自動車及び政府調達問題について言及がありました。これらの問題につき、両者は、すでに日米関係当局の間で問題の所在に対する理解とその対応についての話し合いが相当に進んでおり、なるべく早く双方にとり納得のいく解決を図るべきことで意見の一致を見ました。
なお、今次訪米を機会に、私と大統領は、科学技術における研究開発のための協力に関する協定に署名いたしました。昨年署名されましたエネルギー分野での協力協定と相まちまして、ここに日米両国の科学技術分野全般について協力体制が整うことになりました。
私は、訪米中、上下両院議員とそれぞれ懇談の機会を持ち、当面の国際問題、日米二国間の経済問題等につき率直な意見の交換を行いましたが、これは国会レベルにおける相互理解を深めるに役立ったものと信じております。
私は、五月一日より四日までメキシコを公式訪問し、ロペス・ポルティーリョ大統領と二度にわたって会談いたしました。
私は、伝統的に友好的な日墨関係は、メキシコの政治的安定と経済的発展を通じて今後一層重要になるものと確信いたしております。
今度の大統領との会談では、かかる認識のもとに、政治、経済、文化等の幅広い分野での日墨間の協力を協議するとともに、現下の国際情勢について率直な意見交換を行いました。そして、今次訪墨の機会に、両国間の相互理解を一層促進するため、日墨友好基金に百万ドル相当の贈与を行うとの意図を表明いたしました。
また、メキシコが高い優先度を置いている鉄鋼プロジェクトに対し、わが国が誠実に協力していくため交渉をなるべく早く進めることとするとともに、その他の分野における協力方についても探究していく旨を明らかにいたしました。
さらに、私は、メキシコ原油の対日輸出決定とその開始についての大統領の英断に敬意を表するとともに、一九八二年までに一日当たり三十万バレルにまで増量することについてのわが方の希望と期待を表明いたしました。これに対し、大統領は、政治的決意と善意をもって配慮するとの意向を示されました。
今次訪問は、日墨関係を、長期的な観点に立ち、かつ幅広い基盤の上に、より一層緊密化していくための重要な契機となったものと考えております。
次いで、私は、五月四日から七日までカナダを公式訪問し、トルドー首相と二度にわたり会談したほか、カナダ連邦議会において日加関係の展望につき所見を述べる機会を持つことができました。
トルドー首相との会談におきましては、国際間及び二国間の主要な問題につき広範かつ率直な話し合いを行いました。
国際情勢については、イラン、アフガニスタン問題及びカンボジアにおける紛争等、国際不安が高まっていることを憂慮し、国際平和の確保のため日加両国があらゆる可能な努力を払ってまいることで意見の一致を見ました。
二国間問題のうち、経済問題につきましては、両者は、年々発展を記録しつつある日加貿易経済関係を一層拡大し、かつ多角化していくとの決意を新たにいたしました。このため、民間レベルでの接触と相まって、政府間におきましても、日加経済協力合同委員会等の場を活用し、十分な話し合いを続けていくことに意見の一致を見ました。
また、民間において具体化しつつある二国間の石炭その他エネルギー開発の交渉を歓迎し、それを促進することについての話し合いも有益でありました。
さらに、日加外務大臣間の定期協議を開始すること等により、日加関係をより広い基盤の上に緊密化を図る必要性について完全な意見の一致を見ました。
私のカナダ訪問は、近年特に貿易経済関係を中心に急速な発展を遂げてきた日加関係がさらに政治、文化、科学等の分野で多面かつ立体的な発展を遂げていくための重要な契機になったものと考えております。
メキシコからカナダに向かう機中において私はチトー・ユーゴスラビア大統領の訃報に接しました。よって、私は、八日、ベルグラードに赴き、故大統領の国葬に参列いたしました。
故大統領は、ユーゴスラビアの偉大な指導者であったのみならず、九十カ国を超える非同盟運動の創始者として世界の平和と安定の維持に大きく貢献してこられた二十世紀最後の偉大でありました。
国葬は、八日、歴史的な指導者の逝去を悼むにふさわしく、百カ国以上の諸国首脳の参列を得て盛大かつ厳粛にとり行われました。私は、これら諸国首脳とともに故チトー大統領の御冥福を祈るとともに、ユーゴスラビアの新指導者及び国民に対し深甚なる哀悼の意を表しました。
また、私は、ジュラノビッチ・ユーゴスラビア首相と会談し、同首相から、今後とも故チトー大統領の遺志を継いで独立・非同盟路線を堅持するとともに、日本との友好関係を引き続き深めていきたいとの決意を伺い、意を強くした次第であります。
さらに、私は、今回のベルグラード訪問の機会に、華国鋒中国総理と会談したほか、ガンジー・インド首相、ラーマン・バングラデシュ大統領等と意見を交換し、その他数多くの指導者と接触し、あいさつを交わす機会を得ました。
最後に、私は、かねてよりのシュミット首相の招待により、八日から十日まで西独を訪問し、同首相を初め、同政府指導者と一連の会談を行いました。
これら会談においては、私から米国、メキシコ、カナダ三国歴訪について説明を行ったほか、イラン、アフガニスタン問題を初めとする現下の国際政治問題、ベニス・サミットを中心とする国際経済問題、その他両国が共通の関心を有する諸問題につき忌憚のない意見交換を行いました。
私は、今次一連の会談を通じ、日独両国間のみならず、日欧間における対話と協調の関係をさらに強めることができたものと確信しております。
最後に、私は、今回の各国訪問を通じ、いまや国際社会が容易ならぬ政治的、経済的困難に直面しており、いかなる国もその影響から免れ得ないこと、また、その困難を緩和ないし克服するための共同の努力に対しわが国の積極的な寄与が各国から強く期待されていることを痛感いたしました。同時に、わが国は、国際社会の名誉あるかつ有力なる一員として、友邦各国と協力しつつ、広く世界の安定と繁栄に一層建設的な貢献を行わねばならないとの決意を新たにいたした次第であります。
右御報告申し上げます。拍手
この発言だけを見る →米国におきましては、五月一日、カーター大統領と会談したほか、米国議会指導者と懇談いたしました。申すまでもなく、日米間にはあらゆるチャンネルを通じて不断に緊密な連絡がありますが、現在の厳しい国際情勢のもとではさらに十分な意見交換を行い、重要な国際的問題に対処していくことが緊要であると考えます。
カーター大統領との会談の中心は、今日の情勢を反映して、イラン、アフガニスタン問題でありました。この二つの問題は、性質を異にしておりますが、いずれも基本的な国際秩序に対する重大な脅威であります。これらの問題に対して、両者は、国際社会全体が協調して対処することが肝要であるとの点で意見の一致を見ました。
米側からは、わが国のこれまでとってきたこの二つの問題に対する措置を高く評価するとの発言がありました。当方からは、今後とも、米国の友邦としてのみならず、国際社会の一員として、これらの問題の早期解決のため、EC諸国等とも協力しつつ、可能な限り努力を続けてまいる所存である旨明らかにいたしました。
私から、大統領に対し、イランの人質問題については、米国があくまでも忍耐強く自制し、その平和的解決を図るよう率直に要望したのに対し、大統領は、同感の意を表しつつ、そのためにも友邦諸国の一層の協力が必要であることを指摘しました。
両者は、難民問題が国際社会全体にとってなお深刻な問題であり、今後とも引き続き協力して対処する必要があるとの認識で一致しました。
また、朝鮮半島情勢及び中国との関係についても有益な意見交換を行いました。
わが国の防衛力の問題については、大統領より、これまでのわが国のこの面での努力を多とし、また、日本の国内的制約を理解しつつも、今後の一層の努力がアジアの平和と安定のために有益であるとの見解の表明がありました。私からは、わが国の国内的制約に対する米側の理解を多とするとともに、わが国としても最近の国際情勢に照らし、防衛力整備の必要性が高まっていることについてはよく認識しており、今後とも自主的に一層の努力を続ける決意である旨述べました。
また、私は、広い意味での安全保障確保のため、わが国がこれまでも経済技術援助を通じ、アジアの政治的、経済的安定に資すべく努力してきたこと、及びこれからも一層その努力を強めていく考えであることを説明いたしました。
また、ベニス・サミットの関連では、エネルギー問題等につき、日米間はもとより、国際的な協調を強めることが重要であるとの点で一致しました。
日米貿易経済関係については、双方が自由貿易を堅持することの重要性を再確認の上、米側より自動車及び政府調達問題について言及がありました。これらの問題につき、両者は、すでに日米関係当局の間で問題の所在に対する理解とその対応についての話し合いが相当に進んでおり、なるべく早く双方にとり納得のいく解決を図るべきことで意見の一致を見ました。
なお、今次訪米を機会に、私と大統領は、科学技術における研究開発のための協力に関する協定に署名いたしました。昨年署名されましたエネルギー分野での協力協定と相まちまして、ここに日米両国の科学技術分野全般について協力体制が整うことになりました。
私は、訪米中、上下両院議員とそれぞれ懇談の機会を持ち、当面の国際問題、日米二国間の経済問題等につき率直な意見の交換を行いましたが、これは国会レベルにおける相互理解を深めるに役立ったものと信じております。
私は、五月一日より四日までメキシコを公式訪問し、ロペス・ポルティーリョ大統領と二度にわたって会談いたしました。
私は、伝統的に友好的な日墨関係は、メキシコの政治的安定と経済的発展を通じて今後一層重要になるものと確信いたしております。
今度の大統領との会談では、かかる認識のもとに、政治、経済、文化等の幅広い分野での日墨間の協力を協議するとともに、現下の国際情勢について率直な意見交換を行いました。そして、今次訪墨の機会に、両国間の相互理解を一層促進するため、日墨友好基金に百万ドル相当の贈与を行うとの意図を表明いたしました。
また、メキシコが高い優先度を置いている鉄鋼プロジェクトに対し、わが国が誠実に協力していくため交渉をなるべく早く進めることとするとともに、その他の分野における協力方についても探究していく旨を明らかにいたしました。
さらに、私は、メキシコ原油の対日輸出決定とその開始についての大統領の英断に敬意を表するとともに、一九八二年までに一日当たり三十万バレルにまで増量することについてのわが方の希望と期待を表明いたしました。これに対し、大統領は、政治的決意と善意をもって配慮するとの意向を示されました。
今次訪問は、日墨関係を、長期的な観点に立ち、かつ幅広い基盤の上に、より一層緊密化していくための重要な契機となったものと考えております。
次いで、私は、五月四日から七日までカナダを公式訪問し、トルドー首相と二度にわたり会談したほか、カナダ連邦議会において日加関係の展望につき所見を述べる機会を持つことができました。
トルドー首相との会談におきましては、国際間及び二国間の主要な問題につき広範かつ率直な話し合いを行いました。
国際情勢については、イラン、アフガニスタン問題及びカンボジアにおける紛争等、国際不安が高まっていることを憂慮し、国際平和の確保のため日加両国があらゆる可能な努力を払ってまいることで意見の一致を見ました。
二国間問題のうち、経済問題につきましては、両者は、年々発展を記録しつつある日加貿易経済関係を一層拡大し、かつ多角化していくとの決意を新たにいたしました。このため、民間レベルでの接触と相まって、政府間におきましても、日加経済協力合同委員会等の場を活用し、十分な話し合いを続けていくことに意見の一致を見ました。
また、民間において具体化しつつある二国間の石炭その他エネルギー開発の交渉を歓迎し、それを促進することについての話し合いも有益でありました。
さらに、日加外務大臣間の定期協議を開始すること等により、日加関係をより広い基盤の上に緊密化を図る必要性について完全な意見の一致を見ました。
私のカナダ訪問は、近年特に貿易経済関係を中心に急速な発展を遂げてきた日加関係がさらに政治、文化、科学等の分野で多面かつ立体的な発展を遂げていくための重要な契機になったものと考えております。
メキシコからカナダに向かう機中において私はチトー・ユーゴスラビア大統領の訃報に接しました。よって、私は、八日、ベルグラードに赴き、故大統領の国葬に参列いたしました。
故大統領は、ユーゴスラビアの偉大な指導者であったのみならず、九十カ国を超える非同盟運動の創始者として世界の平和と安定の維持に大きく貢献してこられた二十世紀最後の偉大でありました。
国葬は、八日、歴史的な指導者の逝去を悼むにふさわしく、百カ国以上の諸国首脳の参列を得て盛大かつ厳粛にとり行われました。私は、これら諸国首脳とともに故チトー大統領の御冥福を祈るとともに、ユーゴスラビアの新指導者及び国民に対し深甚なる哀悼の意を表しました。
また、私は、ジュラノビッチ・ユーゴスラビア首相と会談し、同首相から、今後とも故チトー大統領の遺志を継いで独立・非同盟路線を堅持するとともに、日本との友好関係を引き続き深めていきたいとの決意を伺い、意を強くした次第であります。
さらに、私は、今回のベルグラード訪問の機会に、華国鋒中国総理と会談したほか、ガンジー・インド首相、ラーマン・バングラデシュ大統領等と意見を交換し、その他数多くの指導者と接触し、あいさつを交わす機会を得ました。
最後に、私は、かねてよりのシュミット首相の招待により、八日から十日まで西独を訪問し、同首相を初め、同政府指導者と一連の会談を行いました。
これら会談においては、私から米国、メキシコ、カナダ三国歴訪について説明を行ったほか、イラン、アフガニスタン問題を初めとする現下の国際政治問題、ベニス・サミットを中心とする国際経済問題、その他両国が共通の関心を有する諸問題につき忌憚のない意見交換を行いました。
私は、今次一連の会談を通じ、日独両国間のみならず、日欧間における対話と協調の関係をさらに強めることができたものと確信しております。
最後に、私は、今回の各国訪問を通じ、いまや国際社会が容易ならぬ政治的、経済的困難に直面しており、いかなる国もその影響から免れ得ないこと、また、その困難を緩和ないし克服するための共同の努力に対しわが国の積極的な寄与が各国から強く期待されていることを痛感いたしました。同時に、わが国は、国際社会の名誉あるかつ有力なる一員として、友邦各国と協力しつつ、広く世界の安定と繁栄に一層建設的な貢献を行わねばならないとの決意を新たにいたした次第であります。
右御報告申し上げます。拍手
安
藤
藤田正明#15
○藤田正明君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、総理の帰国報告について若干の質問をいたします。
今回の大平総理の三国首脳との会談は、わが国国会の連休期間を利用されてのあわただしい日程でありましたが、世界の諸情勢が激しく動いておる時期に行われた首脳会談でもあり、国民も関係各国も強い関心をもって見守っていた首脳会談でありました。
総理は、この三カ国のみならず、不幸な出来事でありましたけれどもチトー・ユーゴスラビア大統領の国葬にも参列され、二十数カ国の首脳とも時間の多少はありましょうけれども交流を持たれたことは、今後の国際的な行事にあってもよい機会を持たれたものと思います。
さて、それらの国々において総理は大変な歓迎を受けられたようであります。アメリカにおける総理の上院、下院の訪問におきましては、アメリカの上院、下院においては立ち上がって拍手をもって迎えるということは近年ないそうであります。どこの国の首班が行きましてもそういうことはないそうでありますけれども、総理に対しましては、立ち上がり、大変な拍手をもって迎えたということでございます。総理の演説に対しましてもしばし拍手が鳴りやまなかったということで、歴代日本の総理の中で、アメリカの上院、下院でこれほどの歓迎を受けた日本の総理はなかったと言われております。
カナダ下院における「日加関係の展望」と題するフランス語を交えた演説では熱狂的な拍手を受けられたと伝え聞いております。非公式に訪問された西ドイツにおいてもしかりであります。
どうも、大平総理は、日本国内における人気よりも、外国に行かれたときの人気の方が数段よいような気がいたします。これは経済大国日本に寄せる期待であり、それが代表者大平総理に対する熱烈なる歓迎となってあらわれたものでありましょう。
しからば、その期待とは何か。私は、世界の各国、特に自由主義諸国においては、日本に期待しているのは、その国際的な役割り、応分の負担とその責任を求めていると思います。それは、単に経済的な援助だけではない、一言で言えば日本がいかに世界の平和と安定繁栄のために行動してくれるかということでありましょう。
わが国は、つとに経済大国としての責任と役割りを果たすべく、開発途上国に対する経済援助を拡大してまいりましたが、いまやわが国は、単に経済分野においてのみならず、政治、外交上の分野においてもわが国にふさわしい役割りを果たすことが必要であります。また、それを世界の各国が日本に対して期待しているところでもありましょう。
この観点から重要なのは、わが国みずからの防衛であります。国際情勢を正しく踏まえ、財政事情、国内世論を考慮に入れつつ、わが国がみずからの防衛に責任ある態度をとることは、わが国としてまず果たすべき国際的な義務と言っても過言ではないのであります。
イラン、アフガン問題を初めとして、現下の国際情勢にはまことに厳しいものがあります。このような時代にあって、わが国自身の自由と安全を確保し、また、世界全体の平和と安寧を維持していくためには、わが国としてみずからの国益を十分踏まえた上で、いま述べたような国際責任を果たすことが特に肝要と考えるのであります。
以上申し上げました点につきまして、まず総理の御見解をお伺いいたします。
次に、総理の今般の諸国歴訪に関し、二、三質問を申し上げたいと存じます。
第一は、わが国が他の友好諸国、特に先進民主主義諸国と協調しつつ国際責任を果たしていくべきであるという点に関連してでありますが、総理が今次外国訪問においてアメリカ、カナダ、西ドイツ等の先進民主主義諸国指導者と国際情勢について非常に密度のある話をされたという報告をただいま承りました。どのような話をこれらの指導者とせられたのか、そして、これらの指導者との意見交換を通じまして、総理は今後わが国がとるべき外交的進路についてどのような認識を得られたのか、御説明をいただきたいと存じます。
次に、ここ数年間の国際軍事情勢の流れを見ると、ソ連軍事力の急速な増強の結果、米国軍事力の相対的な低下が目立っており、いまや米国は、軍事力においてかつてのごとく絶対優位の態勢を維持することはまことに困難となっております。
これに対して、米国は、みずからも軍事力の増強に踏み出しつつも、西欧、日本などの友好諸国の協力にも期待を強めており、いわゆるスイング戦略を打ち出しております。この結果、将来戦火が極東に波及した場合には、米軍の対応能力はかなり弱まっていることを日本としても覚悟せねばなりません。現下の国際情勢はこのように流動的であり、わが国にとって厳しさを増しつつあると考えるものでありますが、総理は、このたびのカーター大統領との会談においてこの点につきどのような御認識を持たれたのか、また、西ドイツ・シュミット首相との会談においてもこのような世界情勢についてどのような会話が行われたのか、あわせてお伺いしたいのであります。
次に、総理の今回の外国訪問の中で特に国民が注目しておったのは、日米首脳会談においてのカーター大統領とのやりとりであります。日米関係がわが国外交の基本にあることは論をまちません。総理は、カーター大統領の防衛力増強の要求に対し、「同盟国として何をしていくべきかを真剣に検討していきたい」と答えられ、さらに、総理は、「アメリカが同盟国の協力を一番求めているときに、それにこたえないといけない。同盟国とはそういうものだ」と言われたと聞いております。アメリカはわが国の最も重要な友邦であることは信じて疑いません。けれども、果たしてアメリカの同盟国と呼べるのかどうか。日米安保条約は同盟条約に変質しているとの声もありますが、この点はどうなのか、総理の認識を承りたいと存じます。
日米首脳会談終了後に、ホワイトハウスの南庭で、総理は、「われわれは必要とされる場合に、また危機に当たって、お互いが必要とする支援を必ず差し伸べるでしょう」と発言されておりますが、これはかかる同盟関係の内容を表現したものと解すべきなのか、御説明を得たいと思います。
最後にお伺いいたしますが、今回の一連の首脳会談は、緊迫した国際情勢の中でわが国が国際正義の立場に立って平和的かつ効果的にこれを打開するためにも、また、わが国最大の課題でありますところのエネルギー確保のためにも、きわめて有意義であったことは申すまでもありません。これに対して、野党の一部を初めとする左翼勢力が、今回の日米首脳会談の結果を、単に日米軍事同盟の強化とかわが国の軍事大国化を目指すものとしていわれのない中傷を加えて、国の存立の基盤とも言える外交・防衛政策を参院選挙における大平内閣攻撃のための党利党略的な材料としてもてあそぶがごとき一部野党の態度は、断じて容認することはできないのであります。
国の安全と平和を保障し、国民の生命、財産を守ることは、国家として最高の責任であります。そのために、みずからの国はみずから守る自衛力の充実とあわせて、政治体制の一致する国との相互防衛体制を整え、他国の侵略を未然に防止することは、世界の現実であります。
日米安全保障体制を解消して中立政策をとり、また、自衛隊を改組縮小、あるいは廃止すれば、わが国が他国から侵略される心配はないなどという主張が空理空論にすぎないことは、非同盟諸国の中の一員であったアフガニスタンが突如としてソ連軍の侵略を受け、たちまちにしてその支配下に置かれている事実が何よりもこれをはっきりと証明いたしております。
私は、かかる世界の歴史と現実を十分踏まえ、わが国が国力、国情に応じて自主的に防衛力を整備充実し、日米安全保障体制を堅持することは当然の責務と考えるものであります。大多数の国民もまたこれを強く支持し、理解しているものと確信いたしております。
私は、この際、大平総理が改めてわが国の安全保障政策はどうあるべきか、国の財政事情と防衛費予算とをどう調和させるか、中期業務見積もりをどう位置づけ、その作業をどう進めるかといった方針を国民の前に明らかにし、その合意を取りつけるべきであると思うのであります。総理の御所信を承りたいと存じます。
以上をもって私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →今回の大平総理の三国首脳との会談は、わが国国会の連休期間を利用されてのあわただしい日程でありましたが、世界の諸情勢が激しく動いておる時期に行われた首脳会談でもあり、国民も関係各国も強い関心をもって見守っていた首脳会談でありました。
総理は、この三カ国のみならず、不幸な出来事でありましたけれどもチトー・ユーゴスラビア大統領の国葬にも参列され、二十数カ国の首脳とも時間の多少はありましょうけれども交流を持たれたことは、今後の国際的な行事にあってもよい機会を持たれたものと思います。
さて、それらの国々において総理は大変な歓迎を受けられたようであります。アメリカにおける総理の上院、下院の訪問におきましては、アメリカの上院、下院においては立ち上がって拍手をもって迎えるということは近年ないそうであります。どこの国の首班が行きましてもそういうことはないそうでありますけれども、総理に対しましては、立ち上がり、大変な拍手をもって迎えたということでございます。総理の演説に対しましてもしばし拍手が鳴りやまなかったということで、歴代日本の総理の中で、アメリカの上院、下院でこれほどの歓迎を受けた日本の総理はなかったと言われております。
カナダ下院における「日加関係の展望」と題するフランス語を交えた演説では熱狂的な拍手を受けられたと伝え聞いております。非公式に訪問された西ドイツにおいてもしかりであります。
どうも、大平総理は、日本国内における人気よりも、外国に行かれたときの人気の方が数段よいような気がいたします。これは経済大国日本に寄せる期待であり、それが代表者大平総理に対する熱烈なる歓迎となってあらわれたものでありましょう。
しからば、その期待とは何か。私は、世界の各国、特に自由主義諸国においては、日本に期待しているのは、その国際的な役割り、応分の負担とその責任を求めていると思います。それは、単に経済的な援助だけではない、一言で言えば日本がいかに世界の平和と安定繁栄のために行動してくれるかということでありましょう。
わが国は、つとに経済大国としての責任と役割りを果たすべく、開発途上国に対する経済援助を拡大してまいりましたが、いまやわが国は、単に経済分野においてのみならず、政治、外交上の分野においてもわが国にふさわしい役割りを果たすことが必要であります。また、それを世界の各国が日本に対して期待しているところでもありましょう。
この観点から重要なのは、わが国みずからの防衛であります。国際情勢を正しく踏まえ、財政事情、国内世論を考慮に入れつつ、わが国がみずからの防衛に責任ある態度をとることは、わが国としてまず果たすべき国際的な義務と言っても過言ではないのであります。
イラン、アフガン問題を初めとして、現下の国際情勢にはまことに厳しいものがあります。このような時代にあって、わが国自身の自由と安全を確保し、また、世界全体の平和と安寧を維持していくためには、わが国としてみずからの国益を十分踏まえた上で、いま述べたような国際責任を果たすことが特に肝要と考えるのであります。
以上申し上げました点につきまして、まず総理の御見解をお伺いいたします。
次に、総理の今般の諸国歴訪に関し、二、三質問を申し上げたいと存じます。
第一は、わが国が他の友好諸国、特に先進民主主義諸国と協調しつつ国際責任を果たしていくべきであるという点に関連してでありますが、総理が今次外国訪問においてアメリカ、カナダ、西ドイツ等の先進民主主義諸国指導者と国際情勢について非常に密度のある話をされたという報告をただいま承りました。どのような話をこれらの指導者とせられたのか、そして、これらの指導者との意見交換を通じまして、総理は今後わが国がとるべき外交的進路についてどのような認識を得られたのか、御説明をいただきたいと存じます。
次に、ここ数年間の国際軍事情勢の流れを見ると、ソ連軍事力の急速な増強の結果、米国軍事力の相対的な低下が目立っており、いまや米国は、軍事力においてかつてのごとく絶対優位の態勢を維持することはまことに困難となっております。
これに対して、米国は、みずからも軍事力の増強に踏み出しつつも、西欧、日本などの友好諸国の協力にも期待を強めており、いわゆるスイング戦略を打ち出しております。この結果、将来戦火が極東に波及した場合には、米軍の対応能力はかなり弱まっていることを日本としても覚悟せねばなりません。現下の国際情勢はこのように流動的であり、わが国にとって厳しさを増しつつあると考えるものでありますが、総理は、このたびのカーター大統領との会談においてこの点につきどのような御認識を持たれたのか、また、西ドイツ・シュミット首相との会談においてもこのような世界情勢についてどのような会話が行われたのか、あわせてお伺いしたいのであります。
次に、総理の今回の外国訪問の中で特に国民が注目しておったのは、日米首脳会談においてのカーター大統領とのやりとりであります。日米関係がわが国外交の基本にあることは論をまちません。総理は、カーター大統領の防衛力増強の要求に対し、「同盟国として何をしていくべきかを真剣に検討していきたい」と答えられ、さらに、総理は、「アメリカが同盟国の協力を一番求めているときに、それにこたえないといけない。同盟国とはそういうものだ」と言われたと聞いております。アメリカはわが国の最も重要な友邦であることは信じて疑いません。けれども、果たしてアメリカの同盟国と呼べるのかどうか。日米安保条約は同盟条約に変質しているとの声もありますが、この点はどうなのか、総理の認識を承りたいと存じます。
日米首脳会談終了後に、ホワイトハウスの南庭で、総理は、「われわれは必要とされる場合に、また危機に当たって、お互いが必要とする支援を必ず差し伸べるでしょう」と発言されておりますが、これはかかる同盟関係の内容を表現したものと解すべきなのか、御説明を得たいと思います。
最後にお伺いいたしますが、今回の一連の首脳会談は、緊迫した国際情勢の中でわが国が国際正義の立場に立って平和的かつ効果的にこれを打開するためにも、また、わが国最大の課題でありますところのエネルギー確保のためにも、きわめて有意義であったことは申すまでもありません。これに対して、野党の一部を初めとする左翼勢力が、今回の日米首脳会談の結果を、単に日米軍事同盟の強化とかわが国の軍事大国化を目指すものとしていわれのない中傷を加えて、国の存立の基盤とも言える外交・防衛政策を参院選挙における大平内閣攻撃のための党利党略的な材料としてもてあそぶがごとき一部野党の態度は、断じて容認することはできないのであります。
国の安全と平和を保障し、国民の生命、財産を守ることは、国家として最高の責任であります。そのために、みずからの国はみずから守る自衛力の充実とあわせて、政治体制の一致する国との相互防衛体制を整え、他国の侵略を未然に防止することは、世界の現実であります。
日米安全保障体制を解消して中立政策をとり、また、自衛隊を改組縮小、あるいは廃止すれば、わが国が他国から侵略される心配はないなどという主張が空理空論にすぎないことは、非同盟諸国の中の一員であったアフガニスタンが突如としてソ連軍の侵略を受け、たちまちにしてその支配下に置かれている事実が何よりもこれをはっきりと証明いたしております。
私は、かかる世界の歴史と現実を十分踏まえ、わが国が国力、国情に応じて自主的に防衛力を整備充実し、日米安全保障体制を堅持することは当然の責務と考えるものであります。大多数の国民もまたこれを強く支持し、理解しているものと確信いたしております。
私は、この際、大平総理が改めてわが国の安全保障政策はどうあるべきか、国の財政事情と防衛費予算とをどう調和させるか、中期業務見積もりをどう位置づけ、その作業をどう進めるかといった方針を国民の前に明らかにし、その合意を取りつけるべきであると思うのであります。総理の御所信を承りたいと存じます。
以上をもって私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
大
大平正芳#16
○国務大臣(大平正芳君) 藤田さんにお答えいたします。
第一の御質問は、世界のわが国に対する期待は単に経済的な援助だけではなく、わが国の力量にふさわしい政治的、外交的貢献でなければならない、防衛面におきましてもそれにふさわしい防衛体制の確立でなければならぬと思うがどうかという御質問でございました。
御指摘のとおり、わが国の国際的な比重は年とともに高まってまいっております。わが国に対する国際社会の期待はますます強まりつつあるように私も認識をいたしております。わが国といたしましては、仰せのように、経済面のみならず、政治、外交面におきましてもその国際的地位にふさわしい責任と役割りを果たしていかなければならぬと考えております。防衛面におきましても、日米安保条約の持つ抑止力を背景としながら、自衛のために必要な限度において質の高い防衛力の整備に努めまして、わが国にふさわしい防衛体制の確立を図ってまいる必要があると考えております。
第二の御質問は、米国、カナダ、西独等の先進民主主義諸国の指導者と国際情勢についてどのような話をしたか、そして、そういう話を通じましてわが国の外交の進路についてどういう認識を強めたかという意味の御質問でございました。
第一の話の内容でございますが、ただいま御報告申し上げましたように、各国首脳との間でイラン問題、アフガニスタン問題を中心に意見の交換を行いましたが、この二つの問題は、性質は違っておりますけれども、基本的な国際秩序に対する脅威でございまして、先進民主主義諸国が一致協力してこれに当たる必要があるということで意見の一致を見たわけでございます。また、その事態に対応するために一層国際的な協調関係が必要であるという認識においても一致いたしたわけでございます。これらのことは、わが国がこのような国際的な行動を通じまして今後みずからの自由と安全を確保しながら国際社会全体の平和と安定に寄与していくというわが国の外交進路に沿ったものであると私は考えております。
第三の藤田君の御質問は、今日国際情勢はきわめて厳しい状態にあるわけであるけれども、カーター大統領並びに西独のシュミット首相とはその問題についてどういう突っ込んだ話し合いを行ったかという御質問でございました。
藤田さんが御指摘になるように現在、米ソ間の軍事バランスが必ずしも米国が相対的に劣っておるとはわれわれは判断いたしておりません。総合的に判断すれば、依然として米国が優位を占めておると判断いたしておりまするけれども、近年のソ連による着実かつ著しい軍事力の強化と、また、中東地域を中心として不安定な状況が醸成されつつあることは周知のことでございまして、このような国際情勢、新たな情勢に対応するため、米国もそれは米国として対応いたしておりまするけれども、先進民主主義諸国との協調を一層強めて対応能力を高めてまいる必要を感じておるようでございます。カーター大統領との会談におきましては、かかる認識を背景といたしまして、政治、経済その他各般の分野において何をなすべきであるか、何をなすべきでないかにつきまして意見の交換を行った次第でございます。
また、シュミット首相との会談の中心は、イラン、アフガニスタン問題等現下の国際情勢に対処するに当たり、日独双方が米国の努力を支援しながら先進民主主義諸国の連帯を強めていくことが必要であるということで意見の一致を見た次第でございます。
次に、藤田君の御質問は、私が同盟国という言葉を使っておるし、世間もまたこれに対して日米安保条約が変質したのではないかという疑問が出ておるが、これに対してはどう考えておるかという意味の御質問でございました。
藤田君も御案内のように、日米関係はわが国外交の基軸でございます。米国にとりましても日米関係はアジア外交の最も重要な柱であると先方も申しておるところでございます。まさに日米両国はパートナーの関係にあると考えております。米国の対日防衛義務を定めました安保条約もまたまさにそういう関係に根底を置いたものであって、有効な抑止力として、またアジアの平和と安定の基本的な枠組みとして機能いたしておると考えておるわけでございます。私はそういう事実を踏まえた上で同盟という言葉を使ったわけでございます。同盟国という言葉は、日本と米国との特別な緊密な関係を意味したものでございますし、種々の困難な問題を抱えておる国際社会におきまして相互に協力いたしまして世界の平和と国際経済の発展のために貢献していく責任を持ち合っておるということをあらわしたつもりでございます。
次の御質問は、野党の一部に、今次の日米首脳会談は日米軍事同盟を強化するとか、あるいはわが国の軍事大国化を目指すものではないかという中傷めいたお話があるが、これに対してどう考えておるかということ、それからわが国の安全保障政策の基本はどのように考えておるかという意味の御質問でございました。
私は、わが国の安全保障につきましては、かねがね総合的な対応でなければならぬと申し上げておるわけでございます。平和的な国際環境をつくり上げる外交努力と、秩序正しい内政の充実を図りながら、日米安全保障体制の持つ抑止力を背景にいたしまして、自衛のために必要な限度において質の高い防衛力の整備に努めていくという考え方を持っておるわけでございまして、この考え方に変化はございません。私は、従来から、わが国の防衛力整備は「防衛計画の大綱」に従いましてわが国の自主的判断に基づいてやってまいるべきものと考えておりまして、この考えは現在も変わっていないわけでございます。
防衛庁の中期業務見積もりがいま論議の種になっておりますけれども、これをそのまま政府レベルの計画とするような考えは持っていないのでございます。防衛力の整備は、毎年毎年の真剣な予算編成過程を通じまして毎年度の予算編成の中で責任ある結論を出していかなければならぬと考えておるわけでございます。したがいまして、わが国の外交・防衛政策の根幹は私の今回の外遊によって何ら変更はないと御承知を願いたいと思います。拍手
—————————————
この発言だけを見る →第一の御質問は、世界のわが国に対する期待は単に経済的な援助だけではなく、わが国の力量にふさわしい政治的、外交的貢献でなければならない、防衛面におきましてもそれにふさわしい防衛体制の確立でなければならぬと思うがどうかという御質問でございました。
御指摘のとおり、わが国の国際的な比重は年とともに高まってまいっております。わが国に対する国際社会の期待はますます強まりつつあるように私も認識をいたしております。わが国といたしましては、仰せのように、経済面のみならず、政治、外交面におきましてもその国際的地位にふさわしい責任と役割りを果たしていかなければならぬと考えております。防衛面におきましても、日米安保条約の持つ抑止力を背景としながら、自衛のために必要な限度において質の高い防衛力の整備に努めまして、わが国にふさわしい防衛体制の確立を図ってまいる必要があると考えております。
第二の御質問は、米国、カナダ、西独等の先進民主主義諸国の指導者と国際情勢についてどのような話をしたか、そして、そういう話を通じましてわが国の外交の進路についてどういう認識を強めたかという意味の御質問でございました。
第一の話の内容でございますが、ただいま御報告申し上げましたように、各国首脳との間でイラン問題、アフガニスタン問題を中心に意見の交換を行いましたが、この二つの問題は、性質は違っておりますけれども、基本的な国際秩序に対する脅威でございまして、先進民主主義諸国が一致協力してこれに当たる必要があるということで意見の一致を見たわけでございます。また、その事態に対応するために一層国際的な協調関係が必要であるという認識においても一致いたしたわけでございます。これらのことは、わが国がこのような国際的な行動を通じまして今後みずからの自由と安全を確保しながら国際社会全体の平和と安定に寄与していくというわが国の外交進路に沿ったものであると私は考えております。
第三の藤田君の御質問は、今日国際情勢はきわめて厳しい状態にあるわけであるけれども、カーター大統領並びに西独のシュミット首相とはその問題についてどういう突っ込んだ話し合いを行ったかという御質問でございました。
藤田さんが御指摘になるように現在、米ソ間の軍事バランスが必ずしも米国が相対的に劣っておるとはわれわれは判断いたしておりません。総合的に判断すれば、依然として米国が優位を占めておると判断いたしておりまするけれども、近年のソ連による着実かつ著しい軍事力の強化と、また、中東地域を中心として不安定な状況が醸成されつつあることは周知のことでございまして、このような国際情勢、新たな情勢に対応するため、米国もそれは米国として対応いたしておりまするけれども、先進民主主義諸国との協調を一層強めて対応能力を高めてまいる必要を感じておるようでございます。カーター大統領との会談におきましては、かかる認識を背景といたしまして、政治、経済その他各般の分野において何をなすべきであるか、何をなすべきでないかにつきまして意見の交換を行った次第でございます。
また、シュミット首相との会談の中心は、イラン、アフガニスタン問題等現下の国際情勢に対処するに当たり、日独双方が米国の努力を支援しながら先進民主主義諸国の連帯を強めていくことが必要であるということで意見の一致を見た次第でございます。
次に、藤田君の御質問は、私が同盟国という言葉を使っておるし、世間もまたこれに対して日米安保条約が変質したのではないかという疑問が出ておるが、これに対してはどう考えておるかという意味の御質問でございました。
藤田君も御案内のように、日米関係はわが国外交の基軸でございます。米国にとりましても日米関係はアジア外交の最も重要な柱であると先方も申しておるところでございます。まさに日米両国はパートナーの関係にあると考えております。米国の対日防衛義務を定めました安保条約もまたまさにそういう関係に根底を置いたものであって、有効な抑止力として、またアジアの平和と安定の基本的な枠組みとして機能いたしておると考えておるわけでございます。私はそういう事実を踏まえた上で同盟という言葉を使ったわけでございます。同盟国という言葉は、日本と米国との特別な緊密な関係を意味したものでございますし、種々の困難な問題を抱えておる国際社会におきまして相互に協力いたしまして世界の平和と国際経済の発展のために貢献していく責任を持ち合っておるということをあらわしたつもりでございます。
次の御質問は、野党の一部に、今次の日米首脳会談は日米軍事同盟を強化するとか、あるいはわが国の軍事大国化を目指すものではないかという中傷めいたお話があるが、これに対してどう考えておるかということ、それからわが国の安全保障政策の基本はどのように考えておるかという意味の御質問でございました。
私は、わが国の安全保障につきましては、かねがね総合的な対応でなければならぬと申し上げておるわけでございます。平和的な国際環境をつくり上げる外交努力と、秩序正しい内政の充実を図りながら、日米安全保障体制の持つ抑止力を背景にいたしまして、自衛のために必要な限度において質の高い防衛力の整備に努めていくという考え方を持っておるわけでございまして、この考え方に変化はございません。私は、従来から、わが国の防衛力整備は「防衛計画の大綱」に従いましてわが国の自主的判断に基づいてやってまいるべきものと考えておりまして、この考えは現在も変わっていないわけでございます。
防衛庁の中期業務見積もりがいま論議の種になっておりますけれども、これをそのまま政府レベルの計画とするような考えは持っていないのでございます。防衛力の整備は、毎年毎年の真剣な予算編成過程を通じまして毎年度の予算編成の中で責任ある結論を出していかなければならぬと考えておるわけでございます。したがいまして、わが国の外交・防衛政策の根幹は私の今回の外遊によって何ら変更はないと御承知を願いたいと思います。拍手
—————————————
安
小
小野明#18
○小野明君 私は、日本社会党を代表し、ただいまの大平総理の帰国報告に対し若干の質問を行わんとするものであります。
申すまでもなく、今回の総理の訪米は、イランにおけるアメリカの人質救出作戦の失敗後に行われた西側同盟国首脳の初の訪米だったのであります。したがって、総理は、カーター大統領に対しまして、あのように無謀かつ危険きわまりない作戦について率直に苦言を呈し、二度と再びかかる軍事行動に訴えるべきでないことを理を尽くして進言すべき絶好の機会を持ち得たはずであります。
ところが、総理は、イラン問題については平和的解決への希望をきわめて抽象的な形で述べたにとどまり、人質救出作戦について反省を求めるどころか、むしろカーター大統領の忍耐と抑制に敬意を表し、さらにはその勇気をたたえるなど、大統領の行動への全面的理解と同調と受け取れる態度を示されたのは、これは一体いかなる真意でありますか、まずお伺いいたしたいところであります。
すでに多くの報道で明らかにされておりますように、あの救出作戦は、イラン側からの抵抗があった場合にはイランに対する大がかりな武力攻撃行動を予定していたものであり、まかり違えばペルシャ湾岸全体に影響を及ぼし、石油の供給をとめかねない危険をはらんでいたのであります。
しかも、アメリカは、一方において総理も御承知のように同盟諸国にイランへの政治的、経済的制裁措置についての同調を求めておきながら、他方、一言の連絡もなく、全く独断的にこのような危険な行動に出たのであります。
ところが、総理、あなたは、選挙を控えたカーター大統領の苦況をおもんばかる余り、「共存共苦」だとか、あるいは「苦しいときの友は真の友」といった聞き心地のよい言葉で終始し、アメリカの国務長官以上に大統領に物わかりのよい態度を示したのであります。その結果、アメリカの対イラン制裁措置にますますのめり込み、わが国の自主的な立場と利益を損ねる重大な事態を招来しつつあるのであります。ロペス・メキシコ大統領は、「人質をとったイランの行動は非難さるべきではあるが、歴史的背景も分析しなければならない」とあなたに述べたと言われておりますが、ロペス大統領の方がよほど毅然たる自主的外交方針を持たれておると言えるのではないでしょうか。
総理は、なぜ毅然たる態度によってアメリカの行き過ぎを戒め、それによってわが国の自主的な立場を鮮明にし、もって中東の平和と日本国民の利益の擁護に努めようとされなかったのか、お伺いいたしたいのであります。
さらにまた、イランからわが国への石油供給が完全にストップし、イラン石油化学コンビナート計画の先行きが危殆に瀕している現在、いかにしてわが国の自主的立場を堅持しつつ、解決への方途を見出そうとするおつもりであるのか、明確な御見解を承りたいのであります。
次に、今回の総理訪米において見逃し得ないのは、苦境にあるカーター大統領に単に同情を示したというだけにとどまらず、アメリカの世界戦略に全面的に肩入れする姿勢を示した点であります。対イラン政策もそうでありますが、さらに、アフガン問題につきましては、たとえ犠牲を伴うことがあっても対ソ制裁措置に同調することを約束されたのであります。本来、政治が容喙すべきでないオリンピック問題につきましても、ことさら不参加の意図を再表明し、アメリカ政府を喜ばせたのであります。これはいかなる御見解でありますか。
もちろん、アフガニスタンに対するソ連の軍事介入は厳しく非難されなければなりません。しかし、だからといって、わが国がアメリカの対ソ戦略に全面的に同調することは、世界の平和にとっても、わが国の安全にとりましても、きわめて危険と申さねばならないのであります。
総理、あなたは、アメリカの対ソ戦略に同調するために一体どのような犠牲を国民に強いようとしておるのか、明確に示していただきたいところであります。
さらに、カーター大統領は、トルコ、パキスタンのみならず、アメリカが中東での軍事施設の利用を望んでおるソマリア、ケニア、オーマンなどにわが国が経済援助を提供することによってアメリカの世界戦略に肩入れすることを要望し、総理はこれに好意的検討を約したと言われておりますが、真相を明らかにしてほしいのであります。
いやしくも国民の血税によって賄われる対外援助は、わが国独自の立場から真に被援助国国民の福祉と開発のために行われるべきでありまして、アメリカの世界戦略への協力の視点から行われるべきでは断じてないと思いますが、この点についても総理の御方針を承りたいのであります。
アメリカの世界戦略への肩入れは、防衛力増強の問題によって一層明らかになりました。カーター大統領は、わが国の防衛力増強について、日本政府内にある計画の早期達成を要望したと言われますが、この計画が防衛庁の「中期業務見積もり」を指すことは明白であります。昨日、総理は衆議院本会議で否定されましたが、担当の細田防衛庁長官は、現在政府内の計画と言えば中業見積もりしかないと肯定をしておられるではありませんか。この食い違いをどう釈明されるのですか。
さらに、大統領要請に対し、総理は、「同盟国として真剣に検討し、できるだけ努力をする」と応じたと報じられたのであります。もっとも、総理は、昨日の答弁でも明らかなように、国内向けには、検討を約しただけで同意したわけではないと弁解に努めておられます。しかし、米側は、いわゆる中業見積もりの一年繰り上げ実施に総理が同意した事実はもはや動かないと、こう見ているのであります。アメリカの首脳向け発言と日本国内向けの発言を玉虫色にぼかし、当面責任の追及を免れようとする姿勢、これほど国民を愚弄するものはないと言わなければなりません。
結局、大増税か、福祉の削減か、赤字国債の乱発かによってそのツケを払わされるのは国民なのであります。
特に問題なのは、防衛庁の内部計画として国民の前にまだ全容が明らかにされておらず、国防会議にも閣議にも諮られていない中業見積もりについて、総理が同意したと受け取られている事実であります。これは明らかにアメリカの内政干渉ではないでしょうか。大来外相は、中国の伍修権副総参謀長が私的に語ったという二%論に対し、内政干渉と声高に声明しておりますが、総理はこの間の矛盾をどうお考えになりますか。
六〇年安保から二十年を経た今日、わが国の自衛隊が、日米防衛協力のためのガイドライン、リムパック等を経て、完全にアメリカの世界戦略を補完するものへと転換し変質し、グローバルな対ソ包囲網の一環を担うがゆえに現に日本の平和と安全を危険に導いている事実に対し、総理はどういう見解をお持ちでありますか、御説明いただきたいのであります。
今回の総理報告によって示されたいま一つの事実は、現在の日本外交が対米協調にきゅうきゅうとする余り、第三世界への十分な理解と配慮をいかに欠落させているかという点であります。イラン問題への対応はまさにその例でありますが、総理がメキシコにおいて原油の対日供給量を三十万バレルまで増加させる確約を取りつけることに失敗したのもその一つのあらわれであります。この失敗は、金を出せば相手は応ずるという安易な見通しがしっぺ返しを受けたものであります。メキシコは、早くからラテンアメリカ非核地帯条約を推進し、あるいは非産油途上国の救済を目指す世界エネルギー計画を提唱するなど、軍縮、開発の分野において第三世界の主導的立場を標榜してまいりました。果たして総理はこうしたメキシコの立場をどれだけ十分に理解した上で協力と石油供給増量のための手を打ってこられたのか、この失敗を総理はどのように弁解されますか、お伺いいたしたいのであります。
イラン、アフガニスタン問題に象徴される今日の国際危機は、第三世界の諸国民の自主性や国民的欲求を無視した米ソ両大国の力による政策が失敗し破綻したところから生じていると思います。ところが、政府はかかる事態の本質を見誤り、憲法の精神をじゅうりんして、ソ連の力の政策に対抗せんとするアメリカの力の政策に積極的に加担しようといたしております。私は、わが国があくまでも憲法の精神に立脚し、米ソ両大国の力の政策に巻き込まれることなく、それこそ第三世界の人々との共存共苦を通じて世界の平和と福祉への道を探求すべきであると信じます。いやしくも、アメリカの世界戦略に肩入れするために軍事大国を目指す防衛力の増強など、断じて図るべきでないと存じます。
この点について先ほど藤田議員は、軍事大国化、日米軍事同盟の強化などはいわれのない中傷だ、党利党略だと言われましたが、この言葉はそっくりお返しいたしたい。日本の現実を見てください。これは第三世界、東南アジア諸国民、日本国民の大多数は、この軍事大国、日米軍事同盟の強化推進を憂慮しておるではございませんか。総理の明確な見解を求めて、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →申すまでもなく、今回の総理の訪米は、イランにおけるアメリカの人質救出作戦の失敗後に行われた西側同盟国首脳の初の訪米だったのであります。したがって、総理は、カーター大統領に対しまして、あのように無謀かつ危険きわまりない作戦について率直に苦言を呈し、二度と再びかかる軍事行動に訴えるべきでないことを理を尽くして進言すべき絶好の機会を持ち得たはずであります。
ところが、総理は、イラン問題については平和的解決への希望をきわめて抽象的な形で述べたにとどまり、人質救出作戦について反省を求めるどころか、むしろカーター大統領の忍耐と抑制に敬意を表し、さらにはその勇気をたたえるなど、大統領の行動への全面的理解と同調と受け取れる態度を示されたのは、これは一体いかなる真意でありますか、まずお伺いいたしたいところであります。
すでに多くの報道で明らかにされておりますように、あの救出作戦は、イラン側からの抵抗があった場合にはイランに対する大がかりな武力攻撃行動を予定していたものであり、まかり違えばペルシャ湾岸全体に影響を及ぼし、石油の供給をとめかねない危険をはらんでいたのであります。
しかも、アメリカは、一方において総理も御承知のように同盟諸国にイランへの政治的、経済的制裁措置についての同調を求めておきながら、他方、一言の連絡もなく、全く独断的にこのような危険な行動に出たのであります。
ところが、総理、あなたは、選挙を控えたカーター大統領の苦況をおもんばかる余り、「共存共苦」だとか、あるいは「苦しいときの友は真の友」といった聞き心地のよい言葉で終始し、アメリカの国務長官以上に大統領に物わかりのよい態度を示したのであります。その結果、アメリカの対イラン制裁措置にますますのめり込み、わが国の自主的な立場と利益を損ねる重大な事態を招来しつつあるのであります。ロペス・メキシコ大統領は、「人質をとったイランの行動は非難さるべきではあるが、歴史的背景も分析しなければならない」とあなたに述べたと言われておりますが、ロペス大統領の方がよほど毅然たる自主的外交方針を持たれておると言えるのではないでしょうか。
総理は、なぜ毅然たる態度によってアメリカの行き過ぎを戒め、それによってわが国の自主的な立場を鮮明にし、もって中東の平和と日本国民の利益の擁護に努めようとされなかったのか、お伺いいたしたいのであります。
さらにまた、イランからわが国への石油供給が完全にストップし、イラン石油化学コンビナート計画の先行きが危殆に瀕している現在、いかにしてわが国の自主的立場を堅持しつつ、解決への方途を見出そうとするおつもりであるのか、明確な御見解を承りたいのであります。
次に、今回の総理訪米において見逃し得ないのは、苦境にあるカーター大統領に単に同情を示したというだけにとどまらず、アメリカの世界戦略に全面的に肩入れする姿勢を示した点であります。対イラン政策もそうでありますが、さらに、アフガン問題につきましては、たとえ犠牲を伴うことがあっても対ソ制裁措置に同調することを約束されたのであります。本来、政治が容喙すべきでないオリンピック問題につきましても、ことさら不参加の意図を再表明し、アメリカ政府を喜ばせたのであります。これはいかなる御見解でありますか。
もちろん、アフガニスタンに対するソ連の軍事介入は厳しく非難されなければなりません。しかし、だからといって、わが国がアメリカの対ソ戦略に全面的に同調することは、世界の平和にとっても、わが国の安全にとりましても、きわめて危険と申さねばならないのであります。
総理、あなたは、アメリカの対ソ戦略に同調するために一体どのような犠牲を国民に強いようとしておるのか、明確に示していただきたいところであります。
さらに、カーター大統領は、トルコ、パキスタンのみならず、アメリカが中東での軍事施設の利用を望んでおるソマリア、ケニア、オーマンなどにわが国が経済援助を提供することによってアメリカの世界戦略に肩入れすることを要望し、総理はこれに好意的検討を約したと言われておりますが、真相を明らかにしてほしいのであります。
いやしくも国民の血税によって賄われる対外援助は、わが国独自の立場から真に被援助国国民の福祉と開発のために行われるべきでありまして、アメリカの世界戦略への協力の視点から行われるべきでは断じてないと思いますが、この点についても総理の御方針を承りたいのであります。
アメリカの世界戦略への肩入れは、防衛力増強の問題によって一層明らかになりました。カーター大統領は、わが国の防衛力増強について、日本政府内にある計画の早期達成を要望したと言われますが、この計画が防衛庁の「中期業務見積もり」を指すことは明白であります。昨日、総理は衆議院本会議で否定されましたが、担当の細田防衛庁長官は、現在政府内の計画と言えば中業見積もりしかないと肯定をしておられるではありませんか。この食い違いをどう釈明されるのですか。
さらに、大統領要請に対し、総理は、「同盟国として真剣に検討し、できるだけ努力をする」と応じたと報じられたのであります。もっとも、総理は、昨日の答弁でも明らかなように、国内向けには、検討を約しただけで同意したわけではないと弁解に努めておられます。しかし、米側は、いわゆる中業見積もりの一年繰り上げ実施に総理が同意した事実はもはや動かないと、こう見ているのであります。アメリカの首脳向け発言と日本国内向けの発言を玉虫色にぼかし、当面責任の追及を免れようとする姿勢、これほど国民を愚弄するものはないと言わなければなりません。
結局、大増税か、福祉の削減か、赤字国債の乱発かによってそのツケを払わされるのは国民なのであります。
特に問題なのは、防衛庁の内部計画として国民の前にまだ全容が明らかにされておらず、国防会議にも閣議にも諮られていない中業見積もりについて、総理が同意したと受け取られている事実であります。これは明らかにアメリカの内政干渉ではないでしょうか。大来外相は、中国の伍修権副総参謀長が私的に語ったという二%論に対し、内政干渉と声高に声明しておりますが、総理はこの間の矛盾をどうお考えになりますか。
六〇年安保から二十年を経た今日、わが国の自衛隊が、日米防衛協力のためのガイドライン、リムパック等を経て、完全にアメリカの世界戦略を補完するものへと転換し変質し、グローバルな対ソ包囲網の一環を担うがゆえに現に日本の平和と安全を危険に導いている事実に対し、総理はどういう見解をお持ちでありますか、御説明いただきたいのであります。
今回の総理報告によって示されたいま一つの事実は、現在の日本外交が対米協調にきゅうきゅうとする余り、第三世界への十分な理解と配慮をいかに欠落させているかという点であります。イラン問題への対応はまさにその例でありますが、総理がメキシコにおいて原油の対日供給量を三十万バレルまで増加させる確約を取りつけることに失敗したのもその一つのあらわれであります。この失敗は、金を出せば相手は応ずるという安易な見通しがしっぺ返しを受けたものであります。メキシコは、早くからラテンアメリカ非核地帯条約を推進し、あるいは非産油途上国の救済を目指す世界エネルギー計画を提唱するなど、軍縮、開発の分野において第三世界の主導的立場を標榜してまいりました。果たして総理はこうしたメキシコの立場をどれだけ十分に理解した上で協力と石油供給増量のための手を打ってこられたのか、この失敗を総理はどのように弁解されますか、お伺いいたしたいのであります。
イラン、アフガニスタン問題に象徴される今日の国際危機は、第三世界の諸国民の自主性や国民的欲求を無視した米ソ両大国の力による政策が失敗し破綻したところから生じていると思います。ところが、政府はかかる事態の本質を見誤り、憲法の精神をじゅうりんして、ソ連の力の政策に対抗せんとするアメリカの力の政策に積極的に加担しようといたしております。私は、わが国があくまでも憲法の精神に立脚し、米ソ両大国の力の政策に巻き込まれることなく、それこそ第三世界の人々との共存共苦を通じて世界の平和と福祉への道を探求すべきであると信じます。いやしくも、アメリカの世界戦略に肩入れするために軍事大国を目指す防衛力の増強など、断じて図るべきでないと存じます。
この点について先ほど藤田議員は、軍事大国化、日米軍事同盟の強化などはいわれのない中傷だ、党利党略だと言われましたが、この言葉はそっくりお返しいたしたい。日本の現実を見てください。これは第三世界、東南アジア諸国民、日本国民の大多数は、この軍事大国、日米軍事同盟の強化推進を憂慮しておるではございませんか。総理の明確な見解を求めて、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
大
大平正芳#19
○国務大臣(大平正芳君) 小野さんにお答えいたします。
イランにおける人質救出作戦にアメリカは失敗したが、それについて率直に反省を求めたかという御質問でございました。
人質の拘束が長期にわたっておりまして、これまで種々の努力にかかわりませず依然として解放の目途が得られていない状況でありますことは、小野さんも御承知のとおりでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
目下アメリカ国内におきましてはこの五十人の同胞の人質の安危を気遣っておるときの私の訪米でございました。したがって、私は、かねてから、この人質の救出作戦というのはイランの国民あるいはイランの国に対する敵対行動ではなくて、人質救出という限定された行動であるので軍事行動ではないという理解を示しておったわけでございますので、今度の首脳会談におきましては、五十人の米国人の人質の安全と、今回の救出行動で犠牲となられた方々に対する弔意を表明するだけにとどめておいた次第でございます。いずれにいたしましても、しかしながら、人質問題は、米国があくまでも忍耐強く自制して、交渉による平和的解決を目指していただかなければなりませんので、率直に大統領にこれを要望いたしました。先ほどの報告にも申し上げましたとおり、大統領は同感の意を示しながら友邦諸国の一層の協力を求められた経緯は、御報告申し上げたとおりでございます。
次に、オリンピックに対して政府は介入すべきではないと思うがどうかという御質問でございました。
政府は、これまで、モスクワ・オリンピック大会が友好と平和裏に安心して参加できる雰囲気と状態の中で開催されることを願ってまいりましたが、開催国であるソ連のアフガニスタンへの軍事介入は、国際社会から大きな非難を浴びておるにかかわりませず依然として継続いたしておりまして、むしろ長期化の様相さえ示しておるような状態でございまするので、今日のような現況のもとではモスクワ・オリンピック大会に選手団を派遣することは望ましくないという考えを政府は持っておるわけでございます。オリンピック大会に参加するかしないかはもとよりJOC日本オリンピック委員会が決めることであることは言うまでもございませんが、私はJOCが政府の意向をおくみ取りいただいて適切に対処されることを期待いたしております。
それから米国の世界戦略に同調するためいかなる犠牲を国民に強要するつもりかという意味の御質問でございました。
この御質問に答える前に、イラン問題、アフガン問題について、先ほども申し上げましたように、これは国際社会の秩序に対する基本的な脅威であって、国際社会の一員として日本もこれに対しまして平和的解決を要求する権利があるわけでございます。したがって、そういう立場に立ちまして国際社会の一員として当然なすべきことをなさなければならない、その場合に多少の犠牲を伴うことがあってもこれは当然のことではないかという心構えを私はかねてから申し上げておるわけでございます。しかしながら、わが国の具体的なそれでは個々の政策をどのようにしてまいるかということにつきましては、個々のケースに応じましてわが国自体の判断によりまして決定してまいっていくことは当然でございまして、国民の受ける犠牲を最小限度にとどめながら対処してまいるのは政府の当然の責任であると考えております。
経済援助に対する方針を問われたわけでございますが、紛争周辺国への援助は問題ではないかという意味の小野さんの御意見でございました。
わが国の経済協力は、一義的には開発途上国の希望を受けてその国々の経済社会開発に貢献することによりまして住民の福祉の増進を図るという見地から実施されておりますことは、御案内のとおりでございます。そういう方針に基づきまして、わが国がいかなる国に対していかなる援助をどの程度行うかにつきましては、もちろん外交上、政治経済上種々の理由があることもこれまた事実でございます。たとえば、人道的な見地からインドシナ難民援助を実施しておるとか、資源に乏しいわが国は石油を中心とする資源保有国に対しまして経済協力を通ずる友好関係の増進を図ることによって資源の安定供給を確保することもあります。さらに、広い意味での安全保障の見地から、現下の国際情勢を踏まえつつ、わが国独自の立場で援助の強化を図ることもあることは御理解いただけることと思うのでございまして、私どもはそういう方針から外れておるつもりはございません。
それからカーター大統領の防衛力増強要請は内政干渉ではないかという懸念を表明されたわけでございます。
安保条約に基づきましてわが国の防衛についてそれなりに責任を持っておるアメリカが、わが国に対しまして防衛上の希望、期待を表明することは、私はあってしかるべきことと思っておるのでございます。しかし、これを内政干渉であると私は考えておりません。日本の防衛政策は日本が自主的に決めることでございましてアメリカが決めることではないわけでございまして、これを内政干渉のように受け取ること自体が問題ではないかと思っております。
それから中期業務見積もりの取り扱いについての御質問がございました。
中期業務見積もりというのは、防衛庁が予算を年々要求する場合における参考資料としてつくったものでございまして、これを政府の計画として認知しようとするつもりはございません。私どもといたしましては、防衛力の整備を政府として決めるのは、国防会議、閣議を経まして毎年毎年の予算案という形で答えてまいるつもりでございまして、五十六年度におきましてもそのような形で責任ある答えを出したいと考えております。
それからメキシコ外交についてのお尋ねでございました。
私は、日墨間は伝統的に友好関係にございましたけれども、一層これから白墨関係は相互依存関係が深まっていくものと期待をいたしておるわけでございます。わが国の対墨経済協力につきましては誠意をもって交渉に入る約束をいたしたわけでございます。
わが国に対するメキシコの原油の供給でございますが、先般、江崎、園田両君が参りまして十万バレル・パー・デーの確約を取りつけていただきまして、ちょうど五月四日に最初の日本向けの船が積み込みを始めたと聞いたわけでございまして、私は、メキシコ政府の配慮に謝意を表しますとともに、八二年までには何とか三十万バレル・パー・デーの供給を期待し、希望いたしたわけでございます。これに対しまして、先方は、つい二カ月前に八〇年から八一年にかけての増産計画を立てたばかりである、その計画による配分を決めたばかりでございますので、いま新たに日本政府の要請に応ずるわけにはまいらないということでございますが、日本のせっかくの要請は大統領みずからの政治的決断と善意をもってこれに対応してまいる所存であるということが表明されたわけでございますので、私は今日の事態におきましてはこれ以上の成果を期待することはむずかしいのではなかろうかと判断いたしておるわけでございます。
最後に、日本は軍事国家に踏み込むのではないかという御懸念を表明されたわけでございますけれども、われわれといたしましては、先ほども藤田さんにお答え申し上げましたとおり、防衛につきましては「防衛計画の大綱」というものを踏まえまして年々歳々この予算化を図っていくように努めたいと考えておりまするし、安保条約も地位協定も日米双方からこれを変えるというつもりは全然ないわけでございまして、日本が軍事国家に足を踏み出すというような御懸念は一切お持ちいただかないようにお願いしたいと思います。
この発言だけを見る →イランにおける人質救出作戦にアメリカは失敗したが、それについて率直に反省を求めたかという御質問でございました。
人質の拘束が長期にわたっておりまして、これまで種々の努力にかかわりませず依然として解放の目途が得られていない状況でありますことは、小野さんも御承知のとおりでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
目下アメリカ国内におきましてはこの五十人の同胞の人質の安危を気遣っておるときの私の訪米でございました。したがって、私は、かねてから、この人質の救出作戦というのはイランの国民あるいはイランの国に対する敵対行動ではなくて、人質救出という限定された行動であるので軍事行動ではないという理解を示しておったわけでございますので、今度の首脳会談におきましては、五十人の米国人の人質の安全と、今回の救出行動で犠牲となられた方々に対する弔意を表明するだけにとどめておいた次第でございます。いずれにいたしましても、しかしながら、人質問題は、米国があくまでも忍耐強く自制して、交渉による平和的解決を目指していただかなければなりませんので、率直に大統領にこれを要望いたしました。先ほどの報告にも申し上げましたとおり、大統領は同感の意を示しながら友邦諸国の一層の協力を求められた経緯は、御報告申し上げたとおりでございます。
次に、オリンピックに対して政府は介入すべきではないと思うがどうかという御質問でございました。
政府は、これまで、モスクワ・オリンピック大会が友好と平和裏に安心して参加できる雰囲気と状態の中で開催されることを願ってまいりましたが、開催国であるソ連のアフガニスタンへの軍事介入は、国際社会から大きな非難を浴びておるにかかわりませず依然として継続いたしておりまして、むしろ長期化の様相さえ示しておるような状態でございまするので、今日のような現況のもとではモスクワ・オリンピック大会に選手団を派遣することは望ましくないという考えを政府は持っておるわけでございます。オリンピック大会に参加するかしないかはもとよりJOC日本オリンピック委員会が決めることであることは言うまでもございませんが、私はJOCが政府の意向をおくみ取りいただいて適切に対処されることを期待いたしております。
それから米国の世界戦略に同調するためいかなる犠牲を国民に強要するつもりかという意味の御質問でございました。
この御質問に答える前に、イラン問題、アフガン問題について、先ほども申し上げましたように、これは国際社会の秩序に対する基本的な脅威であって、国際社会の一員として日本もこれに対しまして平和的解決を要求する権利があるわけでございます。したがって、そういう立場に立ちまして国際社会の一員として当然なすべきことをなさなければならない、その場合に多少の犠牲を伴うことがあってもこれは当然のことではないかという心構えを私はかねてから申し上げておるわけでございます。しかしながら、わが国の具体的なそれでは個々の政策をどのようにしてまいるかということにつきましては、個々のケースに応じましてわが国自体の判断によりまして決定してまいっていくことは当然でございまして、国民の受ける犠牲を最小限度にとどめながら対処してまいるのは政府の当然の責任であると考えております。
経済援助に対する方針を問われたわけでございますが、紛争周辺国への援助は問題ではないかという意味の小野さんの御意見でございました。
わが国の経済協力は、一義的には開発途上国の希望を受けてその国々の経済社会開発に貢献することによりまして住民の福祉の増進を図るという見地から実施されておりますことは、御案内のとおりでございます。そういう方針に基づきまして、わが国がいかなる国に対していかなる援助をどの程度行うかにつきましては、もちろん外交上、政治経済上種々の理由があることもこれまた事実でございます。たとえば、人道的な見地からインドシナ難民援助を実施しておるとか、資源に乏しいわが国は石油を中心とする資源保有国に対しまして経済協力を通ずる友好関係の増進を図ることによって資源の安定供給を確保することもあります。さらに、広い意味での安全保障の見地から、現下の国際情勢を踏まえつつ、わが国独自の立場で援助の強化を図ることもあることは御理解いただけることと思うのでございまして、私どもはそういう方針から外れておるつもりはございません。
それからカーター大統領の防衛力増強要請は内政干渉ではないかという懸念を表明されたわけでございます。
安保条約に基づきましてわが国の防衛についてそれなりに責任を持っておるアメリカが、わが国に対しまして防衛上の希望、期待を表明することは、私はあってしかるべきことと思っておるのでございます。しかし、これを内政干渉であると私は考えておりません。日本の防衛政策は日本が自主的に決めることでございましてアメリカが決めることではないわけでございまして、これを内政干渉のように受け取ること自体が問題ではないかと思っております。
それから中期業務見積もりの取り扱いについての御質問がございました。
中期業務見積もりというのは、防衛庁が予算を年々要求する場合における参考資料としてつくったものでございまして、これを政府の計画として認知しようとするつもりはございません。私どもといたしましては、防衛力の整備を政府として決めるのは、国防会議、閣議を経まして毎年毎年の予算案という形で答えてまいるつもりでございまして、五十六年度におきましてもそのような形で責任ある答えを出したいと考えております。
それからメキシコ外交についてのお尋ねでございました。
私は、日墨間は伝統的に友好関係にございましたけれども、一層これから白墨関係は相互依存関係が深まっていくものと期待をいたしておるわけでございます。わが国の対墨経済協力につきましては誠意をもって交渉に入る約束をいたしたわけでございます。
わが国に対するメキシコの原油の供給でございますが、先般、江崎、園田両君が参りまして十万バレル・パー・デーの確約を取りつけていただきまして、ちょうど五月四日に最初の日本向けの船が積み込みを始めたと聞いたわけでございまして、私は、メキシコ政府の配慮に謝意を表しますとともに、八二年までには何とか三十万バレル・パー・デーの供給を期待し、希望いたしたわけでございます。これに対しまして、先方は、つい二カ月前に八〇年から八一年にかけての増産計画を立てたばかりである、その計画による配分を決めたばかりでございますので、いま新たに日本政府の要請に応ずるわけにはまいらないということでございますが、日本のせっかくの要請は大統領みずからの政治的決断と善意をもってこれに対応してまいる所存であるということが表明されたわけでございますので、私は今日の事態におきましてはこれ以上の成果を期待することはむずかしいのではなかろうかと判断いたしておるわけでございます。
最後に、日本は軍事国家に踏み込むのではないかという御懸念を表明されたわけでございますけれども、われわれといたしましては、先ほども藤田さんにお答え申し上げましたとおり、防衛につきましては「防衛計画の大綱」というものを踏まえまして年々歳々この予算化を図っていくように努めたいと考えておりまするし、安保条約も地位協定も日米双方からこれを変えるというつもりは全然ないわけでございまして、日本が軍事国家に足を踏み出すというような御懸念は一切お持ちいただかないようにお願いしたいと思います。
秋
大
大平正芳#21
○国務大臣(大平正芳君) 大変恐縮でございました。
イランにおける石油化学コンビナート計画についてのお尋ねでございまして、五月八日以来、IJPCイラン・ジャパン石油化学の日本側の親会社であるICDCイラン化学開発会社の山下社長が現地におきましてイラン側と今後の工事スケジュール等につきまして協議を行っておるところでございます。政府はその動向をいま見守っておるところでございます。現在、日本人工事関係者約九十人が現地におきましてタンクヤード等の整備作業を行っておるところでございます。いずれにいたしましても、政府といたしましては、イラン石化プロジェクトにつきましては中断をしないで継続してまいりたいという方針を貫いていくつもりでございます。拍手
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この発言だけを見る →イランにおける石油化学コンビナート計画についてのお尋ねでございまして、五月八日以来、IJPCイラン・ジャパン石油化学の日本側の親会社であるICDCイラン化学開発会社の山下社長が現地におきましてイラン側と今後の工事スケジュール等につきまして協議を行っておるところでございます。政府はその動向をいま見守っておるところでございます。現在、日本人工事関係者約九十人が現地におきましてタンクヤード等の整備作業を行っておるところでございます。いずれにいたしましても、政府といたしましては、イラン石化プロジェクトにつきましては中断をしないで継続してまいりたいという方針を貫いていくつもりでございます。拍手
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秋
塩
塩出啓典#23
○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、大平総理の帰国報告に対し若干の質問をいたすものであります。
緊張度を増す世界情勢の中で、大平総理が、アメリカ、メキシコ、カナダ三カ国を訪問し、さらに故チトー大統領の葬儀に参列し、各国首脳と会談したことは、世界に誇る平和憲法を持つわが国の姿勢を各国に伝え、国際平和社会実現へのわが国の役割りを果たすべき絶好のチャンスであったと思います。
特に、わが党は、そのような立場から、総理訪米に当たって、米国のイランにおける人質救出作戦は遺憾であること、あくまで平和的解決に努力すべきであることをカーター大統領にはっきりと述べ、また、安易な防衛力増強を約束すべきでないこと等を総理に申し入れをしたのであります。しかるに、大平総理は、これらの点について十分に主張せず、ひたすら米国の立場に同調し、また、わが国の防衛力増強を迫られるなどの結果となったことは、まことに遺憾としか言いようがありません。その上、総理は日本へ帰ってからは防衛力増強を約束はしてこなかったことを強調し、そのため大平総理の姿勢は訪米中と帰国後とで変更したのかとの外人記者から質問が殺到するなど、アメリカ向けと日本国内向けと二つの顔を立て分けるなどは、全く国民を欺くものと言わなければなりません。
私は、一国の総理は、アメリカに対しても、また国民に対しても、迎合することなく、主張すべきは堂々と主張すべきであると思います。私に対する答弁も率直にお答えをいただきたい。
第一に、総理は、同盟国として「共存共苦」を米国に誓ったわけでありますが、確かに日米両国は多くの面で価値観を共にしており、その上日本は米国に安全保障、貿易、食糧など多方面で依存し、また、アフガンへの軍事介入に反対し、イランの人質早期解放を求める点でも一致しているのも事実であります。
しかし、現在米国が行っている外交が危険なものであることを忠告するのも真の友人の義務ではないでしょうか。総理は、人質救出作戦で犠牲者を出し、悲しみに満ちている米国に対し批判がましい言及は一言もしなかったと述べていますが、わが国の立場に立って意見を述べるのも真の友人であると思うのであります。それを隷属的に共存共苦という大平総理の対米政策は、従来の全方位外交政策とは大きく異なると考えるわけでありますが、一体この共存共苦とはいかなる意味なのか、日米運命共同体と受けとめてよいのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
第二に、防衛力増強の問題であります。
カーター大統領が早期達成を要望したいわゆる「日本政府内にある計画」について、総理は、昨日も先ほども、これは中期業務見積もりではなく一般的な防衛力の増強であると述べています。しかしながら、この総理の発言は全く理解に苦しむものであります。去る九日に明らかになった外務省・防衛庁の自民党への説明記録によると、中期業務見積もりの取り扱いをめぐる日米両政府の調整が同見積もりが決定された直後の昨年八月以来進められ、去る一月十四日にブラウン長官が来日した際、実施期間短縮の可能性を打診していたことが明らかにされております。今回、カーター大統領が繰り上げ実施を要請した「日本政府部内にある計画」は中期業務見積もりの短縮であることは明白な事実であると思いますが、そうでないと言うのはいかなる根拠に基づくのか、総理のお考えをお聞きしたい。
第三に、大来外務大臣は、昨日、自主外交の確立のためには防衛力の増強が必要であると述べております。世界第八位の防衛予算では自主外交に不十分であるというのでありましょうか。平和憲法を持つわが国は、防衛力の増強や武器輸出ではなく、むしろ経済援助、技術援助、文化交流等に力を入れることこそわが国の自主外交の推進に必要であると思います。軍事力の過度の増強は東南アジアの国々へも日本の軍事大国化への脅威を与え、むしろ自主外交の確立に害ありと思うわけでありますが、外務大臣の発言に対して総理大臣はどう考えているのか、お伺いしたいのであります。
第四に、また外務大臣は、防衛費を対GNP一%にするためには公共事業を削れば財源確保が可能であり、増税の必要はないと述べています。総理も同じ考えであるのか。公共事業費を簡単に削れるのであれば、むしろその費用を国債償還や福祉充実、さらには発展途上国への経済援助に力を入れるべきであると思うが、総理の見解を承りたいのであります。
第五に、総理は、防衛力の増強については来年度予算で努力すると述べております。緊迫した国際情勢を理由に、最近防衛力増強や武器輸出推進の声も一部財界から出ているときに、われわれは軍事大国への道へ進む危険を感じざるを得ません。わが国の防衛は、防衛力の増強に頼るのでなく、むしろ平和外交の推進、経済、技術、文化の交流を通して総合的な安全保障政策を推進すべきであると思います。総理は先ほども自衛に必要な限度に増強が必要であると述べておりますが、どの程度の防衛力の増強を考えているのか、わが国の防衛についての総理のお考えをお聞きしたいのであります。
第六に、発展途上国等に対する対外経済協力の強化についてであります。
大平総理は、今回の訪米に当たり、日米関係を重視する余り、日本外交の大きな柱であるべき第三世界との友好の重要性を忘れております。わが国の外交が米国との共存共苦のみに専念し、第三世界の視点を欠落させていることは重大な問題であります。米国と共存共苦し、防衛力を増強すると言っても、それは国民の合意の得られないものであり、わが国としては国際的責任を果たす上に最も力を入れなければならないのは発展途上国等に対する対外経済協力の強化であります。社会的、経済的不安に悩む国々に経済協力を積極的に行い、その地域の生活安定に協力することが国際間の緊張緩和にも寄与することになり、わが国の平和自主外交にとってきわめて肝要なことだと思います。総理はこのような南北問題に率先して取り組むことについてどのようにお考えなのか、お示しいただきたい。
第七に、メキシコの原油輸入問題であります。
訪米と並ぶ今回の旅行の大きな焦点は、メキシコからの原油増量輸入であります。総理は、出発に当たって、現在日量十万バレルを日量三十万バレルに増量することに自信を持たれておりましたが、結果としてわが国の資源外交の不手際を証明したにすぎません。今回のメキシコ原油の増量問題は、政府が否定してもイラン原油の穴埋め策の印象が強く、場当たり主義の感がぬぐえないのであります。それは、メキシコ関係者の「日本はわれわれの心を十分わかっていない」との発言からも明らかであります。イラン原油の穴埋めは、当面米国が保証するととはカーター大統領が確約しておりますが、メキシコも大事な産油国であり、今後日本のエネルギー資源確保の上で決してゆるがせにはできない重要な国であります。総理は、今回のメキシコ原油交渉を率直にどう反省しておられるか、また、今回の教訓をもとに今後どのような対策を講ずるのか、決意のほどをお聞きしたい。
最後に、チトー大統領亡き後の非同盟諸国の問題であります。
わが国の非同盟諸国に対する外交姿勢は、メキシコの例に明らかなように認識不足の面が多分にあることは否めない事実であります。日加首脳会談でも、トルドー首相は非同盟諸国を反米に迫いやらぬ必要性を指摘したと言われますが、総理は、今後ますます国際間の緊張感が進む中で、また、わが国の外交政策の上から重要な意味を持つ非同盟諸国との外交の基本姿勢をどうされるのか、明らかにしていただきたいのであります。
以上、大平総理の三カ国訪問における重要な問題を指摘し、また、誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →緊張度を増す世界情勢の中で、大平総理が、アメリカ、メキシコ、カナダ三カ国を訪問し、さらに故チトー大統領の葬儀に参列し、各国首脳と会談したことは、世界に誇る平和憲法を持つわが国の姿勢を各国に伝え、国際平和社会実現へのわが国の役割りを果たすべき絶好のチャンスであったと思います。
特に、わが党は、そのような立場から、総理訪米に当たって、米国のイランにおける人質救出作戦は遺憾であること、あくまで平和的解決に努力すべきであることをカーター大統領にはっきりと述べ、また、安易な防衛力増強を約束すべきでないこと等を総理に申し入れをしたのであります。しかるに、大平総理は、これらの点について十分に主張せず、ひたすら米国の立場に同調し、また、わが国の防衛力増強を迫られるなどの結果となったことは、まことに遺憾としか言いようがありません。その上、総理は日本へ帰ってからは防衛力増強を約束はしてこなかったことを強調し、そのため大平総理の姿勢は訪米中と帰国後とで変更したのかとの外人記者から質問が殺到するなど、アメリカ向けと日本国内向けと二つの顔を立て分けるなどは、全く国民を欺くものと言わなければなりません。
私は、一国の総理は、アメリカに対しても、また国民に対しても、迎合することなく、主張すべきは堂々と主張すべきであると思います。私に対する答弁も率直にお答えをいただきたい。
第一に、総理は、同盟国として「共存共苦」を米国に誓ったわけでありますが、確かに日米両国は多くの面で価値観を共にしており、その上日本は米国に安全保障、貿易、食糧など多方面で依存し、また、アフガンへの軍事介入に反対し、イランの人質早期解放を求める点でも一致しているのも事実であります。
しかし、現在米国が行っている外交が危険なものであることを忠告するのも真の友人の義務ではないでしょうか。総理は、人質救出作戦で犠牲者を出し、悲しみに満ちている米国に対し批判がましい言及は一言もしなかったと述べていますが、わが国の立場に立って意見を述べるのも真の友人であると思うのであります。それを隷属的に共存共苦という大平総理の対米政策は、従来の全方位外交政策とは大きく異なると考えるわけでありますが、一体この共存共苦とはいかなる意味なのか、日米運命共同体と受けとめてよいのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
第二に、防衛力増強の問題であります。
カーター大統領が早期達成を要望したいわゆる「日本政府内にある計画」について、総理は、昨日も先ほども、これは中期業務見積もりではなく一般的な防衛力の増強であると述べています。しかしながら、この総理の発言は全く理解に苦しむものであります。去る九日に明らかになった外務省・防衛庁の自民党への説明記録によると、中期業務見積もりの取り扱いをめぐる日米両政府の調整が同見積もりが決定された直後の昨年八月以来進められ、去る一月十四日にブラウン長官が来日した際、実施期間短縮の可能性を打診していたことが明らかにされております。今回、カーター大統領が繰り上げ実施を要請した「日本政府部内にある計画」は中期業務見積もりの短縮であることは明白な事実であると思いますが、そうでないと言うのはいかなる根拠に基づくのか、総理のお考えをお聞きしたい。
第三に、大来外務大臣は、昨日、自主外交の確立のためには防衛力の増強が必要であると述べております。世界第八位の防衛予算では自主外交に不十分であるというのでありましょうか。平和憲法を持つわが国は、防衛力の増強や武器輸出ではなく、むしろ経済援助、技術援助、文化交流等に力を入れることこそわが国の自主外交の推進に必要であると思います。軍事力の過度の増強は東南アジアの国々へも日本の軍事大国化への脅威を与え、むしろ自主外交の確立に害ありと思うわけでありますが、外務大臣の発言に対して総理大臣はどう考えているのか、お伺いしたいのであります。
第四に、また外務大臣は、防衛費を対GNP一%にするためには公共事業を削れば財源確保が可能であり、増税の必要はないと述べています。総理も同じ考えであるのか。公共事業費を簡単に削れるのであれば、むしろその費用を国債償還や福祉充実、さらには発展途上国への経済援助に力を入れるべきであると思うが、総理の見解を承りたいのであります。
第五に、総理は、防衛力の増強については来年度予算で努力すると述べております。緊迫した国際情勢を理由に、最近防衛力増強や武器輸出推進の声も一部財界から出ているときに、われわれは軍事大国への道へ進む危険を感じざるを得ません。わが国の防衛は、防衛力の増強に頼るのでなく、むしろ平和外交の推進、経済、技術、文化の交流を通して総合的な安全保障政策を推進すべきであると思います。総理は先ほども自衛に必要な限度に増強が必要であると述べておりますが、どの程度の防衛力の増強を考えているのか、わが国の防衛についての総理のお考えをお聞きしたいのであります。
第六に、発展途上国等に対する対外経済協力の強化についてであります。
大平総理は、今回の訪米に当たり、日米関係を重視する余り、日本外交の大きな柱であるべき第三世界との友好の重要性を忘れております。わが国の外交が米国との共存共苦のみに専念し、第三世界の視点を欠落させていることは重大な問題であります。米国と共存共苦し、防衛力を増強すると言っても、それは国民の合意の得られないものであり、わが国としては国際的責任を果たす上に最も力を入れなければならないのは発展途上国等に対する対外経済協力の強化であります。社会的、経済的不安に悩む国々に経済協力を積極的に行い、その地域の生活安定に協力することが国際間の緊張緩和にも寄与することになり、わが国の平和自主外交にとってきわめて肝要なことだと思います。総理はこのような南北問題に率先して取り組むことについてどのようにお考えなのか、お示しいただきたい。
第七に、メキシコの原油輸入問題であります。
訪米と並ぶ今回の旅行の大きな焦点は、メキシコからの原油増量輸入であります。総理は、出発に当たって、現在日量十万バレルを日量三十万バレルに増量することに自信を持たれておりましたが、結果としてわが国の資源外交の不手際を証明したにすぎません。今回のメキシコ原油の増量問題は、政府が否定してもイラン原油の穴埋め策の印象が強く、場当たり主義の感がぬぐえないのであります。それは、メキシコ関係者の「日本はわれわれの心を十分わかっていない」との発言からも明らかであります。イラン原油の穴埋めは、当面米国が保証するととはカーター大統領が確約しておりますが、メキシコも大事な産油国であり、今後日本のエネルギー資源確保の上で決してゆるがせにはできない重要な国であります。総理は、今回のメキシコ原油交渉を率直にどう反省しておられるか、また、今回の教訓をもとに今後どのような対策を講ずるのか、決意のほどをお聞きしたい。
最後に、チトー大統領亡き後の非同盟諸国の問題であります。
わが国の非同盟諸国に対する外交姿勢は、メキシコの例に明らかなように認識不足の面が多分にあることは否めない事実であります。日加首脳会談でも、トルドー首相は非同盟諸国を反米に迫いやらぬ必要性を指摘したと言われますが、総理は、今後ますます国際間の緊張感が進む中で、また、わが国の外交政策の上から重要な意味を持つ非同盟諸国との外交の基本姿勢をどうされるのか、明らかにしていただきたいのであります。
以上、大平総理の三カ国訪問における重要な問題を指摘し、また、誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
大
大平正芳#24
○国務大臣(大平正芳君) 塩出さんの最初の御質問は、イラン問題、アフガニスタン問題に対する対応に関連いたしまして、私が「多少の犠牲を忍んでも」とかあるいは「共存共苦」というような表現で言っておる内容は一体どういうことを意味しておるのかという意味の御質問でございました。
私は、先ほどの御報告にも申し上げましたとおり、この二つの問題は、性質は違っておるけれども、イランとソ連による国際秩序に対する重大な違反であると考えておるわけでございます。日本ばかりでなく、国際社会の責任あるメンバーは、この両国に対して強い反省を求めなければなりませんし、そういう行動をした者はそれ相当の代償を払わなければならないというものではなかろうかと思っておるわけでございまして、われわれもこれに対する対応は決して楽じゃございませんけれども、志を同じゅうする国々と共同いたしまして対応措置を講じていく場合に多少の犠牲を覚悟しなければならないのは事の性質上当然でないかと考えております。しかし、これを日米運命共同体というような認識の上に立って申しておるものではございません。そして、わが国のとる具体的な政策につきましては、先ほども小野さんにお答え申しましたように、個々のケースに応じましてわが国自体の判断によりまして決定してまいることは当然と考えております。
第二の御質問でございますが、米側はやはり中期業務見積もりを指してその早期達成を求めたのではないかという御質問でございました。
先ほどの御報告にも申し上げたわけでございますが、米側が、わが国の防衛努力の問題に関連いたしまして、日本自身が計画を立てておることを評価し、その早期達成に言及したことは事実でございますが、具体的にそれが中期業務見積もりと特定してその繰り上げ達成を要請したというものではございません。一般的に日本の防衛努力を求めたと、一般的性格のものであると私は考えております。
私よりは、すでに申し上げましたとおり、わが国が防衛努力について真剣に検討していく旨を一般的にこれまた述べたものでございます。この点は、大統領がわが国が防衛力の増強につき種々の制約を抱えていることは十分理解しておる旨言明しており、私の応答が中業の繰り上げ達成を約束したものではなく、中業の問題は今後わが国の検討努力にかかる問題であるということにつきましてはアメリカも十分誤解なく理解していただいておるものと考えております。私は内外に二つの顔をつくるほど器用な男ではないんです。
それから第三の御質問は、外務大臣は自主外交のためには防衛力の強化が必要と述べたが、総理はこれに同意するかというような御質問でございました。
外務大臣の述べておるのは、あくまでも日米安保条約を前提とした上で、この安保条約が効果的に働くためにも日本自体の防衛努力が必要ということを言ったものと私は承知いたしております。したがって、防衛力整備の問題は、単に国際的に努力が期待されておるからということだけではなくて、わが国自身の問題として自主的に取り組む態度でないと自主外交というものはできないのではないかということを言ったものと承知しておるのでございまして、この考え方に対して私は同感でございます。
外務大臣は公共事業費を削ればGNP一%は可能だと言ったが総理の考えはどうかというお尋ねでございました。
先ほども申し上げましたとおり、防衛力の整備は「防衛計画の大綱」に従いまして毎年毎年の予算で答えを出すと私は申し上げておるわけでございます。また、現下の厳しい国際情勢を考えまして、防衛力の整備については真剣に検討しなければならないと考えておりますけれども、防衛費の問題につきましては、国際情勢の動向ばかりでなく、他の財政事情、他の経費とのバランス等も十分考慮しなければなりませんので、予算全体を通じて答えを出す以外にないと考えておりまして、公共事業費云々というようなことにつきましては、にわかにがえんじるわけにはまいりません。
来年度予算で努力すると言うが、防衛に対してどれだけの努力をするつもりかという意味の御質問でございました。
これは、先ほども申しましたように、すでに数年前から「防衛計画の大綱」というものを決めまして、そしてここ当分の間GNPの一%以内において防衛力の整備をするというような方針を決めておりまして、今日の状態はこの中期業務見積もりというようなものを実行してまいりましてもまだそこまで達成し得ない状況でもございまして、したがって、私どもといたしましては、既定の方針の中でできるだけ努力をいたしまして、正面装備の近代化、充実に努めていきたいものと考えておりますが、いずれにいたしましても、予算をもってお答えするよりほかに具体的な回答はないと考えております。
それからわが国の国際的責任を果たすためには発展途上国に対する対外経済協力をもっと強化すべきでないかという塩出さんの御意見を交えての御質問でございました。
わが国が国際社会に貢献し、国際的責任を果たすためには、経済力を活用いたしまして、発展途上国に対する経済協力を強化して世界の平和と安定に協力するととが望ましいことは、御指摘のとおりと考えております。政府は、そういう考え方から、政府開発援助三年倍増の目標を掲げまして、今年ようやくそれを完成いたしたところでございますけれども、今後ともこのような努力は精力的に続けてまいらなければならぬと考えております。
それからメキシコ原油の輸入交渉についての御批判を含めての御質問でございました。
これは小野さんにもお答え申し上げましたとおりでございまして、メキシコ側として最大限の好意を示していただいたつもりでございまするし、今度のコミュニケにあらわれました結論は今日の事態において期待できる最善のものであると私は考えておるわけでございます。
チトー大統領亡き後の非同盟諸国に対する外交姿勢についてのお尋ねでございました。
故チトー大統領は、純粋非同盟路線擁護の中心的な大きな存在として、穏健派と急進派諸国の間の取りまとめ役として非常に重要な役割りを果たされた方であると評価いたしております。
わが国といたしましては、チトー大統領亡き後の非同盟運動が本来のチトー路線を維持いたしまして世界の平和と安定に貢献してまいることを期待し、これを支援してまいりたいと考えております。拍手
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この発言だけを見る →私は、先ほどの御報告にも申し上げましたとおり、この二つの問題は、性質は違っておるけれども、イランとソ連による国際秩序に対する重大な違反であると考えておるわけでございます。日本ばかりでなく、国際社会の責任あるメンバーは、この両国に対して強い反省を求めなければなりませんし、そういう行動をした者はそれ相当の代償を払わなければならないというものではなかろうかと思っておるわけでございまして、われわれもこれに対する対応は決して楽じゃございませんけれども、志を同じゅうする国々と共同いたしまして対応措置を講じていく場合に多少の犠牲を覚悟しなければならないのは事の性質上当然でないかと考えております。しかし、これを日米運命共同体というような認識の上に立って申しておるものではございません。そして、わが国のとる具体的な政策につきましては、先ほども小野さんにお答え申しましたように、個々のケースに応じましてわが国自体の判断によりまして決定してまいることは当然と考えております。
第二の御質問でございますが、米側はやはり中期業務見積もりを指してその早期達成を求めたのではないかという御質問でございました。
先ほどの御報告にも申し上げたわけでございますが、米側が、わが国の防衛努力の問題に関連いたしまして、日本自身が計画を立てておることを評価し、その早期達成に言及したことは事実でございますが、具体的にそれが中期業務見積もりと特定してその繰り上げ達成を要請したというものではございません。一般的に日本の防衛努力を求めたと、一般的性格のものであると私は考えております。
私よりは、すでに申し上げましたとおり、わが国が防衛努力について真剣に検討していく旨を一般的にこれまた述べたものでございます。この点は、大統領がわが国が防衛力の増強につき種々の制約を抱えていることは十分理解しておる旨言明しており、私の応答が中業の繰り上げ達成を約束したものではなく、中業の問題は今後わが国の検討努力にかかる問題であるということにつきましてはアメリカも十分誤解なく理解していただいておるものと考えております。私は内外に二つの顔をつくるほど器用な男ではないんです。
それから第三の御質問は、外務大臣は自主外交のためには防衛力の強化が必要と述べたが、総理はこれに同意するかというような御質問でございました。
外務大臣の述べておるのは、あくまでも日米安保条約を前提とした上で、この安保条約が効果的に働くためにも日本自体の防衛努力が必要ということを言ったものと私は承知いたしております。したがって、防衛力整備の問題は、単に国際的に努力が期待されておるからということだけではなくて、わが国自身の問題として自主的に取り組む態度でないと自主外交というものはできないのではないかということを言ったものと承知しておるのでございまして、この考え方に対して私は同感でございます。
外務大臣は公共事業費を削ればGNP一%は可能だと言ったが総理の考えはどうかというお尋ねでございました。
先ほども申し上げましたとおり、防衛力の整備は「防衛計画の大綱」に従いまして毎年毎年の予算で答えを出すと私は申し上げておるわけでございます。また、現下の厳しい国際情勢を考えまして、防衛力の整備については真剣に検討しなければならないと考えておりますけれども、防衛費の問題につきましては、国際情勢の動向ばかりでなく、他の財政事情、他の経費とのバランス等も十分考慮しなければなりませんので、予算全体を通じて答えを出す以外にないと考えておりまして、公共事業費云々というようなことにつきましては、にわかにがえんじるわけにはまいりません。
来年度予算で努力すると言うが、防衛に対してどれだけの努力をするつもりかという意味の御質問でございました。
これは、先ほども申しましたように、すでに数年前から「防衛計画の大綱」というものを決めまして、そしてここ当分の間GNPの一%以内において防衛力の整備をするというような方針を決めておりまして、今日の状態はこの中期業務見積もりというようなものを実行してまいりましてもまだそこまで達成し得ない状況でもございまして、したがって、私どもといたしましては、既定の方針の中でできるだけ努力をいたしまして、正面装備の近代化、充実に努めていきたいものと考えておりますが、いずれにいたしましても、予算をもってお答えするよりほかに具体的な回答はないと考えております。
それからわが国の国際的責任を果たすためには発展途上国に対する対外経済協力をもっと強化すべきでないかという塩出さんの御意見を交えての御質問でございました。
わが国が国際社会に貢献し、国際的責任を果たすためには、経済力を活用いたしまして、発展途上国に対する経済協力を強化して世界の平和と安定に協力するととが望ましいことは、御指摘のとおりと考えております。政府は、そういう考え方から、政府開発援助三年倍増の目標を掲げまして、今年ようやくそれを完成いたしたところでございますけれども、今後ともこのような努力は精力的に続けてまいらなければならぬと考えております。
それからメキシコ原油の輸入交渉についての御批判を含めての御質問でございました。
これは小野さんにもお答え申し上げましたとおりでございまして、メキシコ側として最大限の好意を示していただいたつもりでございまするし、今度のコミュニケにあらわれました結論は今日の事態において期待できる最善のものであると私は考えておるわけでございます。
チトー大統領亡き後の非同盟諸国に対する外交姿勢についてのお尋ねでございました。
故チトー大統領は、純粋非同盟路線擁護の中心的な大きな存在として、穏健派と急進派諸国の間の取りまとめ役として非常に重要な役割りを果たされた方であると評価いたしております。
わが国といたしましては、チトー大統領亡き後の非同盟運動が本来のチトー路線を維持いたしまして世界の平和と安定に貢献してまいることを期待し、これを支援してまいりたいと考えております。拍手
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秋
立
立木洋#26
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、ただいまの大平総理の帰国報告について質問いたします。
イラン、アフガニスタン問題など緊迫する国際情勢のもとで開かれた日米首脳会談で、総理がカーター戦略への全面協力と軍事分担を増大する努力を約束したことは、八〇年代の日本の進路と国民生活にとってきわめて重大な選択を行ったと言わなければなりません。この選択は、日本の平和と安全のみならず、国民生活にも重大な事態をもたらすものであります。
質問の第一の点は、アメリカが、昨年十一月、第七艦隊のアラビア海出動という軍事脅迫に続いて、今度は直接イランの主権を乱暴にじゅうりんした人質奪還作戦と称する軍事行動を展開したことについてであります。
もちろん、イランの人質事件が国際法に反していることは明白であります。しかし、アメリカのかかる軍事行動に総理が理解を表明したということはきわめて重大であります。もしアメリカのこうした行動が容認されるならば、平和的手段で国際紛争を解決していくべき国連憲章の原則そのものをも脅かすことになると考えないのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
しかも、許すことができないのは、日本がアメリカの対イラン干渉の拠点にされていることであります。昨年、横須賀を母港とした第七艦隊がアラビア海に出撃し、今回の人質奪還作戦の当日には沖繩に駐留していた第一特殊作戦中隊のMC130E輸送機四機が姿を見せず、四月二十九日に三機しか沖繩に帰ってこなかったことを見ても、嘉手納基地のMC130E機のイラン出動の疑いの根拠は十分であります。また、嘉手納基地関係者は、問題の第一特殊作戦部隊がイラン人質救出との関連で出動しているとさえ言明しているのであります。これだけ重大な問題になっているにもかかわらず、このMC130E四機が四月二十五日当日どこに存在していたのかいまだに報告されていないのはゆゆしい問題であります。在日米軍の中東への出動は日米安保条約でさえ認めていないところであり、責任をもって明確にしていただきたい。
第二に、アメリカのイラン干渉問題について、総理は、昨日の答弁で「米側の行動はまだ明らかになっていない」と述べましたが、当時のアメリカCIA長官アレン・ダレスが「モサデク政権にとどめを刺せ、手段を選ばなくてもよい」とカーミット・ルーズベルトに指示し、クーデター推進本部をつくってモサデク政権打倒の策謀を進めていたのであります。当時のアイゼンハワー大統領はCIAなどがシャーの支持者とともに活発に工作していたことを公然と認めていることによっても、国際法に反するアメリカのイランへの内部に対する重大な干渉、介入は明白な歴史的な事実であります。
日本政府は、これまでも、アメリカのベトナム侵略、チリ政権転覆など、数多くの他国への軍事介入、干渉を不問に付してきましたが、総理は、今回もまたイランの国際法違反のみを取り上げて、こうしたアメリカの重大な国際法違反の行動を知らないとして弁護し続けるつもりかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
イランの人質事件は国際法に反するものであります。しかし、これに対抗して同盟国を総動員した政治経済制裁、あるいは軍事行動を進めることは、問題の解決をますます困難にするばかりではありませんか。総理は一体どのようにお考えになっているのか。総理の対米追随外交が、アメリカの干渉政策に反対する中東諸国との真の友好関係確立の道を閉ざし、日本と中東諸国との友好関係確立を妨げるとはお考えにならないのかどうか、所見を求めるものであります。
第三は、イラン原油の供給停止による国民生活への深刻な打撃についてであります。
イラン原油は四月二十一日より入手できなくなっておりますが、政府はイラン原油購入拒否は価格が高いためだと説明しております。しかし、いみじくも伊東官房長官が記者会見で「広い意味では同調の一つ」と表明いたしましたように、これは明らかにECなどに先駆けてアメリカの対イラン制裁のために旗振り役を果たすためにとられた措置にほかならないのではないですか。カーター大統領があなたに感謝を表明したのはそのためではございませんか。わが国エネルギー供給の七割を超える石油のうち一一%が入手できなくなったことは、国民生活に重大な影響があるのであります。
総理、あなたは、この対米同調がわが国のエネルギー問題をきわめて困難な事態に導く危険な道であるということを知っていてあえて選択されたのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
石油について、政府は、備蓄があるから大丈夫だと言っておりますが、石油大企業は、備蓄を取り崩すのではなく、国民への供給を削減することによって事態を乗り切ろうといたしております。イラン原油への依存度一六・七%の大協石油がすでに国内供給削減を決定したと伝えられており、他の石油会社も同様の行動をとると見なければなりません。実際に被害を受けるのは国民ではないでしょうか。七三年の石油パニックの再現さえ予想される事態であります。すでに価格の面でも重大な影響が出ているのであります。
総理、あなたがカーター大統領に表明した「犠牲をも辞さない」というのは、石油供給による国民生活の犠牲を意味するのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
第四に、いわゆる防衛力増強問題についてであります。
カーター米大統領が政府部内の計画の繰り上げ達成を強く要求したことに対して、総理は、真剣に検討すると述べただけで中期業務見積もり自体について約束したわけではないなどと弁明いたしております。しかし、経過を見ますと、昨年八月山下防衛庁長官が訪米した際中期業務見積もりについてブラウン国防長官に説明したことに対し、今年の一月ブラウン長官がその見直しを要求してきたのであり、また、三月に大来外相が訪米したときにもこの繰り上げ達成が問題になったのではありませんか。こうした点から、カーター大統領の今回の要求は中期業務見積もりの早期達成を要求したものと考えると大来外相は明確に述べております。あなたのそれに対して回答されたことが何を意味しているのかは明白ではありませんか。どうしてあなたは国民の前に真実が語れないのか、総理として真相をはっきりとさせていただきたい。
また、首相は、出発前に、中期業務見積もりについて、「防衛庁の内部資料にすぎない」とか、「これを一々取り上げない」とかと明言されていたはずであります。それにもかかわらず、カーターの要求の前になるとなぜ「真剣に検討する」と態度を豹変されたのか、はっきりとお答えをいただきたいのであります。
さらに、総理は、軍事費増大について、赤字公債発行、生活関連投資のカット、それと増税の三つしかないと述べていました。大来外相は、昨日の私の質問に対し、公共投資を削減して軍事費に回す可能性も示唆しておりますが、あなたは一体どの道を選択されようとしているのか、明確にしていただきたいのであります。
私は、アメリカの要求に屈服して国民に犠牲を強い、日本の進路を誤らせるかかる軍事費増強は断じてやめるように強く主張するものであります。
最後に、日本の進むべき道は、軍備増強や軍事ブロック強化の方向ではなく、全般的軍縮、そして平和、中立、非同盟の道でなければならないことを私は重ねて強調するとともに、日米首脳会談で総理が選択した道が八〇年代の日本の進路にとってきわめて危険な選択であったことを厳しく糾弾して、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →イラン、アフガニスタン問題など緊迫する国際情勢のもとで開かれた日米首脳会談で、総理がカーター戦略への全面協力と軍事分担を増大する努力を約束したことは、八〇年代の日本の進路と国民生活にとってきわめて重大な選択を行ったと言わなければなりません。この選択は、日本の平和と安全のみならず、国民生活にも重大な事態をもたらすものであります。
質問の第一の点は、アメリカが、昨年十一月、第七艦隊のアラビア海出動という軍事脅迫に続いて、今度は直接イランの主権を乱暴にじゅうりんした人質奪還作戦と称する軍事行動を展開したことについてであります。
もちろん、イランの人質事件が国際法に反していることは明白であります。しかし、アメリカのかかる軍事行動に総理が理解を表明したということはきわめて重大であります。もしアメリカのこうした行動が容認されるならば、平和的手段で国際紛争を解決していくべき国連憲章の原則そのものをも脅かすことになると考えないのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
しかも、許すことができないのは、日本がアメリカの対イラン干渉の拠点にされていることであります。昨年、横須賀を母港とした第七艦隊がアラビア海に出撃し、今回の人質奪還作戦の当日には沖繩に駐留していた第一特殊作戦中隊のMC130E輸送機四機が姿を見せず、四月二十九日に三機しか沖繩に帰ってこなかったことを見ても、嘉手納基地のMC130E機のイラン出動の疑いの根拠は十分であります。また、嘉手納基地関係者は、問題の第一特殊作戦部隊がイラン人質救出との関連で出動しているとさえ言明しているのであります。これだけ重大な問題になっているにもかかわらず、このMC130E四機が四月二十五日当日どこに存在していたのかいまだに報告されていないのはゆゆしい問題であります。在日米軍の中東への出動は日米安保条約でさえ認めていないところであり、責任をもって明確にしていただきたい。
第二に、アメリカのイラン干渉問題について、総理は、昨日の答弁で「米側の行動はまだ明らかになっていない」と述べましたが、当時のアメリカCIA長官アレン・ダレスが「モサデク政権にとどめを刺せ、手段を選ばなくてもよい」とカーミット・ルーズベルトに指示し、クーデター推進本部をつくってモサデク政権打倒の策謀を進めていたのであります。当時のアイゼンハワー大統領はCIAなどがシャーの支持者とともに活発に工作していたことを公然と認めていることによっても、国際法に反するアメリカのイランへの内部に対する重大な干渉、介入は明白な歴史的な事実であります。
日本政府は、これまでも、アメリカのベトナム侵略、チリ政権転覆など、数多くの他国への軍事介入、干渉を不問に付してきましたが、総理は、今回もまたイランの国際法違反のみを取り上げて、こうしたアメリカの重大な国際法違反の行動を知らないとして弁護し続けるつもりかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
イランの人質事件は国際法に反するものであります。しかし、これに対抗して同盟国を総動員した政治経済制裁、あるいは軍事行動を進めることは、問題の解決をますます困難にするばかりではありませんか。総理は一体どのようにお考えになっているのか。総理の対米追随外交が、アメリカの干渉政策に反対する中東諸国との真の友好関係確立の道を閉ざし、日本と中東諸国との友好関係確立を妨げるとはお考えにならないのかどうか、所見を求めるものであります。
第三は、イラン原油の供給停止による国民生活への深刻な打撃についてであります。
イラン原油は四月二十一日より入手できなくなっておりますが、政府はイラン原油購入拒否は価格が高いためだと説明しております。しかし、いみじくも伊東官房長官が記者会見で「広い意味では同調の一つ」と表明いたしましたように、これは明らかにECなどに先駆けてアメリカの対イラン制裁のために旗振り役を果たすためにとられた措置にほかならないのではないですか。カーター大統領があなたに感謝を表明したのはそのためではございませんか。わが国エネルギー供給の七割を超える石油のうち一一%が入手できなくなったことは、国民生活に重大な影響があるのであります。
総理、あなたは、この対米同調がわが国のエネルギー問題をきわめて困難な事態に導く危険な道であるということを知っていてあえて選択されたのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
石油について、政府は、備蓄があるから大丈夫だと言っておりますが、石油大企業は、備蓄を取り崩すのではなく、国民への供給を削減することによって事態を乗り切ろうといたしております。イラン原油への依存度一六・七%の大協石油がすでに国内供給削減を決定したと伝えられており、他の石油会社も同様の行動をとると見なければなりません。実際に被害を受けるのは国民ではないでしょうか。七三年の石油パニックの再現さえ予想される事態であります。すでに価格の面でも重大な影響が出ているのであります。
総理、あなたがカーター大統領に表明した「犠牲をも辞さない」というのは、石油供給による国民生活の犠牲を意味するのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
第四に、いわゆる防衛力増強問題についてであります。
カーター米大統領が政府部内の計画の繰り上げ達成を強く要求したことに対して、総理は、真剣に検討すると述べただけで中期業務見積もり自体について約束したわけではないなどと弁明いたしております。しかし、経過を見ますと、昨年八月山下防衛庁長官が訪米した際中期業務見積もりについてブラウン国防長官に説明したことに対し、今年の一月ブラウン長官がその見直しを要求してきたのであり、また、三月に大来外相が訪米したときにもこの繰り上げ達成が問題になったのではありませんか。こうした点から、カーター大統領の今回の要求は中期業務見積もりの早期達成を要求したものと考えると大来外相は明確に述べております。あなたのそれに対して回答されたことが何を意味しているのかは明白ではありませんか。どうしてあなたは国民の前に真実が語れないのか、総理として真相をはっきりとさせていただきたい。
また、首相は、出発前に、中期業務見積もりについて、「防衛庁の内部資料にすぎない」とか、「これを一々取り上げない」とかと明言されていたはずであります。それにもかかわらず、カーターの要求の前になるとなぜ「真剣に検討する」と態度を豹変されたのか、はっきりとお答えをいただきたいのであります。
さらに、総理は、軍事費増大について、赤字公債発行、生活関連投資のカット、それと増税の三つしかないと述べていました。大来外相は、昨日の私の質問に対し、公共投資を削減して軍事費に回す可能性も示唆しておりますが、あなたは一体どの道を選択されようとしているのか、明確にしていただきたいのであります。
私は、アメリカの要求に屈服して国民に犠牲を強い、日本の進路を誤らせるかかる軍事費増強は断じてやめるように強く主張するものであります。
最後に、日本の進むべき道は、軍備増強や軍事ブロック強化の方向ではなく、全般的軍縮、そして平和、中立、非同盟の道でなければならないことを私は重ねて強調するとともに、日米首脳会談で総理が選択した道が八〇年代の日本の進路にとってきわめて危険な選択であったことを厳しく糾弾して、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
大
大平正芳#27
○国務大臣(大平正芳君) 立木さんの最初の御質問は、私が理解を示したのはアメリカのいかなることなのか、人質奪還作戦への理解を意味するのかという意味の御質問でございました。
この問題につきましては、私、訪米前からも申し上げておったわけでございますが、人質の拘束が長期にもう半年間にもわたっておりまするし、また、種々の努力にもかかわらず依然として解決の目途が得られない状況のもとで、人質救出という目的に限定して救出行動がとられたことは人道的見地から心情的には理解できるということを申し上げたことから御理解をいただきたいと思います。
それから第二には、わが国の基地が他国に対する干渉と脅迫のために使用されるようなことはないかということでございます。
わが国といたしましては、イランの人質問題が早急に交渉を通じて平和的に解決されることが重要であると考えております。そのために国際社会の一員として友好国と相はかりながら可能な努力を続けておりますることは御承知のとおりでございまして、今次訪米に際しましても、米国はあくまでも忍耐強く自制し、その上平和的解決を図るよう要望いたしました。これに対しまして、先ほども御報告申し上げましたとおり、大統領は同感の意を表して、そのために友邦諸国の一層の協力を求められたのでございます。
米軍の行動でございますが、これは国連憲章の枠内でとられるものであることと、それから米軍によるわが国の施設区域の使用は、安保条約とそれに関連する取り決めに従って行われることでございますので、わが国の施設区域を使用して米軍が第三国に対する干渉や脅迫を行うことなどは考えられないことであると思っております。
そこで、御指摘もございましたので、本件に関して、四月二十六日、在米大使館を通じて米国防省担当官に対して照会を行いました結果、五月二日回答を得まして、それによりますと、救出行動に従事したC130はすべて米国本土から出動したとのことでございました。
その次に、モサデク政権打倒以来のアメリカのイランに対する行動をイランの民族自決権を侵す覇権主義と見るべきでないかという御指摘でございました。
イランにおける過去の米国の行動につきましては、その内容は明らかになっておりませんので、私からコメントをすることは差し控えたいと思いますが、カーター大統領は、これまでも、人質問題を除きますと、米国はイランという国家、イランの革命及びイラン人民に基本的に反目するものではない旨明らかにしており、イランの民族自決に対して米国が何らの容喙を行っているとは私は考えておりません。
それから対米協力が日本と中東諸国との友好を妨げる心配はないかという意味の御質問でございました。
わが国は、国際政治経済に占める中東諸国の重要性、また、わが国とこれら諸国との間に存在する相互依存関係を考慮いたしまして、これら諸国との友好協力関係の強化をこれまでも積極的に進めてまいったつもりでございます。このように、わが国の中東政策は、わが国みずからの自主的な判断によりまして推進されておりまして、米国に追随してやっておるわけではございません。いずれにいたしましても、わが国の中東外交の姿勢がわが国とこれら諸国との友好関係を妨げるとは考えておりません。
ただ、イラン政府が人質の拘束を容認していることにつきましては、国際社会の基本的秩序を脅かすものであり、それもあなたも御容認されたようでございますが、人質が急速に解放されねばならないという点に関し中東諸国も一致した認識を持っておることを指摘いたしたいと思います。
また、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入について、わが国は、国際法及び国際正義に反する行為であってきわめて遺憾であると考えておりまして、ソ連の速やかな撤退を要求するとの立場をとっております。このようなわが国の立場もまた中東諸国の支持を得ておるものと考えております。
次に、イランの対日石油供給停止についての御質問でございました。
これは、先ほどもお答え申し上げましたように、イランがオファーした値段でわが国が引き取るということは、わが国の経済にとって重大な影響を及ぼすばかりでなく、世界の石油マーケットに対しまして大きな脅威にもなりまするので、われわれといたしましてはイランに反省を求め続けておるわけでございまして、イラン側に再考を求めておるにすぎないわけでございまして、米国とイランとの関係に絡む政治的な問題ではない、私どもはこれとは全く別個の問題であると考えております。
それからその次は防衛問題でございますが、中期業務見積もりは資料にすぎないと言っていたにもかかわらずなぜ真剣に検討すると約束したかということでございます。
立木さんに御理解をいただきたいのは、アメリカ政府と防衛当局とのやりとりの間でわが方で説明すると、それを対米約束とすぐお受け取りにならぬように願いたいのであります。説明することと実行することとは別なことだと私は思っておるわけでございます。アメリカは日本に対しまして希望を表明する自由を持っておると思うのでございますが、これを実行するのは日本なんでございますので、そのあたりはどうぞかみ分けて御理解をいただきたいと思うのでございます。
日本の防衛努力につきましては自主的に真剣に検討していくわけでございまして、私は中期業務見積もりを真剣に検討すると言ったのじゃなくて、日本の防衛全体につきましては真剣に検討してまいるということを言ったまでにすぎないわけでございます。
それから軍事費増強につきまして大来外務大臣も一つの見解を述べておるということでございました。
その点につきましては先ほど塩出さんにお話を申し上げたとおりでございまして、立木さんからは防衛力の整備に必要な財源につきましてその調達はどういう道をとって考えていくかという御質問でございましたが、先ほど申しましたように防衛力の整備については真剣に検討しなければならないと考えておりますが、防衛費につきましては、国際情勢ばかりでございませんで、財政、経済の状況も十分考えなければなりません。国民の御納得も得なければなりませんので、この回答は全体として明年度の予算案でお答えいたしますと答える以外にいまお答えのしようがないことは御了解いただきたいと思います。拍手
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この発言だけを見る →この問題につきましては、私、訪米前からも申し上げておったわけでございますが、人質の拘束が長期にもう半年間にもわたっておりまするし、また、種々の努力にもかかわらず依然として解決の目途が得られない状況のもとで、人質救出という目的に限定して救出行動がとられたことは人道的見地から心情的には理解できるということを申し上げたことから御理解をいただきたいと思います。
それから第二には、わが国の基地が他国に対する干渉と脅迫のために使用されるようなことはないかということでございます。
わが国といたしましては、イランの人質問題が早急に交渉を通じて平和的に解決されることが重要であると考えております。そのために国際社会の一員として友好国と相はかりながら可能な努力を続けておりますることは御承知のとおりでございまして、今次訪米に際しましても、米国はあくまでも忍耐強く自制し、その上平和的解決を図るよう要望いたしました。これに対しまして、先ほども御報告申し上げましたとおり、大統領は同感の意を表して、そのために友邦諸国の一層の協力を求められたのでございます。
米軍の行動でございますが、これは国連憲章の枠内でとられるものであることと、それから米軍によるわが国の施設区域の使用は、安保条約とそれに関連する取り決めに従って行われることでございますので、わが国の施設区域を使用して米軍が第三国に対する干渉や脅迫を行うことなどは考えられないことであると思っております。
そこで、御指摘もございましたので、本件に関して、四月二十六日、在米大使館を通じて米国防省担当官に対して照会を行いました結果、五月二日回答を得まして、それによりますと、救出行動に従事したC130はすべて米国本土から出動したとのことでございました。
その次に、モサデク政権打倒以来のアメリカのイランに対する行動をイランの民族自決権を侵す覇権主義と見るべきでないかという御指摘でございました。
イランにおける過去の米国の行動につきましては、その内容は明らかになっておりませんので、私からコメントをすることは差し控えたいと思いますが、カーター大統領は、これまでも、人質問題を除きますと、米国はイランという国家、イランの革命及びイラン人民に基本的に反目するものではない旨明らかにしており、イランの民族自決に対して米国が何らの容喙を行っているとは私は考えておりません。
それから対米協力が日本と中東諸国との友好を妨げる心配はないかという意味の御質問でございました。
わが国は、国際政治経済に占める中東諸国の重要性、また、わが国とこれら諸国との間に存在する相互依存関係を考慮いたしまして、これら諸国との友好協力関係の強化をこれまでも積極的に進めてまいったつもりでございます。このように、わが国の中東政策は、わが国みずからの自主的な判断によりまして推進されておりまして、米国に追随してやっておるわけではございません。いずれにいたしましても、わが国の中東外交の姿勢がわが国とこれら諸国との友好関係を妨げるとは考えておりません。
ただ、イラン政府が人質の拘束を容認していることにつきましては、国際社会の基本的秩序を脅かすものであり、それもあなたも御容認されたようでございますが、人質が急速に解放されねばならないという点に関し中東諸国も一致した認識を持っておることを指摘いたしたいと思います。
また、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入について、わが国は、国際法及び国際正義に反する行為であってきわめて遺憾であると考えておりまして、ソ連の速やかな撤退を要求するとの立場をとっております。このようなわが国の立場もまた中東諸国の支持を得ておるものと考えております。
次に、イランの対日石油供給停止についての御質問でございました。
これは、先ほどもお答え申し上げましたように、イランがオファーした値段でわが国が引き取るということは、わが国の経済にとって重大な影響を及ぼすばかりでなく、世界の石油マーケットに対しまして大きな脅威にもなりまするので、われわれといたしましてはイランに反省を求め続けておるわけでございまして、イラン側に再考を求めておるにすぎないわけでございまして、米国とイランとの関係に絡む政治的な問題ではない、私どもはこれとは全く別個の問題であると考えております。
それからその次は防衛問題でございますが、中期業務見積もりは資料にすぎないと言っていたにもかかわらずなぜ真剣に検討すると約束したかということでございます。
立木さんに御理解をいただきたいのは、アメリカ政府と防衛当局とのやりとりの間でわが方で説明すると、それを対米約束とすぐお受け取りにならぬように願いたいのであります。説明することと実行することとは別なことだと私は思っておるわけでございます。アメリカは日本に対しまして希望を表明する自由を持っておると思うのでございますが、これを実行するのは日本なんでございますので、そのあたりはどうぞかみ分けて御理解をいただきたいと思うのでございます。
日本の防衛努力につきましては自主的に真剣に検討していくわけでございまして、私は中期業務見積もりを真剣に検討すると言ったのじゃなくて、日本の防衛全体につきましては真剣に検討してまいるということを言ったまでにすぎないわけでございます。
それから軍事費増強につきまして大来外務大臣も一つの見解を述べておるということでございました。
その点につきましては先ほど塩出さんにお話を申し上げたとおりでございまして、立木さんからは防衛力の整備に必要な財源につきましてその調達はどういう道をとって考えていくかという御質問でございましたが、先ほど申しましたように防衛力の整備については真剣に検討しなければならないと考えておりますが、防衛費につきましては、国際情勢ばかりでございませんで、財政、経済の状況も十分考えなければなりません。国民の御納得も得なければなりませんので、この回答は全体として明年度の予算案でお答えいたしますと答える以外にいまお答えのしようがないことは御了解いただきたいと思います。拍手
—————————————
秋
木
木島則夫#29
○木島則夫君 私は、民社党を代表いたしまして、先ほど総理から報告されました日米首脳会談等について質問いたします。
今回の日米首脳会談は、従来の参勤交代的な総理訪米と違いまして、二つの点で大変重要な意味を持っていたと思います。
その一つは、会談後、総理が、「米国は同盟国の協力をいま一番求めている。それにわが国もこたえないといけない。同盟国とはそういうものである」といみじくも言われたように、わが国はまさに同盟という言葉にふさわしい関係においてアメリカから経済問題だけでなく政治問題においても協力を求められるようになったという点であります。
他の一つは、総理が、カーター大統領に対し、「イラン、アフガニスタン問題は世界の秩序にかかわる問題であるから、その解決のために協力するのは当然であり、われわれはそのために犠牲を辞さない」と言い、また、「アジアの安定のために経済援助をして同盟国としての責任を果たす」と述べられたように、わが国が世界政治に積極的に乗り出す姿勢を明らかにした点でございます。
このように今回の日米首脳会談はわが国外交に重要な転機をもたらす性格のものであったと考えますが、総理も基本的にそのような認識をお持ちであったかどうか、まず確認をさしていただきたい。
わが国がこのように進んで責任を担う態度を表明することは、現在の国際情勢とわが国の国力を考えるならばいわば当然のことであります。問題は、こういった態度表明が国民的な合意と政府部内の熟慮に基づいてなされたかどうかという点にあります。ところが、そういうものがないままに総理の腹構え一つでなされたのではないかと深く懸念をするところもあります。
わが国が世界政治に乗り出すに当たっては、わが国独自の国家戦略が必要であると考えます。この点について、私どもは、安全、公正、自由、共存、福祉、軍縮、人権、この七つの原則の上に立った平和戦略を国民のコンセンサスを得て確立するように提唱しております。わが国外交の指針となるべき平和戦略を定めないままに国際政治の場に乗り出せば、対米追随外交、場当たり外交という非難を浴びるばかりでなく、わが国の国益をもまた損なうからであります。総理は、国民のコンセンサスを得た平和戦略の策定の必要をお認めになるかどうか、明確にお答えをいただきたいと思います。
次は、具体的な問題でお伺いいたします。
総理が、イラン問題解決のため、米国の自制を求め、平和的解決を要望したのは、言うべきことは言うという意味で評価するものでありますが、それでは日本政府として今後事件が平和的に解決されるためにはどういう努力をされるのか。
これに関連して、外務大臣は、ワルトハイム国連事務総長とどのような内容の話し合いをされたのか、明らかにしていただきたい。
また、総理は、カーター大統領に対し、失敗に終わった武力による人質救出作戦については心情的に理解できるとお述べになったのでありますか、再びこうした武力による救出作戦を試みることのないように説得されたのかどうかもあわせてお伺いしたいと思います。
先般EC九カ国とわが国がイランに対して実施した第一次制裁によりまして今月の十七日までに人質解放に進展が見られない限り第二段階の制裁に進むことになっておりますが、最近EC内部にはこれを緩やかにしようという動きが見られます。わが国だけが先走ることはないと思いますが、この問題につきまして総理は西ドイツのシュミット首相とどのような話し合いをされたのか、明らかにしていただきたい。
また、イランとの合弁事業の石油化学プロジェクトの工事再開をめぐりましてイラン側は日本人職員を解雇するなど厳しい態度に出ておりますが、政府はどのような方針で臨まれるのか、あわせてお伺いいたしておきます。
次に、カーター大統領は、わが国がイランの高値原油を拒否したことを称賛すると同時に、「米国としても一般的には日本への原油供給に協力するつもりである」と言明しております。これはわが国の原油供給先の多角化という見地から重要な発言であると思いますが、それではどのくらいの量をどのような方法で融通を受けることが期待できるのかどうか、お示しをいただきたいと思います。
次に、防衛力増強問題についてであります。
カーター大統領が、総理に対し、「新しい状況に対応するため、すでに日本政府内にある計画を早目に達成できないか」と述べたのは、防衛庁の中期業務見積もりの繰り上げ達成を要請したものであることは明白でございます。これに対し、総理がいかなる言い回しをされようとも、「真剣に検討し、努力したい」と述べた以上、米国側が中期業務見積もりの繰り上げ達成をほぼ約束したものと受け取るのはきわめて自然であります。しかし、総理が、国内向けには「中期業務見積もりについて具体的な約束をした覚えはない。来年度予算で回答を出す」と言明しておられるのは、どうも対外向けと国内向けとを使い分けるものでありまして、こういった言い回しこそ結局対米不信を招くだけではないでしょうか、総理の率直明確な答弁を期待するものであります。
また、総理は、カーター大統領に、在日米軍の駐留費について、「施設費の負担をふやすことを検討する」と述べておられますが、具体的にどういうことをお考えなのか、お尋ねいたします。
次に、ソ連との関係であります。
今回の日米首脳会談と中曽根議員の訪中をあわせて日米中の軍事同盟化であるとソ連が批判しているのは見当違いもはなはだしいと思いますが、アフガニスタン事件以来わが国とソ連との関係が冷却ぎみであることもまた明白でございます。最近、ポリャンスキー大使が講演で北方領土へのソ連軍の配備を公式に認めたのも、こういった空気を反映したものと見ざるを得ません。隣国としても友好を維持すべきソ連であります。総理は、今後ソ連との関係をどのように進めるつもりなのか、お示しをいただきたい。
次に、難民対策について伺います。
わが国の定住受け入れ枠は、最近ようやく五百人から千人に拡大することが検討されているようでありますが、これまでにベトナム、カンボジアから海路、陸路で脱出した難民は百五十万人に達し、他方、これまでの米国の定住受け入れ数は十八万人、フランスは六万人と言われているのに、五百人とか千人というようなのは、余りにも情けない数字ではないでしょうか。資金援助や食糧援助ももちろん結構でありますが、もはやわが国は異民族を受け入れない社会であるなどと言っているときではないと思います。一層定住促進に努めるとともに、難民の待遇を保障する難民条約を早期に批准すべきでありますが、昨年、当時の園田外務大臣が、この通常国会に提出することを国会で言明したにもかかわらず、政府部内の意見の不一致によって今国会への提出が断念されたのは全く遺憾でございます。年内に批准できますように総理が指導力を発揮されることをここでお約束していただけませんでしょうか。
最後に、メキシコの問題でございます。
総理は、ロペス大統領に対して、メキシコ原油の対日供給量が日量三十万バレルまで増加されるよう希望しましたが、大統領は、わが国の要請に配慮するという政治的決意と善意を表明するにとどまって、日量六十万バレルに上るイランからの原油輸入ストップ分の半分をメキシコでカバーしたいというわが国の思惑は外れた形であります。それならば、大統領の言明は、経済協力の進展に応じて原油の供給量を増加することを間接的に約束したものなのかどうか、お伺いいたします。
言うまでもなく、メキシコは、資源に対する恒久主権などを内容といたしました経済権利義務憲章の提唱国であり、原油を自国の経済発展に必要な限りで生産し、輸出するという考えを実践している国でございます。したがって、原油供給を確保したいがために経済協力をふやすといった考え方ではなく、このようなメキシコの考え方を十分に理解した上で両国間の関係を発展させていく努力が大事ではないでしょうか。イランがだめならメキシコがあるさ、もしこういう安易な態度があったとしたら、誇り高きメキシコ国民の神経を逆なでしたであろうことを付言いたしまして、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →今回の日米首脳会談は、従来の参勤交代的な総理訪米と違いまして、二つの点で大変重要な意味を持っていたと思います。
その一つは、会談後、総理が、「米国は同盟国の協力をいま一番求めている。それにわが国もこたえないといけない。同盟国とはそういうものである」といみじくも言われたように、わが国はまさに同盟という言葉にふさわしい関係においてアメリカから経済問題だけでなく政治問題においても協力を求められるようになったという点であります。
他の一つは、総理が、カーター大統領に対し、「イラン、アフガニスタン問題は世界の秩序にかかわる問題であるから、その解決のために協力するのは当然であり、われわれはそのために犠牲を辞さない」と言い、また、「アジアの安定のために経済援助をして同盟国としての責任を果たす」と述べられたように、わが国が世界政治に積極的に乗り出す姿勢を明らかにした点でございます。
このように今回の日米首脳会談はわが国外交に重要な転機をもたらす性格のものであったと考えますが、総理も基本的にそのような認識をお持ちであったかどうか、まず確認をさしていただきたい。
わが国がこのように進んで責任を担う態度を表明することは、現在の国際情勢とわが国の国力を考えるならばいわば当然のことであります。問題は、こういった態度表明が国民的な合意と政府部内の熟慮に基づいてなされたかどうかという点にあります。ところが、そういうものがないままに総理の腹構え一つでなされたのではないかと深く懸念をするところもあります。
わが国が世界政治に乗り出すに当たっては、わが国独自の国家戦略が必要であると考えます。この点について、私どもは、安全、公正、自由、共存、福祉、軍縮、人権、この七つの原則の上に立った平和戦略を国民のコンセンサスを得て確立するように提唱しております。わが国外交の指針となるべき平和戦略を定めないままに国際政治の場に乗り出せば、対米追随外交、場当たり外交という非難を浴びるばかりでなく、わが国の国益をもまた損なうからであります。総理は、国民のコンセンサスを得た平和戦略の策定の必要をお認めになるかどうか、明確にお答えをいただきたいと思います。
次は、具体的な問題でお伺いいたします。
総理が、イラン問題解決のため、米国の自制を求め、平和的解決を要望したのは、言うべきことは言うという意味で評価するものでありますが、それでは日本政府として今後事件が平和的に解決されるためにはどういう努力をされるのか。
これに関連して、外務大臣は、ワルトハイム国連事務総長とどのような内容の話し合いをされたのか、明らかにしていただきたい。
また、総理は、カーター大統領に対し、失敗に終わった武力による人質救出作戦については心情的に理解できるとお述べになったのでありますか、再びこうした武力による救出作戦を試みることのないように説得されたのかどうかもあわせてお伺いしたいと思います。
先般EC九カ国とわが国がイランに対して実施した第一次制裁によりまして今月の十七日までに人質解放に進展が見られない限り第二段階の制裁に進むことになっておりますが、最近EC内部にはこれを緩やかにしようという動きが見られます。わが国だけが先走ることはないと思いますが、この問題につきまして総理は西ドイツのシュミット首相とどのような話し合いをされたのか、明らかにしていただきたい。
また、イランとの合弁事業の石油化学プロジェクトの工事再開をめぐりましてイラン側は日本人職員を解雇するなど厳しい態度に出ておりますが、政府はどのような方針で臨まれるのか、あわせてお伺いいたしておきます。
次に、カーター大統領は、わが国がイランの高値原油を拒否したことを称賛すると同時に、「米国としても一般的には日本への原油供給に協力するつもりである」と言明しております。これはわが国の原油供給先の多角化という見地から重要な発言であると思いますが、それではどのくらいの量をどのような方法で融通を受けることが期待できるのかどうか、お示しをいただきたいと思います。
次に、防衛力増強問題についてであります。
カーター大統領が、総理に対し、「新しい状況に対応するため、すでに日本政府内にある計画を早目に達成できないか」と述べたのは、防衛庁の中期業務見積もりの繰り上げ達成を要請したものであることは明白でございます。これに対し、総理がいかなる言い回しをされようとも、「真剣に検討し、努力したい」と述べた以上、米国側が中期業務見積もりの繰り上げ達成をほぼ約束したものと受け取るのはきわめて自然であります。しかし、総理が、国内向けには「中期業務見積もりについて具体的な約束をした覚えはない。来年度予算で回答を出す」と言明しておられるのは、どうも対外向けと国内向けとを使い分けるものでありまして、こういった言い回しこそ結局対米不信を招くだけではないでしょうか、総理の率直明確な答弁を期待するものであります。
また、総理は、カーター大統領に、在日米軍の駐留費について、「施設費の負担をふやすことを検討する」と述べておられますが、具体的にどういうことをお考えなのか、お尋ねいたします。
次に、ソ連との関係であります。
今回の日米首脳会談と中曽根議員の訪中をあわせて日米中の軍事同盟化であるとソ連が批判しているのは見当違いもはなはだしいと思いますが、アフガニスタン事件以来わが国とソ連との関係が冷却ぎみであることもまた明白でございます。最近、ポリャンスキー大使が講演で北方領土へのソ連軍の配備を公式に認めたのも、こういった空気を反映したものと見ざるを得ません。隣国としても友好を維持すべきソ連であります。総理は、今後ソ連との関係をどのように進めるつもりなのか、お示しをいただきたい。
次に、難民対策について伺います。
わが国の定住受け入れ枠は、最近ようやく五百人から千人に拡大することが検討されているようでありますが、これまでにベトナム、カンボジアから海路、陸路で脱出した難民は百五十万人に達し、他方、これまでの米国の定住受け入れ数は十八万人、フランスは六万人と言われているのに、五百人とか千人というようなのは、余りにも情けない数字ではないでしょうか。資金援助や食糧援助ももちろん結構でありますが、もはやわが国は異民族を受け入れない社会であるなどと言っているときではないと思います。一層定住促進に努めるとともに、難民の待遇を保障する難民条約を早期に批准すべきでありますが、昨年、当時の園田外務大臣が、この通常国会に提出することを国会で言明したにもかかわらず、政府部内の意見の不一致によって今国会への提出が断念されたのは全く遺憾でございます。年内に批准できますように総理が指導力を発揮されることをここでお約束していただけませんでしょうか。
最後に、メキシコの問題でございます。
総理は、ロペス大統領に対して、メキシコ原油の対日供給量が日量三十万バレルまで増加されるよう希望しましたが、大統領は、わが国の要請に配慮するという政治的決意と善意を表明するにとどまって、日量六十万バレルに上るイランからの原油輸入ストップ分の半分をメキシコでカバーしたいというわが国の思惑は外れた形であります。それならば、大統領の言明は、経済協力の進展に応じて原油の供給量を増加することを間接的に約束したものなのかどうか、お伺いいたします。
言うまでもなく、メキシコは、資源に対する恒久主権などを内容といたしました経済権利義務憲章の提唱国であり、原油を自国の経済発展に必要な限りで生産し、輸出するという考えを実践している国でございます。したがって、原油供給を確保したいがために経済協力をふやすといった考え方ではなく、このようなメキシコの考え方を十分に理解した上で両国間の関係を発展させていく努力が大事ではないでしょうか。イランがだめならメキシコがあるさ、もしこういう安易な態度があったとしたら、誇り高きメキシコ国民の神経を逆なでしたであろうことを付言いたしまして、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕