木島則夫の発言 (本会議)

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○木島則夫君 私は、民社党を代表いたしまして、先ほど総理から報告されました日米首脳会談等について質問いたします。
 今回の日米首脳会談は、従来の参勤交代的な総理訪米と違いまして、二つの点で大変重要な意味を持っていたと思います。
 その一つは、会談後、総理が、「米国は同盟国の協力をいま一番求めている。それにわが国もこたえないといけない。同盟国とはそういうものである」といみじくも言われたように、わが国はまさに同盟という言葉にふさわしい関係においてアメリカから経済問題だけでなく政治問題においても協力を求められるようになったという点であります。
 他の一つは、総理が、カーター大統領に対し、「イラン、アフガニスタン問題は世界の秩序にかかわる問題であるから、その解決のために協力するのは当然であり、われわれはそのために犠牲を辞さない」と言い、また、「アジアの安定のために経済援助をして同盟国としての責任を果たす」と述べられたように、わが国が世界政治に積極的に乗り出す姿勢を明らかにした点でございます。
 このように今回の日米首脳会談はわが国外交に重要な転機をもたらす性格のものであったと考えますが、総理も基本的にそのような認識をお持ちであったかどうか、まず確認をさしていただきたい。
 わが国がこのように進んで責任を担う態度を表明することは、現在の国際情勢とわが国の国力を考えるならばいわば当然のことであります。問題は、こういった態度表明が国民的な合意と政府部内の熟慮に基づいてなされたかどうかという点にあります。ところが、そういうものがないままに総理の腹構え一つでなされたのではないかと深く懸念をするところもあります。
 わが国が世界政治に乗り出すに当たっては、わが国独自の国家戦略が必要であると考えます。この点について、私どもは、安全、公正、自由、共存、福祉、軍縮、人権、この七つの原則の上に立った平和戦略を国民のコンセンサスを得て確立するように提唱しております。わが国外交の指針となるべき平和戦略を定めないままに国際政治の場に乗り出せば、対米追随外交、場当たり外交という非難を浴びるばかりでなく、わが国の国益をもまた損なうからであります。総理は、国民のコンセンサスを得た平和戦略の策定の必要をお認めになるかどうか、明確にお答えをいただきたいと思います。
 次は、具体的な問題でお伺いいたします。
 総理が、イラン問題解決のため、米国の自制を求め、平和的解決を要望したのは、言うべきことは言うという意味で評価するものでありますが、それでは日本政府として今後事件が平和的に解決されるためにはどういう努力をされるのか。
 これに関連して、外務大臣は、ワルトハイム国連事務総長とどのような内容の話し合いをされたのか、明らかにしていただきたい。
 また、総理は、カーター大統領に対し、失敗に終わった武力による人質救出作戦については心情的に理解できるとお述べになったのでありますか、再びこうした武力による救出作戦を試みることのないように説得されたのかどうかもあわせてお伺いしたいと思います。
 先般EC九カ国とわが国がイランに対して実施した第一次制裁によりまして今月の十七日までに人質解放に進展が見られない限り第二段階の制裁に進むことになっておりますが、最近EC内部にはこれを緩やかにしようという動きが見られます。わが国だけが先走ることはないと思いますが、この問題につきまして総理は西ドイツのシュミット首相とどのような話し合いをされたのか、明らかにしていただきたい。
 また、イランとの合弁事業の石油化学プロジェクトの工事再開をめぐりましてイラン側は日本人職員を解雇するなど厳しい態度に出ておりますが、政府はどのような方針で臨まれるのか、あわせてお伺いいたしておきます。
 次に、カーター大統領は、わが国がイランの高値原油を拒否したことを称賛すると同時に、「米国としても一般的には日本への原油供給に協力するつもりである」と言明しております。これはわが国の原油供給先の多角化という見地から重要な発言であると思いますが、それではどのくらいの量をどのような方法で融通を受けることが期待できるのかどうか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、防衛力増強問題についてであります。
 カーター大統領が、総理に対し、「新しい状況に対応するため、すでに日本政府内にある計画を早目に達成できないか」と述べたのは、防衛庁の中期業務見積もりの繰り上げ達成を要請したものであることは明白でございます。これに対し、総理がいかなる言い回しをされようとも、「真剣に検討し、努力したい」と述べた以上、米国側が中期業務見積もりの繰り上げ達成をほぼ約束したものと受け取るのはきわめて自然であります。しかし、総理が、国内向けには「中期業務見積もりについて具体的な約束をした覚えはない。来年度予算で回答を出す」と言明しておられるのは、どうも対外向けと国内向けとを使い分けるものでありまして、こういった言い回しこそ結局対米不信を招くだけではないでしょうか、総理の率直明確な答弁を期待するものであります。
 また、総理は、カーター大統領に、在日米軍の駐留費について、「施設費の負担をふやすことを検討する」と述べておられますが、具体的にどういうことをお考えなのか、お尋ねいたします。
 次に、ソ連との関係であります。
 今回の日米首脳会談と中曽根議員の訪中をあわせて日米中の軍事同盟化であるとソ連が批判しているのは見当違いもはなはだしいと思いますが、アフガニスタン事件以来わが国とソ連との関係が冷却ぎみであることもまた明白でございます。最近、ポリャンスキー大使が講演で北方領土へのソ連軍の配備を公式に認めたのも、こういった空気を反映したものと見ざるを得ません。隣国としても友好を維持すべきソ連であります。総理は、今後ソ連との関係をどのように進めるつもりなのか、お示しをいただきたい。
 次に、難民対策について伺います。
 わが国の定住受け入れ枠は、最近ようやく五百人から千人に拡大することが検討されているようでありますが、これまでにベトナム、カンボジアから海路、陸路で脱出した難民は百五十万人に達し、他方、これまでの米国の定住受け入れ数は十八万人、フランスは六万人と言われているのに、五百人とか千人というようなのは、余りにも情けない数字ではないでしょうか。資金援助や食糧援助ももちろん結構でありますが、もはやわが国は異民族を受け入れない社会であるなどと言っているときではないと思います。一層定住促進に努めるとともに、難民の待遇を保障する難民条約を早期に批准すべきでありますが、昨年、当時の園田外務大臣が、この通常国会に提出することを国会で言明したにもかかわらず、政府部内の意見の不一致によって今国会への提出が断念されたのは全く遺憾でございます。年内に批准できますように総理が指導力を発揮されることをここでお約束していただけませんでしょうか。
 最後に、メキシコの問題でございます。
 総理は、ロペス大統領に対して、メキシコ原油の対日供給量が日量三十万バレルまで増加されるよう希望しましたが、大統領は、わが国の要請に配慮するという政治的決意と善意を表明するにとどまって、日量六十万バレルに上るイランからの原油輸入ストップ分の半分をメキシコでカバーしたいというわが国の思惑は外れた形であります。それならば、大統領の言明は、経済協力の進展に応じて原油の供給量を増加することを間接的に約束したものなのかどうか、お伺いいたします。
 言うまでもなく、メキシコは、資源に対する恒久主権などを内容といたしました経済権利義務憲章の提唱国であり、原油を自国の経済発展に必要な限りで生産し、輸出するという考えを実践している国でございます。したがって、原油供給を確保したいがために経済協力をふやすといった考え方ではなく、このようなメキシコの考え方を十分に理解した上で両国間の関係を発展させていく努力が大事ではないでしょうか。イランがだめならメキシコがあるさ、もしこういう安易な態度があったとしたら、誇り高きメキシコ国民の神経を逆なでしたであろうことを付言いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109115254X01319800514_029

発言者: 木島則夫

speaker_id: 3118

日付: 1980-05-14

院: 参議院

会議名: 本会議