渡邊五郎の発言 (農林水産委員会)
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○政府委員(渡邊五郎君) 私の方からお答え申し上げますが、まず海外の状況でございます。
昨年からことしにかけましての世界の穀物の生産は、確かにソ連等におきます減産から、小麦、飼料穀物等が前年を下回ったことは事実でございますが、前年が史上最高を記録したというような状況下にに対しまして下回ったわけでございます。また大豆につきましては、生産が史上最高でございました前年度をさらに上回っているというような状況でございまして、全体的に申し上げれば前年よりは多少引き締まってきておることは事実だと思いますが、当面の私どもの考え方からすれば、需給が特に逼迫する状況というふうに現状を判断していないわけでございます。ただ、今後十年なりの長期を考えました場合に、先々の問題といたしまして、発展途上国におきます人口増、あるいは先進国等を中心にしました畜産物の需要増に伴います穀物需要の増加等の要因をはらんでおります。将来におきましてのこれらの問題は、やはり私どもなりに重要な課題として今後の食糧の安定的な確保という問題は、この農政見直しと申しますか、需要見通しの中でも踏まえて、これからの農政については考えていかなくちゃならない。そうした意味でのこれからの備蓄の対策、あるいはいわゆる安全保障といわれるような問題に対する対処のあり方というものを、現在農政審議会でも御審議をいただいておるわけでございます。
それから、自給率についてのいろいろな御質問がございました。先ほど大臣から逐一各作物についての考えは申し上げましたが、私ども、その前提になります、これからの日本の食糧の需要構造の問題が実は大前提に一つございます。それは、従来この種の計画は欧米型の食生活へ移行するということを、一つの目標といいますか、ターゲットといたしまして計画が組まれてまいりまして、欧米の一日一人当たりのカロリーが三千カロリーと言われておりますが、それに近く、あるいは接近するように、前の見通しでも二千六百カロリーとか、その以前にはもっと高いカロリー水準で評価してまいりましたが、最近の動向をつぶさに分析いたしますと、日本人の食生活自体が二千五百カロリーをもって恐らく今後十年後も推移すると見られると。比較的わが国におきましては、低カロリーで、かつ、しかもその栄養構成におきましていわゆるPFCと言われます、たん白なり、脂肪なり、あるいは炭水化物のとり方についてのバランスを維持しながら、そうした食生活をこれから定着させなければならない。したがいまして、わが国におきましては、従来の計画の考え方のような欧米水準を一つの目標をした考え方でなく、日本型の計画目標を追求していかなければならない。
そうした意味でのこれからの米のあり方等を考えますと、やはり基本的には米を中心にした、主食にいたしました日本型の食生活を基本にして持っていかなければならない。ただ、現実的なこれまでの需要の動向からいたしまして、いまの若年層がさらに高齢化していくような十年後を考えますと、やはり、畜産物の増あるいは油脂等の増というものについては、従来ほどでないにしても、若干の増加をもっていくと、こういうような想定で現在の需要構造を考えておるわけでございます。
したがいまして、畜産物等の増加は、二千五百カロリーの枠内では、当然、炭水化物といいますか、穀類の消費の減と置きかわりが起きてくる、いわゆるトレードオフの関係に立つわけでございます。米の消費の拡大に努めるとしましても、やはり米消費自体が、主食としての地位を持っているにしても、減は免れない。それにかわりまして、畜産物——豚、鶏というような中小家畜の増加がございます。これらの中小家畜の問題でございますが、これらの増加は、現在でも飼料穀物——トウモロコシ、マイロに頼る。わが国におきまして、これにかわるような穀物が現実にない、かつ、計画におきまして見通し得られるほどの飼料穀物を算定しがたい現状におきましては、やはり穀物全体についてわが国の生産水準を維持するにいたしましても、これらの中小家畜の増に伴います飼料穀物の輸入増は避けがたいことというふうに考えております。
したがいまして、飼料穀物と食用穀物とをあわせました穀物自給率としては低下することはありますが、飼料作物全体に、一方大家畜を含めました飼料作物の自給の水準につきましては、現状が二九%でございますが、これらはむしろ、牧草等を六割近くふやしまして、三五%ぐらいにまで引き上げなければならないだろう、こうした観点で私どもの自給の考え方を持っておるわけでございます。
また、これらの中身につきましては、いずれ農政審議会の結論が出ましてから詳しくお話し申し上げたいと存じております。