小川国彦の発言 (農林水産委員会)

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衆議院議員(小川国彦君) 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年における冷害等に係る被害農業者のために被害市町村が実施する緊急冷害等対策事業に関する臨時措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 今年の異常気象による農作物の冷害などによる被害は、昭和五十一年冷害被害を上回り戦後最大の被害となり、減反政策の強化の中で苦しんでいる農家経営に深刻な打撃を与えています。
 私も、東北六県を初め、千葉、茨城、九州の福岡、佐賀の十県に冷災害の実態を一カ月有余にわたり調査してまいりましたが、特に国全体の被害の四八%にも当たる東北六県の冷害の状況は、「餓死の年」と呼ばれるほどに深刻でありました。
 青森県の山間部、平野部、岩手県の山間部、宮城県、福島県の海岸部と山間部、秋田、山形の山間部と、被害の甚大さは、至るところで収穫ゼロという農家群を多数発生せしめておりました。
 これを救済するために在来の法律では、天災融資法の発動及び激甚災害法の適用、またはこれに基づく融資限度額の引き上げ、利子及び償還期限の延期等の施策が用意されております。もちろん、天災融資法は、二県七十億円以上の被害があれば当然適用されるものであります。
 しかし、問題は中味なのであります。
 たとえば、天災融資法の資金は、営農のための農機具その他の購入資金であって、生活費には使えません。そこで自作農創設維持資金がこれに充当されるのでありますが、生活資金の借入限度額は百五十万円までであります。したがって昭和五十一年災害で百万円借りた農家は今回は五十万円しか借りられないのであります。これは、農家一世帯五人から七人という世帯の最低生活費にはもちろん及ばず、飢えて死ねというに等しいものであります。
 被災農家の窮状はさらに厳しく、被災農家からの要望は、政府売り渡し米の概算金の返納期限の延期と利子の減免にまで及んでおります。
 本来なら、前払い金でありますから、政府売り渡し米が出せないときは、当然その金は返済すべきものであります。一俵当たり約三千円の概算金、しかし、零細経営農家の状況は、それさえ仮せないところに追いこまれているのであります。
 こうした明日の生活資金にも事欠く農家の状況は、収穫皆無農家が過半数を占める青森、岩手の両県に多く見られるのでありますが、同様の状況は、宮城、福島の海岸部、山間部、秋田、山形の山間部等、随所の農家群に顕著に見られるのであります。
 これらの地域においては、一様に抜本的な緊急冷害等の対策事業を望んでいるのであります。
 ここには、明らかに現行の法制度では救済し得ない状況が存在しているのであります。
 われわれは、このような激甚な冷害地の被害農家の窮状にかんがみ、一日も早く被害農業者を救済し、生活の安定を図り、農業の再生産を確保するためにこの法律案を提案する次第であります。
 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一は、この法律の目的であります。
 この法律は、昭和五十五年六月から十月までに冷害、水害または風水害によって損失を受けた被害農業者のために、被害市町村が実施する緊急冷害対策事業に要する経費の財源として国が緊急冷害等対策交付金を交付するなどの措置を講じて、被害農業者の生活の安定と農業の再生産を確保することを目的としております。
 第二は被害農業者、被害市町村の定義であります。
 まず、被害農業者は、農業を主な業務とする者であって、昭和五十五年六月から十二月までに収穫される農作物、畜産物及び繭の冷害等による損失額が、その者の平年における農業総収入額の百分の十以上である旨を市町村長の認定を受けたものとしました。次に、被害市町村は、その区域内における被害農業者が二十人を超える市町村といたしました。
 第三は、緊急冷害等対策事業の内容であります。
 被害農業者の生活安定と農業の再生産の確保のため、被害農業者に緊急かつ臨時に、就労の機会を与えることを目的として、被害市町村が地域の実情に応じて将来の冷害防止に役立つ事業を創設し、被害農業者の技能、体力等の状況に照らして実施するものとします。この場合、被害農業者の現金収入を確保するために、事業費のうち労力費の占める割合を百分の五十以上としました。
 第四は、緊急冷害等対策事業の計画と承認であります。
 まず、被害市町村は、この法律によってこの事業を実施するときは、緊急冷害対策事業計画を定め、都道府県知事を経由して主務大臣に提出し、承認を受けなければならないこととしました。次に、主務大臣は、承認の申請を受けたときに、当該市町村の区域内における被害農業者数、及び当該区域の自然的、経済的条件を勘案して適当であると認められるときは関係行政機関の長と協議して承認することとしました。なお、事業計画の変更についても準用することにしております。
 第五は、緊急冷害等対策交付金についてであります。
 国は被害市町村に対し、冷害等対策事業計画の実施に当たり、必要とする経費の財源として、当該経費の三分の二を下らない範囲内において交付金を交付することとしました。
 第六は、起債の特例措置であります。
 被害市町村が冷害等対策事業の実施に当たって必要とする経費を地方債をもって財源とすることができるようにしたことであります。なお、この地方債は資金事情が許す限り、国がその全額を引き受けるものとし、元利償還に要する経費は、地方交付税の基準財政需要に算入することとしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容について御説明申し上げました。
 この法律案は、全国で冷害等のために、年間生活費はもとより、現金収入の道を断たれ、自家飯米すら持たない被害農業者のきわめて切実な要望にこたえ、その迅速な救済を期する法律案であることを御理解され、十分なる御審議の上、速やかに御可決されんことを切望いたします。

発言情報

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発言者: 小川国彦

speaker_id: 11979

日付: 1980-10-23

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会