安井吉典の発言 (農林水産委員会)

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○安井委員 大体、いわゆる根幹などというのはありもしない幻想ではないかと思うのですよ。それをさもあるようなふうに言いふらしながら、今日まで何とかかんとか強弁を続けてきたというのが実態ではないかと思います。そういう陰に、食管問題は次第に深刻さを加えてきた、私はどうもそういうふうに思えてなりません。しかし、きょうは根幹論争はやめます。
 そこで、食管法について最近はそのさまざまな欠陥があげつらわれているように思います。あるいは財界などでは、無用の長物だと言う人もいます。しかし、大正から昭和にかけての米の自由流通による暴騰、暴落、その場合にも米の統制法があらわれてまいりましたし、それからまた、戦時体制から戦後体制の中で食管法が生まれて一応の役割りを果たしてきた。最近でも四十八年、四十九年の物不足パニックのとき、あるいはまた昨年の大冷害の際等にも存在価値が再確認されてきているのではないかと思うのです。ただ、いまのようなままでは本当の意味の値打ちがあらわれてこないという立場から、私どもの党は、日本農業の重要な基幹立法の一つとして食管法を位置づけるために、世界的な食糧危機に対しわが国の食糧管理をむしろ拡大強化しようという立場から、総合的な食糧管理体制の確立、生産計画と連動する需給管理、輸入や備蓄の計画化、あるいは二重価格制の堅持は当然のこととして、価格決定の民主化等を図った案にしたつもりであります。
 しかし、提案されております政府の法案は、今度で十九回目の改正で、昭和二十七年以来二十九年ぶりの改正だと言われますけれども、その表現はかたかな書きの文語体の法律条文をそのままに改正したものであって、戦後育ちの若い官僚諸君は大分苦労したのじゃないかと私は思うのですけれども、またもやかたかな書き、文語体で改正しているというそのことが、まさに現状追認だけであって、積極性、前進性のない改正であるという本質を率直に物語っているように思うわけです。今日のこの状況の中で、実態との乖離だとか、あるいは三Kの一つとしての食管赤字問題だとか、財界からの攻撃だとか、いままた臨調に問題が移されつつあるわけでありますけれども、そういうようなものに追い詰められて、農林省当局の危機感が今度の改正になったといったようなことでは、何とも物足りないと私は思うわけであります。そんなようなことでは、現状維持にきゅうきゅうとして、もう二、三年を待たずして本格的な改廃論が必ず出てくること間違いなし、私はそう思います。
 そういうようなことからいって、政府案の問題点で特に再検討を要求する点を数点挙げてお尋ねをしていきたいと思うのです。
 まず、食管法の対象の拡大をもっと図るべきではないかと思うわけです。主要穀物全体を対象とするというふうな運びにすべきであり、これは一九五〇年までは米麦のほかに雑穀、バレイショ、カンショまで入れた経過もあるわけですね。いままで米だけに対象を限定したということが、施策がはなはだしく米に傾斜して、農業構造がゆがんだものになってきたという一つの大きな原因でもあります。そしてまた、雑穀類が軽視されて、世界一の穀物輸入国になっちゃったということにもなっているわけです。
 したがって、食糧を総合的に管理することで農業の総合的発展に寄与していくという立場を推し進めるべきではないか。そのことによって、米の購入費というのは家計の三%しかないじゃないか、それをなぜ家計の安定だなどと偉そうなことを言うのかという批判もあるわけですけれども、やはり食糧の総合的な管理をこの法律でやっているのだという、そうなれば消費者側にも納得性が出てくるのではないかと思います。私は、そういうふうな改正にこの際出直すべきであり、特に、法律は麦も入っているわけですけれども、基本計画に麦が落ちていますね。ですから、それも含めた主要穀物全体の基本計画を打ち立てていく、そういうようなことで初めて食管法が前向きの役割りを果たすことができるのではないかと思います。そういうようなものにもう一度改正し直して出直すべきだと思うのですが、大臣、どうですか。

発言情報

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発言者: 安井吉典

speaker_id: 8030

日付: 1981-05-06

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会