多田省吾の発言 (大蔵委員会)

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○多田省吾君 私も最初に、所得税の物価調整減税を強く要求したいわけでございます。
 その理由は三つあります。一つは、やはり所得税の軽減が特に課税最低限が五十二年から据え置かれたままで、そして物価の異常高騰によって実質的な大増税になっております。昨年はそのために実質賃金が〇・九%減ったというような統計始まって以来の出来事もございました。第一次オイルショックのときも考えられないほどの出来事でございます。第二には、やはり私は、労働間の信頼関係が大きく現在損なわれていると思います。それを解決するには、やはり物価調整減税以外にはないと思います。第三には、やはり日本の経済が物価調整減税をやって、そして個人消費を喚起しなければ大変なことになるのではないか、このように考えるわけでございます。ですから、大臣のおっしゃるように、物価調整減税やりたいのはやまやまであるけれども、条件が整っていないのだ、財政再建ということをおっしゃるわけです。しかし、私はこの条件をつくり出していかなければならない、このように思います。
 で、第一の問題である国民の所得の目減りということにつきましても、やはり勤労所得税というものが極端に増税されていることは否めない事実だと思います。先ほど大臣おっしゃったように、来年度の税の自然増収額は四兆四千九百億円が見込まれておりますけれども、税目別に見ますと、所得税が二兆七千六百九十億円、源泉分が二兆八百億円で全体の六二%に当たります。次いで法人税が一兆二千二百四十億円、二七・三%。物品税が一千百十億円、二・五%。圧倒的な部分を所得税で自然増収を賄っているわけでございます。ですから私どもは、異常なこの物価上昇に見合った分だけの増収分、これだけでもやはり七千億円や八千億円はあるんだと思います。ですから、野党あるいは労働組合等がこぞって国民的要求をしております四千五百億円程度の物価調整減税をやったとしても決して減税ではなくて、異常な実質増税を少し国民に還元する程度であって、その程度でも私は実質増税だと思っているわけでございます。やはり私は、その第一の理由によって、どうしても条件をつくり出して所得減税はしなければならないと思います。
 第二番目は、やはり労使間の信頼感が非常に失われたということでございます。
 昨年の春闘においても勤労者の大部分は政府を信用して、物価上昇は六・四%に必ず政府は抑えるだろうと。抑えなければ政治責任にもなるし、これは大変なことになるということで、六・九%程度の賃上げをやむを得ずのんだ姿になったわけでございます。ところが実際は、六・四%の消費者物価上昇が実は改定されまして七%程度だ。河本経企庁長官によれば、七%程度ということは六・五%から七・五%の間だ。非常におかしい論理を展開しておるわけです。私たち常識で言えば、七%程度、昔からの政府答弁によれば大体六・八から七・二ぐらいが妥当だと思うんですが、七・五%まで七%程度だということで言っているわけです。ところが、現在の消費者物価はそれにとどまらない、恐らく八%を三月末で超えるだろう、こういう見通してございます。ですから、そういう国民の信頼を裏切った政府というものが、どうしてもこの物価上昇によって異常に増収されたところの所得税というものをやはり国民に還元しなければ、私は大変なことになると思うんです。
 第三番目には、やはり国民経済から見ましても、昭和五十五年度は政府の言うような実質経済成長率に私は達すると思います。しかしながら、これは大臣も御承知のように、異常な輸出増、あるいは大企業のいわゆる設備投資等に救われた形でございます。それもこの五十六年度は、御存じのように中小企業の設備投資が低迷したままで、しかも公定歩合も非常にいま高いので、大変中小企業も苦しんでおります。大企業がそれにつられて設備投資が低迷し出した。あるいは先ほどもございましたように、自動車や家電やあるいは工作機械等の輸出というものがアメリカ、EC等において非常に紛争を醸し出しておりまして、五十六年度においては輸出増というものは恐らく私は見込めないだろうと思います。そういうことになりますと、やはり個人消費を大幅に喚起しなければ日本経済の実質成長というものは非常に落ち込んでしまう、このように思います。その証拠に最近の在庫調整だって、一月−三月期でおおむね底に達するだろうといわれていたのが、四月−六月期まで繰り延べになるんじゃないかとも言われているじゃありませんか。
 大臣は、きのうも衆議院の予算委員会等におきまして、日本の所得税の課税最低限は非常に高いのだ、フランスに次いで高いということをおっしゃっております。しかし、昨日も論議がございましたように、国民の可処分所得、あるいは実質購買力、物価水準、公共サービス、国民に還元される福祉や年金等の還元分等を考えてみた場合に、一概にそう言えないものがございます。アメリカですら、ああいう経済が逼迫している状況で、この三年間に一〇%ずつの所得減税、八兆円の所得減税を行おうとしているじゃありませんか。そして大臣あるいは総理も、このアメリカの民間の活力に期待しているんだと、こういうことをおっしゃる。なぜアメリカに期待して、日本にこの民間の活力をもっともっと強めるための、すなわち物価調整減税による個人消費の上昇ということをなぜ大臣は考えないのかですね。
 私は、やはり条件を整えるということはいまからでもできると思うんです。補助金の整理、あるいは不公平税制の是正とか、やり方は幾らでもあります。私はやはり、こういう強い国民的要求もございますので、その三つの理由によってどうしてもここでやはり大臣としては、物価調整減税は財源がないからできないんだ、条件がないからだめなんだとおっしゃらずに、やはり物価調整減税に踏み切って、そして日本経済を立て直し、また国民を信頼して、そしてまた最も税制において過酷な扱いを受けているところの勤労所得者の勤労に報いるべきである、このように強く私は要求したいと思います。

発言情報

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発言者: 多田省吾

speaker_id: 17808

日付: 1981-02-26

院: 参議院

会議名: 大蔵委員会