佐藤敬治の発言 (行財政改革に関する特別委員会)
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○佐藤(敬)委員 各大臣、政府の皆さん、こんなことは百も承知であることは私も百も承知であります。しかし、知っているということと実行するということは別のことであります。釈迦に説法であるはずの政府は、これまで第一臨調や第十七次地方制度調査会等、大変りっぱな国、地方を通じてのいろいろな提言がされております。大変りっぱな答申がすでに出ております。しかし、それにもかかわらず、百も承知のそう思いますという同感をしている皆さんが、結局何もやらなかった。何をやりました。何にもやらなかった。
そこで私はこのときに当たって、いまやるべきこの煩瑣な事務手続、これをどういうふうにしたらいいか、この問題についてもう一遍、わかりながらあえて取り上げてみたいと思います。
私は、常任委員会が地方行政委員会でありますので、こういう問題にかなりな興味を持っております。(「興味じゃない、関心だよ」と呼ぶ者あり)関心を持っております。ただ、急にこの行革委員に入ってまいりましたので、いささか勉強不足なところがありますが、いろいろな議論をしても、これは百も承知のことでありますのでしようがありません。そこで、勉強不足で自分の資料を余り持っておりませんので、幸いにして各新聞がこの問題をたくさん取り上げて新聞に掲載されております。この新聞記者の皆さんの労作をひとつおかりいたしまして、この問題を論じていきたいと思います。
まず、補助金の問題であります。
一つは、零細補助金の問題でございます。こういう例が書いてあります。大阪府豊中市は、五十五年五月、児童福祉法に基づく事務費、五十四年度補助金五万八千七百十円を国から受け取った。施設に入っている子供たちの医療費の支払い、府との連絡、研修会などの事務費をもらうために、同市福祉事務所が府に提出した書類は、まず、交付申請書、交付申請内訳表、歳入歳出予算抄本、年度末には事業実績報告書、精算書、事業報告書、歳入歳出決算見込み抄本、計七つの書類は一つ一つ厳しくチェックされた。その結果、十九万二千円を申請して、認められたのは事業費にはほど遠い三分の一である、こういうふうに書いてあります。また、大阪府の場合に、三十二市町に平均三万三千六百二十五円が支払われた。泉大津市など四市の補助金はたったの一万円。各市町とも事務手続は府を通して行われたので出張旅費はかからなかったが、自治体はこの補助金をもらうために人件費相当額約二万円と紙、コピー代などの需用費約千円を支出しており、これらの経費を差し引くと自治体がこの事業で受け取った金額は平均一万二千円、泉大津市などは赤字となり、なぜ補助金を申請したのかよくわからない結果となった、こういうふうに出ております。
こういうふうに零細補助金というものは手間がかかって、どうも実効がない。これが大変たくさんあるのに、さっぱり実効が上がる補助金になっていない。各地方から零細補助金の打ち切りということが非常に強く唱えられております。全国市長会は昨年の七月に国庫補助金の整理合理化に関する改善策を提言し、この中で一般財源とすべき国庫補助金として三十一件を挙げている。婦人、更生相談所の事務費、結核、法定伝染病の予防費、予防接種費補助金、こういうものが主なもので、いずれも額が少なく事務手続が複雑である。また、建設省の街路事業費などをやり玉に上げて、手続の簡素化を要求している。こういうような要求があちこちにたくさんあります。神奈川県の例では、八十九万円を獲得するのに経費が五十六万円もかかった。こういう例が各市に枚挙できないほどたくさんあるわけであります。
さらにこういうような手続上の不満を訴えているのもあります。建設省関係の補助金でいいますと、補助金をもらうために、まず前年度の六月に交付方針の説明をし、地方で事業計画を作成し、省庁と地方の第一次の事前協議をし、省庁の大蔵省への概算要求をし、省庁、大蔵省へ陳情し、国の予算原案を決定し、地方が事業別に二次要求し、省庁による内示、地方が交付申請、省庁の審査、交付決定、事業の承認、事業の執行の概算払いの請求、省庁が概算払い、事業の変更申請、承認、省庁への実績報告提出、省庁による審査、現地調査、地方に対する確定通知、省庁の地方に対する精算払い、会計検査院の検査、これは挙げてみますと大変な手続なんです。読むだけでも大変な手続になってきておるわけです。(「もらわなければいいんだよ」と呼ぶ者あり)そうなんです。もらわなければいいんです。ところが、これをもらわなければその次のものがもらえない。実績をつくっておかなければくれない、だからこれをどうしてももらわなければいけない、こういうような形になっておるわけです。
補助金を出す側にとって、何というか、地方に金をやれば何をするかわからない、むだ遣いをするかもしれないという地方に対する一つの不信感がこの中にあるのじゃないか。何でもいいからがんじがらめに縛っておかなければ地方などというものは何をやるかわからないという一つの不信感があるんじゃないか、こういうふうに私は思っております。
しかし、必ずしもそうだと私は思いません。最近の地方自治体というものは決してそんな昔の役場のようなものではないと私は思います。確かに敗戦後のときにはそういうことが、事務能力がない、不足のあったこともあるかもしれませんけれども、いまは村の役場でさえも大変な事務機械を備え、課制をしき、きちっとした体制を整えて大変な事務能力を持っておるわけで、ある意味では最近では国よりも先取りをしていろいろなことをやり、国が後からそれを追っかけている、こういうようなところさえ次から次と出てきております。
たとえば、武蔵野における日照権の問題、マンション規制の問題、あるいは私どものいま参議院の議員をやっておりますところの池田町のワイン町長と言われております丸谷さん、これは企業経営まで成功させておるというようなりっぱな経営の業績を残しております。また私どもの同僚である社会党の衆議院議員、前旭川市長の五十嵐さんは皆さん御承知のようにりっぱな町をつくって、全国の模範となっている。(「ここにいる」と呼ぶ者あり)あそこにおります。そういうような大変な行政能力を持っておりまして、皆さんから不信感を買われるいわれはないと私は思いまして、もっともっと地方を信用して、こういうことに対して積極的に煩瑣な手続というものをなくするように取り組む必要があるのではないかと私は思います。
さらに、これに対していろいろなあれが報告されております。たとえば複合施設の問題に関しまして、こういうおもしろい報告がされております。ある町で総合文化センターみたいなのをつくった。ところが、そこへ行ってみますと、そこの係長は大変いろいろな名前を持っておる。教育委員会の社会教育課の社会体育係長兼管理係長、中央公民館防火管理者、老人福祉センター、働く婦人の家、勤労青少年ホームの各主査を兼ねている。なぜこういうふうになったかというと、ある一つのものをつくるために、官庁のセクトがあってどうしても総合的なものをつくれない。ところが、財政力の乏しい市町村にとっては、こういう文化施設というものをばらばらにつくることはとてもできない。そこで何とかしてこれをまとめるためにというので、こういうへんてこりんなものができ上がったわけであります。中央公民館は文部省の所管、老人福祉センターは厚生省、働く婦人の家と勤労青少年ホームとは、ともに労働省であるけれども、前者が婦人局、後者が少年局と全部担当が違う。国から補助金をもらうためには、一つのものをつくるのにその設備ごとにいろいろな条件がついて、その設備ごとに大変な書類を出さなければいけない。同じ労働省の施設であるのに担当の局が違うと、両方に図書館をつくれ、料理室をつくれ、便所をつくれ、こう言ってくる。こういうようなことを何とか一つにしてほしいと希望してもなかなか認めてくれない、こういうようなことも報告されておるわけでございます。
〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
こういうことをいろいろ考えてみますと、これは大変ないわゆる繁文褥礼、いま、はやりませんけれども、大変な煩瑣な手続があるということがわかります。こんな補助金はきっぱりとなくしてしまえば非常にさっぱりすることになりますけれども、なかなかそうきっぱりとさっぱりするわけにはいきません。特に問題になるのは財源の配分の問題で、これは大変むずかしい問題なので簡単にはいかないと思います。だから、余りむずかしいことをやれと言っても、皆さんやる気がないでしょうから、しかしせっかく今回行政改革を命を張ってやると総理は言って、やる気になっておりますので、やる気にさえなれば簡単にやれることを私は二つ申し上げてみたいと思います。
私がこれから言うことは本当にばかみたいな簡単なことです。しかし、さっきも言いましたように、簡単だけれども決してつまらないものではございません。これをやっただけでも大変な効果があることだ、こう思っていま御提言申し上げます。
一つは、補助金問題について、すでに意義は認められないけれども惰性でやっている補助金、あるいはこれに近いもの、こういうものをこの際断固として整理してしまう。非常に簡単でしょう。しかし、やれますか。各省に全部ありますから各大臣にお尋ねしますが、おたくの役所にこういうような補助金がありませんか。大抵一つや二つ必ずあると思いますが、どうか行管庁長官からひとつ話してください。