塩田晋の発言 (本会議)

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○塩田晋君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま御説明のありました老人保健法案について、内閣総理大臣並びに厚生大臣、文部大臣に質問をいたします。
 今日ほど不透明な時代はないと言われておりますが、その中で最も確実なことは、日本が間もなく世界に例を見ない高齢化の社会を迎えることであります。
 すでに、わが国は国連の定める高齢者社会に入っており、今後、人口の高齢化は欧米諸国の三ないし四倍の速度で進んでいき、やがて六十五歳以上の人口比率は一八・八%と、世界でもまれな高齢化の社会を迎えることは必至の情勢であります。
 このことは、わが国現在の福祉はもとより、産業、雇用、労働、さらには生活文化の全般にわたって、きわめて大きく、かつ多様な衝撃を与えるものであり、いまにしてその対応を誤れば、将来に大きな禍根を残すことになりましょう。
 民社党は、結党以来、福祉社会の実現を目指して、常に具体的、建設的な施策を提言し、その推進に精魂を傾けてまいりました。
 これにより、今日まで福祉水準の向上に一定の成果を得てきたところでございますが、政府の高齢者対策は、医療、住宅、雇用、福祉サービスの面で、いまだ高齢者のニーズに十分適切に対応しているとは言いがたく、高齢者は不安な日々を送らざるを得ないというのが実情であります。特に、高齢者が最も関心を寄せている健康に対する不安は深刻なものがあります。
 厚生大臣経験者の鈴木総理は、現在これらの深刻な高齢者問題をどのように認識し、考え、そして今後どのように対処しようとしておられるか、お尋ねいたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
 人間だれしも健康でなければ、生きがいある老後生活は不可能であります。老人に対する健康保持の対策としては、現在、老人福祉法に基づき、医療費の支給、健康診査、健康教育などの施策が行われていますが、これらは疾病の予防から治療、リハビリテーションに至る一貫した対策とは言えず、その改革が急がれています。
 今回の老人保健法案は、治療に偏重して種々の問題を起こしている現行制度を改め、老人の健康保持のために一貫したサービスの供給、すなわち、保健と医療に一貫性を持たせることを目的としており、その目的、趣旨は評価できるものであります。
 しかしながら、これを実効あらしめるに必要なマンパワーの確保、保健所の機能強化、各種医療機関、地方公共団体などの心からなる協力は十分に得られるものか。また、その運営の円滑化のために必要な財政的裏づけはあるのか。財政再建の折から、今後十分な予算確保が可能か、厚生大臣から御説明をいただきたいのであります。
 本法案は、その基本的考え方、具体的中身を審議会の審議にゆだねるものであり、運用のいかんでは実のない作文行政に堕するものではないかとの疑念を起こしておりますが、これに対する御所見をお伺いいたします。
 さらに、年齢を四十歳、七十歳で区切ったのはどのような根拠か。歯の予防については二十歳前後で勝負がつくと言われていますが、どうですか。
 また、健康保険制度の中から老人を別枠とすることは、医療財政の観点が余りにも強く前面に出たものであり、将来、幼児とか青少年などといった年齢による輪切りのばらばら医療体系への移行とならないかという危惧の念を持つ向きもあり、この点、明確にお答えいただきたいのであります。
 最近の老人医療の内容を分析いたしますと、第一に、一般に比べ三倍の注射が行われ、第二に、投薬も約二倍、第三に、入院も一般に比べ三倍になっています。
 注射、投薬がなぜそうなるか、老人特有の疾病によるものか、明確でありません。私は、老人医療のサービスはいかに供給されるべきであるか、これを基礎的に研究し、その成果に基づき、本格的な高齢者医療体制を充実する必要があると考えますが、その具体的施策について政府の方針を伺いたい。
 また、入院医療の多い原因の一つは、在宅サービスなどの不備ではありませんか。特別養護老人ホーム、在宅ケアなど、関連福祉サービスを充実強化し、医療と福祉サービスを連結統合することが大切であり、その推進について政府の明快な御答弁を願います。
 次に、財源確保の問題につきまして、医療費実績と加入者数を半分ずつ案分する二分の一調整方式と加入者数だけで案分する方式と二案あるようでありますが、現行時点で厚生省は前者の方式を採用し、これを今後厳守していく方針であるかどうか、御答弁をいただきたい。
 さらに、現在、老人保健医療に係る診療報酬支払い方式の改正が論議されていますが、政府案では、支払い方式については老人保健審議会が決めることになっています。これは医療保障の根幹をなすものであり、関係各層の合意が不可欠の問題でありますが、政府は、現行出来高払い制を改正するという前提で審議会にゆだねるのか、全く白紙の状態でこれに臨むのか、お伺いいたします。
 次に、地方自治体のいわゆる上乗せ給付でありますが、厚生省は、これを行政指導で禁止することを決定したと伝えられ、自治体が、福祉の後退につながるとして強くこれに反対しております。上乗せ給付を禁止される理由、並びに大臣は禁止の方針をあくまで貫くおつもりか、明確に御答弁をいただきたいのであります。
 さらに、一部負担の導入については、高齢者の方々が最も関心を持ち、最も強硬に反対しているものであります。高齢者に対する温かい思いやりの心を持って、一部負担の撤廃並びに修正を含めて再検討される考えはないか、お答えいただきたいのであります。
 最後に、病院経営の悪化、さらに医師の問題について質問いたします。
 最近は、病院なかんずく中小病院の経営は著しい苦境に立つものがあり、例年になく多数倒産していると言われております。政府は、これに対してどのような対策を考えているか、御答弁をいただきたいのであります。
 これにも関連いたしまして、近い将来、医師の過剰が言われています。現に医大、医学部等の相次ぐ新増設によって、医師の資格を取得しても、なかなか新規の開業ができないという事実があります。過疎、離島での不足が一方でありながら、明らかに全体としては過剰が予想されております。これらの将来状態を見越して、適切な措置を講ずべき時代に入ったと思うのでありますが、文部大臣のお考え及び対応策をお伺いいたします。
 今後における不可避的な高齢化社会の到来に対応するためには、政府は、思い切って従来の縦割り行政の枠を外すべきであります。現在総理府にある老人対策本部や、各省庁に分散している関係審議会等を発展的に解消し、国民各層の代表者を構成員に含む高齢者対策国民会議を設置して、医療保障はもとより、所得、雇用、福祉サービスなどの保障、さらには住宅の確保に至る総合的な福祉計画を樹立し、実効ある高齢者対策を着実に推進すべきであると思いますが、鈴木総理の明確な御所見を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕

発言情報

speech_id: 109505254X00719811015_027

発言者: 塩田晋

speaker_id: 10869

日付: 1981-10-15

院: 衆議院

会議名: 本会議