渡部恒三の発言 (商工委員会)

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○渡部委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。
 深海底鉱業暫定措置法案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先日来の理事会等におきまして、委員長において作成いたしました起草案について御協議を願い、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案が調いましたので、その趣旨及び内容について、委員長から御説明を申し上げます。
 深海底鉱物資源の探査、開発の問題は、新しい海洋秩序を確立するための第三次国連海洋法会議において、最後に残された重要な検討項目となっておりました。
 わが国は、深海底鉱物資源は人類共同の財産とする国連総会の決議を尊重する立場でこれに対処してまいりましたが、先進諸国と開発途上諸国との間の交渉が難航をきわめていたのであります。しかしながら、会議の最終段階に至り事態は急転し、米国等の反対はありましたが、事実上の国際的合意が成立することになったのであります。
 この結果、本年中に予定されているカラカスにおける条約採択総会において、新しい海洋法条約が正式に採択される見通しとなりましたが、重要なことは、深海底鉱物資源の開発についての先進諸国の鉱区の申請が、条約採択の日までに自国政府に提出されていなければ、鉱区が重複した場合の国際的調整において著しく不利に扱われる内容の先行投資保護に関する決議が同時に確定されることであります。
 これにつきまして、米、英、西独、フランス、ソ連などの先進諸国は、すでに深海底開発に関する国内法令を制定し、着々と開発体制の整備を進めており、近く鉱区調整の予備的交渉が始められる事態も予想されているのであります。
 ニッケル、コバルト等を含む深海底のマンガン団塊は、貴重な希少鉱物資源でありまして、資源小国であるわが国が、これをみずからの手で開発することは、国民経済の発展と国民生活の向上にはかり知れない利益をもたらすものであります。
 政府も、この点に着目し、かねてから深海底鉱物資源の賦存状況調査並びにその採鉱技術の研究開発を進めており、今日、世界的にも最新鋭の技術水準で探査活動を行う段階に達しております。
 このような情勢において、各国から鉱区が申請された場合、有望海域は限られておりますので、鉱区が重複する可能性はきわめて高いと言われております。
 その場合、主要諸国のうちわが国だけが国内法を持っていないために、はなはだしく国益を損なうおそれが生じているのであり、早急に国内法を整備して、各国と同等の立場で国際的調整に対応することが必要であります。
 本案は、かかる観点から、国益を損なうことのないよう、立法府の責務を全うするため、急遽各党間の協議を尽くし、海洋法条約がわが国において効力を生ずるまでの暫定措置として、深海底鉱業の事業活動を調整する等の措置を講ずるため提案することとした次第であります。
 次に、本案の主な内容について御説明いたします。
 第一は、総則において、本案は、海洋法条約がわが国において効力を生ずるまでの暫定措置であること、深海底をわが国の主権または管轄権のもとに置こうとするものではなく、公海の自由を行使する他国の利益を害するものでもないことを明確にしております。
 第二は、開発の対象としている深海底鉱物資源を銅、マンガン、ニッケルまたはコバルト鉱のうち一種または二種以上の鉱物を含む塊状の鉱石としております。
 第三は、深海底鉱業を行おうとする者は、探査または採鉱を行う区域を定めて、通商産業大臣の許可を受けなければならないことにしております。許可の要件は、申請した区域が他人の区域と重複しないこと、事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること等、合理的かつ円滑な開発が行われるために一定の基準を設けております。
 第四は、深海底鉱業者が事業を実施する場合の遵守事項でありまして、許可を受けた日から六カ月以内に事業に着手しなければならないこと、引き続き六カ月以上事業を休止してはならないこと、認可を受けた施業案によらないで事業を行ってはならないこと等を定めております。
 第五は、通商産業大臣は、外務大臣と協議の上、深海底鉱物資源の開発事業を行う国を、深海底鉱業国として指定することができることとし、指定した深海底鉱業国における申請とわが国申請人との間の申請区域の重複の有無を確認し、重複する場合は、その範囲及び重複を解消するための調整に必要な事項等を申請人に通知しなければならないこと等を定めております。
 第六は、この法律に規定している事項について、条約に別段の定めがあるときは、条約が優先することを定めております。
 以上のほか、許可の取り消し、損害の賠償、鉱山保安法の準用、適用除外、罰則等につきまして所要の規定を整備しております。
 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
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 深海底鉱業暫定措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
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発言情報

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発言者: 渡部恒三

speaker_id: 31605

日付: 1982-05-14

院: 衆議院

会議名: 商工委員会