武田一夫の発言 (本会議)
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○武田一夫君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました昭和五十七年度地方財政計画並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず初めに、地方財政についてお伺いいたします。
昭和五十七年度の地方財政計画の規模は、総額四十七兆五百四十二億円であり、対前年度の伸び率は五・六%となっております。昭和五十年度以来七年間にわたって続いてきた大型財政赤字から、一転して、逆に国に対して一千百億円を貸し付けております。昭和五十四年度の四兆円を上回る財政赤字が生じたことから見れば、表面上は確かに財政状況はよくなっております。しかし、その中身が問題であります。それは大幅な地方税の伸びを見込んでおり、また歳出の面においても、行政経費を中心に思い切った切り詰めを行い、超緊縮型となっており、いわば歳入の過大見積もりと、大幅な歳出カットの上に成り立った計画と言わざるを得ません。果たしてこのような財政見積もりで地方自治体の健全な財政運営ができるかどうか、はなはだ疑問であります。
地方財政の基礎となる経済見通しを誤ると、地方財政運営に多大なる影響を与えることになるわけであり、地方税及び地方交付税の算定の基礎となる五十七年度の経済見通しについてお伺いいたしたいのであります。
当面、景気情勢は依然として停滞をきわめております。このままで推移しますと、五十六年度の実質経済成長率は、実績見込み四・一%の達成すらおぼつかないと言わざるを得ません。さらにまた、五十七年度経済も、政府見通しの実現はとうてい困難と見ざるを得ないのであります。
政府の公約する内需主導の景気回復が実現しないとするならば、税の減収が予想され、年度内に再び地方交付税の減額措置が避けられないばかりか、五十七年度においても同様の事態を想定せざるを得ないのであります。
そこで、総理は、当面する景気情勢をどのように認識されておられるのか。また、五十六年度の実績見込み、五十七年度の内需を中心とした実質五・二%の目標実現についていかなる見通しをお持ちか、御見解を承りたいのであります。また、地方交付税等についても計画どおりの財源の確保が可能なのかどうか、この際、しかと確認しておきたいと思います。
なお、国の五十六年度予算案において、国税三千七百億円の減収に対して補正措置がとられたばかりでありますが、これ以上の歳入欠陥は生じないものか、また、もし歳入欠陥が出た場合の地方財政への影響についてはどのように考え、どのように対応するつもりか、御見解をお聞かせ願いたいのであります。
ところで、五十七年度の地方財政の目玉となっている地方単独事業についてお尋ねいたします。
最近数年間の地方単独事業についての財政計画と決算との関係を見ますと、毎年決算は計画より約一兆円以上下回っており、予定された単独事業が消化されないままに計画倒れとなっております。五十七年度は、この単独事業に対して八・五%の伸びを計画しておりますが、これまでの例から見て、このような大幅な伸びを示している単独事業を消化できるのかどうか、非常に疑問であります。五十七年度にこれを達成できるという裏づけは何なのか、明確なる答弁を求めるものであります。
次に、国、地方間の行財政改革についてお伺いいたしたいのであります。
今日の国、地方の財政構造は、税収では国が二、地方が一であるのに対し、歳出面では全く逆転しております。また、地方自治発足以来、一貫して機関委任事務が補助金行政の拡大などをとり続けてきたのが実態であり、国主導型の行財政構造の大改革が今日の地方自治を改革する上での最大の課題となっております。
現在の社会経済情勢を見るとき、国民の価値観の多様性と住民要求の多面化がますます高まっております。こうした事態に対処するためには、現在のような中央政府の画一行政では、自治体の対応が不可能な事態を迎え、地域の実情に沿った行政運営を推進しなければなりません。そのためには、権限、財源の地方分権化をその基本に置かなければなりません。
昭和五十年度以来、国、地方とも財政難にあえいでおり、この改革のために、昨年臨時行政調査会を発足させ、国を挙げて行財政改革に取り組んでいるのであります。昨年の臨調の答申に引き続き、本年は本格的答申が出されることになっており、いわば行財政改革の本番を迎えることになっているわけであります。こうしたときに当たって、長年懸案であった地方分権を基本とした行財政改革を実施すべきチャンスであると考えるものであります。
そこで、総理にお伺いいたしたいのであります。
総理が考えておられる地方自治制度とは一体どのようなものか、まず明らかにしていただきたいのであります。
また、この行政改革の機会をとらえ、地方分権化を基本とした行財政改革を進めるべきであると思うのでありますが、これに対する見解をお聞かせ願いたいと思います。
さらに、国に偏重している税制構造をこの際抜本的に見直し、国、地方の税源配分を当面一対一にまで高め、税源を地方に移譲すべきであると思いますが、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
次に、地方税についてお伺いいたします。
その第一は、住民税の減税についてであります。
五十七年度の地方税制の改正では、五十六年度に引き続き、従来とられてきた課税最低限の引き上げを行わず、生活保護費の引き上げに伴って非課税の限度額をわずかに引き上げるにとどまり、全く小手先の措置に終わっております。五年間にわたる所得税の減税見送りとともに、引き続く住民税減税の見送りによって、国民は増税を余儀なくされており、可処分所得の減収を招いている人も少なくありません。
また、昨年来の景気の停滞を考えたとき、政府の言う内需の拡大を図るためには、いまどうしても実現しなければならないのは、国民の実質所得の増大による消費の拡大、そして景気の盛り上げではありませんか。したがって、住民税においては、課税最低限を現行の百五十八万四千円から百八十五万円程度に引き上げ、総額で約三千億円程度の減税を断行すべきであります。
総理は、財源難を理由に減税に対して余りにも消極的でありますが、不公平税制の是正など、減税を実施するための財源は捻出できないはずはありません。成らぬは人のなさぬなりけりではありませんか。減税に対する総理の前向きの姿勢を切に要求するとともに、この点に対する決意のほどをお聞きしたいと思います。
地方税の第二点は、租税特別措置等の問題についての質問であります。
国の経済政策のために地方税は各種の減免措置がとられており、このために、地方税の減収はほぼ五千億円にも上っております。中でも、産業用電気税は、これまで抜本的な洗い直しが見送られているために、一千四百億円を超える税が非課税となっております。このような制度は、税の公平感を欠くとともに、地方自治体の課税自主権をも損ねるものであります。
また、現行の国の租税特別措置等により、国税を減免した場合、地方税もその影響を受け減収する仕組みになっております。したがって、産業用電気税の洗い直しを初めとした地方税の減免措置の見直しを行うとともに、国の租税特別措置等による地方税の減収を遮断すべきでありますが、これに対する見解をお伺いいたします。
地方税に対する第三の点は、土地税制についてであります。
今回、土地税制については、譲渡所得税の大幅緩和を初めとした改正を行おうとしておりますが、土地税制の大きな改正の目的は、宅地の供給であります。今回の譲渡所得の緩和により、どのような効果が期待されると見ておられるのか、まずこの点についてお尋ねをいたします。
また、税制改正では、三大都市圏の特定市街化区域のいわゆる宅地並み課税の改正が行われることになっております。政府案によりますと、十年間営農を継続する人に対して、五年間ごとの見直しを行うこととして一般農地並み課税としております。しかし、政府案の言うように、十年間の期限とはいうものの、実質的には五年間の営農義務を課すだけで、果たして宅地並み課税の本来の目的である宅地の供給が可能であるかどうか、またこの効果をどの程度期待できるものか、あわせて明快なる答弁を求めるものであります。
以上、地方行財政制度の重要な課題を質問いたしましたが、地方の時代を実りあるものにするためにも、総理を初め、関係大臣の率直にして納得のいく答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕