秋田大助の発言 (本会議)

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○秋田大助君 私は、自由民主党を代表し、鈴木総理の帰国報告に関連し、質問を行います。
 まず第一は、ベルサイユ・サミットの具体的成果についてであります。
 今回のサミットの最大の目的は、いかにして自由貿易体制の維持強化を図り、世界経済を再活性化させるかにあったことは申すまでもありません。これらの問題について、さきにわが党は、党内において真剣な論議を重ね、成案をまとめ、欧米の関係方面と親しく事前に懇談を行い、欧米の理解を求め、その誤解を解き、政府を側面より支援、鞭撻して、問題の解決の促進にいささか貢献したことを自負するものであります。(拍手)
 しかして、当サミット会議においては、二日間にわたる参加各国首脳の真剣な討議の結果、幾多の重要問題について前進的な合意がなされたことは、まことに同慶の至りにたえません。
 とりわけ私は、総理が、各国の利害が相対立する雰囲気の中にあって、対立でなく協調を、縮小でなく拡大を、過去ではなく未来を想望することの重要性を強調、力説して会議をリードされ、しかも、サミットの成果を先進国の枠内にとどめることなく、広く開発途上国を含む多様性の中の結束を求めて、連帯と協調の輪の拡大に努力されたことに対しては、大いなる共感を覚ゆるものであります。
 この際、サミットに対し、このような基本的姿勢をとられたことについて、総理の率直なる御意見を伺いたいと存じます。
 次いで、今回のサミットでは、世界経済の再活性化のための活路となる科学技術の発展及びそれに伴う諸問題を検討するための作業部会の設置が決まったのを初め、数々の意義深い決定がなされております。なんかんずく、米国の高金利に端を発し、危機的な様相を呈しつつある国際通貨の安定化対策は、円安のこの際、重要かつ喫緊の急務であります。その意味で、私は、今回設置が決まった国際通貨介入協議機関の役割りに多大の期待を寄せるものであります。総理は、しかもその提案者であります。提案者として、この機関の果たすべき使命、機能、そしてその実質的効果については、どのような具体的構想と展望を抱いておられるか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
 また、市場開放にいたしましても、経済の再活性化にいたしましても、これらは先進国の協力だけで達成できるものではありません。ともすれば、先進国中心の経済運営という疑念と批判が開発途上国の間で高まりつつある現在、わが国にとりましては、発展途上国、とりわけASEAN諸国との間に理解を深め、連帯と協調の輪を広げる努力が今日ほど要望されているときはないと考えます。総理の御所見と対策をお尋ねいたします。
 以上、このたびの会議の結果を総括するとき、私は、会議の成果を手放しで単純に喜んではおられないと存じます。すなわち、会議後の欧米東西諸国の最近の動静に照らし、事態は決して楽観を許さないものがあるからであります。
 政府は、今後世界各国が相互理解を深め、親善協力の実を上げ、世界平和と繁栄に協力一致するようどのように対処すべきか、総理のお考えを明らかにされんことを望みます。
 質問の第二は、国連軍縮特別総会における総理演説についてであります。
 総理は、この演説の中で、国連の平和維持機能の強化等軍縮を通じる平和三原則を提唱され、その実現への具体的措置として、米ソ戦略兵器削減交渉の促進、地下を含む核実験の全面禁止条約の締結、核不拡散体制の強化等六項目の提案を示されました。私もまた総理が述べられた御意向に全面的に賛成であります。しかしながら、総理、問題は今後の対応であり、実行いかんであります。総理の今回の演説を空文に終わらせてはならないと思います。
 また、一方で核兵器の第一使用放棄宣言を行いながら、他方では核の軍拡を続けるソ連の欺瞞的宣伝に惑わされることも許されません。(拍手)
 私は、結局、わが国は、総理が今回明らかにされた平和三原則、軍縮六項目提案の精神を体し、西側の一員として、平和国家としての国際的責任分担を着実に果たしつつ、軍縮を求める国際世論の形成への積極的推進者となるべきであり、ここにこそわが国が果たすべき使命があると考えるものでございます。
 今後の平和外交の展開につきましては、現に世界の各地に騒乱が生じつつあり、また、その危険の感ぜられる折から、平和外交の展開について総理の御所信を伺いたいと存ずるのでございます。
 質問の第三は、対外経済協力についてであります。
 総理は、ベルサイユ・サミットの発言の中で、南北間の建設的な対話を推進することの必要性を強調するとともに、わが国が政府開発援助を五カ年間で倍増以上とするという新しい中期目標を掲げ、対外援助の拡充に引き続き努力する旨の決意を表明されました。
 私は、今日の世界経済の不況とその沈滞の根本原因は、全人類社会における需給関係の著しい不均衡にあると存じております。すなわち、全人類の七割五分の人口を占める発展途上国がいわば貧乏で、有効需要が極度に発達した先進国の今日の生産力を消化し切れないところに問題があるのであります。このアンバランスを基本的に改善するには、先進国による対外経済協力施策の強力、有効な実施によりまして発展途上国の繁栄と安定が実現され、それらの国々の有効需要が喚起されることにあると確信いたします。
 この意味におきまして、私は、総理が御就任以来あらゆる国際会議の場をとらえ、対外経済協力問題について信念的なまでに積極的姿勢を続けられるその世界認識と卓見に対し、心から敬意と賛意を表するものであります。
 しかしながら、総理、新しい中期目標の第一年目に当たる昭和五十六年のわが国の政府開発援助の実績が、前年実績に比較して減少しているのはきわめて遺憾と言わざるを得ません。この原因のいかんを問わず、これによる援助実績の低下は見逃せないのであります。
 私は、財政状況のきわめて厳しい折からではありますが、国際責任と国際公約の重要性にかんがみ、わが国は、五十七年以降の四年間に援助実績の回復を図り、政府開発援助について五カ年倍増以上の目標達成に全力を挙げなければならないと考えるものであります。この点について、総理の御所信を伺いたいと存じます。
 質問の第四は、総理のいわゆる太平洋諸国との連帯構想についてであります。
 もちろん、私もこの考えに異論はございませんが、太平洋周辺の先進国と同時に、太平洋上の島嶼国家との連帯協調もまた当然のことであり、太平洋上に国をなすわが国にとっては特に重大なことであります。総理のこの構想の中には、言うまでもなく、これら島嶼国家のことが包含せられていると考えられますが、念のため、お尋ねをいたしておきます。
 鈴木総理、十六日間にわたる長途の諸外国歴訪の旅を終えて帰国されましたあなたは、疲れをいやすいとまもなく、臨時行政調査会の答申に基づく行政改革、昭和五十六、七年度に予想される歳入欠損問題の処理、昭和五十八年度予算の編成、ロッキード事件関連の第一審判決に絡む政治倫理の確立、公職選挙法改正法案の国会通過、不況対策等々の諸問題の解決に取り組まれなければならないのであります。
 つきましては、この際、特に留意すべきは政治倫理の確立であります。(拍手)総理は、政治は最高の道徳なりとの信念をもって、政治倫理の確立のため、公正の道を誤ることなく、もって国民の信頼に背かず、進んで健全なる民主議会政治の発展と政党政治の権威確保のため最善の努力を払うべきであります。多難な政局運営に臨む総理の方針と決意をここに明らかにしていただきたいと希望するものであります。
 いまや世界は、一大変転期に際会しております。わが国を取り巻く内外の政治情勢は、まことに多事多難であります。世界における経済大国にまで成長しましたわが国に課せられている使命と責任は重大であり、わが国は、欧米先進国とともに相携え、時と場合によりましては、その先頭に立ってこの変転期の荒波を乗り切って、世界の平和と安全と繁栄の維持促進にこたえるべき重責を果たさなければなりません。
 わが国の総理たる者は、この使命と責任の重大性を自覚し、内外の難局に当たる覚悟を新たにすべきときであります。鈴木総理の一層の精進と奮起を促し、総理が一大勇猛心を発揮して、今日の内外の難局打開に敢然として当たられんことを望むや切なるものがあります。
 一言希望を申し添え、私の質疑を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕

発言情報

speech_id: 109605254X02619820621_005

発言者: 秋田大助

speaker_id: 15883

日付: 1982-06-21

院: 衆議院

会議名: 本会議