矢野絢也の発言 (本会議)

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○矢野絢也君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題になりました総理の報告とあわせ、当面するわが国の重要政治課題について総理の見解を求めます。
 サミット、国連軍縮総会ですけれども、まず、総理、大変御苦労さまでしたと申し上げたいと思います。
 しかし、総理、あなたの帰国を待っているわが国の政局はきわめて厳しく、鈴木内閣の正念場と言ってよいぐらいの重要課題がたくさんあります。このままでは国民の政治への信頼がますます失われ、また景気の低迷も破局的状況を迎え、財政再建もきわめて困難なものとなってしまいます。
 まず、ロッキード判決についてでありますが、この判決は、検察側の起訴事実をほぼ全面的に認め、金銭の授受、請託の存在とともに、ロッキード資金の賄賂性を明確にしたものと受けとめられています。鈴木総理は、政府・自民党の最高責任者として、今回の判決をどのように受けとめておられるか、御所見を伺いたいと思います。
 また、そこで有罪判決を受けた佐藤孝行君は、国会議員としての重要な公的立場を深く自覚されるべきであります。みずから議員を辞職されるべきであります。鈴木総理の御所感を伺いたいのであります。
 また、中道三会派は共同して同君の議員辞職勧告決議を本院に提出いたしましたが、総理はこの決議案に御賛成の立場をおとりになりますか。もし御賛成でない場合は、いかなる理由によるものかを御説明いただきたいと思います。
 また、検察側は、刑の執行猶予は納得できないとして、控訴すべきだとの意見もあるやに仄聞をいたしております。
 法務大臣に伺いたいと思いますが、この判決をどう受けとめ、今後控訴する意向があるかどうか、御判断をお聞かせいただきたいと思います。
 また、今回の判決では、いわゆる灰色高官とされておる諸君の実名が示され、金銭の授受があったとされているわけでありますが、灰色高官とされた諸君は、事の真相を明らかにするため、国会で証言されるべきであります。この際、総理は自民党総裁として、国会任せとか、あるいはいまの御答弁を聞いておりますと、まるで議長任せのような言い方をしておられますが、みずから証人喚問の実現についてリーダーシップを発揮されるべきであります。そのお考えがあるかどうかを伺いたいと思います。(拍手)
 総理、あなたは就任直後の所信表明演説で、政治倫理の確立と綱紀の粛正を公約されました。しかし、その後、その公約は残念ながら守られておりません。この際、航空機輸入調査特別委員会の復活、総理の公約でもある政治倫理委員会の設置、また、企業献金を禁止する政治資金規正法の改正を強く要求するものであります。総理の御見解を伺いたいと思います。
 次の質問に移りますが、選挙制度は、言うまでもなく主権在民の民主主義の原則を具体的に保障しておる制度であります。つまり、有権者の気持ちを政治に反映するルールであるだけに、いわば憲法に次ぐ重要な法規であるとも言えます。しかし、いま問題となっている参議院全国区制度改悪案は、いささか常識を無視したむちゃなものであります。無党派議員を締め出し、個人の立候補が不可能となり、有権者と候補者の直接的な結びつきが否定され、有権者が個人を選ぶことができず、政党に投票することとなり、参議院を衆議院より政党化してしまい、参議院が、失礼ながらミニ衆議院化してしまい、二院制そのものの存在が揺らいでしまいます。(拍手)これは自民党などのいわゆる大政党の間の身勝手な不況カルテルとも言うべきものであり、良識ある諸君の反省を促したいと思います。(拍手)
 総理、あなたは就任のとき、選挙制度は各党の大枠の一致が必要と発言されました。しかし、現在総理は、各党の意見の一致を待たず、無理やりに成立を指示されております。これは変身というのか、食言というのか、理解に苦しむところであります。同法案の撤回を強く要求し、かつ、私が指摘した諸点についての答弁を求めるものでございます。(拍手)
 次に、巨額な歳入欠陥、深刻な内需不振を中心に経済、財政問題について伺います。
 総理、あなたの政策の失敗は、大増税、国債増発、所得や福祉の目減り、中小企業不況、あるいは土地や住宅の無策など、国民生活に多大な実害を与えているのであります。
 昭和五十六年度の歳入欠陥は三兆円もの巨額に上ることが確実であり、また、本年度もさらにそれを上回ることが明らかであります。財政再建の名のもとに、福祉の切り捨て、負担の増大など、国民生活に多くの犠牲を強いながらも、なお財政再建のめどすらついておらない、その場しのぎの無為無策。民間企業の経営者なら、これはもう直ちに総辞職ものでございます。総理はこの責任をどのようにとられるのか、明確な答弁を求めます。
 また、渡辺大蔵大臣、あなたは歳入欠陥について、経済は生き物だからとか、経済情勢の変化だとか、まことに気楽な、太平楽な、無責任な発言を豊かな饒舌でされておるわけであります。大蔵大臣、あなたは財政再建の直接の責任大臣です。財政収支の見積もりを誤った、その責任をどうとられるのか、けじめのある答弁を求めます。(拍手)
 五十六年度、五十七年度の巨額な税収不足が確実な状況で、総理の公約である赤字国債の減額計画は、事実上崩壊したと言わざるを得ません。総理が政治生命をかけたとされる増税なき財政再建と五十九年度の赤字国債発行ゼロは達成できるとお考えか。先ほどの答弁では、目標だとか方針だとかという言葉にすりかえておられましたが、あなたは、それが破綻すれば政治責任をとると発言されたのであります。その決意はいまでも変わりはございませんか。
 現状の財政、経済、つまり五十六、七年度の税収不足と経済不況を前提にして、増税はしない、五十九年度赤字国債発行をゼロにするための五十九年度に至る財政再建の具体的方策を明確に示していただきたい。さらに、五十八年度予算編成に関する総理の方針を、この歳入欠陥をどのようにして穴埋めするか、補正予算をするのか、しないのか、こういったことを含めて明らかにしていただきたいのであります。
 次に、本年度の政府経済の見通し、実質成長率五・二%の達成は、大変残念なことでありますが、どうやら不可能と見られています。政府は、この見通しがいまでも実現できるとお考えであるか、総理及び経済企画庁長官の御答弁を求めたいと思います。
 また、設備、住宅投資などのマイナス成長、実質賃金の目減り、消費の低迷など、依然として内需不振の様相は変わっておりませんが、これをどう認識し、対応されるおつもりか、お答え願いたいと思います。
 現状のままでは、わが国経済が縮小均衡に陥り、財政も歳入欠陥がさらに深刻化することは確実と考えます。したがって、内需の拡大を目指し、まず個人消費を拡大するため、また税の不公平是正のために、政府みずから大幅の所得税減税を速やかに実施すべきであります。また、投資効率を重視した公共事業の追加を行うこと、さらに、中小企業の設備投資を喚起するため、中小企業に対する投資減税の時限措置を講ずることを提案いたします。これらについての総理の誠意ある御答弁を承りたい。
 次に、行政改革は、役人天国と言われるぐらい肥大化しており、全く非能率化しておる面が多いこの行政を、今日の国民のニーズから見ていかに再編成していくかが最大の眼目であり、この意味において、わが党は行政改革に最大の助力を惜しむものではございません。ただ、臨調部会報告の中で、社会保障負担の増大、政府の防衛費増強政策をバックアップするかのごとき表現が見られ、これは国民のニーズに逆行するもので、今後わが党は臨調に再考を求めたいと考えております。しかし、省庁の統合、国鉄などの公社問題、補助金のあり方などをめぐり、国民のニーズからの行政改革というよりも、政権政党としてのニーズや行政の既得権を守るというニーズから、すでに臨調部会報告をめぐり、政府内部や自民党あるいは一部の野党から待ったがかかり始めております。総理は、臨調基本答申について不退転の姿勢で取り組む決意があるのか、まず明確にしていただきたい。
 さらに、臨調答申がどの程度の財政的効果があると報告を受けておられるのか、さらに、基本答申を受けての政府の手順、計画をこの際明らかにしていただきたいと存じます。
 最後に、サミット、軍縮問題について伺いますが、世界経済の停滞の原因であるアメリカの高金利是正の見通しはつきましたか、また、貿易問題では、わが国の市場開放策は評価されましたのか、さらにまた、わが国の市場開放策第三弾ともいうべき厳しい事態は予想しなくてもいいのかなどについて、御見解を伺いたいと思います。
 次に、東西貿易につきましては、対ソ公的信用供与制限問題がアメリカ、ヨーロッパの間で厳しく対立し、共同宣言も極端な玉虫色の表現になっております。そこで、今後の政府の対ソ信用供与に対する基本方針について、ここでお伺いをしておきたいと思います。
 また、公明、民社、新自由クラブ、社民連、同盟の五つの団体が、すべての国のすべての核に反対、核廃絶は相互的、段階的に実効ある措置が必要という立場で、千六百万人を超える反核軍縮を求める署名を集めました。その署名簿をデクエヤル国連事務総長に提出し、同総長は、これを軍縮総会にぜひ反映させたいと確約をしてくれました。微力でありますけれども、いささかの成果を上げ得たと自負をいたしております。
 しかし、核廃絶、軍縮への道はまだまだ遠く、私たちは、反核軍縮運動はこれからますます重要であると考え、その運動の中核として闘っていかなくちゃならないと決心をいたしております。
 総理が、世界で唯一の核被爆国の首相、総理として国連軍縮特別総会で軍縮演説をされましたことは、大変意義があることであるとして評価いたします。しかし、残念ながら、その内容には余り具体性があるとは言えません。
 総理は、演説で、軍縮促進の前提は国家間に相互信頼関係を醸成することであると指摘されました。まさに同感です。しかし、そのためにわが国政府が果たすべき具体的役割りとは何か。また、軍縮によってつくり出された余力を発展途上国の援助に充てるべきであることも主張されました。これまた同感でございます。しかし、そのための方途について具体的にどうするのか、明確ではございません。ここでお考えをお示しいただきたい。
 核兵器の不使用について実効ある措置をとることを訴えられたのであります。しかし、これまで国連通常総会で行われてきました核兵器不使用決議などには今後賛成するのかどうか、また、核兵器の先制的不使用を内容とする協定は必要であるとお考えかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
 また、私たち中道四党、同盟、この五団体がワインバーガー・アメリカ国防総省長官と会談しましたときに、同氏は、日本の平和憲法のことは承知しております、日本の防衛は日本自身が自主的に決めることなどとしながらも、同氏は、鈴木総理が約束された日本本土の防衛、周辺海域、シーレーン防衛の役割りは日本国憲法の枠内でできることであり、これの実行は重要、この役割りを果たすためには、アメリカ国防総省の試算では、毎年一〇%以上の伸び、GNP一%以上の防衛予算が必要ということになり、この試算をホノルルの日米会談で日本側に説明したい、また技術交流も求めたいという意味の発言をワインバーガー氏はこの五団体にされたわけであります。これは押しつけではないと、前提を念入りに置いておられましたけれども、平和日本の今後のあり方にとってきわめて重大な問題提起で、私たちは賛成できません。ホノルル日米会談でこれにどう対処されるかを伺いたいと思います。
 総理は、演説で、わが国は憲法のもと軍事大国にならないと述べられました。その言やまさによしということです。しかし、毎年の防衛費の著しい伸びとこの御発言との関係は一体どういうことになるのか。たとえば五十八年度予算において防衛費は別枠扱いということになるのか。これでは言葉倒れになってしまいます。ひとつ納得のいく御答弁を求める次第であります。
 総理並びに関係大臣が信念を持って国民に語りかける御答弁を強く期待いたしまして、以上で、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕

発言情報

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発言者: 矢野絢也

speaker_id: 3481

日付: 1982-06-21

院: 衆議院

会議名: 本会議