瀬長亀次郎の発言 (本会議)
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○瀬長亀次郎君 私は、日本共産党を代表して、国連軍縮特別総会等についての帰国報告の機会に、総理に内政、外交問題に関して質問いたします。(拍手)
四年前の第一回軍縮特別総会は、核軍拡競争の激化に厳しい警告を行いましたが、今日レーガン政権が打ち出した限定核戦争構想によって、世界の諸国民は核戦争の現実的な脅威にさらされています。この限定核戦争構想は、日本列島を含むアジアをも対象としたもので、まさにわが国にとって民族の存亡にかかわる重大事態と言わなければなりません。だからこそ、核兵器の無条件全面禁止を求める反核署名も数千万に達したのであります。
総理、あなたは、この国民の核兵器全面禁止の要求を無条件の課題として国連で訴えることが重大な責務であったはずであります。
それだけではありません。国会決議に基づいて、あなたは、核兵器の全面禁止と使用禁止を今日の緊急課題として実現する義務を担っていたのであります。総理は、国会で、国連では国会決議に沿って努力すると言明されたし、わが党との党首会談でも、国会決議に沿った国連演説を行うと重ねて約束されました。総理の国連演説は、先ほど国会決議を踏まえて行ったと言われましたが、しかし重大な点で国会決議に反するものであります。
そもそもこの国会決議は、前回の決議にあった「核兵器の窮極的廃絶」から「窮極的」という文言を削除したことによって核兵器の廃絶を今日の緊急課題としたし、また、核兵器の使用禁止についても、「実効ある国際的措置をとることを強く訴えること」を明記しているのであります。この「措置」とは、外務委員会理事会でわが党委員が確認したように、明らかに今回の国連特別総会での措置を求めたものであります。
しかるに、総理演説は、この国会決議の趣旨をゆがめたものと言わなければなりません。
第一に、核兵器の全面禁止についてでありますが、その前提として、核軍縮措置の積み重ねの必要を強調することによって、あなたは、今日の緊急課題ではなく、再び究極的な目標に遠ざけてしまったのであります。
第二に、核兵器使用禁止については、「核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとる」との国会決議の表現を使いながらも、そのためにはまず核兵器の削減が必要だとして、国会決議が核兵器の不使用措置を本特別総会に求めた趣旨に反する逃げ道をつくったのであります。
一連の非同盟諸国は、総会がまとめる文書の中に、核兵器使用禁止国際条約の実現の緊急性を盛り込むよう主張していますが、この主張について、総理、日本政府は具体的にどういう態度をとるのか、賛成をするのかどうか、明確に答弁を求めます。
第三に、総理は、国会決議には全くない力の均衡論の立場から、アメリカの核配備強化計画についてこれを弁護したのであります。だからこそ、ニューヨーク・タイムズは「日本、国連で防衛力増強政策を説明」との見出しで報道したのではありませんか。
これら三点は、国会決議に反するだけではなく、アメリカの核もソ連の核も含めて核兵器の全面禁止を求めた何千万という署名に背を向けるものではないでしょうか。(拍手)総理はその重大な責任を何と考えるのか。また、最近レーガン政権は、核先制攻撃を行うことがあり得ることを改めて明らかにしました。日本政府としては、国会決議の立場から当然これに抗議すべきであると思いますが、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
次に、重大な事態となっている歳入欠陥問題についてであります。
五十六年度三兆円、五十七年度四ないし六兆円という空前の歳入欠陥は、現在でも世界に類を見ないわが国の財政破局を決定的に拡大するものであります。それが単に両年度にとどまらず、今後長期にわたって予算編成、財政政策の前提を崩壊させることは確実であります。しかもそれは、国債価格の暴落、長期金利の急騰の形ですでにあらわれているように、金融政策の手をも縛り、日本経済全体を混乱の渦に投げ込み、新たな耐えがたい犠牲と負担を国民に強いるものであります。
このような事態は当然予測できたことでありませんか。現にわが党は、昨年十二月以来、巨額の税収不足が必至であり、それを土台とした五十七年度予算も年度途中に破綻が避けられないことになると警告し続けてきました。
ところが、総理は、予算審議を通じて、この粉飾予算を最善なものと強弁し、税収不足は起こり得ない、専門家の計算だから間違いないなどと、うそにうそを重ね、国会と国民を欺いてきました。総理、あなたが政治生命をかけると公言した五十九年度赤字国債ゼロの公約はもはや完全に吹き飛びましたが、一体その責任をあなたはどのようにとるつもりでありますか。
歳入欠陥の直接最大の原因が、いわゆる臨調路線に基づく軍拡財源の確保のため国民に犠牲を強要することにあることは、いまやだれの目にも明らかであります。まして、核戦争反対、平和と軍縮を求める声が全世界から沸き起こっている今日、福祉、教育予算を削って、レーガン戦略に従って軍備増強に回すなどということは絶対に許されません。総理、それでもあなたは、来年度予算シーリングに当たって、軍事費をまたもや聖域として特別枠を設けようとするのでありますか。この際、はっきりとお答えください。
第三の問題は、ロッキード疑獄事件についてであります。
さきの全日空ルート判決は、全面否認を続けてきた橋本登美三郎、佐藤孝行に有罪の判決を下しただけではなく、二階堂進自民党幹事長を初め、加藤六月君、田中角榮らに三十ユニット資金が流れたことを明らかにしました。特に今回の判決は、二階堂君への黒い金の交付状況などを具体的に供述している伊藤証言を採用し、しかも、伊藤証人には虚構を捏造してまで証言しなければならない事情は全く認められないと認定しております。
ところが、黒い金を受け取ったことは動かしがたいとされている二階堂君は、国民にわびる気持ちはさらさらないと開き直り、証人喚問を否定するばかりか裁判批判まで行って、国民世論に挑戦しているのであります。
総理は二年前、国民のごうごうたる非難の中で二階堂君を総務会長に起用する際、三回の選挙で国民の審判をクリアしたなどと述べ、灰色高官の復権に公然と力をかしました。そして、いまでは政権与党の幹事長に据えるなど、ロッキード疑獄最大の刑事被告人田中角榮と田中派に党と政局の運営をゆだねているのであります。
ロッキード判決とその後の二階堂君の言動は、同君を総務会長、幹事長につけた鈴木総理の政治責任が改めて厳しく問われているのであります。(拍手)総理、判決を見た今でも、二階堂君の問題は決着済みと考えているのか、明確にお答えください。
総理も賛成されたロッキード問題に関する国会決議は、すべての疑惑を解明することが国民の要望にこたえる道と述べ、二階堂君みずから衆議院議長にあてた上申書においても、国会の責任において事実の確認をとる必要があると述べております。国会が二階堂君らを証人として喚問し、国民の前に事実を明らかにするのは、国会決議に基づく当然の責務ではないでしょうか。(拍手)また、あなたは、自民党総裁としてこれを推進する重大な責任があるのではありませんか。
しかるに、自民党は、いま航特委の復活を拒否する一方、議院証言法の改定やそれを前提にした政治倫理委員会の設置など、証人喚問回避のための口実を次から次へと設け、黒色、灰色政治家の政治的道義的責任の究明を妨害し続けております。この中心的責任をとらなければならない立場にあるのが幹事長なのであります。本来、政治的道義的責任を真っ先に追及される人物を、よりによって幹事長の職に置くという驚くべき事態を総理はこのまま放置されるつもりでありますか。三木元首相でさえ、帰国したあなたに、現在の自民党が田中角榮君に支配されている姿は正常ではないと直言しているほどではありませんか。
鈴木総理、あなたの総裁としての重大な責任、資格を問われる問題として明確な答弁を求めます。
以上、総理は、内外の反核反戦の世論に背を向け、核兵器使用禁止を緊急課題とせず、民族の死活にかかわる限定核戦争構想にも反対していません。それどころか、レーガンの核軍拡政策の一翼を担い、膨大な歳入欠陥の中で国民生活を顧みず、軍拡予算を一層推し進めようとさえしています。これだけでも、総理に国民の安全と生活を守る資格がないものと言わなければなりません。
さらに、ロッキード事件にあらわれた総理の政治姿勢はとうてい許すことができるものではありません。いま総理に求められているととは、みずからの政治責任をごまかすのではなく、潔く退陣して、平和と国民生活向上、清潔な政治に道を開くことではないでしょうか。(拍手)
日本共産党は総理の退陣を強く主張して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕