山口敏夫の発言 (本会議)
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○山口敏夫君 私は、新自由クラブ・民主連合を代表し、当面の政局の諸問題について、総理に質問を申し上げます。
ベルサイユ・サミット、国連軍縮特別総会など、まず、このたびの外遊に対して、鈴木総理に対し敬意と御慰労を申し上げる次第でございます。
総理の帰国後の政局は、財政再建、歳入欠陥、行政改革、ロッキード判決を初め政治倫理問題等、重要な政治問題が山積しておりますが、総理は今後、秋に向けての政局をどう運営していくおつもりか、まず伺いたいと存じます。
特に私は、国際軍縮と政治倫理の二つの問題を中心に、さらに総理の現実的かつ具体的な見解を国民の前に明らかにするよう求めたいと存じます。
国連軍縮特別総会で、レーガン大統領は地上発射中距離ミサイルの全廃ほかの四提案、ブレジネフ・ソ連書記長は国連へのメッセージの中で提案した核兵器先制不使用宣言など、鈴木総理にはこのような具体的な発言こそありませんでしたが、核廃絶を願う日本国民の決意と、国会の決議をも踏まえた総理の平和三原則を基調とする演説は、国際的にも支持を得たと、ニューヨークにおりました私も受けとめて帰ってまいりました。
しかし、総理の演説に多くの国の人々の共感があったのは、不戦を誓ったわが国の平和憲法、兵器としての核を拒絶した非核三原則、軍事大国の道を選ばない日本の今日までの不動の姿勢があったればこそと考えるものであります。総理はこの点をどう考えられたか、先人の意思をさらに発展する決意があるか否か、伺いたい。
日本は、平和国家としての実績を踏みながら世界平和に貢献をしていかなければなりません。特に今日の世界の軍事的現状を考えるならば、その感は一層深いものがございます。かつて日本に投下された原爆の百万倍の破壊力を持つ核兵器の存在。四十億人類を七回にも八回にもわたって焼き殺しても余りある殺戮兵器の規模。ことしの、今年度の世界の軍事費総額が六千五百億ドル、日本円にして百六十兆円に上ると言われております。そして、その額は、世界の飢餓、疾病を含む貧しき国々の五十カ国、十五億人分の国民所得にも相当するのであります。鈴木総理、あなたはこうした世界の現状を認識しつつ、どう国際軍縮に貢献すべきと考えておられるか。
あなたは国連において、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持すべく決意していると表明されました。国際舞台での発言は単なる演説コンテストであってはならないことは当然のことであります。外にあっては軍縮を唱え、内にあっては防衛費の別枠扱いをされる総理に矛盾はないか。五十八年度予算、防衛問題に取り組む姿勢、まずその方針を承っておきたいと存じます。
また、総理は、日本国平和憲法の一部を引用しつつ、総理の政治理念をうたい上げておられましたが、与党内の改憲論のオクターブが上がってきている今日、断固これにくみしないという決意と受けとめてよろしいか否か、その見解を改めて伺いたい。
さらに、人類の悲願とも言うべき軍縮の主役はアメリカとソ連であり、両国の合意なしには真の軍縮は進展しないのが世界の現状であります。核大国は、核の先制不使用から無条件の不使用、そして大幅な削減へと進まねばなりません。
今日、米ソ外相会談も粘り強く続けられておりますが、日本政府は、米ソ両国にそれぞれ、第一番目に核兵器を使用する国にはならない約束を取りつけるべく呼びかける意思があるか否か、また、国連での核不使用決議に反対しているのはなぜか、速やかに政策変更をする考えがあるか否か、あわせてお伺いをしたいと思います。
また、広島、長崎の日本として、軍縮構想センターの設置等、政府の肝いりでつくる考えがあるか否か。
さらに、唯一の被爆国として、被爆の実態を広く人々に知らせることは意義あることであります。私たち新自由クラブ・民主連合におきましても、同僚議員の菅直人君は国内各地で、河野洋平議員はニューヨークやモスクワで、資料や写真の展示、また原爆映画会等、現在各地で同様の組織的運動を続けております。首相自身も国連本部において、原爆被害に関するわが国の資料を備えつけることを提案しておりましたが、これをいつ、どういう形で実行するのか、具体的方針を確認しておきたいと存じます。
首相は、今回の成果を踏まえて、帰国後においてもその平和哲学を貫いてもらいたいと考えます。特に国内の一部にある軍備拡張論、たとえば、レーガン政権の対ソ対決姿勢に勢いを得て、防衛費のGNP一%突破論であるとか、非核二・五原則論とか、安保改定論から改憲論に至るまでの政治勢力に対し、鈴木内閣をまとめ切り、総理の哲学を周知徹底できるか否か、その決意もさらに伺っておきたいと存じます。
さて、鈴木首相の帰国待ちということで事実上は棚上げともなっておりました、ロッキード事件における政治家の有罪判決と、これに関連する政治倫理の問題であります。
総理は、各党の代表質問に対し、相変わらず別世界の人のような答弁に終始されておりますが、外遊でお疲れなのか、時差ぼけで多少野党質問の趣旨がのみ込めないのか、本気で政治改革に取り組む意思がないのか、総理の真意がはかり知れないわけであります。総理、好むと好まざるとにかかわらず、われわれ国会議員も含めて、現職の政治家はだれもこの問題からは逃れられないのであります。
国会におきましても、与野党協議の中で、航空機輸入調査特別委員会の復活、政治倫理委員会の新設、議院証言法の改正を初め、福田議長のもとでの議会制度協議会なども含めて、詰めの作業には入っておりますが、いまだに政治倫理の確立は見られず、国会は国民への責任を果たしておりません。
もとはといえば鈴木総理、あなたが就任後、何度も国会に政治倫理委員会を設けると公約しながら、いまだにそれを実現していないからであります。その政治責任をどうお考えなのか。国政調査権がある国会は、いまだに真相を求める国民の期待にこたえられない状態をどう反省しているのか。今日の状態でもなおロッキード事件と自分とは無関係、政治倫理の問題は国会に任せると言い続けるあなたの発言こそ、あなたがかばってやまない人たちが一層の疑惑を深めてしまうということを、総理、忘れないでください。
政権党の総裁として、いまこそリーダーシップを発揮し、議院証言法の改正も倫理委員会の設置もこの国会で実現し、政治家の証人喚問も含め、政治の責任を果たされることが大事なことだと考えますが、いかがでございますか。
また、判決で一審有罪になった同僚国会議員、佐藤孝行議員の進退の問題であります。
法の原則から言うならば、確かに一審有罪すなわち議員辞職を意味するものではありません。特に過去の歴史を見るまでもなく、政治には権力の介入がつきものでありますし、総理もたびたび御発言のように、安易に国会議員の身分を失わしめることは問題があります。まして、自由と民主主義の象徴とも言うべき国会において、本来ならば、政敵とも言うべき野党の決議によって辞任を求められるなどということは、決して好ましい形のものではありません。しかるに、御本人は、政治的道義的責任をとり、みずから職を辞し、国民に釈明する決断にいまだに立っておられないということであります。まことに遺憾と言わねばなりません。
国民が自民党に安定多数を与えた二年前の衆参同時選挙は、大平前首相が政治道義を国民に公約し、政治姿勢を問われていた同僚与党議員に対しても、あえて泣いて馬謖を斬った、その真摯な、まじめな政治態度が国民の支持を受け、自民党大勝の一因にもつながったことを、大平首相の後継者である鈴木総理は、もはやお忘れになったのでしょうか。政党が自浄作用を実行に移し、勇断を下さねばならない。私は、総理が判決をどう受けとめ、どういう処置をおとりになろうとしておられるのか、さらに承っておきたいと思います。
田中元総理が、かつて法廷の場において、起訴されただけでも万死に値する、国民に深くおわびし、政界から身を引くことも考えたと、指導的政治家が疑惑を受けたことの重大性を吐露しておりましたが、今日では、総裁派の鈴木派の三倍に近い派閥を擁し、絶大な影響力を駆使しております。当然なさねばならない政界の浄化、有罪議員の自発的国会議員の辞職、裁判中の政治家の活動の自粛などが行われていない現状は、ウォーターゲート事件の教訓を生かしているアメリカの議会ではとうてい考えられないことであります。
ここのところ、現在の政局は、自民党員によって選ばれた総裁が内閣総理大臣でもあります。そして、幸か不幸か、歴代のおのおのの総理大臣は、引退して後輩に後事を託すということは全然ない。世代交代もないから自浄作用もない。旧態依然たるボス感覚で今日の政治に生臭く存在し、支配している感じなのであります。そうした与党内における長老支配、派閥政治というものが一層権力抗争を激しいものとし、ひいては議会政治の機能まで危うくし、今日、見過ごすことのできない場面をもつくり出しているのではないでしょうか。(拍手)
鈴木総理は、それら政治の悪循環を断ち切る決意があるか否か、お答えをいただきたい。
主権者たる国民への外遊報告は後回し、派閥の実力者の自宅を訪問し、みずから率先して派閥政治を是認しているのではありませんか。総理みずからが派閥政治の弊害を除去する決意が必要と考えます。いかがなものでしょうか。
国会議員の七十歳定年制もさることながら、こういう不透明な政治状況を断ち切るために、政界の浄化刷新の出発点と考え、みずからの出処進退を含め、それぞれの元総理大臣や衆議院議長等々の要職にあった、いわゆる実力者の総退陣をこの際提言してみる勇気がおありかどうか伺いたい。
最後に、新自由クラブ・民主連合として、国民の政治の信頼を回復するため、政治を公明正大なガラス張りにするためにも、法律制度改革の必要性がある四項目について改めて提案したいと存じます。
すなわち、議員の資産公開法、倫理法の確立、そして政治資金規正法の企業献金の総量規制の枠を緩和させないということ、主権者たる国民が常に必要な情報を請求することができる情報公開法の制定であります。
これら四点につき、鈴木総理は実現に向けてどう取り組まれるか、どう努力されるか、具体的、実際的なその方法についてお伺いしたいと存じます。
財政再建計画の見直し、歳入欠陥問題、行革に対する内閣不統一、行革つぶし等々の問題につきましては、予算委員会の場で鈴木総理の見解を伺うこととし、私の質問を終える次第でございます。(拍手)
〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕