竹入義勝の発言 (本会議)

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○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議及び日本共産党を代表し、ただいま議題となりました鈴木内閣不信任決議案の趣旨説明をいたします。(拍手)
 まず、決議案文を朗読いたします。
  本院は、鈴木内閣を信任せず。
  右決議する。
    〔拍手〕
 私は、本年一月、鈴木総理の施政方針演説に対し代表質問を行い、特に政治の浄化、政治倫理の確立を要求し、総理みずからが執念を燃やしている参議院全国区拘束名簿式比例代表制導入の違憲性、党利党略的立法の不当性を指摘し、重大な警告をいたしました。
 また、米国の軍事力肩がわりをわが国に求める防衛力増強の道をとることに断固反対し、GNPに対する軍事支出の比率を現在以上高めるよりは、発展途上国を初め、近隣諸国に対し政府開発援助の増大、技術協力、市場開放、その他平和的手段で貢献できる分野に日本は格段の努力をし、平和な国際環境を構築することを内閣の方針として内外に表明すべきである。厳しい財政事情の中で防衛予算の伸び率を突出させることが軍事力増強路線を強く印象づけ、国民に不安と政治に対する不信感を高めている。五六中業の実施等により、政府方針としてきた防衛費のGNP一彩以内とする歯どめを突破することはもはや時間の問題である。したがって、一般会計の伸び率を超える部分については、政府がみずから削減することを強く要求したのであります。
 一方、政府の経済見通しの甘さと経済運営の無策を指摘し、とりわけ個人消費の喚起と財政負担の公平化が、内需拡大による景気回復と行財政改革による財政再建を同時に遂行する基本的要件であることから、所得税、住民税を合わせて一兆円規模となる減税実施の英断を強く総理に求めたのであります。しかしながら、国民世論を背景にわれわれが誠意を尽くしたこれらの要求は、ことごとく退けられたのであります。
 こうした中で、参議院全国区拘束名簿式比例代表制導入の公選法改正案の成立を目的として、政府・自民党が九十四日間の長期異例の会期延長を行い、社会党が政治倫理確立など重要課題よりも参議院全国区制改悪を党略的立場から優先させ、同法案のため結果として自民党に手をかしたことは、国民周知のことであります。(拍手)野党第一党の責任は一体いずれに行ってしまったのか、まことに理解に苦しむところであります。
 しかも、この間、三公社五現業労働者賃上げ仲裁裁定議決案件も審議に至らず、人事院勧告の完全実施も予測しがたい状況となっているのであります。のみならず、防衛力増強路線、教科書改ざん問題、総理、閣僚の靖国神社への公式参拝等が、自民党の改憲画策とともに着々と右傾化路線の構築が進められております。
 以下、鈴木内閣を信任しない理由について具体的に述べるものであります。
 第一に、今国会の最重要課題の一つは、六・八判決が改めて提起したロッキード疑獄の真相解明と構造汚職の根絶など、政治倫理の確立であります。にもかかわらず、鈴木内閣は、証人喚問、佐藤孝行議員辞職勧告決議の実現などに対し、その真相解明を恐れ、きわめて消極的姿勢に終始して国民の期待を裏切ったことであります。
 御存じのとおり、ロッキード判決は、政治家二被告に対する検察側の起訴事実を全面的に認め、金銭の授受、請託の存在とともに、ロッキード資金の賄賂性を明確にし、有罪判決を下しました。確かに、六・八判決は、政治家二被告に対する判決であります。しかしながら、その持つ意味は、政治に携わる者すべてに強烈な反省を促しました。
 鈴木総理、あなたは政権政党の総裁として、この判決を最も真摯に受けとめなければならない立場にあることは言うまでもありません。
 鈴木総理、あなたは就任直後の所信表明演説で、政治倫理の確立と綱紀の粛正を公約されながら、その後、この公約実行のために何ら前向きな姿勢を示してこられなかったではありませんか。国民の多くは、これまであなたの後ろ向き姿勢に失望しつつも、今度こそはと期待をつないだのは当然であります。
 ところが、鈴木総理は、今回もまた国民の切なる要望と期待を完全に裏切ったのであります。すなわち、真相究明のための証人喚問を回避するために、議院証言法の改正というハードルを設けた上、この議院証言法改正を阻むため、われわれがとうてい認めることのできない国政調査権や国民の知る権利を制約する改悪条項を新たに持ち出し、時間切れを待って意図的に改正作業をおくれさせたのであります。
 こうした過程の中で、野党が一致して提出した佐藤孝行議員の辞職勧告決議案さえも葬り去ろうとしている意図さえ見えるのであります。発言とはうらはらに、証人喚問についてきわめて消極的態度をとり続けた鈴木総理の姿勢は、国民に背を向けた許しがたいロッキード隠しそのものであり、断じてこれを容認することはできないのであります。(拍手)これはまさに政治倫理確立の公約に真っ向から違反するものであります。
 第二は、経済、財政運営に失敗し、多大な歳入欠陥を生じさせ、増税なき財政再建、五十九年度赤字国債ゼロの公約を事実上不可能に陥れていることであります。この鈴木内閣の責任は重大であります。
 昭和五十六年度の歳入欠陥は二兆五千億円の巨額に上りました。本年度の税収不足もそれを上回ることは必至の情勢であり、もはや五十九年度赤字国債発行ゼロは画餅に帰したのであります。
 財政再建の名のもとに福祉を後退させ、社会保障負担の増大など、国民大衆にその負担を押しつけ、国民生活に多くの犠牲を強いる一方、内需拡大に対しては何ら政策努力をせず、いまだ財政再建のめどすらつかない鈴木内閣には、財政再建を論ずる資格さえないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第三は、国民的要求である大幅所得減税を拒否し、消費不況に対する対策を何ら講ぜず、不況を長引かせ、いたずらに国民の不安を増大させ、しかも課税の不公平を拡大させていることであります。
 政府は、五十六年度当初において、内需主導の景気回復を公約し、実質経済成長率五・三%の達成を掲げたのであります。われわれは、こうした見通しが全くの希望的観測であることを指摘し、内需主導の回復を実現するには大幅所得減税を断行し、消費不況を打開するよう鈴木総理の英断を訴えたのであります。
 ところが、鈴木内閣は、われわれの主張に耳を傾けるどころか、昨年五月には景気底離れ宣言をし、みずからその見通しの甘さを示したのであります。果たして五十六年度の実質経済成長率は二・七%にとどまり、不況は一層深刻化の様相を呈しつつあることは周知のとおりであります。歳入欠陥は、不況の長期化によってもたらされたものであることは言うまでもありません。五十六年度にこのような失敗をしながら鈴木内閣は、五十七年度も国民的要求である大幅所得税減税を再び拒否する硬直的態度を繰り返し、とりわけ勤労大衆の実質増税による増収を図ったのであります。
 景気の停滞はいまや看過できない状態にあり、中小企業の倒産は増加の一途をたどり、雇用情勢も一層厳しさを増しております。大幅所得税減税を拒否し、不況を長期化させている鈴木内閣の政治責任を国民にかわって糾弾するものであります。(拍手)
 さらに鈴木内閣は、公選法改悪法案の成立に狂奔し、延長国会の重要な課題である仲裁裁定と人事院勧告の完全実施について今国会の議決を見送ってしまったのであります。このような行為は、現行法で保障されている労働者の権利に対する侵害であり、断じて容認できるものではありません。(拍手)
 第四は、教科書検定問題、防衛力増強政策、靖国神社の事実上の公式参拝問題などに見られる鈴木内閣の目に余る右傾化であります。
 中国、韓国を初めとする東南アジア諸国から厳しい批判にさらされている教科書検定問題は、歴史的事実を歪曲し、かつての軍国主義の侵略行為を正当化しようとするものと言わざるを得ません。(拍手)平和憲法のもとにあってわが国は、過去の過ちは過ちとして、事実は事実として認め、その反省の上に立って世界平和に寄与すべきであり、同時にそれを後代に正確に引き継いでいくことが世界各国の信頼と友好を確立する道であります。
 また、防衛予算の異常突出に見られる防衛力増強政策は、いまや看過できないところまで来ていると言わざるを得ません。総理は、再三にわたって、わが国は平和憲法のもと軍事大国にはならないと言明しております。しかしながら、厳しい財政状況の中にあって防衛予算を聖域化し、防衛費のGNP一%枠さえも形骸化しようとする態度は、防衛力増強政策以外の何物でもなく、この延長線上では憲法第九条の改悪と直結していると考えざるを得ません。
 また、鈴木内閣は、終戦記念日である去る八月十五日、私人の資格を実質的に否定した事実上の靖国神社への公式参拝を行ったのであります。このような行為は、昭和五十五年十一月、政府みずから憲法第二十条第三項との関係で問題があるとした統一見解をなし崩しにし、憲法の精神をじゅうりんするものであり、教科書検定問題、防衛力増強政策と並んで絶対に容認できるものではありません。(拍手)
 第五は、主権を持つ国民の被選挙権、参政権を不当に制約する憲法違反、反民主主義的な公選法改悪を党利党略的発想と多数の論理によって強引に成立を図ろうとしていることであります。
 参議院全国区に拘束名簿式比例代表制を導入しようとする自民党の公選法改正案は、個人の立候補を不可能にし、有権者と候補者の直接的結びつきを否定するばかりではなく、参議院の機能を失わしめ、憲法で規定された二院制そのものを実質的に否定するものであり、憲法上重大な疑義が存在することは、かねてより指摘したとおりであります。われわれは、このような改正案を断じて認めることはできません。
 総理、あなたは、就任の際、選挙制度は各党の大枠の一致が必要と発言されました。選挙制度は、主権在民の民主主義の原則を具体的に保障する制度であり、憲法に次ぐ重要な法律であります。したがって、総理就任当時の見識は、けだし当然なのであります。にもかかわらず、九十四日間という異常な大幅会期延長を行った上、参議院における委員会の強行採決を初め、全く不正常な形でこのような憲法上疑義のある改正案の強引な成立を図ろうとしている態度は、国民主権をじゅうりんするものと断ぜざるを得ず、その暴挙は絶対に認めることはできないのであります。(拍手)
 以上、何点かにわたって明確に指摘したとおり、鈴木内閣の負うべき責任はきわめて重大であります。鈴木内閣は、その責任を明らかにするために、みずから進退を決し、総辞職することが当然と考えるのであります。(拍手)
 同僚諸君の御賛成を願い、鈴木内閣不信任決議案の提案理由の説明を終わります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 109605254X03319820818_006

発言者: 竹入義勝

speaker_id: 8160

日付: 1982-08-18

院: 衆議院

会議名: 本会議