寺田熊雄の発言 (公職選挙法改正に関する特別委員会)
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○寺田熊雄君 この法案に対しまして、「参議院は発足以来政党に属さない知識人、文化人が議員となり、衆議院に比して良識の府としての機能を発揮してきたけれども、個人の立候補を許さない比例代表制をしくことは参議院のこの特色を失わせ、第二衆議院と化せしめる不当きわまるものである」という反対論がございます。
しかし、現実には、先ほども触れましたように、参議院が多くの知識人、文化人を擁して、それが政治に大きな影響を与えておりましたのは敗戦後の短期間にすぎません。昭和二十三年以降現在までは、参議院は政党政治が隅から隅まで支配しておるのが現実であると存じます。亡くなられた市川房枝さんのようなあまねく国民の尊敬を集められた人も、院外にありましては国民運動に影響を与え得た点では他の追随を許さなかったのでありますけれども、院内にあって院の動向やその決定に影響を与え得たかということを問われるならば、それは残念ながら否定せざるを得ないと存じます。
参議院が政党政治から離れた良識の府でなければならぬとか、あるいは現にそうしたものであるとする見方は、古きよきものに対するノスタルジアにすぎない、現実を見つめていないと私は考えております。また、その根底には、間違いなく現在の政党、とりわけ田中角榮等汚れた政治家によって支配されている自民党と、それに対して効果的な抑制をなし得ないでいる現在の野党に対する不信感がひそむものと考えております。もし、自民党及び社会党を含めて、野党が国民の信頼と尊敬をかち得ているならば、本改正案に対する強い国民的批判は起こり得なかったのではないだろうかと考えるのでございますけれども、提案者としてはこの点どのようにお考えでございましょうか。