渡辺美智雄の発言 (本会議)

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○国務大臣(渡辺美智雄君) 一兆四千億円を超えると見込まれる歳入不足額の補てんをどうするのか、こういうことでございますが、実際幾らになるかということは、三月の法人の決算、五月以降の締め切り、そういうものが出てみないと、実際のところはっきりした数字はわからないということでございます。仮に歳入欠陥が生じたような場合には、現在ある諸制度等によって適切に対処してまいりたいと考えております。
 それから物価調整減税の問題については総理がお答えいたしましたが、多少補足いたしますと、この制度は、物価が上がれば自動的に減税されるという制度でございまして、これはいろいろ問題が実はございます。結局、インフレを抑制するということについてどうしても甘くなるという欠陥が一つございます。それから、これによってやったところが、はしなくも非常にインフレ率が高い。イギリスなどは、したがって今回は一時中止。ドイツと日本はやっておらない。カナダも、あれだけの国でありながらインフレ率が非常に高い。これはどういう因果関係があるか非常に問題がございます。したがって、われわれとしてはこれを導入するという考えはございません。
 その次は、不公正税制の是正ということで具体的にいろいろ御指摘をちょうだいいたしました。われわれといたしましても、皆様の御指摘を尊重いたしまして、交際費については一定のものを除いて全額課税というようにしてまいりましたし、また企業関係の特別措置につきましても、期限の来たものはやめる、あるいは見直しというようなことで、これも皆さん方の御要求に応じまして極力やってきたわけでございます。貸し倒れ引当金につきましても、金融保険業以外の業種の法定繰入率等の引き下げということをやってまいりました。今後、退職給与引当金あるいはその他の問題について、まだ実施をしていないものもございますが、これにつきましても検討を深めておるところでございます。
 次に、法人税の延納縮減は中小企業に打撃となるというお話でございますが、現在、中小企業の法人もたくさんございますが、個人所得もございます。個人所得との関係上、実際は個人所得とのバランスということから見れば、現行法の方が有利である、法人の方が有利というようなことになっておりますので、これらのバランスも考えまして改正をすることにしたわけであります。この制度ができた昭和二十六年当時は、滞納が非常に多くて四七・九%、四八%近い滞納があったということでございますが、法人の滞納割合の最近の状況はもうまるっきり違いまして、昭和五十五年度は二・二%という滞納率でございます。現在は昔と違いますから、金融も緩んでおりますし、したがって中小企業に大きな打撃にはならない。税金というものは欠損会社からは取っておらぬわけでございまして、収益の高いところ、担税能力のあるところからいただいておるわけでございますから、そういうような点で、特にそれが倒産に拍車をかけるというようなことにはならないと考えております。
 それから土地税制の改正は大口土地所有者の譲渡所得軽減ということで、不公正への拡大じゃないかということであります。確かに今回は八千万円超の部分についても四分の三総合課税というものを二分の一総合課税ということにやったわけであります。しかしながら、問題はこれは政策の問題でありまして、土地を売ってくれなければ住宅が建たないという、どちらを優先するかというような政策問題。住宅政策が重要であるし、景気刺激の点からも住宅が一番波及効果が大きいというようなことも考えまして、これについては政策の優先度ということから、住宅の促進ということを優先的に考えて改正をしたものでございます。そして長期安定的な税制度にしようということであり、仮に土地を買ってそれをほったらかしておくというものにつきましては保有税等をともかくかけて、それについては圧力をかけるといいますか、余り有利にならないように歯どめをかけていく、両面を考えておるわけであります。
 グリーンカードの導入につきましては、実施延期あるいは累進税率の見直し論というようなことを言っているが、どうかということでございます。しかし、政府としては実施延期ということは考えておりません。ただ、私が申し上げましたのは、総合課税をするという場合においては、これは世界じゅうで、アメリカ等も総合課税でありますが、非常に急カーブな最高九三%というようなところまで総合課税という国は実は世界にないわけでございますから、総合課税にする場合には、そこらの点等についてもグリーンカード実施後検討する必要があるのではないか。
 たとえばいま分離課税制度でございますが、三五%。これをやめて総合課税にするということになりますと、七百十万円以上の所得のある方は、郵便局、銀行国債合わせて九百万円、それ以上の部分については三七%というようなことになりますし、一千百万から一千二百万程度の方は五二%ということになりますし、高額所得者になると八〇%ということになります。勤労して税金を取られた残りで貯金をして、それは仮に国債も買ってくれればいいが、国債を買わなかったならば六百万ということになりますが、それ以上仮に百万円銀行預金があれば、それについては利息の半分、いま言ったような方以上ですよ、半分以上が税金というようなことにもなる。したがって、この税率構造については、これは中長期の問題ではあるが、再検討すべきものではないかということを私が申したのは事実でございます。
 それから税の直間比率の見直しという問題につきましては、これは余り直接税にばかり偏るというのはいかがなものか。現在のように、財政を支える税収の約七割が直接税、そのうちの四割が所得税、一方において所得税を減税せよと。しかし、ほとんど所得税と法人税で七割も支えておるわけですから、それを減税するということになれば、どうしたって歳出の大幅カットをしなければならぬというような見合いの問題がございます。しかし、どんどんともかく所得税と法人税だけがふえていって、間接税がだんだんなくなってしまうというようなことで本当にいいのだろうかということを私は申し上げたわけでありまして、これは中長期の問題として、いますぐという問題ではございませんが、みんながどうしたならば税負担の本当の公平が図られるか、そして景気不景気に関係なく社会保障のようなものを守っていくのにはどうしたらいいかということを検討することはいいことではないかということを申したにすぎないわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109615254X00919820319_008

発言者: 渡辺美智雄

speaker_id: 9286

日付: 1982-03-19

院: 参議院

会議名: 本会議