渡辺美智雄の発言 (本会議)

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○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 五十六年度の税収は最終的にどの程度不足すると予想されるか。これはいろいろ心配はされるわけでございますが、具体的数字で幾らということは、実際問題として申告の締め切り、法人税の三月末締め切り、それから五月申告、そういうものがないと具体的には正直のところわからないというのが現実の姿でございます。
 それから減税財源として補助貨幣回収準備資金の一般会計繰り入れというようなものをやってはどうかということでございますが、これは前にもお答えしたことがございますけれども、確かにそれは日本とか、ベルギーかどとかしかやっておらないということでございますけれども、このことは、たとえば五百円コイン、あれは政府が幾ら発行してもいいわけですから、国会に関係なく発行できるんです、決まれば、額は。したがって、そこに歯どめがなかなかないのじゃないか。いまのように積み立てるということになれば歯どめがかかる。そういう点をどういうふうに評価するのか、そこらのところの少し頭の整理を今後しなければならぬ、そう思っておりまして、減税財源として直ちにこれを一般会計へ繰り入れるということは考えておりません。
 これは、減税というのは一遍やれば永久的なものでございますし、一回こっきりで、やればもう終わってなくなってしまうわけでございますから、来年の財源にならないわけです。そういう点の問題等もございますから、これが一兆円あるから、それで一兆円できた、じゃ来年の一兆円分はどうするのだということになると、またすぐに収入不足ということになるので、慎重に考慮しなければならぬと考えております。
 外為資金特別会計から一般会計への繰入額をふやせということでございますが、為替相場の変動によって保有外貨の巨額の評価損、評価益がしょっちゅう年々発生する、その外為会計の性格から見て、御指摘のような一般会計繰入額の増額はできない、そう思っておるわけでございます。五十六年度の外貨運用益には、米国の異常な高金利から発生した特別な部分が約二千億円相当含まれている。この二千億円の繰り入れであれば、為替変動に対して当面会計の健全性はほぼ維持できるということを考えまして、臨時異例の措置として今回はその二千億円だけを繰り入れたわけで、最大限の額であるというように考えております。
 それから土地税制の改正で減収額が何ぼになるか。これは、土地がいっぱい売られればその分は税金もふえるわけですから、いままでどおりしか売られなければ幾らか減になりましょうが、土地が売られることを前提にして考えておるわけであって、さてそれじゃ幾ら売られるのかと言われましても、これはかなり売られるであろうというように思っておるだけで、数字的には、よけい売られれば税収が少なくとも数でいきますから減らないということになるわけでございます。したがって、はっきりした具体的な数字を見込むということは非常に実は困難なわけでございます。
 それから、大蔵省は実態調査の結果、いわゆるクロヨン問題、そういう問題があるのじゃないのか、東京国税局が所得調査をした五十五年度の申告所得の場合、課税対象の三万六千五百八十四人のうち九三%から八百八十億円の申告漏れが見つかった、こういうようなことになればいっぱい出るのじゃないかということでございますが、これは税務調査に行くときは、この人はかなり申告していますという人はみんなはねてしまうわけですから、どうもこれは足らぬな、ほかから見てもうんと低いというのをねらって、主として大部分がそういうのをねらって行くわけですから、したがってそれは出てくる。ですから、ねらわれた数字をもって一般の善良な人までも全部脱漏があるというようにはわれわれ考えておらないわけでございます。
 それからサラリーマンと事業所得者との税負担の負担感の差が制度上あるのじゃないか、その是正はどうするということでございます。これは、サラリーマンと事業者というのは、大体サラリーマンが一人で働いている、隣の魚屋さんは夫婦子供三人で働いているというときに、仮に法人成りしておると所得が分散される。片方は一人で働いているから一人だけの所得で高い税率がかけられる。したがって、一人一人の税金を見ると、非常に同族会社みたいなところの従業員といいますか、主人公というものはサラリーマンより安い、そういうようなところでそういうことが言われるわけでございます。これは税法上みんなそれらの人がサラリーマンになっているというところに問題があるわけでございます。なかなかサラリーマンになるなということは言えないし、非常にむずかしい実は問題でございます。
 それから所得税や法人税の実調率を高めるために県税事務所との相互の執行面での協力というようなことをやらせよ。これは本当に貴重な御意見でありまして、われわれといたしましても、地方団体、民間団体等の協力関係は今後ともどんどん推進していくつもりです。
 それから情報収集のためのコンピューターの活用とか、青色申告の普及とか税務相談とか広報、そういうようなことも進めてまいりたい。
 要員の確保の問題につきましては、これはできるだけわれわれといたしましても、中のやりくりで税務署の税務関係の増員を、ほかを削っても税務関係の方へ回すということはことしもやってきておるわけであります。しかし、これからは、非常に脱税というものが知能犯的になっておるわけでありますから、人だけふやしたら大口脱税が見つかるというものでもありません。したがって、それと同時に非常に勉強をさせて、もう知恵比べになっておりますので、コンピューターの勉強とかあるいは国際の租税の勉強とかそういうようなことをうんとやらして、大口、悪質というものを重点的にねらってやるようにしてまいりたい、そう考えております。
 それから中小企業の承継税制という問題につきましては、取引評価もないし取引市場もない同族会社の株券の評価について、大手企業は市場で見る、同族会社は財産を時価で評価して株数で割り算して出す、不公平じゃないか、これはその限りにおいてはこういうような御主張があるのです。あるのですが、一方、それでは純然たる個人で事業をやっているという人と、同族会社組織にしてやっている、株価にしないという人との間で、株の方だけを値下げしてしまえば、軽く評価してしまえば、個人の企業の方と不公平になる、こういうような問題もございます。
 農業は、土地の評価だけについては特別な扱いをしているのじゃないかという御主張があります。これは、農業振興地域というようなところでは自分のものであっても自由に転売はできない、壊廃はできない、かなり社会公共的な制約をかけられておりますし、またもう一つは、日本の農業政策上土地の細分化、次男、三男にみんな共有相続で分けてしまうことは困るというような大きな政策目的でやっておるわけです。問題は、じゃ東京都内の農地まで何でそんなことをやっておるのか、そういうような問題につきましてはいろいろと今後検討してまいりたいと思います。
 グリーンカードの実施の問題でございますが、これにつきましては、確かに御指摘のようにPRが足らない、実際は九百万も持っていないのだけれども、よくわからないで、みんな税務署に調べられるのじゃないかというような非常に不安を持っているという層のあることも事実でございますから、今後そういう点については不安のないように努力をしてまいりたい。
 それから税率区分を直すというのか、分離課税を置けというのかという御質問でございますが、私といたしましては、これは総合課税にするためにつくった制度でありますから、総合課税にするという法律どおりでいいと、そう思っております。ただ、税率の問題は、将来所得税を直す場合においてはやはり税率構造の区分というものについても、先ほど言ったように、勤労をして仮に稼いだ利息、その利息について高率課税が行われるという現在の税率構造そのままでいいというように私思っておりません。一千万円になりますと四四%ぐらい地方税、国税両方でかかるわけでありますが、一千万円というのは昔は高額所得者だけれども、現在は本当に高額所得者というのかどうか、これらについては研究を要する問題があろうと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109615254X00919820319_015

発言者: 渡辺美智雄

speaker_id: 9286

日付: 1982-03-19

院: 参議院

会議名: 本会議