飛鳥田一雄の発言 (本会議)
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○飛鳥田一雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、総理の施政方針に関して、国民の声を代弁しつつ質問を行いたいと存じます。(拍手)
昨日、ロッキード疑獄事件の田中角榮被告に対して、懲役五年、追徴金五億円の求刑が行われました。その衝撃は、いまや改めて国民の中に大きく広がりつつあります。
総理、私たちは一体この事件を純真な青少年や子や孫たちにどう説明したらいいのでしょうか。国政の最高責任者であった者が、破廉恥な犯罪者として起訴されている。しかも、その当人が、この議場内に席を温存しているばかりか、いまなお与党自民党の命綱を握るほどの支配力を発揮している。わかりやすい政治ということをモットーとされる中曽根総理は、このわかりにくい政治の仕組みを国民に向かってどう説明せられるのか。総理自身のロッキード疑獄及びきのうの論告求刑に関する所感を含めて、率直に語っていただきたいと思います。(拍手)
あなたは、行政官としてこれは言えないとテレビで語られたと伺いますが、事は総理の政治責任に関することを伺っているのであります。お間違えのないようにお願いをいたしておきます。
すなわち、ロッキード疑獄こそ、警察官までが汚職に狂うという社会の汚れ、すなわち日本列島総汚職構造の頂点であり、田中角榮被告はその元凶であります。すなわち、田中議員が罪を犯したのは内閣総理大臣としての在職中のことであり、その道義的政治的責任は他の議員とは比べものにならぬほど重く、また、内閣総理大臣は公務員としてもその最高の地位にあるのであります。普通の公務員でさえ、刑事訴追を受けた場合には、通例、起訴休職の取り扱いを受けて公務から排除されるという厳しい措置がとられているのであります。いわんやその最高責任者たる者に例外が許される道理がありません。
かつてロッキード裁判の冒頭陳述の際、田中被告人も、起訴事実の有無にかかわらず、いやしくも総理大臣在職中の汚職の容疑で逮捕、拘禁せられ、しかも起訴に至ったということは、それだけで総理大臣の栄誉を汚し、日本国の名誉を損なったこととなり、万死に値するものと考えましたと率直に述べていたではありませんか。この言葉にうそがなく、田中議員に政治的道義的責任を償う一片の気持ちがあったとすれば、とっくに議員を辞し、政治の場から退いているべきであります。それにもかかわらず、田中議員がいまなおしぶとく生き残り、その支配力をふるっているのはなぜか。中曽根総理、あなたにも重大な責任があるのであります。(拍手)
すなわち、前国会でも私が指摘したとおり、あなたの背後には田中議員の支配力があり、いま中曽根内閣の組閣そのものが逆に田中議員を勇気づけているからであります。国民はこのことに深い疑惑を持っています。したがって、論告求刑があったいまこそ、田中議員はみずから辞職をすべきであり、また中曽根総理は、この機会に内閣の刷新を図り、国民の政治不信の高まりに具体的にこたえるべきであります。そうしてこそ初めて政治への失われた信頼を回復し、政治倫理の再生へ向かう第一歩となり得るのであります。
もし、田中議員みずから辞職の意思がないというのならば、やむを得ません、われわれは田中議員の辞職勧告決議案を本国会に提出したいと考えておるのであります。(拍手)総理はこれに対してどのようにお考えになっていらっしゃるか。もはや個人的次元の問題にすりかえてはならない。日本国総理であった者の政治責任に関する問題として明確にお答えをいただきたい、こう存ずるのであります。(拍手)
次に、私は、最近行われた中曽根総理の訪韓、訪米に関してお尋ねをいたします。
総理は、昨年十二月の臨時国会会期中、ひそかに韓国訪問を準備していながら、所信表明でも、委員会答弁でさえも、一切これに触れることなく、秘密のうちに交渉を進められました。そして、本国会の再開直前、国民の声すら聞くことなく、急遽訪韓をして、軍事優先の偏った姿勢で四十億ドルもの援助を決め、韓国の国防努力の評価の上に立って、新たなる次元の日韓関係と称する盟約を全斗煥との間で結びました。
さらに、武器輸出三原則に関する国会決議に背いて、対米武器技術供与の方針を強引に決め、防衛費突出の予算とともに、盛りだくさんな手みやげを携えて、ワシントンにレーガン大統領を訪れられたのであります。
わが国民の多くは、総理のこの秘密、独断、冒険外交の中に、日米韓軍事同盟の危険な姿を感じ、日本の将来と平和への深い憂いを抱いているのであります。私もその憂いをともにする立場から、若干の質問をいたします。
まず総理は、日米首脳会談で事もなげに、日米同盟には軍事的側面を含む、日米両国は運命共同体と強調されましたが、これはわが国の総理として戦後初めての公然たる軍事同盟宣言ではありませんか。日本がアメリカと生死をともにするということを、いつ、どこで決めたのですか。日本の死活にかかわるこの重大事を、国会の議をも経ず、条約も定めず、総理だけで決められるのですか。この際、このことを国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
言うまでもないことですが、レーガン大統領は、一昨年十月来、同時多発戦略と呼ばれる新たなる世界戦略を進められています。これは地球上どの地域で米ソ間に軍事的衝突が生じた場合でも、すべての米軍及び同盟軍が直ちに全面的に対応することを想定した戦略であります。かかるとき、総理は、一千海里のシーレーン防衛日本海に通ずる海峡封鎖に責任を持つことを約束してこられました。端的な話、たとえば中東で米ソが衝突をすれば、わが国が攻撃を受けていない場合でも自衛隊の作戦行動を命令されるのですか。それとも、集団自衛権は憲法に背き、日米安保条約の「極東」の範囲すら超えるとの理由を貫いて、たとえ在日米軍が出動しても自衛隊の参加協力は拒否されますか。この点、いずれかを明確にお答えをいただきたい。(拍手)
軍事的には、わが国土が攻撃を受けた後の海峡封鎖は無意味であります。また、対馬海峡一つを考えても、米韓両軍との共同作戦抜きで封鎖することは不可能であります。総理は、この間の事情を十分に御承知の上で、国民に隠して恐るべき決断をなさったのではありませんか。
もちろん、私たちは、日米運命共同体、日韓新次元、日本は不沈空母などという気負い立った総理の言葉だけで、私たちの疑い、不信を持っているのではありません。それ以上に、すでに日本海や北西太平洋で展開され、回を追って規模を広げている日米共同演習の実態、シーレーン防衛、海峡封鎖機能の強化に重点を置いた防衛力整備計画の推進、米国原潜、原子力空母等の日本立ち寄りの頻繁化、F16の配備計画、さらには軍事費に充当できるつかみ金四十億ドルもの対韓援助、全斗煥とのホットラインの新設といった数々の事実を見て、たとえば日本を不沈空母にするという言葉への深い不安が生々しく実感となってこざるを得ないことを御了解になれるはずであります。(拍手)
念のために申し上げておきますが、空母は攻撃兵器であり、核の反撃を受ければ、不沈の日本列島といえどもことごとく廃墟と化すよりほかに方法がないのであります。つまり、総理は、日本列島をアメリカのためのとりでとなさるおつもりかどうか、ここにはっきりと伺っておきたい。(拍手)
総理は、今回の訪韓、訪米に先立ち、武器輸出三原則やGNP比一%以内という防衛費の限度などの軍事大国化への歯どめをなし崩しにする態度を露骨にされましたが、次は非核三原則すら危ないというのが国民の率直な不安であります。
総理はまた、アメリカでの記者会見において、国会でも明らかにしていないが、憲法改正に関する長期のプログラムを持っていると言明せられました。国会無視もはなはだしい。プログラムがあるならば、いまここにお出しなさい。(拍手)それとも、国会を無視し、秘密外交と制服組の独走によって軍事力増強、安保拡大をさらに進め、憲法改悪への段階を登り詰めるおつもりかどうか、ここにはっきりと伺っておきたいと存じます。(拍手)
ともあれ、私は、以上すべての事実に照らしてみて、アメリカが日本の安全に寄与するという従来の政府が主張してきた日米安保の枠組みすらすでに過去のものとされ、いまや日米韓一体のブロックぐるみ、レーガン戦略の示す世界安保の体制に組み込まれつつあると考えざるを得ないのであります。軍事大国への日本の道は、中曽根内閣の手で急激に加速されていると判断せざるを得ないのであります。総理は、これに対していかにお答えになりますか。
総理、あなたはかつて「新しい保守の論理」という本を出されました。その御本の中で、外交はかけのように行ってはならない、国家の力を超えることをしてはならない、歴史の流れをつかみそれに乗ずること、外交を国内の目的に使ってはならない、正常な外交手続を無視してはならないと五つの原則をお述べになっておられますが、今回の訪韓、訪米はことごとくこれに違反しているではありませんか。運命共同体論は、すなわち、かけの外交そのものではありませんか。不沈空母などとは国の力を超えているものではありませんか。軍事費の突出は、軍縮機運の高まる世界的な歴史の流れに逆行しておりませんか。アメリカの圧力を国内に利用し、軍備強化への選択を進めていらっしゃいませんか。民間人まで使った訪韓秘密外交は、正常ルートを無視するものではありませんか。
しかも、この御本の中で、中曽根総理御自身は、第二次大戦の悲劇はこの五つの原則を無視したことから起こっておると書いておられます。私は、ここにあなた御自身の言葉をもって、今回の中曽根総理の外交について猛省を促し、厳しく国民とともに糾弾するものであります。(拍手)御所見をお尋ねいたしたいと思います。
以上、私は種々質疑をしてまいりましたが、この際、憲法に基づく平和外交の観点から、逆に当面政府がとるべき態度について若干の提案を行っておきたいと存じます。
まず第一は、日米韓軍事同盟への危険な急傾斜を改め、当面——まさに当面ですよ。最低限、福田内閣のころ掲げた全方位外交の地点に立ち戻るべきであります。
それにはまず、作為的なソ連脅威論の押しつけをやめなければなりません。総理は訪米中、北方領土にソ連のミグ23が常駐して脅威を加えていると語られましたが、防衛庁の幹部すら、それは間違いではないか、防衛庁は確認していないと首をかしげておられるのであります。根拠のないことまで言い立て、ソ連をことさら敵視する態度では、とうてい平和外交を進めることはできません。
いま緊急に必要なことは、ソ連、中国を初め、東側の国々とも、南の国々とも積極的に交流して、相互不信を解き、信頼関係を積み重ねることです。韓国だけではなく、朝鮮民主主義人民共和国とも平等互恵の交流を進め、朝鮮の自主的平和統一を支える国際環境づくりに協力することであります。
第二には、国際緊張の緩和と軍縮の推進に徹することであります。総理は、アメリカの危険な側面とだけ提携をしておられますが、そのアメリカの動向にさえ、さきの中間選挙以来、国防予算の削減、MXミサイルの配備予算の否決など、軍縮を求める世界の大勢に押される兆しがあらわれつつあります。レーガンの軍拡路線はいまや下り坂になりつつあります。それに同調するのはまさに時代錯誤と言わざるを得ないではありませんか。(拍手)
いまからでも遅くはない、武器技術供与など憲法の許容しない軍事的役割り分担を取り消し、非核三原則を厳格に徹底的に守るべきであります。同時に、アジア・太平洋地域に非核平和地帯を創設するための外交手段を尽くし、国連を中心に、緊張緩和と軍縮を目指すあらゆる機会と方法において、日本の政府が最も積極的かつ有効に活動することを求めます。(拍手)
第三には、世界の経済危機を救う積極的構想の確立と推進であります。
まだ発展途上の国々では一日に四万人の人々が飢餓のために死に、先進諸国でも三千万人以上の失業者がちまたにあふれています。六千五百億ドル、約百五十兆円の対外債務が焦げついて世界金融市場の混迷が続く一方、ほぼ同額の軍事費が軍拡のために浪費をせられているのであります。平和と軍縮への転換を基本の軸として、いまや発展途上国をも含む地球規模の経済社会再開発構想の確立、推進こそ全人類の火急の課題であります。世界第二の経済力を身につけ、平和憲法を持つ日本こそ、その構想推進の最も積極的な役割りを担うべきであります。(拍手)五月と伝えられる総理の東南アジア歴訪、続くサミットにおいて、総理がこのような方向で、あなたのいわゆる仕事をしてくれることを国民は求めているのであります。
総理いかがですか。以上の三つの私たちの提案に対しても、十分なる御見解をお聞きいたしたいと存じます。(拍手)
次に、財政経済政策についてお尋ねをいたします。
総理、あなたは、五十八年度の政府予算がアメリカを向いた風見鶏予算だと言われていることを御存じですか。百兆円の国債残高を抱える財政危機のもとで、超緊縮、マイナス予算を組みながら、防衛費だけは総理の決断で前年比六・五%も伸ばしています。一方、社会保障費の伸びは、わずか〇・六%にすぎません。戦後最低の伸び率であります。文教関係費はマイナスではありませんか。最大の人権問題である同和対策さえ後退しているではありませんか。
総理、これから厳しい受験シーズンに入ります。大学生の約八割は私立大学です。この私大経費補助が六十五億円も削られ、授業料や入学納入金の値上げがいまや行われようとしています。高齢者のいる世帯は最近十年間に二倍にふえ、年金を受けている世帯は千百万を超えていますが、年金の物価スライドが初めて凍結され、お年寄りは大変な不安を覚えているのであります。
このうらはらに防衛費だけを突出させるのでは、アメリカに顔を向けた、国民にそっぽを向く予算だと言わざるを得ないではありませんか。(拍手)
さらに重要なことは、景気が冷え込んでいるこのときに、国民総がまんの行革を優先させて、公共事業費の伸び率はゼロ、所得税減税は六年間連続見送り、加えて人勧凍結、賃金抑制に躍起となって内需を抑え込もうとしていることであります。このため、勤労者の賃金は六年間で一・四倍にしかならないのに、税金は二・七倍になりました。したがって、消費は落ち込み、これでは中小商工業の売り上げは伸びず、景気回復は望めず、その結果、税収が伸びず、それでは結果として財政再建もできないということにならざるを得ないではありませんか。
総理、あなたは、一月四日の記者会見の際、古い形の財政再建ではなく、伸び伸びとした財政改革による立て直しということをおっしゃいましたが、一体何を考えていらっしゃるのですか、増税なき再建はもうできないということをおっしゃりたかったのですか、伺いたいと思います。
また、総理は、作成中の新経済五カ年計画に対して、期間も名前も変えろとやり直しを命じたと言われています。これは、財政再建の見通しが立たないため、国民の目から目標を遠のかせ、政策をあいまいにしてしまい、わかりにくい政治で責任追及を避けようとしていらっしゃるのではありませんか。政府は、直間比率の是正を含めた税収構造の見直しを提唱すると伺っておりますが、それは大型間接税を導入し、大衆増税をやる時期をねらっているという意味ではありませんか。新経済計画決定の時期を予定された四月から夏へずらし、参議院選挙が終わってから途端に大衆増税を躍り出させるお考えではないのですか。
もし、わかりやすい政治と言われるのならば、政府の財政計画を国民の前にはっきりと示すべきであります。大型間接税導入をやるのか、やらないのか、総理の明確なお答えをいただきたいと思います。(拍手)
お断りしておきますが、わが党は、税の不公平をそのままにして大衆増税を押しつけるなどというやり方には、絶対に反対であります。
元来、財政再建は、不公平税制の是正、軍事費の削減を初め、国民にとって不要不急な経費やむだの節減によってこそ行うべきであります。行革デフレを招くような国民に対してだけの総がまんを押しつけることをやめ、所得税減税と生活関連投資を中心に景気対策を進めるべきであります。
すなわち、このためには、一兆円以上の所得税減税を行うこと、あわせて住民税減税を実施すること、年金の物価スライドを行い、人事院勧告完全実施のための公務員給与改善費を計上すること、私学助成費の減額などをやめ、公共事業の事業量を維持し、生活関連投資をふやすこと、及び防衛費は五十七年度水準で凍結することなどを、この際最低限実施すべきであります。(拍手)
特に、構造不況、地域不況に対して特別措置を講じ、農業、中小企業を振興し、雇用の安定を図り、格差と不公平の是正と国民生活の安定、不況打開を積極的に図るべきときだと考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。(拍手)
私たちは、その財源については、利子配当所得の総合課税の実現、貸し倒れ引当金の圧縮など特別減免税措置の徹底的整理を行うこと、土地増価税創設によるインフレ利得の吸収、富裕税の新設など資産課税の強化、また、大企業向け補助金、補給金を廃止、削減することなどによって新しい財源を十分に確保できると考えています。いかがお考えになりますか。
ところが、中曽根内閣は、不公平税制の是正どころか、全く逆なことをやっていらっしゃいます。政府は、五十八年度の税制改正で企業向け租税特別措置の二件を廃止する一方、新たに三件を創設し、逆にふやしているのではありませんか。
総理、われわれは利権と結びつく補助金を整理せよと主張し続けてまいりました。ところが、臨調は初めから補助金の整理には及び腰でした。十五兆円に及ぶ補助金のうち三兆円だけを対象に三十三項目の改革案をつくりましたが、それさえ大幅に後退してしまい、補助金廃止は米の流通促進奨励金一件だけということになってしまったではありませんか。
一方、大企業に対する産業助成は財界、官僚の圧迫ですべて温存され、土光会長自身の出身企業にも研究開発助成費が流れているというではありませんか。(拍手)すなわち、総理のおっしゃる行革とは、財界の既得権は守り、福祉、教育費は切り捨て、防衛費だけを突出させる、軍拡への地ならしではありませんか、伺いたいと思います。
総理、あなたは、昨年五月、前内閣の行政管理庁長官だった当時、「生長の家」のある集会で次のようなあいさつをなすったと伺っております。それは、すなわち、まず行政改革を断行、成功させよう、この大きな仕事に失敗したならば教育の改革もできず、防衛の問題もだめになる、いわんや憲法をつくる力はだめになってしまう、行政改革で大掃除をしてお座敷をきれいにし、りっぱな憲法を安置する、これがわれわれのコースであるとおっしゃるのであります。
総理、行革に失敗したら防衛もだめになるとはどういう意味ですか。やっぱり防衛費を突出させるために福祉を切り捨て、国民総がまんの行革を押しつけようということでありますか。行革で大掃除をして、新しいお座敷に新しい憲法を安置するというのはどういう意味ですか。はっきりとお答えをいただきたいと思います。御自分のおっしゃったことですから、はっきりとお答えをいただきたいと思います。(拍手)
臨調は、本来の任務である行政機構改革の枠を超えて、国の安全など、国政の基本に関することにまでいまや介入しようとせられております。これは国権の最高機関である国会を軽視し、民主政治の原則を踏みにじるものであります。中曽根総理は、国会を軽視し、臨調を使って憲法改悪の地ならしをしようとお考えになっているのではないか、総理の意図について明確にお答えをいただきたいと思います。(拍手)
中曽根総理、いま財界の団体である経団連が、土光臨調会長の意向を受けて、国鉄の民営分断化を総ぐるみで支持し、受け皿づくりにまで踏み込んでいると伺っております。国鉄の分断民営化の問題はこれから国会で審議をする重大な問題であります。国鉄は国民の共有の財産であり、そのあり方については、国民の声、地域住民の声、関係自治体の意見などを民主的に聞くことが第一に必要であります。国会を無視してこのような財界の行動が行われてよろしいのでありますか。臨調と財界が国民共有の財産の分捕りに動き出すことこそ、民主政治に対する挑戦ではありませんか。(拍手)
政府は、公共企業体の持つ公共性を十分に尊重しようとする意思が一体おありなのかどうか。総理は、国民の安心よりも財界の安心を優先されて考えておられるのかどうか、はっきりとお伺いしておきたいと存じます。(拍手)
総理は、戦後三十八年目の今日、タブーに挑戦すると気負い込んで、日本の進路の重大なる転換を図ろうとなすっていらっしゃいます。しかも、それは国民にとってきわめて危険な方向と言わざるを得ません。第二次大戦後における平和国家日本の歴史に挑むものと言わざるを得ないのであります。
総理、あなたに歴史を変える権限がどこにおありですか。せめて、国民はあなたに、輝かしい日本国憲法と民主政治の原則に対して、そらぞらしい言葉だけではなく、実行において少なくとも謙虚な姿勢だけは保ってほしいと言っておるのであります。
力を頼み、民衆を権力で抑え込めると過信する政治家は、必ず民衆の反撃によって挫折することにならざるを得ません。(拍手)私はこのことを厳しくあなたに申し上げて、私の質問を終わるものであります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕