中曽根康弘の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 先ほど、飛鳥田委員長の御質問の中で、国会を軽視し、臨調を駆使して憲法改悪の地ならしを考えているのではないかという御指摘がございましたが、御指摘のような意図は全く持っていないことを申し上げる次第でございます。
 ただいま田中政調会長から御懇篤なお言葉をいただき、大変恐縮に存ずる次第でございます。(拍手)該博な学問的御見識のもとに、あらゆる方面にわたりまして御質問をいただきましたが、詳細に御答弁申し上げたいと思います。
 まず、わが国外交の基本方針でございますが、この基本方針に対する認識につきましては、私も同感でございます。やはり現在の国際環境の中には厳しいものがございます。原爆を抱えて、しかも全人類が苦悩しているというのも現実でございます。あるいは、二度にわたる石油危機によって世界経済が沈滞をして、先進国も発展途上国も、産油国も苦労しているというのもまた現実でございます。しかし、このような厳しい現実の中にあっても、私は、どの国も人類としての良心を失ってはいない。人類を信じ、かつまた日本国民を信じて誠実な政治を行っていくというのがわが国外交の基本方針でなければならない、こういうふうにまず基本的に考えておる次第でございます。
 当面の問題といたしましては、経済あるいは外交上の問題として、日本が世界から孤立することをいかに防ぐかという問題がございます。この問題につきましては、自由貿易を幅広く広げ、保護貿易を阻止するために、われわれみずからなすべきことをまたなさなければなりませんけれども、外国の誤った考えや硬直した考えについては、またわれわれはわれわれの国益を主張しなければならないと思っております。
 先般、訪米いたしました際も、レーガン大統領と種々会談をいたしましたが、われわれの考えを率直に申しまして、できることとできないこととある、また相談をして継続していくということとある、そういうことを明確に申し上げまして、私たちの守るべき国益は守り、また行わなければならないことは行うと約束して帰ってまいりました。
 さらに、現在のこのような国際状況にかんがみて、国際機関、世界機構を見直す必要はありはしないかという御質問でございます。
 この御質問は、非常に重要な問題を御指摘いただいた御質問であると思っております。たとえばガットにおきましても、昨年のガットの閣僚協というものは、アメリカ、ヨーロッパが激烈な対立をいたしまして、日本もその間にあって非常に苦労した点でございます。傾向から言えば、ヨーロッパはややもすれば閉鎖的になろうとしており、アメリカは国際経済を開放的に持っていこうとしているわけです。日本は開放的な方向に真っ先に進んでいる国でございます。そういう意味におきまして、自由世界の中におきましても、国際経済の問題になりますと対立がございます。また、アメリカの高金利を是正するようにいままでかなり厳しく要請してきたところもございます。自由世界の内部を見ただけでもこういういろいろな問題が起きておる情勢であり、さらには、発展途上国の中には、すでに指摘された数カ国のように債務の負担に悩んで借金を返せないという国が出てきつつあります。ソ連の衛星国の中にもそういう国が出ております。考えれば、あの超大国のアメリカ、ソ連ですら経済問題には深刻に悩んできているというのが情勢ではないかと思うわけです。
 そういう意味におきまして、第二次世界大戦以後つくられた世界銀行なり国際通貨基金なりあるいはガットなり、そういうものは果たしてこのまま機能を続けていけるのかどうかという疑問がいま出つつある状態でございます。あるいは為替の変動率が多過ぎる、したがって、ヨーロッパがやっているように、例のある程度の管理通貨、いわゆるトンネルの中の蛇というような、ああいう一定限度の安定帯を設けた形で為替相場を安定させたらどうかという意見も産業人の中に出てきておる状態でございます。
 そういう諸般の問題を考えてみますと、世界機構、これを政治並びに経済機構につきましていかに活性化させていくか、そして、世界経済を拡大と発展の方向に持っていくかという重大な課題をわれわれはいま抱えておるのでありまして、わが政府におきましても、各省を動員いたしまして、いまこの勉強をやらせ始めようとしておるところです。恐らくウィリアムズバーグのサミットにおきましては、この問題は列国の首脳部の共同の課題になると考えておりまして、われわれも御指摘のとおり真剣な検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 政治倫理の問題につきまして、マックス・ウェーバーの言説をお引きになりまして御指摘がございました。禁欲ということを申されましたが、公の立場にある人間の一番守るべき急所は、やはりそういう言葉ではないかと思います。自己の欲を節制する、そうして公人としての自覚に徹する、これがやはり政治倫理の基本でなければならない。このように考えます。(拍手)
 それと同時に、政党は人間の集団でありますし、国会はまた政治を行う機構でございます。そういう意味におきまして、個々人の政治倫理観の確立の上に立って、さらに集団としてあるいは機構としてこの政治倫理をいかに具体化していくかということも、議員たるわれわれの職責ではないかと思います。これらの問題につきましては各党各派におのおの御研究があると思いますが、各党各派におきまして協調して同一の賛成し得る成案ができることを期待しておる次第でございます。
 次に、憲法に関する御質問がございました。
 私は先般申し上げましたように、現在の日本国憲法を非常に高く評価しておる一人でございます。それは、現在の戦後の日本を構築した土台が三つあると申し上げました。一つは憲法です。もう一つは平和条約です。もう一つは日米安保条約であります。この三本の土台の上に戦後の日本はスタートをして今日の繁栄が築かれた。そして特に戦前と戦後を比べました場合に、戦前はややもすれば過激な軍国主義が走り過ぎたり、社会に暗い面がなきにしもあらずでございます。しかし戦後におきましては、女性に選挙権が付与され、そして自由と人権が確立され、非常に大きな、明るい伸び伸びとした世界がここに展開してきたと思うのでございます。それはやはり憲法の持っておる大きな効果ではないかと思うのでございます。私は、そういう意味において憲法を評価しております。
 しかし、前に申し上げましたように、いかなる制度におきましても完全無欠というものはあり得ない。成立につきましていろいろ因縁やらいろいろな事情のあるものもございますし、運用の実態に即して改むべきものが出てきていると認められるものもございますし、あるいは将来に向かってよりよきものをつくるためにさらに努力しなければならぬものもございます。恐らくそういう諸制度、一般的に考えまして憲法も同じような諸制度の一つでございまして、われわれはさらによきものへ努力していく、その意味において、これを検討し、勉強して見直すということは正しい態度であると重ねて申し上げている次第なのでございます。(拍手)
 恐らく、戦争につきましてその悲惨さを一番知っておるのは、戦争に行った国民あるいは戦災に遭った当時の国民ではないかと思います。しかし、世界的な現象といたしまして、最近の若い世代は、もう戦争はかなたのものに行っております。あの第二次世界大戦を起こしたドイツのヒトラーの例でもございますが、あの原動力になったヒトラー・ユーゲントというものは、第一次世界大戦を知らない子供たちがヒトラー・ユーゲントになっておったのは事実でございます。
 そういう意味におきまして、われわれはこの日本の世相の推移というものをよく見詰めつつ、正しい、世界的に開かれた、世界的に生きていける日本をつくるように、そして戦争の悲惨を再び繰り返さないような慎重な配慮を行いつつ政治をし、知らない世代に対してはそれを教えていくということがまた大事であると考えておるものでございます。(拍手)
 しかし、そのことと、自分で自分の国を守ることが必要であるということは別のことであります。およそ独立国を形成している以上、現在の国際情勢を見れば、どの国際関係を見ましても、危機とか脅威というものは出てくる可能性はあるわけでございます。遺憾ながらそういう現在の国際情勢を考えてみますれば、自分で自分の国を守るということは当然のことでございまして、それは世界平和を維持するための共同の責任の一端を担うという意味でもあると私は思います。(拍手)日本もみずから自国の防衛については責任を果たしていかなければならないのだ、このように強く感じておるところでございます。(拍手)
 次に、行革に関して御質問がございました。
 行政改革は、国づくりの基礎工事というべき、現在の政治課題の最重要課題でございます。全国民が期待をし、かたずをのんでその成果を見守っておる、われわれの最も大きな責任をしょっておる政策ではないかと思っておる次第でございます。
 臨時行政調査会におきまして、いま鋭意最終の詰めを行っておりまして、臨時行政調査会は三月の十六日がたしか終期でございますけれども、三月の初めには最終答申を出していただけると承っております。
 今日の国会におきましても、国鉄関係の法案とかあるいは、来るべき三月、四月ごろまでの間に、専売や電電に関する改革案あるいは年金の統合問題、あるいは臨調答申が出てまいりました場合の各省の改編の問題や地方出先機関の整理の問題や、これらの諸問題につきましては、答申をいただきまして、できるだけ迅速にこれを検討して、方針を決め、国民の皆様方にも御協力をいただき、議会の皆様方にも御報告を申し上げて、できるだけ答申を最大限に尊重して、早くこれを実施していくように心がける決心でございます。(拍手)
 次に、財政問題について御質問がございました。
 先ほど来申し上げましたように、財政事情は非常に厳しくなっておりますが、高齢化社会を目の前に控え、かつ、国際的関係におきまして日本の責任と負担が増大してきております折から、何としても財政の硬直性を直して、そして日本の財政に弾力性を与えて、活力を回復させるということが当面のわれわれの目標でございます。
 そういう意味におきましていままでいろいろな努力をしてきたところでございますが、わが国の国債累積額はこの五十七年度末におきまして実に九十七兆、約九十七兆になります。そして、五十八年度末になりましたら現在の状態で百十兆になる予定でございます。こういうような膨大な国債を抱えまして、この停滞している不況期に国を運営していくということは並み大抵のことではないのであります。甘いことばかり言っていてそれで通るというような時代ではないのでございます。やはり、わが政府といたしましては、改革の方針を明示し、展望を国民の皆様方にお示しいたしまして、国民の皆様とともに、御協力をいただきつつ前進していく、そういう態度で、わかりやすく、また、われわれの方から積極的に御説明を申し上げまして、国民の皆様方の御協力を得るように今後施策を展開してまいります。
 新しい中期計画、中期展望について御質問がございました。
 実は、社会経済発展七カ年計画がございましたけれども、これが、昨年度は六兆一千億円に及ぶ税収減を招きまして、時代に合わない情勢になってきておりました。そこで、前内閣当時これを再検討していただくような措置を講じて、再検討してきたところでございます。
 今度の新経済五カ年計画という方向で検討していただきましたが、現内閣が成立以来、私はこれをよく検討いたしました結果、いままでのような考え方のいわゆる計画経済的な色彩の強いやり方は適当でない。世界情勢がこのように不安定であり、いろいろな条件が低迷しておる今日におきましては、まず五年という長さが短過ぎる。やはり五年以上相当長期にわたった展望力が必要である。第二番目に、いわゆる社会主義的計画経済でいきますと、数字で詰められて動きがとれないという危険性が出てまいります。自由主義経済においては、いわゆるそのような計画経済的なことは適当ではない。むしろ、民間の活力を思う存分動かし、働かせるというところに経済の主眼点がなければならない。国が先に計画をつくって民間を引っ張っていくという考えよりも、ガイドラインなり指針をつくって、民間の力を発揮するために誘導していくなり環境をつくるというのがわれわれ自由主義経済における考え方である、こう考えております。(拍手)
 そのような転換を行いたいと思いまして、先般、経済審議会に諮問をして、答申をお願いいたしておる次第でございます。
 なお、直間比率の見直しについて御質問がございました。
 臨時行政調査会の答申におきましても「増税なき財政再建」ということの定義の中には、国民所得に対する租税負担率を変えない、そういう範囲内における歳入構造の見直しということは認められておるのでございます。五十九年度、六十年度における予算編成がどういうような状況のもとに行われるかはまだよくわかりません。いま、五十八年度予算を皆様方のところへ御提示して御賛成をいただいておる状況でございます。したがいまして、今後の経済動向を考え、さらに、先ほど申し上げました経済指針、経済展望等も考え、それらとの関連におきまして新しい財政計画も策定をいたしまして、それらの中でこれらの問題をどう処理するかということを検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、貿易摩擦の問題について御質問がございました。
 保護貿易主義を排除して自由貿易主義を貫徹せよという御趣旨には、全く同感でございます。政府は、先般来一連の市場開放措置を進めてまいりまして、昨年の五月から比べてみますと、約三百二十三品目の関税率の引き下げあるいは是正をある程度行っております。さらに、最近十二月におきましては、農産物につきまして六品目の割り当ての拡大を行い、特にたばこ等につきましては、三五%の関税率を一挙に二〇%に引き下げまして、農民の皆様方には御苦労をおかけしておるところでございます。そのほか、この一月になりまして輸入手続を簡素化する、あるいは製品に関する安全、標準というものを見直そう、そういう意味におきまして、官房長官を主にする検討、推進調整の本部をつくりまして、そしていよいよその作業を開始したところでございます。
 わが国に対する外国の非難は、関税率につきましては、もはや外国は余り非難できない情勢になっております。全品目を調べてみますと、日本の関税の平均が約四%台です。アメリカは五%台です。ヨーロッパは六%台でございます。これを見ますと、ケネディ・ラウンドを先に実行している日本の関税は、世界で一番進んだ安い関税率に平均的にはなっておるのでございます。(拍手)問題は、輸入手続や製品安全に関する国内措置が晦渋であり、あるいは相手方に理解できないような要素があることでございます。今回はこの問題に手を染めまして、各省自分の担当分野につきましては全面的に見直して、三月までにそれを洗い直して改革案を持ってくるように現在努力を始めたところでございます。
 さらに、アメリカ訪問につきまして御意見がございました。
 今回のアメリカ訪問によりまして、レーガン大統領との間に信頼関係を確立し、そしてさらに、日米関係に起きました若干の誤解やらわだかまりを解消いたしまして、幅広くさらに強い友好親善のもとに前進することができるようになったことは、御同慶の至りであります。
 首脳会談におきましては、きわめて建設的な意見の交換が行われました。アメリカ大統領は、わが政府が最近行いました輸入措置、あるいは関税あるいは貿易摩擦の問題等についてとりました行為について、感謝と敬意を表明いたしました。私の方は、また一面におきまして、わが国の農産物やら関税の引き下げの状況等も説明し、また輸入手続の改革等の情勢も説明をいたしまして、お互いが合理的な認識に立って話し合いで解決していこう、冷静に解決していこう、こういう点において一致をいたしました。さらに、世界の平和及び軍縮等の問題についても話し合ってきたととろでございます。
 私は、アメリカにおきまして一連の発言をいたしましたが、その趣旨とするところは、日本とアメリカとの間は、日米安全保障条約によって強く結ばれておるところであります。アメリカの議会筋におきましては、日本の防衛努力に関する不満やら、これを不足と考えるような考えがかなり強く出ておりまして、アメリカの上院におきまして決議が行われたということも事実でございます。したがって、日本の防衛について、われわれが苦しい財政の中でいかに苦労しているかという、この努力の状況を綿密に説明してきたところでございます。
 それと同時に、日本の国はあくまで日本人が守る、そういう自国は自国で守るという決意をはっきりと明確に示しまして、(拍手)そして、アメリカに対して信頼感を増すように努力したのでございます。
 日米安全保障条約というもので結ばれておりますけれども、日本が自分で自分の国を守る断固たる決意を示さずして、有事の際にどうしてアメリカが完全に日本を守ってくれるか。(拍手、発言する者あり)それは人間関係において考えられることです。アメリカは、ベトナム戦争以来海外出兵についてはきわめて憶病になっております。
 政治の最高責任者の仕事は、日米安全保障条約がある以上は、有事の際に、一〇〇%これが有効に機能し得るように常に心がけておくことが政治の責任者の仕事であると思っております。(拍手)そういう観点から、私は、自国防衛に対する日本国民の決意も伝えてきたのでございまして、そういう意味であるということを御理解願いたいと思うのでございます。
 しかし、また一面におきまして、平和と軍縮の問題につきましても、いろいろレーガン大統領と意見交換してまいりました。私は、意外にレーガン大統領がこの面に熱心であり、いわゆるタカ派と思っていたのが非常にソフトな面があるということを実は発見いたしました。昨日のアメリカの国会における大統領の演説を見まして、あ、これがあったのかなという気がしたのでございます。やはり核を中心にする軍縮については、レーガン大統領も非常な熱意を持っておりました。
 しかし、それは、このような軍縮の努力は確実な保障のもとに国民が安心し得るような状態で的確に進めていかなければならない、単なる演説だけで軍縮ができるものではないということを考えている、このように思った次第でございます。(拍手)われわれは、やはり確実な保障のもとに的確に一歩一歩着実に軍縮を進めていく、しかし軍縮は進めていかなければならない、そのようには申し上げておきたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、武器技術の供与の問題について御質問がございました。
 いまや、防衛分野におきます米国と技術の相互交流を図ることが日米安全保障体制の効果的運用を確立する上できわめて重要な段階になりました。このような新しい状況に応じて、相互交流の一環として日米相互防衛援助協定の枠組みのもとで米国に対して武器技術を供与する道を開くこととして、その供与に当たっては武器輸出三原則等によらないこととすると決定した次第でございます。
 同協定においては、供与される援助については、国際連合憲章と矛盾する使用や第三国への移転等に関しては厳しく規制しております。したがって、この措置は、国際紛争等の助長を回避するという平和国家としての基本理念を確保しつつ行われるものであるということを御了解願いたいと思うのでございます。
 昭和五十六年三月の国会決議がございますが、この国会決議は、堀田ハガネの問題で違反事件が生じましたことにかんがみ、そのようなことがないように武器輸出について厳正かつ慎重な態度をもって対処するとともに、実効ある措置を講ずるということを政府に求め、政府は、その趣旨を尊重して努力すると答弁しておるところでございます。したがって、同決議が政府に対して、武器輸出三原則について、わが国の平和と安全を確保するため必要不可欠な基盤をなす日米安保体制の効果的運用のために必要な手直しをするところまで禁じたものとは考えてはおらない。(発言する者あり)政府としては、今回の決定は国会決議に反するものではないと考えておる次第であります。(拍手)したがって、今後とも政府は、基本的には武器輸出三原則を堅持していく考えであることは申すまでもございません。
 韓国の訪問について御質問がございました。
 韓国訪問は、幅広い国民的基盤に基づき、自由と民主主義という共通の理念を追求する隣邦として両国間の関係を発展させることに合意をした次第であります。このような平和と友好の輪をさらにアジア・太平洋に向かって拡大していくというのがわれわれの考え方でございます。
 アジア・太平洋の問題につきまして、首脳会談に関する御提言がございました。韓国の全斗煥大統領は、この首脳会談について非常に熱意を持った御発言をいたしておりました。アジア・太平洋地域の首脳者が集まりまして、この地域の平和や交流につきまして対話することは、私はきわめて有意義であると思っております。
 しかし、これらにつきましては、ASEANあるいは豪州、ニュージーランド、そのはか各地域地域には各地域地域の考え方がございます。私は、一昨日来マレーシアのマハティール総理とも話をし、アメリカへ行く前にはカナダのトルドー首相とも話をしました。いろいろこういう問題について話し合いもしたのでございます。これらの首脳会談につきましては、十分な準備を行って効果的に行う必要があると思っておりまして、検討してまいりたいと思っておる次第でございます。(拍手)
 中国との関係につきましては、現在友好協力関係の安定した基礎がございます。この基礎の上に両国関係の一層の発展を図っていくべく努力してまいりたいと思います。
 ASEANにつきましては、その構成国であるマレーシアのマハティール首相を今回公賓としてお迎えいたしましたが、私は、さらに、できるだけ早い機会にASEAN諸国を訪問いたしまして、これらの諸国との友好関係の促進を図ってまいりたいと考えております。
 先ほど申し上げましたように、この首脳会談につきましては、いろいろ事前の準備が必要である。しかし、これが行われればきわめて有意義な会合になるであろう、そのように考えておることを重ねて申し上げる次第でございます。
 次に、日ソ関係について御質問がございました。
 日ソ関係につきましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが課題であります。現在、北方領土の問題やアフガニスタンへの軍事介入やポーランド情勢などの問題があり、遺憾ながら引き続き厳しい関係にあることは事実であります。しかし、政府といたしましては、今後とも日ソ外相協議等を通じまして、ソ連側に対しましても粘り強くこれらの問題の解決を求めていく考え方でおります。
 次に、国の安全保障につきまして御質問がございましたが、「防衛計画の大綱」に定められました水準に着実に前進して到達したいというのが当面のわれわれの目標でございます。
 わが国の防衛は、先般来申し上げますように、まず第一に、自分で自分の国を守るという決意を明らかにして、それを守るということ、日米安全保障条約を有効に機能させる方途を講じておくこと、あるいは軍縮やあるいは経済協力やそのほかの環境整備に努めて平和外交を進めていくということ、この三つから、われわれの防衛、安全保障政策を総合的に行うというのがわれわれの考え方であり、その際、非核三原則を守り、専守防衛に徹して、近隣諸国に軍事的脅威を与えないような配慮をするということは当然のことでございます。
 大体以上で御質問に対してお答え申し上げたと思いますが、いまや世界の情勢は、御指摘のとおり非常に厳しい状況でございます。われわれは、誠心誠意努力して平和を守っていくつもりでございます。(拍手)
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発言情報

speech_id: 109805254X00319830127_007

発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1983-01-27

院: 衆議院

会議名: 本会議