中曽根康弘の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 中村議員にお答え申し上げます。
 まず、私の韓国訪問でございますが、全斗煥大統領とは、国際関係及び日韓関係につきまして幅広い会談を行いました。この内容は、記者会見及び共同声明で発表いたしました。
 朝鮮半島の情勢につきましては、全斗煥大統領より、厳しい緊張状態が存在するとともに、南北対話に努力しているという御説明がございました。わが国も朝鮮半島の平和と安定の維持のために、韓国による防衛努力と相まって、南北対話への努力が重要であるとの考えを説明した次第であります。
 いわゆる日米韓の三角安保がごときは、もちろん議論もされず、考えておりません。
 日韓両国関係につきましては、国民的基盤に立脚した交流の拡大が重要であるという点に認識が一致いたしました。一番近い国が仲が悪いということは不適当である。同じ自由と民主主義を奉ずる間におきましては、特に一番近い関係をお互いが大事にし合おう、こういう考えで一致しておるのでございます。
 経済協力問題につきましては、韓国の経済社会開発、民生安定、社会福祉の向上のために行ったものでございまして、防衛分担的発想に基づく協力ではございません。現に共同声明でも、経済社会開発五カ年計画を中心とした政策に対する協力であると明記しておる次第でございます。
 また、在日韓国人の政治犯の問題につきましては、これは基本的には韓国の国内問題であります。人道的配慮を希望するとの立場は、従来から随時韓国側に表明しておるところでございます。
 さらに、朝鮮半島における永続的な平和は、南北間の対話があって初めてもたらされるという立場を強く表明いたしました。これは共同声明でも盛られておるところでございます。
 わが国としては、今後とも韓国による南北両当事者間の対話再開への努力を支持するとともに、朝鮮半島における緊張緩和のため、わが国としてできることがあれば積極的に貢献していくという考えであります。
 なお、いわゆる非核地帯設置につきましては、現実的な環境はまだ整っていないとの認識でございます。
 朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮との関係については、貿易、経済、文化等の分野における交流を漸次積み重ねていきたいと考えております。
 米韓合同演習へ自衛官を派遣するというようなことは考えておりません。
 次に、訪米時の私の発言について御言及がございましたが、すでにここで飛鳥田委員長に御説明申し上げましたとおり、同盟関係というのは、自由と民主主義を信念とするこの関係、文化、経済における膨大な連帯関係及び日米安全保障条約という、これを通ずる運命をともに分かち合う、そういう意味で同盟関係にもあるという意味でも申し上げた。もちろん、この中には安全保障条約の関係が含まれるから、防衛上の関係は含まれておるわけでございます。また、運命共同体という意味も、いまのようなことで申し上げた次第でございます。不沈空母という意味につきましても、これは不沈日本列島というふうに解釈願えればありがたいと思います。(発言する者あり)要するに、形容詞の問題であります。
 それから、いずれにせよ、日本の防衛は、平和憲法のもと、専守防衛に徹して、近隣諸国に脅威を与えないよう、軍事大国とならず、非核三原則を堅持してやっていくというものであります。
 対米武器技術供与につきましては、これも飛鳥田委員長に御説明申し上げましたが、日米安保体制の効果的運用を確保する上で重要であり、かつ、わが国及び極東の平和と安全に資するためのものであります。
 なお、武器輸出三原則等につきましては、今後とも基本的にはこれを堅持していく考え方でございます。
 「防衛計画の大綱」の次は何か、シナリオがあるのか、こういうお尋ねでございますが、政府としては、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準をできるだけ早期に達成するように全力を尽くすことが目下の考え方でございまして、これを改正する考えはございません。
 また、防衛費のGNP一%に関する昭和五十一年の閣議決定は、現在のところ、これを変える必要はないと考えております。
 対米武器技術供与問題について重ねて申し上げますが、本件対米武器技術供与に道を開くことは、日米安保体制の効果的運用を確保することできわめて重要であり、わが国及び極東の平和と安全に資するためのものであります。
 本件供与は、日米相互防衛援助協定の関連規定に基づく枠組みのもとで実施することとしており、これにより国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念は確保されることとなっております。
 御指摘の国会決議は、「武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもって対処する」というふうに書いておるのでございまして、政府としては、この国会決議が、武器輸出三原則等について、わが国自身の平和と安全を確保するため必要不可欠な基盤をなす日米安保体制の効果的運用のために必要な調整をも禁じたものとは考えておりません。したがって、政府としては、今般の決定を撤回する考えはありません。
 なお、政府としては、今後とも基本的には武器輸出三原則等を堅持し、決議の御趣旨を尊重していく考え方でございます。
 田中議員ほかの議員の身分に関する御質問がございましたが、政治が国民の信頼の上に行われていくことはお説のとおりでございます。したがって、政治に携わる者といたしましては、使命を深く自覚して、常に国民の模範となるように心がけなければならないと思います。
 その辞職勧告問題につきましては、そういう御提案が出てきた場合に、各党間で協議されることとなると思いますが、国会議員の身分に関することであり、かつまた裁判係属中の問題でありますので、慎重に考うべき問題であると考えます。
 また、国会に対する議員の喚問等につきまして、その根拠となる議院証言法の改正については、現在、各党間で協議中でございますので、速やかにその結論が出ることを期待しています。
 加藤国土庁長官、二階堂幹事長の任命、任用に関する御質問がございましたが、数回の選挙も経ており、かつ、得がたい人材でございますので、政党人として党及び内閣で御活躍を願っておる次第でございます。
 秦野法務大臣の昨日の発言は、近代裁判制度やあるいは指揮権の問題について、そういう物の考え方、いわゆる思考の論理というものを述べたものでありまして、ロッキード裁判やあるいは検察批判を行ったものではないという報告を受けております。
 次に、政治家の汚職再発防止に関して御見解をお述べいただきました。
 基本的には、政治家個人が主権者たる国民から負託された政治の使命を深く自覚して、常に国民の模範となるように心がけなければならないことであると思っております。同時に、政治倫理の確立を期するために常に制度面からの検討も必要であると考えております。
 貴党御提案の企業の政治献金禁止、あるいは倫理委員会の設置、政治家の資産公開、あるいは汚職防止法、議院証言法の改正等の問題は、いずれも政治の基本に触れるきわめて重要な事項でありますので、今後各党間で十分論議を尽くしていただく必要があると考えております。
 国家公務員の選挙の事前運動に関しましては、いやしくも国民の批判を受けることがないように、綱紀の粛正について厳正に努めてまいりたいと思っております。
 財政再建について御質問がございましたが、この点につきましても、昭和五十八年度予算は厳しい中での編成を行いまして、いま御提案申し上げている次第でございます。
 先般申し上げましたように、社会経済発展七カ年計画を経済五カ年計画と変えることにつきまして、若干の変更をお願いいたしまして、これをやや長期の経済指針あるいは経済展望という方向に編成がえをお願いをいたしました。この見合いにおいて財政改革案、この長期展望をつくっていただき、その上で具体的な財政改革を実施していきたいと考えておる次第であります。
 賃上げの問題でございますが、五十八年度の経済運営に当たりましては、物価の安定を基礎としつつ、国内民間需要を中心とした景気の着実な回復を図る所存であり、これにより五十八年度の経済成長は実質三・四%となる見込みでございます。そして、一人当たりの雇用者所得につきましても五・二%程度の伸びとなる見込みであります。しかし、これと春闘の賃上げとは、対象となる賃金の範囲等が異なり、直接対応しておるものではございません。
 いずれにしても、民間賃金の決定につきましては、労使間の自主的な話し合いにまつべきものであると考えております。そして、賃上げの問題につきましては、労使が自主的な話し合いを通じて解決をし、ことしの賃金交渉においても、国民経済的視野から十分論議を尽くして、円満かつ合理的な解決を期待しておる次第でございます。
 所得税減税について御質問がございました。
 昭和五十三年以来、課税最低限の据え置き等によりまして、所得税負担が上昇して、減税を望む声が強いことは十分承知しております。しかしながら、昭和五十八年度におきまして、一方において歳出削減に努める一方、租税特別措置の整理合理化等を中心にして大いに努力をいたしましたが、税収による歳出のカバー率は六四・一%と、非常に低い水準になっております。また、個人所得に対する所得税負担の割合は、五十六年度において四・九%でございまして、国際的に見ればかなり低い水準にあるわけであります。地方財政につきましても、国の財政と同様、厳しい状況にあるのでございます。
 以上のような点を踏まえまして、昭和五十八年度におきましては、所得税、住民税の減税を見送らざるを得なくなったことは遺憾であります。しかし、税制調査会の答申におきましても、やむを得ない措置と言われておるところでございます。税調答申にもありますように、この問題につきましては、昭和五十九年度以降できるだけ早期に税制全体の見直しを行う、そういう中で課税最低限や税率構造等について抜本的な検討を行うことが必要、これは税調答申にそのように書かれておるところでございます。
 産業構造の転換につきましては、通産大臣から御答弁があると思います。
 行政改革につきましてはすでに御答弁申し上げましたが、行政改革は全国民的な重大な政治課題でございまして、政府の重大責任をしょっておる分野でございます。そして、特に政治家、公務員が率先して痛みを受けるという考え方には変わりがございません。
 臨調審議のいまは中間段階でございまして、特殊法人の整理等に関しましてもさまざまな部会報告が出てくる途中でございます。臨調はいま最終答申に向けて審議しておるところでございまして、この経過を見守って、最終段階でわれわれの考え方をはっきり決めて申し上げたいと思う次第でございます。
 国鉄再建につきましては、再建監理委員会設置を内容とする国鉄再建臨時措置法案を提出して審議していただいておりますが、全国民とも国鉄の改革を強く望んでおると思いまして、国鉄改革については臨調答申の線に沿って努力してまいるつもりでおります。
 郵政事業の見直し、あり方についても、臨調においていま審議が行われておりまして、部会報告の段階で政府の見解を述べることは差し控えたいと思っております。
 また、住宅・都市整備公団の問題につきましては、未入居住宅等の問題があることは事実でございますが、これらの問題につきましては特に建設省等にも指示いたしまして、鋭意公団を督促して解決するように努力して、ある程度実績が上がってきた状況でございます。
 公団の家賃の改定は、新旧家賃の格差の是正の見地から、現在公団において検討中であると聞いております。建設省において適切に対処していくものと考えております。
 わが国の農政の動向につきましては、食糧の安定供給、健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全、こういう面から見ましても、農業は非常に重大な意義を持っておるわけでございます。
 農産物の市場開放につきましても、一面において関係国との友好関係にも留意しつつ、国内農産物の需給動向も踏まえ、わが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが重要である。
 今後の農政の展開に当たりましては、食糧自給力強化に関する国会の決議の御趣旨を踏まえまして、施策の充実を図り、生産性の向上を基本として総合的な食糧自給力の維持強化に努力してまいる次第でございます。
 地価の問題について御質問がございましたが、近年、経済社会情勢の変化に加え、一連の土地対策の展開もありまして、地価は比較的安定的に推移しております。このような状況を踏まえ、国土利用計画法の的確な運用等によりまして地価の安定傾向を定着化させていくということが必要であり、計画的な土地利用の促進を図るための諸施策を積極的に推進してまいりたいと思います。
 なお、土地税制につきましては、昭和五十七年度税制改正により、総合的な観点から見直しを行ったところであります。公共用地の拡大については、先行取得制度の活用を含め、必要な量の確保に努めているところであります。
 入札の合理化問題につきましては、現在中央建設業審議会で検討がなされておりまして、結論が得られ次第所要の改善措置を講じていく決意でございます。
 行革につきましては、現在の行革は、未来に向かって新しい時代を創造していくためにどう行政があるべきかという課題を視点として見直しを行っておるものでございます。国民と企業とを単純に対立的にとらえた御批判は当たらないと思います。今後とも各界各層の御意見等にも留意して、広く国民の御理解と御支持を得るように努力してまいりたいと思います。
 「たくましい文化と福祉の国」につきまして御批判をいただきましたが、社会連帯の中で新しい生きがいと安心を見出させつつ、能動的な自己開発の力を導き出す、そのための環境づくりが重要であるということを申し上げました。そうして、個人の充実を基礎に、その活動の方向を積極的に家庭や社会に、そして国にと振り向けさせることが重要であると考えているということでありまして、別に国家主義的色彩があるとは思っておりません。
 なお、社会保障につきましては、自立自助、社会連帯の精神による日本的な充実した福祉を目標としている、こういう考えに立ちまして、在宅福祉に重点を置き、寝たきり老人や社会的に弱い立場にある人たちについてかなりの努力をしたものでございます。これらの経費は大体八%増ぐらいの予算を組んでおる見込みでございます。
 なお、老人や障害者、老人保健事業の推進については、特にまた考慮をしてまいるつもりでございます。
 国会解散につきましては、国会議員は任期いっぱい務めるというのが普通のことであり、望ましいと考えておりまして、国会解散は考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕

発言情報

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発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1983-01-27

院: 衆議院

会議名: 本会議