山原健二郎の発言 (本会議)

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○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、五十八年度予算三案に対し、反対の討論を行います。
 今日、国民が政治に対し最も痛切に求めていることは、核軍拡競争による戦争の危機を食いとめ、軍縮と平和の道を歩むことであり、長期にわたる不況を打開し、国民生活の安定と日本経済と財政の再建を図ることであり、また、ロッキード疑獄に代表される汚職、腐敗の構造に大胆にメスを入れ、清潔な政治を打ち立てることであります。(拍手)
 ところが、この国民の願いは、中曽根内閣の手によってことごとく踏みにじられていると言わなければなりません。発足してわずか三カ月にして、早くも中曽根内閣に対する支持が急速に低落し、どの世論調査の結果を見ても、不支持の声が支持をはるかに上回っている事実が、現内閣に対する国民の怒りを雄弁に物語っているのであります。予算三案は、この反国民的な中曽根政治を象徴するものであり、断じて認めることはできないのであります。(拍手)
 以下、具体的に反対の理由を述べます。
 その第一は、政府予算案が、レーガン核戦略に直結する大軍拡予算だからであります。
 軍事費は六・五%増と異常突出し、増加額の大部分がF15戦闘機あるいはP3C対潜哨戒機を初めとする正面装備に回され、その伸び率は実に二一・二%に達しているのであります。しかも、歴代内閣が軍事費膨張の歯どめと称してきたGNP一%の枠までも現内閣は撤廃することを公然と示唆し、今後さらに異常な軍拡を進めようといたしております。このような軍備増強が一体だれのために、何のために行われようとしているのか。それは中曽根首相の発言そのものがはっきりと示しております。総理は、アメリカのために軍事費の大幅伸びを確保してあげたいと述べました。そして、一月の日米首脳会談に際して、日米は運命共同体、一蓮托生というまさに属国根性まる出しの驚くべき立場から、日本列島を不沈空母化すると述べたのであります。民族の主権を放棄するがごときかかる発言こそ、一国の宰相としての適格性が問われる重大発言であることを中曽根総理は肝に銘ずべきであります。
 さらに、バックファイア阻止、防壁論、四海峡封鎖、一千海里シーレーン防衛等々、憲法が絶対に許さない日米共同作戦計画を日本の自衛のためであるなどとする言い逃れは、国民のだれ一人をも納得させるものではありません。それらは、わが国が攻撃を受けもしないのに、アメリカの行う戦争に国土、国民、資源のすべてをささげることであり、日本を核戦場と化し、民族を破滅に導くことにほかならず、これら一連の策動に対して、日本共産党は断固として反対するものであります。(拍手)
 反対の第二の理由は、この予算案が、軍拡と大企業奉仕の犠牲をすべて国民に押しつけ、国民が築き上げてきた福祉、教育の諸制度を抜本的に改悪する国民生活総破壊予算だからであります。
 臨調路線に基づいてこの二月に施行された老人医療の有料化は、お年寄りに負担を押しつけただけでなく、診療報酬体系の改悪により老人患者の病院からの締め出しが相次いでおります。これこそまさに現代の楢山節考ではありませんか。(拍手)
 その上、老齢者の最大の糧である恩給、年金の物価スライドを停止し、実質給付水準を前年より引き下げるという暴挙まで強行されております。国民の生存権、国の社会保障増進義務を定めた憲法第二十五条は一体どこへ行ったのでしょうか。
 教育についても、私学助成はついにマイナス二%と減額され、経常費比率も二五・六%と七年前の水準に逆戻りしております。今日、過密、マンモス学校における殺人にまで至った非行暴力の問題の解決のために全国の父母、教師が長年切望してきました四十人学級実現のためのささやかな予算も凍結されたままに放置されていることは、まことに許しがたいことであります。(拍手)
 また、六年連続の所得減税の見送りも重大であります。一部には、さきの議長見解と各党合意によって減税が約束されたかのように言っていますが、わが党議員の質問に対し、肝心の政府は、その規模、内容、財源など、どの一つに対しても一切責任を負おうとしていない姿勢を示しております。
 人事院勧告についても、憲法違反の五十七年度の凍結を既成事実化するばかりか、五十八年度勧告の完全実施を決して約束しようとしていないのであります。
 国民犠牲の臨調路線を抜本的に打破しない限り、国民生活安定はあり得ないことはもはや明らかであります。(拍手)
 反対の第三の理由は、財界奉仕の浪費と政官財癒着の腐敗構造を温存する予算だからであります。
 われわれが質疑の中で明らかにしましたように、中小企業全体に対する技術改善費補助金は来年度も据え置かれ、六年間合計でわずか六十三億円にすぎないのに比べ、大企業に対してはどうか。三菱重工、石川島播磨、川崎重工、東芝、日立の五社に対する補助金だけでも実に一千億円を超えているのであります。ここに自民党政治の特質の一つが鮮明に示されておるのではないでしょうか。必要性も、採算性も、将来の見通しも全く無視し、莫大な国家資金を投じて推進されている新幹線計画、石油備蓄基地計画などの底知れぬ浪費についても、政府は一片の反省すら示していないのであります。
 さらに、この機会に一言触れざるを得ないのは、自民党が、全国民の憤激の的であるあのロッキード疑獄に絡む灰色高官の証人喚問を拒否し、田中角榮議員辞職勧告決議案の本会議上程も引き延ばすなど、わが国政治の恥部である汚職、腐敗とその政治責任の隠蔽を図っていることであります。
 また、わが党が追及した児玉譽士夫の電話問題という、中曽根総理自身にかかわる重大疑惑が一切未解明のまま残されていることも、この際強く指摘するものであります。(拍手、発言する者あり)
 これらの一連の解明にいつまでも消極的であるとするならば、総理がどんな善言を述べられたとしても、かつて徳なき宰相が五切十省なる道徳律を提唱をして国民のひんしゅくを買ったように、国民に範を示すことは不可能であることを私は言明しておきます。(拍手)
 反対の第四の理由は、政府予算が、財政破局を泥沼化した上、五十九年度大型間接税導入を必至とする大増税準備予算であることであります。
 鈴木内閣が政治生命をかけると称した五十九年度赤字国債ゼロの公約を現政府は弊履のごとく投げ捨て、当初予算としては史上最大の赤字国債大増発を打ち出しました。
 これにより、年度末国債残高はついに百兆円の大台を突破し、国民一人当たり百万円という、将来にわたって国民を苦しめる結果を生じたのであります。
 ところが、政府は、いまもって責任ある経済計画も、財政再建計画も何一つ国会と国民に明らかにしようとはしていません。それどころか、五十九年度に直間比率を見直すとか、EC型付加価値税も検討対象であるなどと、最悪の大衆課税である大型間接税導入を唱え始めているのであります。
 かくて、「増税なき財政再建」の公約もいまや完全に吹き飛び、残されたのは財政再建なき大増税だけではありませんか。(拍手)
 以上、四点にわたって反対の理由を明らかにしてまいりました。わが党は、軍拡こそ福祉の敵、大増税への道であることを明らかにし、予算組み替え動議を提出しましたが、賛同を得られなかったことは残念であります。
 また、提出されている社会党の組み替え動議も、政府予算の反動的性格を変えるほどのものとは思われず、賛成できません。
 最後に、私は、議会制民主主義の危機について触れたいと思います。
 中曽根内閣の、国会決議を踏みにじった対米武器技術供与決定は、明らかに国権の最高機関に対する行政府の挑戦であり、議会制民主主義の根幹を揺るがす大問題であります。国会と、これを構成する各会派が、政府のこの暴挙に対し、議会政治の名において断固として抗議し、その撤回を求めて闘わなければならない、まさにそのときに、これら国政の基本にかかわる問題の審議に当たって、一部会派による代表者会議で協議、決定がされてきたことは、議会制民主主義擁護の立場から遺憾であります。減税にせよ、人事院勧告にせよ、武器技術問題にせよ、事は国会の判断、国会の意思決定に属する問題であります。
 わが党は、戦前、侵略戦争に反対し、国民主権を唱えたがゆえに、治安維持法のもとで野蛮な断圧にさらされ、戦後も、戦争準備と再軍備に反対し、全面講和を主張したがゆえに、米占領軍により半非合法化され、多くの国会議員がこの議場から追放されました。前者は十五年間の侵略戦争の前夜であり、後者は朝鮮戦争の前夜であったのであります。まさに反共は戦争前夜の声であり、また、反共は議会制民主主義の挽歌であることを身をもって体験しているがゆえに、わが党は議会制民主主義の確立と擁護の重大性を重ねて声を大にして主張するものであります。(拍手)
 私は、中曽根内閣のもとで一層強められてきた平和と民主主義、国民生活の危機に対し、六十年間一貫して平和、民主主義のため生命までささげて闘ってきた日本共産党を代表して、本予算案に断固反対することを重ねて表明し、あわせて、軍縮と国民生活向上のため奮闘する決意をここに披瀝をいたしまして、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 109805254X01019830308_020

発言者: 山原健二郎

speaker_id: 21532

日付: 1983-03-08

院: 衆議院

会議名: 本会議