大出俊の発言 (予算委員会)
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○大出委員 たくさんの問題が議論の上で未解決でございまして、それをきょうは総理に最終的な決着をつけていただきたい、こう思っております。
そこで、まず最初に、人事院の勧告をめぐります問題でございますが、ILOの理事会が勧告をまとめて明らかにいたしました。やがてブランシャール事務局長から政府あてに書簡も来ることになっているわけであります。これをめぐりまして、どうも当初、政府が、六百七十億の人勧に対する引き上げ予算一%を取り崩して補正が通過した、したがって、政府に云々しても効果がないという意味の中身が出てくるというので、大変はしゃいでおられましたが、深谷君にきょうは来ていただこうと思っておりますが、彼の特使としての使命が勲一等であるなんて言って——私は、これはそういう性格のものじゃないと思っているのですよ。生存権の代償という意味における人事院勧告でございますから、より深刻なものでありまして、勝ったとか負けたとか、はしゃぐとかはしゃがぬとかという問題ではないと実は私は思っているのでありますが、そこのところ、政府関係の談話を見ましてもどうもすっきりいたしません。総理の御見解を承りたいと思っております。それが一つです。
あわせて、時間がありませんから申し上げておきますが、日本の公務員組合がILOに提訴したのは私の出身の全逓が最初でありまして、当時私が全逓中央本部の書記長でございました。田中元総理が私の首を切ったというところから始まったのであります。したがいまして、私も何遍もILO総会にもジュネーブにも参っておりますが、理事会に対する結社の自由委員会の報告というのは、あくまでもこれは報告でございまして、この報告に基づいて、案件として取り上げられた、発生をした国に対して勧告を行うというシステムであります。したがいまして、勧告そのものが実は直接的にわが国に対する非常に大きな国際的な環境の中での指摘でございますから、そういう意味で、報告の結論になにが残っているからというものではなくて、勧告そのものが問題であります。
十七というところで、「本委員会は、理事会が、本報告、特に以下の結論を承認するよう勧告する。」
(A)というところで、「本委員会は、団体交渉権やスト権のような基本権が不可欠業務または公務で禁止または制約される場合には、」この「不可欠業務」というのは、水道の水であるとか電気というふうなものはとめちゃいけないものでありますから、そういう意味で「不可欠業務」というのが入っておりますが、アンダーラインを引きまして、「本件がこれに該当する。」またラインを引きまして、「みずからの利益を守るための基本的な手段を奪われている労働者の利益を完全に保護するための迅速かつ公正な調停、仲裁制度が設けられ、当事者があらゆる段階で参加でき、また、一たん決定された裁定は完全かつ迅速に実施されなければならないという適切な保障が確保されなければならないという原則を想起する。」
これは私の長いILOとのかかわりにおける経験からいって初めてであります。公労協関係では、調停、仲裁制度が設けられ云々ということは前に何遍か出ましたが、人事院勧告をめぐって、調停、仲裁制度が本来設けられなければいかぬのだ。人事院勧告というのは弱いのだ。調停、仲裁の制度が設けられなければいけないのだという意味のことが載せられたのは、これが初めてであります。そこまで厳しいのであります。
(A)でそういう言い方をしておいて、(B)項で、「本委員会は、人事院の勧告を尊重するという基本方針を堅持し、また、今後、勧告を尊重するために最善の努力を払う意向であるという政府の保証をノートする。」
今日まで「ノート」という言葉も余り使われたことがない。テークノートと、こう言っておりまして、留意すると、こうなんでありますが、この「政府の保証をノートする。」というのは、聞きおく、聞いておく。つまり、皆さんの説明が背景にあるわけでありますが、あくまでも例外措置であるというふうに聞いたよ、聞いておく、本来やらなければいけないのだ、こう言っているわけであります。
それから(C)項で、ここが問題でありますが、「本委員会は、前記十四項に示した理由により、本件に関し、人事院勧告に関する政府の態度を再考するよう要請しても、有益な目的を達し得ようとは考えられない。」と、こう入ってきております。
後から聞きますが、この点はついに全面削除であります。政労使で構成しておりますけれども、使用者側も全面的にこれを認めた。だから、最終的には、全部一致してこれを削除した。つまり、いまからでも人事院勧告は実施に向けて努力をすべきものであるという理解であります。
これを削除いたしまして、「本委員会は、一九八二年の人事院勧告が実施されないことを遺憾とし、」この「遺憾とし、」という表現もいまだかつてILO史上ない。ポーランドに関して一遍だけ「遺憾」という言葉が使われただけであります。大変にこれまた厳しいわけであります。そして「将来」、この勧告が出てから将来でありますから、今日もこの枠内に入ります、この質問も。「人事院勧告が完全、かつ、迅速に実施されること並びに団体交渉権及びスト権という労働組合権の制約に対する一つの代償措置が当該公務員に保障されることを強く希望していることを表明する。」
私も長い経験がありますけれども、ここまで厳しい勧告が出てきたのは、私は初めてだと思っております。これを総理は一体、先ほど冒頭に申し上げたのと合わせまして、どうお考えでございましょうか。