安田隆明の発言 (科学技術振興対策特別委員会)
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○国務大臣(安田隆明君) 科学技術庁長官の安田隆明でございます。
このたび、重要な科学技術行政を担うことになりました。よろしくお願いを申し上げます。
第九十八回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
現下の厳しい内外諸情勢の中にあって、わが国が直面する幾多の制約を打開し、経済の安定的な成長と国民生活の一層の向上を図っていくためには、科学技術の振興が不可欠でございます。
国土が狭く、資源に乏しいわが国は、幸い、国民の高い知的能力に恵まれており、この貴重な国民的資源を活用して創造性豊かな科学技術を創出することにより二十一世紀への礎を築くことは、われわれの世代に課せられた責務であります。
また、昨年六月に行われたベルサイユ・サミットにおいては、科学技術の発展は停滞した世界経済の再活性化への活路となるとの認識で各国首脳の見解が一致し、国の内外を問わず、科学技術振興に対する機運は盛り上がりを見せております。
このような状況のもとで、私は、昨年科学技術庁長官に就任して以来、科学技術政策の推進のため精力的に取り組んでまいりましたが、今後とも科学技術振興を国家的な重要課題として位置づけ、その強力な推進を図ってまいる所存であります。
以下、昭和五十八年度における科学技術庁の主要な施策につきまして所信を申し上げたいと存じます。
まず第一は、科学技術振興調査費の拡充等科学技術行政の企画調整機能の強化であります。
近時、科学技術行政の強力な展開が強く求められております。このため、科学技術会議の調査企画機能の強化、同会議の方針に沿って運用する科学技術振興調整費の拡充等により、科学技術行政の企画調整機能の強化を図ることとし、ライフサイエンス、新材料等、将来画期的な技術革新をもたらすことが期待される先端的科学技術等の重要研究業務の総合的かつ効率的な推進を図ってまいります。
第二は、流動研究システムによる創造科学技術の推進であります。
今日、科学技術の振興を図るためには、基礎的研究段階からの創造的な新技術創出のための研究が不可欠となっております。
このため、産学官のすぐれた研究者を結集して次代の技術革新を担う科学技術の芽を生み出すための研究を行う創造科学技術推進制度の一層の推進を図ることとしております。
第三は、原子力研究開発利用の推進であります。
原子力発電は、いまや、総発電電力量の約六分の一を占めており、電力供給の重要な柱となっております。
このような原子力の研究開発利用の推進に当たっては、安全性の確保が大前提であり、原子力安全規制行政の充実、安全研究の推進等の各種安全対策を強力に展開するとともに、電源三法の活用による地域住民の福祉向上及び産業振興のための施策等を講ずるなど、原子力の開発利用の促進を図ってまいります。
原子力発電を一層拡大していくためには、原子力発電規模に見合った核燃料サイクルを確立することが不可欠であり、ウラン濃縮の国産化、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分対策等を推進いたします。
また、核燃料の有効利用を図る観点から、高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉の研究開発など新型動力炉の開発を進めるとともに、核融合の研究開発等を積極的に推進いたします。原子力船「むつ」につきましては、その新定係港の整備を進めてまいります。
第四は、宇宙開発の推進であります。
先般、通信衛星二号aの打ち上げに成功し、わが国は、いよいよ本格的な実用衛星打ち上げ段階に入りました。
昭和五十八年度におきましては、通信衛星二号b、放送衛星二号aを打ち上げるほか、静止気象衛星三号、海洋観測衛星一号、技術試験衛星V型等、幅広い分野における各種人工衛星の開発を推進いたします。
また、昭和六十年代の大型人工衛星の打ち上げに対処するため、自主技術による液酸・液水ロケットエンジン、慣性誘導装置等を用いたHIロケットの開発を進めるなど人工衛星打ち上げ用ロケットの開発を推進いたします。
第五は、海洋開発の推進であります。
海洋国家日本としては、海洋科学技術に関する研究開発を横極的に推進していく必要があります。
このため、昭和五十八年度におきましては、潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査研究を進めるとともに、潜水作業技術に関する実海域実験を行うための海中作業実験船の建造を進めるなど、総合海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進することといたしております。
第六は、各般の重要な総合研究の推進であります。
医療、農業、工業等、広範な分野において画期的な技術革新をもたらすものと期待されているライフサイエンスにつきましては、人工臓器等の研究を推進するとともに、遺伝子組みかえ研究施設の建設等を進めてまいります。
また、防災科学技術につきましては、震災、雪害等の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、雪害対策等の研究を中心にその積極的な推進を図ってまいります。
航空技術開発につきましては、ファンジェット短距離離着陸機の実験機STOL機が昭和五十八年度に製作の最終段階を迎えますので、その完成を目指して努力してまいります。
さらに、極限科学技術関連材料など材料技術の研究開発、資源の総合的利用方策の調査等を進めてまいります。
第七は、国際協力の推進であります。
国際化の進展に伴い、国際交流の重要性が一段と高まりつつあります。
このため、日米科学技術協力を初めとする先進諸国との協力の推進を図るとともに、ベルサイユ・サミットで合意された科学技術の国際協力に積極的に対処してまいります。
また、中国、東南アジア等の開発途上国との科学技術協力を推進してまいります。
第八は、科学技術振興基盤の整備であります。
科学技術振興を支える研究者の養成等研究基盤の強化を図るとともに、高度な知識と多額の投資が集約された科学技術情報の効率的な流通を図るため、科学技術情報の全国流通システムの整備等を促進いたします。また、本国会におきまして、科学技術に関する高度な技術コンサルタントとしての技術士の制度を改善するため、技術士法の改正法案を提出いたしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
最後は、国際科学技術博覧会の開催準備の推進であります。
科学技術の重要性に関する国民の理解を深めるとともに、科学技術の国際交流の促進に寄与することを目的とした国際科学技術博覧会を昭和六十年に筑波研究学園都市において開催するため、会場及び政府館の建設を進めるとともに、政府出展展示物の製作に着手するなど、国家的事業にふさわしい博覧会となるよう強力に開催準備を進めたいと考えております。
以上、昭和五十八年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し上げましたが、これらの諸施策を実施するため、昭和五十八年度予算といたしまして、一般会計三千二百七十二億円を計上いたしますとともに、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管による電源開発促進対策特別会計におきまして、科学技術庁分といたしまして七百七億円を計上いたしました。
エネルギー問題を初めわが国が現在直面している諸問題を解決し、豊かで明るい人類の未来を建設するための重要なかぎとなるのが科学技術でございます。
私は、科学技術行政を担当する者としてその使命の重大さを深く認識し、科学技術の振興に誠心誠意努力してまいりますので、何とぞ委員各位の御指導、御支援をお願い申し上げますとともに、国民の皆様方の御理解、御協力を心からお願い申し上げる次第であります。