八百板正の発言 (科学技術振興対策特別委員会)
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○八百板正君 いわゆる国内の、国内といいますか、技術の向上という点と、それから国際的に技術を普遍化すると申しましょうか、発展途上国、
後進国の技術を高めるということと並列的に考える、そういう発想でこの技術会議の意見が出ているという点をもう少し重要視していただきたいという点が、私の率直な意見であります。
そこで、時間が余りございませんから、それについての私の見解をちょっと述べて、できれば御同意を得たいと思うのでありますが、日本技術士会は技術士の向上、これはもちろんですが、科学技術の向上を図り、わが国産業の発達及び海外との技術協力の推進に寄与することを目的とするというふうに、第二条に日本技術士会は定めております。これは、海外技術移転の考えをそのまま受けてこの定款の第二条の目的にうたったという点で、私は大いに評価できるものだと思っております。国際社会に立つ日本としてまさに正しい態度であります。
この技術移転について私は、いま日本の当面する問題は国際的にはやはり貿易摩擦とか国際摩擦の問題が一番大きい問題ですから、これは重要な点なのでちょっと見解を述べさせていただきたいと思いますが、この技術移転ということは、現地に活用される技術を移すということでなければならない。いわゆる発展途上国の経済的な引き上げなくして、日本の高度に発達した科学技術の市場というものはあり得ないのでありまするから、常に発展途上国、後進地域を引き上げる、なるたけ日本あるいは先進国と同じような地位に引き上げるような、そういう立場からこの技術の移転を考えるべきである。
その場合に、とかくしまするというと、日本の一番進んだ、ハイテクノロジーと申しましょうか、そういう一番進んだところを持ち込んでいくという傾向があります。これは日本の企業の方向もそういう形にならざるを得ない。ある意味では、先行投資みたいな考え方に立っていきます。一方今度、受ける方はと申しますと、これまた御承知のように、発展途上国、開発途上国の国の政治の指導者は、えてして、政治的立場が不安定でありますから、したがって、これ見よがしの、見せびらかしの技術導入とか、あるいはプラントにしても、資本の導入にいたしましても、そういう形に持ち込みやすいのであります。私は先進国のこんなものをこんなふうに持ってきてわが国の向上を図ろうとしているということを国内に見せびらかして、それによって指導性を確立しようというふうな、そういう不安定な指導者がややもすれば多いのであります。でありますから、どうしても最先端のものをつくりたがる。
それで日本がこれに対応するという形になって、日本の資本や技術やプラントなんかが移っていきますと、結局日本の一番すぐれたものがそこに持ち込まれたといたしましても、結果は、低賃金の労働者を現地で使って、それででき上がったものが、高度の製品が仮にでき上がったといたしましても、それが現地にさばかれるということはないわけであります、購買力が伴いませんから。そうすると、結局それは単なる後進地域の低賃金を持ち込むという形になって、逆に日本の、あるいは日本だけじゃございません、先進国の進んだ産業そのものが痛めつけられる。こういうような、天に向かってつばするような、言葉は悪いけれども、というような結果になって、いわゆる世界の不況をつくっていくわけであります。でありますから、今日、不景気だと言う場合に、いや国際的に不景気なんだというようなことをよくおっしゃいますけれども、その国際的な不景気というものは、そういうふうにして、先進国が後進国の本当に経済の向上に役立つような技術の移転を、どちらかというと考えない、あるいはそういう点に欠けているというところから、いわゆる国際的な購買力が高まってまいりませんから、先進国の工業製品ははけないという形になって世界的な不況が起こってくる。こういうふうなことは、これは私としては、そういうものだというふうに考えております。これは決して私は間違いでないと思っております。
そういう意味で、技術の海外移転に当たりましては、やはりその現地の経済の状況、あるいはその国の立場に立って、本当に役立つもの、経済の向上に役立つもの、そういうふうなものに日本の進んだ技術を持ち込んでいくというふうな、そういう姿勢が必要であって、企業の先行投資的な考え方では決して相手国をよくするという結果にならないということ、この点を私は強調したいわけであります。こういう考え方がいわゆる技術移転の問題の重要な点だと思うのであります。
技術士会が海外への移転をうたっておる。これに対して行政指導的立場を科学技術庁がとるという、そういう観点から考えますと、この点は私、強く見解を述べまして、そして大臣の御意見を、御同意をいただきたい、こう思います。