科学技術振興対策特別委員会

1983-04-15 参議院 全67発言

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会議録情報#0
昭和五十八年四月十五日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     伊藤 郁男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中野  明君
    理 事
                後藤 正夫君
                藤田  進君
                太田 淳夫君
    委 員
                江島  淳君
                長田 裕二君
                片山 正英君
                杉山 令肇君
                藤井 孝男君
                藤井 裕久君
                八百板 正君
                吉田 正雄君
                佐藤 昭夫君
                伊藤 郁男君
                青島 幸男君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       安田 隆明君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      安田 佳三君
       科学技術庁振興
       局長       原田  稔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○技術士法案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
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中野明#1
○委員長(中野明君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十四日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。
    ─────────────
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中野明#2
○委員長(中野明君) 技術士法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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八百板正#3
○八百板正君 割り当ての時間もございますので早速お尋ねいたしたいと思います。
 この法案は、経過的に見まして、さきの昭和五十五年八月の科学技術会議の議長内閣総理大臣の見解を受けて今日に至ったものだと考えていいのであります。そういう意味で、ちょっとそのときの考え方を引き合いに申し上げますが、
 我が国の技術水準も著しく向上し、これまでの技術導入依存体質から脱却して自ら革新的な科学技術を生み出し、技術開発面においても国際的に貢献していくことが求められるようになるなど、我が国の置かれている状況は、技術士制度発足当時とは様相を全く異にしている。
  このような状況の中で、昭和五十五年八月科学技術会議(議長 内閣総理大臣)は、今後我が国が安定成長下で技術水準を大きく向上させ、優れた新技術の開発に寄与し、社会経済の発展に大きく貢献するものとして技術移転の重要性を指摘し、「技術移転の推進に関する意見」を取りまとめた。同意見の中で、技術士に関し、技術移転の推進のために大きな役割を果たすべきものとしてその位置付けがなされており、その健全な発展が期待されている。
  当審議会としては、これらの経済社会情勢の変化、科学技術会議の意見等を踏まえ、技術士制度の発展に資するため、技術士制度の問題点及び改善策
云々というふうなことによっておるものと考えるべきだと思うのでありますが、このような考え方が具体的にこの技術士法案の中にあらわれておると見るべきところが見当たらないのです。これはひとつ、総理大臣の見解ではなくて、まだ総理大臣になっておられませんから、科学技術庁長官の御意見を最初に伺っておきたいと思います。
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安田隆明#4
○国務大臣(安田隆明君) いま八百板先生から御質問がございましたとおり、わが国の戦後今日までの科学技術の足取りをたどってみまするというと、いわゆる導入の中において、これにわれわれの英知とそれからわれわれのすばらしい知恵というものを加えて、今日このようなすばらしい科学技術立国というものを成就しておるわけであります。
 しかし、いまお話しのとおり、今日の情勢ははなはだしく社会経済的に多様的な変化をしておるわけでありますが、いま御指摘のとおり、その変化の中で、いままでは移転を許容しておったものが逆に貿易摩擦、こういう中において、移転というもの、導入というものが非常にむずかしい情勢の中に置かれるようになった。したがってみずからがみずからの英知によってこれをやらなければならないという中で、この技術士法との関連はどうか、こうなりますると、いままでの歩みをずっと見ると、四分の一世紀たっておるわけでありますから、この中には、やはり活性化というものを与えなければならない、こういうところが指摘される。審議会のお知恵をいろいろおかりしましたところが、そういう姿に今後軌道を修正すべきである、こういうふうな発想がそこに指摘されましたものですから、それを受けて今度こういう改正案をまとめた、こういうふうに御理解いただきたいと思うのであります。
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八百板正#5
○八百板正君 私のお尋ねしている点は、これは活性化はもちろんですけれども、技術にしても科学にしても、国際的な立場で考えなくちゃいけないのであって、そういう意味で、いわゆる技術の移転という重要性が受け継がれておらないのではないかという感じがする。その点について一点だけ。
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安田隆明#6
○国務大臣(安田隆明君) 仰せのとおりでございまして、本当に発展途上国、海外協力、こういう面でもって技術士のメンバー、技術士制度というものは活用されなければならない、こういうことをわれわれは指摘され、それを考えていきますためにも、技術士法の位置づけというものを今度改正させていただきたい、こういう願いを込めておるわけであります。
 私も海外へ行ってまいりました。先生御指摘のとおり、国際協力事業団、この機能の中でコンサルタントの皆様が本当に働いておるところを私も現実によく見てまいりましたし、当該国から非常に高い評価を受けていることも私は承知しております。そういう面で、ひとつ技術士の位置づけというものを国際的なものにもして、国際的に協力してやるためにもこの評価というものを高めたい、こういう趣旨を込めていることを御理解願いたいと思います。
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八百板正#7
○八百板正君 いわゆる国内の、国内といいますか、技術の向上という点と、それから国際的に技術を普遍化すると申しましょうか、発展途上国、
後進国の技術を高めるということと並列的に考える、そういう発想でこの技術会議の意見が出ているという点をもう少し重要視していただきたいという点が、私の率直な意見であります。
 そこで、時間が余りございませんから、それについての私の見解をちょっと述べて、できれば御同意を得たいと思うのでありますが、日本技術士会は技術士の向上、これはもちろんですが、科学技術の向上を図り、わが国産業の発達及び海外との技術協力の推進に寄与することを目的とするというふうに、第二条に日本技術士会は定めております。これは、海外技術移転の考えをそのまま受けてこの定款の第二条の目的にうたったという点で、私は大いに評価できるものだと思っております。国際社会に立つ日本としてまさに正しい態度であります。
 この技術移転について私は、いま日本の当面する問題は国際的にはやはり貿易摩擦とか国際摩擦の問題が一番大きい問題ですから、これは重要な点なのでちょっと見解を述べさせていただきたいと思いますが、この技術移転ということは、現地に活用される技術を移すということでなければならない。いわゆる発展途上国の経済的な引き上げなくして、日本の高度に発達した科学技術の市場というものはあり得ないのでありまするから、常に発展途上国、後進地域を引き上げる、なるたけ日本あるいは先進国と同じような地位に引き上げるような、そういう立場からこの技術の移転を考えるべきである。
 その場合に、とかくしまするというと、日本の一番進んだ、ハイテクノロジーと申しましょうか、そういう一番進んだところを持ち込んでいくという傾向があります。これは日本の企業の方向もそういう形にならざるを得ない。ある意味では、先行投資みたいな考え方に立っていきます。一方今度、受ける方はと申しますと、これまた御承知のように、発展途上国、開発途上国の国の政治の指導者は、えてして、政治的立場が不安定でありますから、したがって、これ見よがしの、見せびらかしの技術導入とか、あるいはプラントにしても、資本の導入にいたしましても、そういう形に持ち込みやすいのであります。私は先進国のこんなものをこんなふうに持ってきてわが国の向上を図ろうとしているということを国内に見せびらかして、それによって指導性を確立しようというふうな、そういう不安定な指導者がややもすれば多いのであります。でありますから、どうしても最先端のものをつくりたがる。
 それで日本がこれに対応するという形になって、日本の資本や技術やプラントなんかが移っていきますと、結局日本の一番すぐれたものがそこに持ち込まれたといたしましても、結果は、低賃金の労働者を現地で使って、それででき上がったものが、高度の製品が仮にでき上がったといたしましても、それが現地にさばかれるということはないわけであります、購買力が伴いませんから。そうすると、結局それは単なる後進地域の低賃金を持ち込むという形になって、逆に日本の、あるいは日本だけじゃございません、先進国の進んだ産業そのものが痛めつけられる。こういうような、天に向かってつばするような、言葉は悪いけれども、というような結果になって、いわゆる世界の不況をつくっていくわけであります。でありますから、今日、不景気だと言う場合に、いや国際的に不景気なんだというようなことをよくおっしゃいますけれども、その国際的な不景気というものは、そういうふうにして、先進国が後進国の本当に経済の向上に役立つような技術の移転を、どちらかというと考えない、あるいはそういう点に欠けているというところから、いわゆる国際的な購買力が高まってまいりませんから、先進国の工業製品ははけないという形になって世界的な不況が起こってくる。こういうふうなことは、これは私としては、そういうものだというふうに考えております。これは決して私は間違いでないと思っております。
 そういう意味で、技術の海外移転に当たりましては、やはりその現地の経済の状況、あるいはその国の立場に立って、本当に役立つもの、経済の向上に役立つもの、そういうふうなものに日本の進んだ技術を持ち込んでいくというふうな、そういう姿勢が必要であって、企業の先行投資的な考え方では決して相手国をよくするという結果にならないということ、この点を私は強調したいわけであります。こういう考え方がいわゆる技術移転の問題の重要な点だと思うのであります。
 技術士会が海外への移転をうたっておる。これに対して行政指導的立場を科学技術庁がとるという、そういう観点から考えますと、この点は私、強く見解を述べまして、そして大臣の御意見を、御同意をいただきたい、こう思います。
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安田隆明#8
○国務大臣(安田隆明君) いまおっしゃるとおりのような考え方にわれわれは立っております。
 企業サイドのいわゆる技術移転の問題と、それから行政サイドにおけるいわゆる技術移転の問題と、おのずからいささかその立場を異にする問題はございます。しかし、行政サイドにおける技術移転、これにつきましては、先生のおっしゃるとおりのようなわが国が置かれている立場、無資源の国において海外に協力をするということは、これはぜひとも、いまおっしゃいましたそういう考え方にのっとってわれわれは、相手国の事情、相手国の立場に立って、国境のない指導、援助を行いたい、こういうことでございます。
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八百板正#9
○八百板正君 それで、この法案の趣旨は、技術士の試験制度と申しましょうか、試験の実務的なものを民間に移す、日本技術士会に移すという考え方に立ったものだと思います。
 そこでこれは、技術士会の試験実務に取り組む態度、それからまた、試験問題を出したり試験を扱っていく科学技術庁、それから、これはすべてほかの試験制度とかに共通するものとして、その中でこの技術士についてもそういうお考えがあってほしいという意味で申し上げるのでありますが、えてして試験というものは、いわゆる上げるという立場ではなくて、落とすという立場に立った試験の態度が多いのであります。極言するというと、試験を受ける受験生というのは敵だ、敵性を持っている。何とかしてむずかしい、ひっかかりやすい問題を出してふるい落としてやろうという、そういう立場の試験問題なり試験官の態度が共通してあります。
 これは非常に問題なんです。これは、そうでないとは恐らくどなたも言わないと思うのです。試験問題を選ぶ、あるいは選考する態度というものは、何とかしてむずかしいものを出して振り落としてやろうという、そういう態度がおのずから出てくる。これは木戸番みたいなものでありまして、木戸番というのは木戸破りに対しては非常に敵意を持ってくるというふうな傾向がある。この態度は、少なくとも科学技術の発展向上というものから考えると非常に危険な考え方だと思う。
 こんな話をしているともう私の持ち時間がたってしまいますが、大事な点ですから触れておきます。
 それで、これは行き過ぎではありますけれども、十年ほど前に、中国にいわゆる白紙英雄というのが出ました。試験のときに白紙を出したんです。白紙の答えを出した。これはどういうことか。ただ、白紙だけれどもそこに意見を述べたんです。私は国家指導者の、あの当時毛沢東ですね、毛沢東の趣旨に従って、こういうふうにして現場に入って一生懸命に働いた、だから高校で勉強したことなんか忘れてしまった。朝から晩まで働いた、だからこんな問題はとても書けないというようなことを書いた。しかし、みんなからすすめられて、あなたは大学の試験を受けなさいと言われて推薦されたことを私は光栄に思うというふうなことを、いわゆる答案ではなくて、意見を書いた。これを見た先生が、頭を抱えちゃったんですね。これは一体われわれの態度が間違っていたんじゃないかというふうな考えでもって、国家的論議になりまして、結局この白紙の青年を採用したのです。そして、やがてこれが認められて、中国の中央委員候補にまでなったんです。日本にも来ました。張鉄生という青年であります。このことがいい悪
いということはしばらく別として、行き過ぎであることは間違いでありまするが、あの当時の中国の事情の中でこういう者が出ました。
 しかしこれは、一面大変重要なことで、やっぱりどこかにいいところがあれば、ふるい落とそうというんじゃなくて、それをなるたけ取り上げようという態度で試験というものは取り扱っていかなければ、科学技術の発展というのは私はないと思います。そういう意味で、この試験問題にしても、試験をする態度というものにしても、これは科学技術庁だけじゃございません、おしなべて今日の試験制度の中で、何かひっかかるような問題を出してひとつひっかけて落としてやろうというんじゃなくて、いいものを見つけて、それを引き上げて、励まして伸ばして、そうして科学の創造と技術の発展に役立てるような、そういう配慮が常にどこかに幾らかなくちゃいかぬ、私はそういう意味で、そういう配慮がこの試験制度の今後の上に考えられてほしいと思います。
 だからというわけではございませんが、なるたけふるい落としてとっちめてやろうというような立場の試験だからというわけではございませんが、いわゆる独占排他的な形で、外国と比べてもそうでしょう、技術士というものは非常に少ないですね。アメリカのプロフェッショナルエンジニアが三十五万人もおって、イギリスのチャータードエンジニアが二十一万人もおるというのと比べると、日本が一万五、六千人しかいない、合格したのが二万人もないというふうなことになると、これは一体、日本の技術陣が層が薄いのか、それともおくれているのかということになります。私は、最初に申し上げましたように、日本の技術を移転するというようなことが日本のいま必要なことだと言われておるほど、ある程度進んだ、層の厚いものがあるだろうと思うのであります。
 そういう意味で、なるたけ落第生をよけいつくってやろうというのじゃなくて、特色のある者はどんどん取り上げて技術士にして、日本の科学技術の発展のために励まして、国際的にも国内的にも役立てるという、そういう積極性で取り組んでいくべきだと思います。この点、大臣の御見解はどうですか。
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安田隆明#10
○国務大臣(安田隆明君) いろいろいま御意見を拝聴いたしておりますが、とらえる側面が二つございまして、一つはいま先生の御指摘のような側面、一つはいわゆる内外の経済社会が求める技術コンサルタントとして最高のやはり見識を持った権威のあるものでなくちゃなるまい、そうでなければ国際的にも評価を求めることができない、こういうことでございます。いわゆる最高の見識を持った技術士、こういう位置づけでございますので、そこは、いわゆる公認会計士ですか、あるいは司法試験のような、いま実態はそういうことになっておりますが、非常にやはり厳しい関門になる、あるいはならなければ見識を保持することができないであろう、こういう二つの側面を持っております。
 したがって私たちは、いま先生のおっしゃいますように、そういう面を頭の中に入れることも必要でございますけれども、私たちは今度のこの改正によって技術士補という一つのクッションをとって、そこでの救済措置を一つ講じて、しかる後今度、士、ここへ移転させる。こういうことでやっぱり最終的には内外に権威ある、そして経済社会が、相手が求めるものにこたえ得る、それだけのものに持っていきたい、持つべきだ、こういう理解の上に立っておりますので御了承願いたいと思います。
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八百板正#11
○八百板正君 いまの社会は、何ぼ権威づけるレッテルを張ったって、その者が値打ちがなければ、商品社会ですから買いません。何ぼ肩書きをくっつけたって、それでもって評価するというようなことはありません。ことに科学技術の技術士なんというのは、もう三十分間か一時間も話し合ったらどの程度の頭かわかりますからね。だから、そういう悪い面を余り心配しないで、やはり積極的に向上を図っていくという面に主力を置いていただきたいと思うんです。
 私、これはちょっと批判になりますが、大体審議会にいたしましても、あるいは技術士の資格者にいたしましても、ちょっと数字を見まするというと、これは土建技術者主導型なんですね。メンバーも、建築とか建設とか、水道なんかまで入れるとしますと、三分の一はその方面です。そして今度、審議会ですか、の方に入っているメンバーも、そういうところの有力者が入っているということになると、土建屋が悪いというわけじゃございませんけれども、建設関係のボス支配みたいな形に技術士の大御所がなる危険がある。それと、よく自民党が批判されておりまするように、自民党の何といいますか、たとえばやがて一つの組織、政治連盟をつくって、自民党を推薦してなんというふうな形になりますと、非常に悪い面だけがふくれ上がっていくという危険性があります。えてしてそういう危険性をはらんでおりますから、この点はお答えいただかなくてもいいです、そうじゃないと言うに決まっているでしょうから。だからひとつ、これはそういうことにならないように気をつけていただきたいということを特に希望します。
 専門の技術が十七ある。その中で技術士の数は非常にアンバランスです。これは試験制度にもよるし、日本の科学技術が世界の最高水準に進んでいるという形が技術士の中に全くあらわれておらないというふうな点は、大いに今後の課題だと私は思います。科学技術の日本の現状からいま展望されている、たとえば将来の生命科学とかバイオマス、そういうふうないろいろな問題は、一つの基礎的なものだから技術士の対象から見送った、こういうふうに説明の中にございますけれども、やっぱり士補というようなものをつくったんですから、また、そういう点の経験、蓄積がないとしても、それを励ます意味でも、補ぐらいのところでそういうふうなところを救済していく。何か、十七に分けたけれどもその十七以外は技術士でないというような考え方は、私はあり得ないと思うんです。常に新しいものが模索、追求、創造されていく発展の過程でございますから、そういう意味で、十七というふうに限ったけれども、そこはひとつ発展的に考えていく必要があろうと思います。
 いま申し上げましたような点について、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
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原田稔#12
○政府委員(原田稔君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
 私ども、この十七部門、現在は十七部門でございますが、この部門の見直しにつきましては、従来も、いろいろな科学技術の発展の状況あるいは世の中のこういったものに対する需要といったものを考えて、いろいろと見直しをやってきております。たしか四十六年でございましたか、情報関係、電子計算機とかああいう関係のものが非常にこれから大きくなりそうだということで、従来の十六部門に情報関係の部門をつけ加えたところでございます。
 先般の技術士審議会におきましても、新しい部門の問題についていろいろ議論をしたわけでございます。先生のおっしゃったように、生命工学の問題ですとか、そういう問題が非常に大事でございますからどうしようかということで議論したわけでございますが、まだ少し早いのじゃないだろうか、引き続き検討していこうじゃないか、こういうことになっております。
 私どもといたしましても、この技術士の部門の見直し、これをなるべく世の中の実態に合うようなかっこうでいろいろ検討していくという点については今後ともよく注意をしてまいりたいと思っております。
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八百板正#13
○八百板正君 それから、試験の委譲ということになりますから、いわゆる向上的な、前に向かって進んでいくという立場に立った公正なよい試験をやるように、これは行政当局の責任者として大臣もひとつ十分の御配慮を願いたいと思います。
 大体私の見るところでは、いままで政府がやっておったのを民間に移して、果たして政府がやったときにどういう欠陥があって、これを民間に移せばどういう欠陥がどういうふうに是正されると
かよくなるとかというふうな点については、必ずしも私はこの法案の中で保証されているものがあると思えませんので、そういう点は結局信頼の問題ですから、これはこの法律をつくった大臣の責任ですから、大臣一人でつくったわけじゃございませんけれども、ひとつ大臣、その点は、責任を持って、公正なしかも発展的方向でこれに具体的に取り組んでいくように切に希望します。
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安田隆明#14
○国務大臣(安田隆明君) 先生のおっしゃいましたとおりでございまして、いま第三者機関にこれを任す、こういうことでございますけれども、これは行政は全くこれに介入しないという意味じゃございませんで、本当に公正に公正に、もう他から指摘、非難を受けることのないような本当に間違いのないものにわれわれは運営していく、こういうことをかたく期しているわけであります。御了解、御理解いただきたいと思います。
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太田淳夫#15
○太田淳夫君 それでは、技術士法案の改正につきまして質問します。
 最初に、改正点の第二として皆さん方から提出をされました資料の中にございますけれども、行政の簡素化の観点からの改正だということですが、具体的にはどのような簡素化がされるのか。
 また、簡素化されましたり、あるいは登録の実施に関する事務が委譲されてまいりますけれども、それはやはり受験者の方であるとか、あるいは現在の技術士の皆さんとか、そういう方々にとりましても何らかのメリットが必要ではないかと思いますが、どのようなメリットがあるのか、その点のお答えをいただきたいと思います。
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原田稔#16
○政府委員(原田稔君) 一つは、試験の事務あるいは登録の事務を民間のしかるべき公益法人に委譲しようということでございます。しかし、この試験の事務の中で非常に大事な、問題の作成ですとかあるいは採点ですとか、こういった事務は、もちろん従来どおり試験委員という方々にお願いするわけでございます。
 しからばどういう事務かといいますと、たとえば、現在受験者の数が七千名をオーバーしておりまして、最近ふえる傾向にございますが、こういう方々の受験の申し込みの受け付けですとか、あるいは試験場の設営ですとか、非常に細々としたいわば機械的、定型的な事務があるわけでございますが、試験につきましてはこういった事務を委譲しようというわけでございます。
 それから登録につきましては、たとえば技術士の登録は年間に九百件ございます。あるいは登録した内容の訂正、たとえば事務所が変わったとかいうような訂正の登録が年間千三百件ございますが、こういったものの事務、これも非常に機械的でございますから、これも民間のしかるべき団体に委譲しよう、こういうことでございます。
 こういうことをやりますと、しからばどういった関係者にメリットがあるのかという御質問でございますが、受験者やあるいはこういう登録をいたします技術士の方々にとりましては非常に便利になるということが、一口で言えると思います。それは、現在は科学技術庁でやっているものですから、全部東京にある科学技術庁に持ってくるわけでございます。しかし今度、たとえば私どもが念頭にあります日本技術士会という団体がございますが、そういう団体に委譲するということになれば、技術士会の支部が全国で七支部ございますから、北海道ですとか東北ですとか九州ですとか、そういう支部に出せばよろしくなるわけでございまして、その意味ではいろいろな意味でサービスが向上するのではないかと思います。
 それから、技術士会にとりましても、試験の実施、これは機械的な事務でございますけれども、たとえば登録の関係などで現実の窓口になるわけでございますから、技術士の方々との接触の機会もふえてくるわけでございまして、技術士会の活動の活発化、地位の向上というものにもつながるのではないか、かように考えております。
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太田淳夫#17
○太田淳夫君 ただいま同僚の八百板委員の方から、試験の公正さが堅持されるようにということでお話がございましたが、私どももやはり、こういった委譲によりまして、そのやり方によりましては、制度の根幹が影響を受けるようなことになりかねないことになっては非当に困る、このように思います。先ほど大臣から見解がございましたけれども、この問題につきましては具体的にどのような対策を講じようとされていますか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
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原田稔#18
○政府委員(原田稔君) 試験の事務の公正を担保するということは、これはもう非常に大事なことでございます。この点につきましては、すでにほかの法律の例もございますから、そういう法律の例も参考にしまして本当にがんじがらめにいろいろな措置を講じております。
 ちょっと事務的になって恐縮でございますが、まず、先ほど申し上げましたように試験の事務の中での機械的な事務、これが民間に移るわけでございますが、実質的な試験問題の作成や採点は試験委員がやることになります。この試験委員はどうやって選ぶかということでございますが、技術士審議会というのがございます。これは科学技術庁長官、大臣の諮問機関でございますが、この技術士審議会の推薦に基づきまして科学技術庁長官が、技術士試験委員の候補者というものを選定いたします。この選定された委員候補者の名簿を、たとえば日本技術士会なら技術士会に示す。その名簿の中から具体的に試験委員を技術士会が選ぶわけでございますが、この選任は科学技術庁長官の認可が必要でございます。したがいまして、いろいろめんどうくさい手順を踏むわけでございますけれども、実質的には従来どおり、科学技術庁長官が直接に委嘱するというのと全く同じでございます。
 それからこの試験委員の方々は、当然でございますけれども、指定機関の役員の方々あるいは試験に関連する職員の方々につきましては、秘密保持義務というのがこれに課せられます。これはもう当然のことでございます。
 それから具体的な試験の実施のやり方、いろいろな手続ですとかそういうやり方でございますが、試験事務規程というのを指定機関につくらせます。試験事務規程は科学技術庁長官の認可ということになっております。
 また、この指定機関というのは全般的に科学技術庁長官の監督に服するわけでございまして、指定機関になりますと役員の選任等につきましても科学技術庁長官の認可ということになるわけでございますから、大変にがんじがらめになっているわけでございまして、私どもといたしましては、少しでも公正について疑念が生ずることがないように細心の配慮をいたしていくつもりでございます。
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太田淳夫#19
○太田淳夫君 その指定機関というのは、どのようなものをいま考えてみえるんですか。それは日本技術士会とは違うんですね。
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原田稔#20
○政府委員(原田稔君) 私どもは日本技術士会、現在の技術士法の中にも日本技術士会に関する条文がたしか一条ございますが、日本技術士会というものを現在一つ念頭に置いて考えております。
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太田淳夫#21
○太田淳夫君 次に、技術士制度は常に最新の技術進歩に対応していくことが不可欠であると思いますけれども、情報技術とかバイオテクノロジーですか、そういった先端技術を初めとする技術進歩にこたえるためにも、いろいろな方策を考えていかなきゃならないと思うんですね。先ほども、新しい部門として情報関係ですかの部門等が追加されたようなお話もありましたけれども、今後どのような部門の見直しを行っていくことが必要であろうか、そういうことで何か検討はされておりましょうか。
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原田稔#22
○政府委員(原田稔君) 最新の世の中の要請、あるいは最新の科学技術の進歩の状況などにつきまして、技術士制度の中に取り入れていくということは非常に大事なことでございます。
 具体的には、技術部門を常時注意深く見直していくということだと思います。先ほども御説明申し上げましたとおり、ちょっと古くなりますが昭和四十六年には情報処理部門というのをつくっておりますが、前回の審議会におきまして話題になったのは、たとえば生命工学、バイオテクノロ
ジーとかいうものが一つの話題になっておりますが、いろいろ技術的に御検討をいただきまして、まだ特定の部門として技術コンサルタント業務の対象として考えるのは早いかな、こういう感じでございまして、そういったような項目も一つの有力候補になっているわけであります。
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太田淳夫#23
○太田淳夫君 先ほども八百板委員の方からお話がありましたが、これからは技術の国際化、これがますます進んでくると思いますけれども、やはりその際に技術士というのは、高い資質が必要でありますが、そのために、国内の業務にとどまらず国際的にも大いなる活躍をする場所がこれからできるんじゃないかと思いますけれども、国際的な活動は現状はどうでしょうか。
 いろいろとお話を聞いてみますと、海外市場を対象とする技術士業務というのは一般に低調だということがよく言われておりますし、また一面では、海外におけるコンサルタント事業というのは、日本の高い技術あるいは長年の経験がありながら、韓国、台湾とかいうようないわゆる中進国から追い上げを受けているということで、開発途上国における業務というのは非常に苦しい局面にある。国際協力事業団の開発調査に関する件でも、まだまだそれほど技術士の活躍の場は広がっていないというようなことも言われておりますけれども、こういった問題についてどのようにお考えでしょうか。
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原田稔#24
○政府委員(原田稔君) 技術士の国際的な業務に対する進出と申しますか、そういう方面を開拓していく、それをもっと大きくしていくということは非常に大事な問題であろうと思っております。御案内のとおり、エンジニアリングコンサルタント、これは国際的な仕事でございますから、その関係で、国際的な非常に伝統のある団体もすでにできております。これはFIDICというのだそうでございますが、もう今世紀の初頭ぐらいにできた国際的な団体で、非常に高い評価を得ているわけでございますが、日本の有力な技術士の方々もそこのメンバーになっております。それがまた、日本の技術士の方々がいろいろ海外で仕事をする場合に、非常に大きな信用の基礎になっておるわけでございます。
 それからまた、先生が御指摘になりました国際協力事業団の関係でも、これは技術士を大変に活用願っております。いろいろの海外での指導事業あるいは海外での調査事業等々につきまして、非常に技術士の方々を活用していただいているわけでございます。
 しからば、現状で十分かというと、決して私どもも十分であるとは思っていないわけでございまして、先ほども大臣が御答弁申し上げたように、この方面につきましては政府全体としてもっともっと力を入れていきたいと思っております。
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太田淳夫#25
○太田淳夫君 今回この法案の中で、技術士補の新設ということがうたわれてあるわけですね。これは、どのような考え方からこの技術士補の新設になったのでしょうか。
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原田稔#26
○政府委員(原田稔君) 技術士補を設けました目的は、一言で言いますと、大臣が冒頭に申し上げましたとおり、この制度の活性化を図るということでございます。
 御案内のとおり、現在の技術士試験というのは実際の実務経験が七年以上ないと試験を受けられないということでございまして、これはこれでまた非常に意味のある制度でございますが、これがまた反面、技術士の平均年齢あるいは技術士受験者の方々の平均年齢を引き上げております。技術士を受験する方々の平均年齢は約四十歳ぐらいでございまして、非常に高くなっているわけでございます。これはこれでまた意味があるわけでございますけれども、やはり若手になるべく技術士制度に関心を持ってもらおう、これに早くから入ってもらうということが、技術士制度をより発展させる、あるいは進歩する科学技術の速い流れに追いついていける、こういうような体制をつくるもとになるんじゃないかということで、一次試験と二次試験とに分けまして、二次試験というのは従来の技術士の本試験でございますが、一次試験はこれは大学在学中あるいは大学卒業時にもすぐに受験できる、それに合格いたしまして技術士のもとで四年以上実務経験を相当インテンシブにやるわけでございますが、そういう実務経験が四年以上ある場合には第二次試験を受験できるという、若手をなるべくこの制度に入ってもらおうということでつくったのがその意味であるわけでございます。
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太田淳夫#27
○太田淳夫君 なるほど技術士は非常に高齢化しているということは資料でも拝見してわかるわけでございますし、それに今度はいまお話しのように若手の参入ということが実現されるかもしれない。それによって技術士としての質が低下してしまう、こういうことがやはり心配されるのですが、その点はどのようなお考えでしょうか。
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原田稔#28
○政府委員(原田稔君) 私どもは、質が低下するようなことがあっては絶対にならないと思っております。それを、何と申しますか、担保する一番大きな関門は第二次試験、従来の技術士本試験でございますから、この第二次試験のレベルは従来と変えないわけでございますから、そこでしっかりと担保されるわけでございますが、従来の実務経験の七年というのとそれから今度の技術士補の実務経験の四年というのは、実務経験の中身の濃さが当然変わってくるわけでございますから、そういう点からいっても、技術士のレベルが低下するというようなおそれは全くないと私どもは考えておりますし、そういうことがないようにいろいろな意味で配慮をしていきたいと思っております。
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太田淳夫#29
○太田淳夫君 最後になりますけれども、優秀な若手の人材を技術士補に引きつけるためにも、この技術士補という新しい制度の周知徹底あるいは他の資格制度との交流等を図ることが必要じゃないかと思いますけれども、その点はどのようなお考えでしょうか、それをお聞きします。
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