安田隆明の発言 (科学技術振興対策特別委員会)
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○国務大臣(安田隆明君) いまお話をお聞きいたしておりまして、つくづく次のことが頭に浮かんだわけであります。
今日わが国があの廃墟の中から、世界の先進国に伍して、その最も先端の地位を位置づけ得たものは一体何であろうか、こう考えてみると、われわれの先輩が選択した政策目標に誤りがなかったことです。具体的に何か。エレクトロニクスが今日このようなすばらしい領域を世界の中で確保し得たのは何だろうか。それは何といっても、日本へ全額外資でもってIBMが上陸してまいりました。これはもう産業戦略としてアメリカがやっておることは承知のとおりでありますから、絶対これにわれわれは伍していくべきであるし、われわれはこれを凌駕する地位を確保しよう、こういうことで吉田先生御存じのとおり、メーカーの再編成ということで三グループにわれわれはこれを編成しまして、そしてあの助成制度を見出しまして誘導政策を強力にやってまいりました。だからして私、コンピューター、エレクトロニクスが今日このようにすばらしい地位を確保し得たものは何かと、こうなれば、われわれはIBMに追いつくんだ、こういう政策目標で濃密な助成誘導政策をやった、ここにやはり一つの大きな事績というものを見出さなければならない、私はこう思っておるわけであります。
だからしてわれわれは、不断に世界を眺めて、ここ一番、こういうときにはやはり思い切った濃密な誘導助成政策というものをやらなければ世界の先端を歩むことはできないよ、こういうことを
当庁としては考えておかなきゃならない、政府としても。これが一つ。
それからもう一つ。どうしてこういうすばらしい科学技術立国、ここまで来たか。世界から尊敬される顔、即それは科学技術である。こうなりますると幸いなことが一つある。それは産業構造が二重構造になっていること。こういう低成長下に入ってまいりますればまいりますほど、熾烈な市場競争の中でお互いがしのぎを削って、研究開発分野に頭を突っ込んでまいりました。それが今日このようにさせたんじゃないですか。この二重構造ということから、中小企業分野において、すばらしい科学技術という先端的なものをみずから手の中に入れなければ生きていけない。そういう経済環境がこういう結果にならしめたのだ、こういうふうにも私は理解しておるわけであります。
そして、アメリカは研究開発費は十五兆円でしょうか、それから次にソ連はこれが七兆円ですか。そしてわれわれ日本は五兆三千六百億円。科学技術会議が目標を設定いたしましたその路線より以上の速度でもって、科学技術研究開発費いわゆる投資というものが行われているのも、そういうところから来ているのだろう。そして、ここまではこうでしょう、今後どうするか、こうなりますと、産学官一体の中でやはり政策目標を決めてやらなければならぬでしょう。ライフサイエンス、この目標、これを私たちは政策的に今後考える。それからいまちょうど先生がおっしゃいましたが極限材料の問題、これは何といったって私たちは世界の最高のものでいかなければなるまい。そういう幾つかの目標をとらえておりますが、そういう部面につきましては、私はやはり誘導助成政策を濃密にやっていく。そして二重構造の中で、大企業もやるでしょう、しかし中小企業も生きていかれないわけでありますから、熾烈な競争の中で今後とも研究開発に一切を込めてやるような、そういう政策展開というものをやっていかなければならぬものだ、私はそのように思っております。
そして、着任いたしまして科学技術振興に関する当庁の全体像をとらえてみたときに、先輩はやはりよくやっているな、こういうことを私は痛感しました。今後いろいろ情勢は変わってくるでしょうけれども、それに即刻対応できるような弾力的な財政の運営をする。人材養成につきましては、これも三十二年あの科学技術会議が提唱いたしまして大学に理工系二万人、この戦力も相当なこれは効き目があった、実効があった、こういうことでございますから、こういうことをよく考えれば考えるほど、私たちは油断することなく時代に対応する財源、人材養成その他に力をいたすべきである、油断はもうならぬ、こういうことを痛切に感じております。