吉田正雄の発言 (科学技術振興対策特別委員会)

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○吉田正雄君 それでは、次に核融合の問題も若干お聞きしようと思ったのですけれども、時間がありませんから頭にとめてだけおいていただきたいと思うんです。
 それは、原発開発のときにも当初は、ウランは石油の二百万倍のエネルギーを持っているとか、盛んに宣伝をされたわけです。しかし、現実にエネルギー収支というものを考えますと、そんなことにならない。これは委員会論議の中でも、五、六倍になりますか、六、七倍になりますかとかという話になってきて、さらに最近は、経済性の問題を論議すれば、果たして他の電源よりも一体安いのか高いのか不明な部分というものが非常に多く残されている。とりわけ廃炉とか廃棄物処理処分の観点については、これははっきりいたしておりませんと答えているわけですよ。だから、そういう空白の部分があるのに断定的に安いだとか、それからウラン資源だって限りがあるという中で、余りにも宣伝が、誇大宣伝ではありませんけれども、そういうことであっては困るわけです。
 核融合についても、どういうふうな宣伝になっているかというと、核融合反応では燃料一グラム当たりで石油約九リットルのエネルギーが出ますとか、それから重水素は海水中に無尽蔵にありますと。どうやってとるのかということには何にも触れていない。それから三重水素の原料であるリチウムも、ウランと比較して埋蔵量が大きいというふうに予想されるというのですけれども、リチウムの埋蔵されている地域というのは非常に限定されておりますし、ほぼ米ソというものがこれまた押さえておるという中で、リチウムなんというのはそんなに簡単に無尽蔵に手に入ってくるわけはない。これについても、岩石のほかに海水中に一立方メートル中〇・一七グラム含まれておりますと。つまり、リチウムというのが幾らでも無尽蔵にとれる、安価で幾らでもというふうな、こういう宣伝をやっておりますけれども、私は核融合のいまの研究開発の状況というのは、果たしてそれが実現可能なのかどうかを探る研究段階だと思う。ロケットが月へ行くんだということがはっきりしておってあとは技術的に解決すればいいというそういう問題とは違って、核融合というものが本当に実現できるのかどうなのかを確かめる段階の研究なんですね。そして、それが可能だという見きわめがつくのも今後二、三十年後だろうというふうなことが盛んに言われているわけです。したがってそれが実用化される段階というのは、二十一世紀も半ばごろにならなければということで、そんなに簡単にいますぐ核融合、そしてそこからすぐに電力が得られるなんという、そんな簡単なものではない。これはいままでの原子力、原発の研究開発の実情からしてもはっきりいたしております。それから、廃炉とか廃棄物処理処分についても、まだ原子炉の耐用年数がありますからこれから十年から十五年かけてゆっくり、それまでに間に合えばいいんだというふうな答弁がこの前も行われているわけでして、そういう状況の中で、核融合がいかにももう実現可能で、すぐ目の前に迫っているような、そういう考え方でいくとこれはまた、スケジュールからしても何からしても、大きな狂いが出てくるんじゃないかと私は思う。また、過大な期待というものを国民に与えるんではないかという感じがいたします。特に経済性を考えた場合には、これはもう原発以上に大変なしろものになるんじゃないか。二百万キロワットの核融合発電所をつくった場合、建設費なんというのはいまの原発のまた何倍もかかるという中で、コスト面から言ったって、果たしてそれが経済的に成り立つのかどうなのか。そういうことも現実の問題としては本当は検討していかなければならない問題なんでして、単に学問上の研究というものと実用化に向けての研究というものの場合には、その辺もきちっと踏まえていかないと大きな誤りを犯すんじゃないかと思います。
 答弁は要りません。そのことだけを指摘しておきたいと思います。
 第二の質問に移りますが、この前も途中で終わったんですけれども、例のICRPの新勧告の国内制度への取り入れについて。これも時間がありませんから、簡単にお答えを願いたいと思います。
 これは、私がこの委員会でもあるいは商工委員会等でも繰り返し申し上げてまいりましたように、いままでの被曝線量についての考え方、たとえば三カ月三レムまで、年間五レムまでというあの考え方は、そこまで浴びていいんだという考え方ではございませんよということを申し上げてきておったわけなんです。そしてこれは通産当局から、今後被曝線量については極力下げるように強力な指導というものを電力会社に対して行いますという答弁もなされておるわけです。今度の新しい勧告、といっても七七年の勧告でして、七七年当時というのは原発の建設、開発というものがまだ今日ほど行き詰まっていないという中でこのICRPで論議をされたということで、その裏話も私若干聞いておるんですけれども、そういうことで私としては、障害が出てからでは非常に取り返しのつかない事態になっていくだろう。特に有意的遺伝という面から考えまして、その事態に立ち至ってから大変だということでは困るので、極力そういうことにならないように被曝線量については引き下げていく必要があるんではないかということを申し上げたんですけれども、この部会報告を受けて政府は今後どういう考え方で対応されていこうとしているのか、その点お聞かせ願います。

発言情報

speech_id: 109813913X00719830511_023

発言者: 吉田正雄

speaker_id: 30796

日付: 1983-05-11

院: 参議院

会議名: 科学技術振興対策特別委員会