瀬戸山三男の発言 (予算委員会)
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○国務大臣(瀬戸山三男君) いま心配されております子供の非行、校内暴力その他について、しばしば衆議院でもここの委員会でもその原因について申し上げましたが、いろいろあるわけでございます。もし言えとおっしゃれば言いますけれども、いろいろあるということだけにしておきます。
その中でいわゆる占領政策的も関係があると、私はそれを信じて疑わないわけです。全部が占領政策のもとだなんということは考えておりませんけれども、占領政策にも原因がある。その占領政策をいいとか悪いとかということを言っておるのじゃないのです。あの当時とすれば、私は率直に言って、これはまた異論がある方もあるかもしれませんけれども、当然だったと思う。なぜかというと、あれほどの大戦争をしまして、アメリカとの関係も四年余り大戦争をいたしまして、日本の国に対する理解が非常に足らなかった、日本の国内のいろいろな問題について。それの理解が足らなかったのはあたりまえであります。日本も諸外国に対する理解が非常に不足しておりました。その関係で、日本全体がこういうふうに非常に好戦的な、いろいろな部面で、教育から社会から組織からそういうふうになっておるのだというような誤解をしてもこれは不思議でないわけです。そういう意味で、御承知のとおり占領政策はあらゆる日本の歴史、風土といいましょうか、歴史から習慣、社会制度、教育、あらゆるものをこれを全部撤廃させるといいますか、取り外す、破壊するといいましょうか、白紙の状態にしなければならない。そして新しい諸制度をアメリカが連合国を指導してつくった。これはあの当時としては、私率直に言ってやむを得ない、その当時の状態から言いますとやむを得ないことであったと。そこに抑圧されておる人権があるとか、自由が抑圧されておるとか、いろいろな考えがありますから、いわゆる自由と人権、平等の思想が徹底的に普及されておる、これも私は当然であるというふうに思います。
ただ、その受け取り方が残念ながらわが国に、わが国にといいましょうか、国民に十分でなかったと私は考えておるのです。御存じのとおり、学校教育等においても、歴史、地理、道徳、一切そういうことは、過去の歴史など教えてはならないということになったわけであります。道徳教育は、道徳という科目といいますか、教育が学校教育に復活しましたのは昭和三十三年からでありますが、これも背のように修身とか道徳という特別のものじゃなくて、社会科その他で人間の道を教えるようになっておるわけでございますが、そういうことで、個人の尊厳を主張する余り、人権を主張する余り、人のことを——占領軍の指令には、アメリカ流の国につくれということが書いてある。アメリカ民主主義を唱道して、私に言わせるとアメリカ好みの国にしなさいというふうに占領指令はなっておる。反動からそう来ておると私は思うのでございます。
そこで、憲法にはそういうことは書いてないのです。私が憲法はすばらしいと言うことは、あの憲法に書いてある自由あるいは基本的人権、これはどういうことが書いてあるかと言うと、まあ寺田さんは専門家であられるから細かいことは申し上げませんが、私に一口に言わせると、人間は生きなければならない、これが第一義であります。生きるために自由がある、生きるためにいろいろな作用、働きといいましょうか作用が、これは憲法が与えたのでも何でもありません、生命には必ずそれが備わっておる。でありますから、生きる道を抑えたり、断ったり、制限したりしちゃいけないということが憲法の自由の規定であるし、あるいはいわゆる人権規定である。でありますから、それはどういう意味だと言うと、自分が生きるということは人を生かすことだ、生命の発展のために書いてありますから。私は非常に残念なのは、いまの教育で、私は教育現場知りませんからわかりませんが、生きることを教える場合には、人を生かすことを教えなければ平和な社会、平和な世界ができないと思う。憲法第三章の規定は、全部私に言わせるとわが身をつねって人の痛さを知れと、自分が嫌なことを人に強制するなと、三十何条書いてありますけれども、中身はそれだけのことだと私は思いますが、そういうふうに教えておるだろうか、どうだろうか。自分の権利は主張する、自分の自由は主張するけれども、人の自由は余り考えない、人の権利は考えない。社会連帯精神が非常に薄れておる。これがいまの社会の非常に妙なかっこうになっておる原因ではないか。占領政策がそうさしたと私は言っていないのですけれども、占領政策にも原因があるというのはそういう意味であるということをぜひ御理解願いたいと思います。