中曽根康弘の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 嶋崎議員の御質問にお答えをいたします。
 まず第一は、安保、防衛、そのほかの政策問題について臨調がこれを検討することは越権ではないかという御質問でございますが、この臨時行政調査会設置法におきましても、行政の制度並びに運営、この問題につきまして総合的に検討するように、臨時行政調査会は使命づけられ、また、それを受けて、政府はその行政改革を実行しておるものでございます。したがいまして、行革にはタブーがないという姿勢のもとに、いままで国民の皆様や各党各派の御理解をいただいて進めてきておるものでございまして、そのような憲法上の原則やあるいは国の基本政策、政策の方向等については論及を余りしてないのであります。むしろ、行政技術的な改革論について臨調答申は主として行われておるのでありまして、そのやり方は適切であると考えております。
 すなわち、機構あるいは人員、あるいは事務処理、中央と地方との関係、あるいは官と民との関係、あるいは許認可の問題等々について臨調は主として答申をしていただいておるものでありまして、これらは、皆様方とともに臨調答申を検討しつつ改革を進めておるという状態なのでございます。
 次に、臨調あるいは行革に関して、憲法の理念との関係はいかがかという御質問でございますが、もちろん、国民主権のもとに、平和主義、民主主義、三権分立、人権の尊重、国民の福祉等を中心にします憲法の理念の具体化は当然必要であり、その原則のもとに、いま行政改革も行われておるものなのでございます。
 しかし、民主政治を実現していくためには、国民の要望というものを、これを取り上げることは絶対的必要性、使命でございます。そういう意味におきまして、簡素にして効率的な、しかも次の時代に対応し得る行政の力と財政力を持った政府をつくるということも国民の声であると思っております。臨時行政調査会及び政府は、その方向に沿ってただいま行政改革を実施し、国民の支援を受けていると解釈しておるものでございます。
 さらに、憲法第九条等との関係について御質問がございましたが、もちろん、憲法第九条につきましては、先般来申し上げているように、自衛権を認められ、それに必要な最小隈の自衛力を保持する、そういう関係で、節度ある自衛力を整備し、かつまた安保条約を締結いたしまして抑止力をっくっておるわけでございます。そういうような諸原則の範囲内におきまして、自衛隊のあり方、その効率性等につきまして、いろいろ検討も進めておるところであり、臨時行政調査会が費用対効果を重視して効率的整備を行うということは、われわれとしてはこれを尊重いたしまして、その線に沿って行いたいと考えておるところでございます。
 さらに、憲法第二十五条との関係について御質問をいただきましたが、やはり最近の社会経済情勢の大きな激変に対応して、行財政の体質、適応力を強化する、これが福祉あるいは教育の向上に将来また資する重大なる政策であり、未来を確かにする問題であると思います。
 また、年金や福祉の問題にいたしましても、今日なすべきことをなさないでおきますと、それ自体の基礎が崩れるという危険性にいま遭遇しておるわけでございまして、いま、長期的、安定的なこれらの制度を維持し活力を回復するために、行政改革を実施しておる次第なのでございます。
 年金改革につきまして、全体の理想像を出すべきであるという御質問でございますが、このような激動している時代におきまして、二十一世紀に対応し得るような政府の基盤をつくるというのが、われわれの行革の基礎にございます。本年五月の閣議決定に基づきまして、年金問題担当大臣を置き、そのもとに、公的年金制度の一元化を展望しつつ年金制度全般の見直しを行う、このような基本方針のもとに、ただいま鋭意検討を続行中のものなのでございます。
 次に、ゼロシーリングやマイナスシーリングを行うということは、縮小再生産につながり、財政再建をむずかしくするのではないかという御質問でございますが、いまのような膨大な赤字を抱えておりまして、この状態をそのまま続けるならば、将来、社会に対する対応力を失うことは必定でございます。インフレなき経済成長を持続していくということ、そうして財政の対応力を回復していく、そういうような関係に立ちまして、歳出歳入全般を総合的に見直しつつ、日本の体質の改善に努力しているというのが私たちの真意でございます。昭和六十五年度までの対象期間中に、特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努力をする、その方針を決めまして、いよいよ努力を開始しているところでございます。
 なお、そのほか、この間におきまして、許認可等を統合しあるいは廃止し、民間経済活力の発揮を図る、こういう面についても特に注意しておるところなのでございます。
 次に、「増税なき財政再建」を堅持するか、行政改革と財政再建を切り離していると考えるかどうかという御質問でございますが、財政改革を推進するためには、歳出歳入構造の徹底した見直しが必要であります。
 現下の厳しい財政事情にかんがみ、歳出の見直しに当たりましては、現行制度の枠内で単なる削減にとどまるだけでなく、経済社会の変化に適合しなくなった制度、慣行自体の変革まで踏み込んだ行財政改革をやる必要があるのでございます。昭和五十九年度予算編成に当たりましても、このような考え方に立ちまして歳出の節減合理化等に最大限の努力を重ねてまいります。したがいまして、行政改革と財政改革を切り離して考える立場ではございません。さらに、「増税なき財政再建」という理念は、あくまでこれを堅持してまいるつもりでございます。
 次に、現行の国家行政組織法が制定されましたときの私の所見について御質問をいただきましたが、確かに昭和二十三年の国家行政組織法制定当時におきまして、私はその原案を批判をいたしまして、そしてできるだけ国民代表である国会が関与する方向に修正をしたことは御指摘のとおりでございます。
 これは、戦前におきましては、官制人権のもとにほとんど行政機構、定員等は勅令で決めまして、国会が関与することはなかったのでございます。その弊害が相当ひどい情勢でもあり、民主主義のたてまえからいたしましても、その行き過ぎた弊害を是正するという意味におきまして修正をしたのでございます。
 しかし、今日、戦後四十年近くたちまして、議院内閣制の成熟度あるいは政党政治の確立あるいは民主的統制の確立あるいは行政管理制度の充実等々がかなり浸透してまいりまして、環境の変化が非常に大きくなってまいりました。その上に、行政機構は肥大化し、行政運営は固定化し、官僚がややもすれば既得権にすがるという情勢になりまして、この時代に対応する機動力、対応力、それらを必要とする時代になってきておるのであります。
 さきに、皆様方の御協力によりまして、国家公務員につきましては総定員法をつくらしていただきまして非常に効率を上げているわけでございますが、それと同じ趣旨で局部の総定員法をつくっていただこう、局につきましては、中央省庁百二十八の局の範囲内におきましては政府が自由にこれを改編して時代に適合し得るような行政体系を持とうという意味で、このような改革を行った次第でございます。
 この改革について、改編後国会報告をするようにしたらどうかという御質問でございますが、これらの問題につきましては、与野党でいろいろ折衝もあるだろうと思いますが、その折衝の模様を見守らしていただきたいと思っておる次第でございます。
 さらに、内閣委員会にすでに付託されているものを今度は特別委員会に一括付託し直すとはいかなる理由であるかという御質問でございますが、この法案は今回提出いたしました行革に関する諸法案と密接な関連性を持っておるものでありまして、これらの行政改革の諸法案と一体として御審議いただく方が便利である、そのように考えまして、そのような措置をお願いした次第でございます。
 あとは行管長官から御答弁さしていただきます。(拍手)
    〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕

発言情報

speech_id: 110005254X00619830920_017

発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1983-09-20

院: 衆議院

会議名: 本会議