吉田之久の発言 (本会議)

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○吉田之久君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました行革関連法案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 言うまでもなく、行政改革は今日の国政における最重要課題であります。いまやわが国は世界で有数の豊かな国となった反面、いわゆる先進国病症候群とも呼ぶべき症状が顕著になりつつあることを否定できません。すなわち、戦後ますます肥大化した官僚機構、加えて歴代自民党政権による放漫な振る舞い行政、あげくの果ては国債残高約百十兆円に上る国家財政の憂うべき破綻、さらには他の先進諸国にも例を見ない急速な高齢化社会の到来、これらはこの症状の危険性を一層深刻なものとする可能性をはらんでいると思います。先進国病の到来を未然に防止し、その適切なる対応を急ぎ、活力ある福祉国家の基盤を確立することは、次代を担う国民に対するわれわれの当然の責任であり、義務であります。(拍手)
 もし、問題を増税によって解決しようとするならば、さなきだに冷え切ったわが国の経済と国民生活をいよいよ逼塞状態に陥れることはきわめて明白であります。また、問題に目をつぶって既得権擁護の立場から行革反対に終始するならば、いたずらに財政再建をおくらせ、結局大増税かインフレへの道を開いて、次の世代を塗炭の苦しみに追いやることは必至であります。ここに来て、わが国経済と社会の再生の道は断固行政改革の路線を直進する以外にないのでありまして、われわれ民社党が常に行革断行を叫び続けてきた理由もまさにここにあるのであります。(拍手)
 総理も、静かな改革の第一歩は行革だ、中曽根内閣ができた大半の理由も行革にあると述べておられます。まさにその言やよし力しかし、今回提出されたこの行革法案の中身は一体何でありますか。まことに微温的、不徹底きわまる内容であることに私たちは愕然たる思いであります。中曽根総理の行革は、全く有言不実行の最たるものではないかとさえ言いたくなります。いま国民がひとしく政府に期待しているものは、肥大した官僚機構に対する骨身に迫る行革の徹底であり、抜本的な改革への意思と実行の手順を政府みずからが明らかにすることであります。
 具体的には、まず中央省庁の整理統合をどこまで断行するのか。事によっては、みずからの官僚機構はそのまま温存させて、いきなりやいばを国民に向けてくるのではないかという不安であります。健康保険の本人給付率を八割に引き下げあるいは私学助成費を大幅に削減するといった福祉や教育の切り捨てによって、まず国民に犠牲を強いるのではないかという不信であります。もしそのような方策をとるならば、これは弱い者いじめの行革だと国民は必ず反発し、一層行革反対勢力を勢いづかせ、結果として行革そのものを身動きできないものにしてしまうおそれが十分あります。その点、単なる機構いじり、足して二で割ったにすぎない総務庁の設置だけでは、政府は一体何を考えようとしているのか、とても国民を説得することは困難であります。
 そこで、総理にお伺いしたいのは、この総務庁の設置を手始めに、今後、中央省庁の統廃合の第二弾、第三弾をどのように展開しようとなさるのか、その確かな計画をはっきりと国民に示されたいと存じます。
 質問の第二は、そのような中央省庁の改廃に伴って、結果として国家公務員の総数がどのように削減されるのか、将来にわたる展望を国民に明示していただくことであります。
 政府は、昭和四十三年度以降、六次にわたる定員削減計画を実施しております。しかし、今年度までの十六年間にわたって実質的に削減された国家公務員の数は、わずか一万二千三百四十七人にすぎません。総理は、この削減について、血のにじむような努力の結果だと再三強調されております。しかしながら、昭和四十九年の石油ショック以来民間企業が行ってきた、まさに血みどろの合理化努力とは比べようもない軽微な試みでしかありません。われわれは、今後五年間、行政機構の徹底した合理化を図ることによって、毎年度四%台である退職者の補充を、その半分の二%台にとどめて、年々二%ずつ実質削減を図り、五年後には約一割を削減する、そのことによって、現在約八十九万人の国家公務員の一割、すなわち八万九千人を減らすことができると確信して保おります。
 しかし、総理が血のにじむ思いで削減に努めたとされる一万二千三百人は、実に十六年間かかっての結果であります。単純に計算して、一年間に八百人弱の減少となります。このピッチでは、八万九千人を減らそうとすれば百年かかるではありませんか。百年河清を待つというのは、こういうことを言うのでありましょう。(拍手)わが党多年の主張である総定員法の改正の趣旨をそんたくして、総理並びに行管庁長官の決断を促す次第であります。
 次に、今次行革法案について順次質問いたします。
 まず、国家行政組織法の一部改正についてでありますが、政府は、行政需要の変化に即応した効率的な行政を実施するためと説明していますが、果たして効率的な行政は法の改正によらなければ推進できなかったのかという点であります。
 たとえば、イギリスにおけるマネジメントレビューのように、定期的に行政組織の総点検を行い、機能的に組織の見直しを行っているごとく、わが国でも、さらにスムーズな推進が可能な方法を検討する時期に来ていると思います。本来、そうした見直しを怠り、今回の法改正を契機に、役人の手で内部部局の形ばかりの再編を進めようとする発想に、私は、歴代自民党内閣の努力不足を痛感するものでありますが、総理の見解をただしたいと存じます。
 次に、今回の法改正によって、結果的に行政機構の肥大化を将来許すことにならないかという懸念についてであります。
 この点について、法案は、官房と局の上限を当分の間百二十八に凍結することにより、機構の膨張を抑制するとしておりますが、一方、部や次長、総括整理職等のポスト、審議官などが増大することに対する歯どめは何ら講ぜられていないのであります。この辺をいかに国民に説明なさろうとするか。また、現下の情勢で、単に官房と局の上限を百二十八に凍結するという、いわば現状追認だけで果たして本当の行革と言えるのかどうか。なぜ、もっと大胆に積極的にその圧縮を図ろうとの意欲を示せないのか、はなはだ不満とするところであります。
 昭和四十三年、時の佐藤内閣は、一省庁一局削減という思い切った改革をいたしましたが、その後、田中内閣になって環境庁四局、国土庁五局が新設され、その後もさらに三局ふえて現在に至っているのでありまして、さらに、課、室、官は百十三もふえて千六百十九に達している現状であります。ここに来て政府は、ようやく課などを五年間で一割整理することを決めたにすぎず、局などの削減を迫る気配の片りんも示していないのはどうしたことでありましょう。中曽根内閣をもってして、この消極さを何とします。
 総理、改めてこの際、亡き佐藤総理にならって、せめて全省庁の各局部の一割程度の削減を速やかに指示する英断ありやなしや、篤とお伺いいたしたいのであります。
 重要なのは、今回の法改正によって、今後国会による行政のチェック機能が行き届かなくなり、国会の行政監督権が阻害されるおそれを生ずる点であります。政府は、行政機構内部の再編は政令で行い、毎年一回、官報で公示することとするとしていますが、政令で定める都度国会に報告することを義務づけるべきだとわれわれは考えますが一行管庁長官のお考えはいかがでありますか。(拍手)
 次に、総合企画機能の強化についてであります。
 臨調最終答申は、各省庁の縦割りばらばら行政の弊害を指摘して、この際、総理大臣が長期的、総合的観点から政策運営の基本を決定するよう、総理府に総合企画会議を設けるよう提案いたしていますが、総理は、今次総務庁設置と相まって、この扱いをどうされようとするのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 いま一つは、地方支分部局の府県単位機関の整理法についてであります。
 複雑かつ肥大化した国の地方出先機関は国民に二重の負担を課しており、その整理縮小は行政改革の重要な課題であります。
 これらの地方機構は、戦前戦後はそれなりの存在理由を持っておりましたが、その後、地方公共団体の行政能力もかなりの水準に達し、特に交通システムが飛躍的に発達した今日、国と地方の相互信頼によって、特に現業部門を除く出先機関は抜本的に整理可能であるとわれわれは考えます。にもかかわらず、今回の政府案は、地方行政監察局などの三機関の名称を事務所という名称に置きかえるだけで、まさに児戯に等しく、国民を愚弄するもはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)この点、総理と行管庁長官の弁明をお聞きいたしたいと存じます。
 なお、許認可の整理について、特にこの際苦言を呈したいと思います。
 許認可の全体の事項数は、御承知のとおり一万四十五件でありますが、今回法律で措置する整理件数は、いまのところわずか三十九件にすぎません。比率にして一万分の四十でありますから、〇・四%整理するだけのことであります。九牛の一毛にすぎないほどの整理を行革と呼ぶことができるのかどうか。いかにも気の長い、遅々たる運びに、ある種のいら立ちを感ずるのは私一人ではないと思います。(拍手)
 最後に、厚生大臣に伺います。
 冒頭にも申しましたとおり、政府は、単なる財政のつじつま合わせのため、健保改悪を企図し、福祉の著しい後退を強行しようとしています。健保本人の給付率の引き下げ、入院時の給食材料費負担の新設、ビタミン剤等の患者負担の導入、高額療養費自己限度額の引き上げなど、いずれも弱者を苦しめ、福祉をじゅうりんする言語道断の措置であります。行革の基本理念に逆行するもはなはだしい圧政であり、断じてわが党の容認できないところであります。
 厚生大臣として、この健保の改悪を速やかに撤回する意思はないかどうかをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

発言情報

speech_id: 110005254X00619830920_024

発言者: 吉田之久

speaker_id: 31401

日付: 1983-09-20

院: 衆議院

会議名: 本会議