中野明の発言 (本会議)

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○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました行革関連六法案に対し、総理に質問を行います。
 まず、政治倫理の問題でありますが、先ほど来お話がありますように、去る十月十二日、わが国司法史上初めて現職総理の犯罪が裁かれまして、実刑四年の有罪判決が下りました。
 田中元総理は、直ちに所感なるものを出して居直り宣言を行いまして、大多数の国民はあっけにとられたのであります。そればかりでなく、与党自民党内までも批判の高まりが出てまいりました。最近では中曽根内閣の主要閣僚さえも、総選挙を前に、田中議員にやめてもらいたいと言っている始末であります。私たちは、十月十二日の判決を受けて、田中元総理の政治的、道義的責任を明らかにするために田中議員辞職勧告決議案を衆議院本会議に上程して田中問題のけじめをつけて、その上で山積する内外の諸問題の処理に取り組むべきであると主張してまいりました。
 にもかかわらず、政府・自民党、なかんずく中曽根総理・総裁はリーダーシップを発揮せず、これらの主張に耳を傾けることなく辞職勧告決議案を棚上げし、審議を拒否し続け、この大事な一カ月を浪費させてしまったのであります。その責任は、中曽根総理を中心とする政府・自民党にあることは国民周知の事実であります。総理は、この事実に対しどう責任を感じておられるか、お答えをいただきたいと思います。
 また、あろうことか、法を守るべき立場にある秦野法務大臣、ただいま総理は大変いい人だとか弁解をしておられましたが、この発言は言語道断でございます。ロッキード裁判の田中元総理をめぐる新聞報道を「巨大なリンチ」ときめつけております。あるいは先ほど来出ておりますように、正確に読んでみますと、「政治家に古典道徳の正直や清潔などという徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれというのに等しい」、明らかに言っております。これは言葉が足りないのじゃなしに、正確に言っております。「この程度の国民なら、この程度の政治ですよ。」などと不謹慎きわまる発言を連発していることはまさに政治家としてもその資質を問われる発言であり、国民を愚弄する言語道断の暴言であります。現職法務大臣として断じて容認することのできない発言ではないでしょうか。総理は、法務大臣を罷免に値すると私どもは考えておりますが、いかに対処されるおつもりか、御答弁を求めます。
 さて、行政改革と財政再建について総理の基本的な考え方をお尋ねいたします。
 政府はしばしば行政改革と財政再建は車の両輪との考えのもとに、財政の帳じり合わせに重点を置き、みずからの失政のツケを文教、福祉予算などにしわ寄せをして、弱者にしりぬぐいをさせようとする傾向が目立っております。真に国民の求める行政改革を断行すれば、当然財政問題が後に続いてきて解決される、このように私どもは考えております。行革が基本であり、あくまで行革が根本であるという考え方が大切であると思います。総理の行政改革と財政再建についての基本的な考え方をお示しいただきたいのであります。
 さて、議題となっております行革関連法案は、総理の目指す行政改革の第一歩と言われておりますが、行革は、この基本となるのは高度成長下に肥大化した行政機構のぜい肉を取ることにあります。すなわち機構減らし、人減らし、金減らしであります。しかし、残念ながら今回の法案はそのいずれも欠落しております。そうであれば、この点について今後どのように考え、それをどのように進めていくのか、将来の構想が明らかにされなければならないのであります。最初にこの点について総理の確たる見解をお伺いしたいと存じます。
 次に、行革関連法案についてお伺いいたします。
 この行革関連六法案につきましては、すでに衆議院において、わが党初め中道四党に与党自民党が加わり、国家行政組織法改正案が修正されております。この内容は、法律事項から政令事項にゆだねられる省庁の局、部の改廃について、その状況を国会へ報告する国会への報告義務、及び五年後に局、部などの総合的検討、官房、局の設置数の上限百二十八の見直しなど、国会の審議権、行政関与監督権の調整が図られたものであります。総理は衆議院での修正をどう考えておられますか。総理の往年の主張である行政府に対する立法府のチェック機能を重視すべきであるという持論からいきますと、まだ十分とは言えないと考えますが、総理はどうお考えでありますか、御答弁をお願いしたいと思います。
 他の法律案につきましても、衆議院において公明党を初めとした中道四党の要求事項は政府答弁で受け入れられましたが、改めて問題点を指摘し、政府の方針をお伺いいたします。
 まず、総務庁設置法案等についてであります。
 今回の総務庁設置法案は、政府は、臨時行政調査会答申の基本的方向に沿って、総理府本府及び行政管理庁の組織と機能を統合再編し、総理府の外局として総務庁を設置する旨述べられております。しかしながら、臨調答申は総理府人事局、行政管理庁及び人事院の事務の一部を統合し、人事、組織による調整機能の活性化とその総合的な機能発揮のため総合管理庁の設置を提言しているのであります。私は、今回の総務庁設置法案は、総合調整機能の強化は色あせ、単に総理府、行政管理庁の局の組みかえにすぎないと思うのでありますが、臨調答申と今回の法案との関連について総理はどのような見解を持っておられるか、お伺いいたします。
 言うまでもなく、行政改革の柱は中央省庁の整理統廃合であります。私は今回の総務庁設置を名実ともにその一里塚にしなければならないと考えますが、総理の御答弁をお願いいたします。
 次に、地方出先機関の問題についてであります。
 今回の措置は、臨調答申に基づくものとはいえ、昭和四十七年に国会で廃案となった法律案のいわば焼き直しであります。看板のかけかえにすぎないと思うのであります。臨調答申は、出先機関の整理合理化について、ブロック機関、府県単位機関に分けて幅広く統廃合を提言しているのでありますが、今後この地方出先機関の改革についてどのような手順で推進されていくおつもりなのか、総理から明確な答弁をお願いしたいものであります。
 次に、許認可等と機関委任事務の整理合理化について伺います。
 現在、許認可等は約一万件と言われ、法律数は五百二十から五百三十、今回はその中の三十九件、法律数にして二十六法律の改正をしているにすぎないのであります。また、機関委任事務にしても、三百九十八法律あるうちわずか四十五法律の改正をしているにすぎないのであります。しかも、機関委任事務の整理合理化に当たって重要な視点である地方分権の推進という面に欠けているのであります。総理は今後どのような方針で機関委任事務の整理合理化を進めるお考えか、また地方分権の推進という視点の重要性についてどう考えておられるか、お尋ねいたします。
 次に、今後の行政改革を進める上で特に重要である専売公社、電電公社の経営形態問題についてお伺いをいたします。
 専売公社の経営形態問題は、さきに自民党行財政調査会は専売公社改革案をまとめましたが、この内容について、政府の臨時行政改革推進審議会から新しい組織の経営形態がはっきりしない点や民営化への将来展望が示されていないなどの点が指摘されております。総理は今後どのように指導力を発揮され、臨調答申に沿った内容に近づけていくおつもりか、お尋ねしたいのであります。
 さらに、電電公社の改革についてでありますが、わが党は、かねてより電電公社の経営形態については、今後の事業発展の展望から見て、現行の公社制度から当面公益性を重視した特殊会社に変更し、電報電話事業及びデータ通信回線サービス事業等は新しい特殊会社によって一元的に行うべきであり、分割民営化は慎重にすべきと考えております。自民党行財政調査会でも特殊会社方式での結論が出されたと伝えられておりますが、電電公社の改革について次の通常国会にはどのような中身で法案を提出されるおつもりか、中曽根総理の見解をお伺いしたいのであります。
 最後に、総理は再三にわたり、行政改革に政治生命をかけ断固やり抜くと決意を述べておられます。しかしながら、行政改革という大事業は、総理の決意も大切ではありますけれども、決意だけで成功するものではありません。一にかかって国民の政治に対する信頼と協力が大前提となります。いまほど政、官、財界を初めとして倫理の確立を求められているときはありません。私どもが真っ先に政治倫理の確立を叫ぶ理由がここにあります。
 先ほど来総理は、倫理問題は大切だ、このように述べておられます。しかし、個人が倫理に外れたときにはこれはもう本人の自由に任せると言わんばかりの答弁であります。これでは国会がその機能を発揮することはできません。総理の確固たる答弁を期待して、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 110015254X00819831118_022

発言者: 中野明

speaker_id: 7726

日付: 1983-11-18

院: 参議院

会議名: 本会議