森喜朗の発言 (文教委員会)

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○森国務大臣 お答え申し上げますのに正直申し上げて大変適当室言葉が出てこないのですが、基本的には、馬場さんが今おっしゃっておられるように、旧憲法のそういう精神の中での当時の「優秀ナル学徒ニシテ」云々ということをそのまま置きかえたということではないと思います。
 いろいろと議論の分かれるところでありますが、いろいろ議論した結果、やはり国の税金をある意味では財源として、勉強しようという意欲のある人に貸してあげるわけですね。ですから、勉強してくれなければ困るわけで、遊んでいる人に貸すのでは国民が理解をしてくれないと思うのです。では、勉強する人に差し上げますよ、遊ぶ人には貸しませんよということはなかなか法律の中には書きにくいと思うのですね。もちろん能力に応じてですから、勉強しても勉強できない子もいると思います。
 それから、今先生も例として取り上げられたように、特定の一つの、例えば芸術分野、音楽とか絵とかそういうものに対して大変なひらめき、才能がある。しかしほかの数学や英語も悪かった。したがってそれが三・二より下になる。この人たち、かわいそうじゃないか。それはおっしゃるとおりだと思うのですね。しかし、まじめに勉強する人たちに対して国民の皆さんが税金として納めてくださった財源をお貸しするんですから、やはりまじめにやってくださったかどうかということの判断は、結果的にはある程度の成績をおさめてくださることによって判断するしかない。これは無数にありますから、特定の分け方をして、例えばほかのものが悪くても芸術部門やこの部門だけはすばらしい成績があれば結構ですよというふうに書ければいいですけれども、そんなことは現実に法律の中にはなじまないと思うのです。努力して一生懸命に学んでくれたという学生を結果的に総合的に表現するということになれば、「優れた学生及び生徒」と書かざるを得ないことになるのじゃないでしょうか。そのことによって選別をしているという、昔の「優秀ナル学徒ニシテ」ということをそのまま現代文に置きかえたというふうにお考えいただくというのは、ちょっとつらいところだなと思うのです。
 ただ、現実の問題としては、三・五や三・二というのは、希望者を募る、そのときに、あらかじめこの程度の学力を取っておいてくださいよということになるその一つの目安だろうと思うのですね。初めからこっちは三・五、こっちは三・二がだめだよということではなく、一応この目安で考えてください。そして、それは具体的にどういう進め方をするのか私は承知しておりませんけれども、高等学校である程度総合的な調査をしたり、勘案をするのだろうと思います。当然、先生がさっきおっしゃったようなことなどもある程度加味して、最終的には校長が判断をされるんだろう、こう思うのです。ですから、その一つの目安の数字として三・二、三・五というのが決められているわけでございますから、現実的にはかなり弾力的な総合的な判断をそれぞれ推薦する学校としてはされるのではないか。これは先生の方がよく御存じだと思います。
 したがいまして、努力を一生懸命にしてくださる——さっき馬場さん昔のことを思い出しておられましたけれども、私もこの間どなたかの答弁に申し上げたのですが、私の学生時代、昭和三十一年から三十五年まで大学におりましたが、奨学資金なんというのは私はもう全く借りられないものだと思い込んでいました。なぜかといえば、成績が悪いからです、余り勉強もしませんし。ですから、私なんかには奨学資金なんというものは当たるものだと考えてもみなかった。家庭だって、私のおやじは、今でもそうですが、昔は田舎の町長をやっていまして、給料は非常に安かったですから、一万二千円を分けて送ってくれたのです。ですから、私なんかは本当は奨学資金をもらえる資格があったかもしれませんが、奨学金を借りようなんという気持ちはこれっぽっちも出てこなかった。それはなぜかといったら、勉強していないから。しかし、今は違うと思います。現実の問題として、私の事務所なんかにも学生諸君がたくさん来ますが、見ておりますと、随分奨学資金をもらっている人がいます。量的に大変拡大をされてきている。私はいいことだと思うのです。
 そういう意味で、かなり今と音とは違っておりますし、優秀な学徒というものは能力だけで区別するということではなくて、国の税金を使わしていただくことですから、努力をするかしないかというその結果としての判断として「優れた学生」という言葉になったのであって、決して旧憲法の理念というものをそのまま採用したものでないということは、ぜひひとつ先生にも御理解をいただきたい、こう思うわけであります。

発言情報

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発言者: 森喜朗

speaker_id: 27194

日付: 1984-07-04

院: 衆議院

会議名: 文教委員会