嶋崎譲の発言 (本会議)
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○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました第十回主要国首脳会議をめぐる中曽根総理大臣の帰国報告について、総理並びに関係閣僚に質疑を行うものであります。
私は冒頭、このいわゆるロンドン・サミットの意義についてただす前に、核軍拡を象徴する最近の二つの危険な出来事について総理の所見を求めます。
ロンドン・サミット閉幕直後の去る六月十日、アメリカ国防総省が、マーシャル群島上空の宇宙空間で、バンデンバーグ空軍基地から飛来したミニットマンミサイルを迎撃するという実験に成功したと発表したことであります。これは、大陸間弾道ミサイルを大気圏外の高空で破壊する実験であります。宇宙兵器構想については、宇宙空間での核爆発が電離層の破壊をもたらし、地球規模での環境破壊につながりかねないと指摘され、人類全体の死活にかかわる大問題とされているのであります。いま一つは、核巡航、ミサイル・トマホーク積載の疑いのあるスタージョン級攻撃型原潜タニーが、国民の強い抗議を無視して横須賀基地に入港した事実であります。
この二つの出来事は、アメリカのレーガン政権が対ソ核優位を追求している危険な現実をまざまざと見せつけたものと言えます。総理がどのようにロンドン・サミットを美化しようとも、対ソ核優位を目指して着々と核軍拡を進めているレーガン政権の主導のもとでそれが開催された事実を消し去ることはできません。総理の言うサミットにおける西側諸国の平和への意欲の表明とこの二つの出来事との関連について、総理の所見を求めるものであります。(拍手)
ロンドン・サミットの開幕に当たり、我が党の石橋委員長は総理に対し、これを対ソ戦略サミットや開発途上国への危機管理サミットにしてはならないと強く警告したのであります。しかし、この危惧と警告にもかかわらず、ロンドン・サミットは危険な政治サミットに終始したのであります。サミットで採択された民主主義の諸価値に関する宣言やこれを踏まえた東西関係と軍備管理に関する宣言は、西側同盟の連帯とかたい決意を強調し、昨年のウィリアムズバーグ・サミットにおける、我々七カ国の安全保障は不可分であるとの対ソ結束と力の立場を再確認したのであります。総理もロンドンの国際戦略研究所の記念講演で、米欧日三極の政治的、経済的連携と連帯並びに共同戦略の追求を日本の国策であると強調したと伝えられております。総理が、全世界的規模での対話の必要性をいかに強調しようとも、ロンドン・サミットが西側同盟の政治的、軍事的結束と対ソ共同戦略の危険な舞台であった事実を否定することはできません。この危険な同盟政策に関連して、総理の核軍縮への真意をただしたいと存じます。
総理は、帰国報告の中で、西側諸国の真摯なる対話の呼びかけに対して、ソ連が正当な評価を払うことを求め、さらにその軍備管理交渉への復帰を要求しているのであります。しかし、アメリカ戦域核兵器の西側配備並びに核巡航ミサイル・トマホーク積載可能なアメリカの原潜の日本への寄港という、対ソ核優位の力の立場からする軍縮の提起は、必ずや破綻するものと指摘しておかなければなりません。こうしたアメリカの核軍拡政策に追随し、しかも、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文の中でうたわれている日本の主権的権利を何ら行使することなく核巡航ミサイルの日本持ち込みを認めるような姿勢では、核軍縮を口にする資格はありません。(拍手)
そこで、お尋ねいたします。
総理がロンドン・サミットに出発するのに先立ち、一連の党首会談において、田社民連代表に対し、核兵器を使う使わぬは核保有国の勝手であるなどと述べたと言われております。核拡散防止条約や第一回国連軍縮総会最終文書などは、非核保有国に対する核保有国の核不使用の義務を課しているのであります。こうしたことすら総理の眼中にはなかったのですか。総理は、核保有国に核の使用を禁ずることは国際法上内政干渉になるとお考えなのですか。その発言の真意について明確に答弁をいただきたいのであります。(拍手)
いよいよこの六月から、巡航ミサイル・トマホークがアメリカ太平洋艦隊に実戦配備されると伝えられております。我が国にも、さきに指摘したように、トマホーク配備予定艦と言われるタニーが入港いたしました。政府は、アメリカ政府に対し、正式なルートを通じてこの配備計画の内容について尋ねたことがありますか。それは、我が国の国是である非核三原則とはっきり矛盾するからであります。尋ねたことがあるとすれば、いつ、だれが、どのような内容のものであったかを明らかにされたい。その際、政府はどのような意思表示をされたかも、あわせて国民に示していただきたいのであります。もし正規なルートでお尋ねすることをしなかったのならば、その理由を明らかにしていただきたいのであります。総理のこれらの点についての明確な答弁を求めます。(拍手)
私たちが迫りくる米ソ核戦争の危機を防止し、核軍縮への道を切り開くためには、日本みずからがその模範とならなければなりません。核巡航ミサイル積載のアメリカ艦艇の日本寄港の拒否を初めとして、非核三原則の厳守、三海峡封鎖・シーレーン防衛の五九中業の策定の即時中止、防衛費の対GNP比一%制約の遵守などを内外に宣言し、これに基づいて米ソ両核大国に対して、INFとSTARTの即時再開を求めるべきであります。総理の核軍縮交渉への決意を改めて求めるものであります。
ところで、総理は、ロンドン・サミットの採択した経済宣言を自画自賛されておられるが、果たしてそれは世界経済が今日直面している構造的危機について適切な政策的指針たり得るものでしょうか。ロンドン・サミットでは、貧困と飢餓に苦しむ開発途上国に対し、その南北格差の是正のための具体的提言は何ら示されなかったのであります。イラン・イラク戦争を初めとする開発途上国のすべての紛争は、貧困や飢餓に起因するものであります。これを解決するための対策を打ち出すことなく、危機管理の手段の改善、国際テロリズムに対する闘争の決意をうたうだけでは、問題の根本的解決にならないことは自明であります。
今我が国がなすべきことは、巨額の累積債務に苦しむ開発途上国を救うために、アメリカ政府にその高金利政策の是正を強く迫るとともに、政府開発援助の対GNP比〇・七%の完全実施を初めとする南北問題解決のための包括的政策を提言することです。特に急を要する食糧不足国への適切な援助を行うことは、先進国の責務であります。今後地球的規模での食糧の不安定期を迎えようとしているときだけに、我が国は世界の最大の食糧輸入国でなく、速やかに食糧の自給率を高める努力こそ必要なのです。ところが総理、あなたがサミットに出張中、日本国内において米不足という重大な事態が起きているのです。
そこで質問の第一点は、現在食糧庁がその幹部を韓国に派遣し、既に二週間にわたって滞在を続け、約十万トンの米の輸入交渉を続けているという事態が発生しております。歴代の農林水産大臣や、最近においても金子前農水相、山村現農水相らは、外国からの米輸入は絶対にあり得ぬ、国内需給の確保は万全であると国会で頑強に言い続けてきたのであります。このことは、最近の予算委員会や農水等の議事録を一読すれば、その言動の無責任さ、見通しの誤りは明白な事実となっております。国民にうそを言い、ごまかした責任は重大であります。(拍手)
総理、あなたは、このような重大な米危機を引き起こし農政の失敗を犯した農水相の政治責任、食糧庁長官の行政責任、ひいては総理の責任をどう受けとめられるか、伺いたいのであります。(拍手)
第二には、昭和五十三年産米の有毒性の問題について、政府はその安全性を保証できるかどうかであります。政府はこれまで昭和五十三年産米は食用に供さないと言ってきたが、単年度需給を基本とした減反政策と四年続きの冷害で、ついに政府米が底をつき、本年度に至って既に十五万トンもの五十三年産米を国民に食べさせ、さらに二十万トンの水もずさんな検査のまま業務用の主食、加工用の原料、さらに外国への援助米として食べさせようとしているのであります。
そこで、総理に伺います。昭和五十三年の産米について、臭素の五〇ppm以上の米は食用として供さないことは当然であると思うが、さらにこの臭素検査において全国から三十校外を検査したというが、その検体がどこから集められたのかを明らかにされたい。しかも、六回以上の薫蒸を行った米の検体検査をなぜ行わなかったのか、国民の前に真相を明らかにしていただきたいのであります。
さらに、五十三年度産米における臭素による人体への被害に加え、メチル基とたくぱくの化合物による被害等についていまだ明らかにされていないのが現状であります。臭素五〇ppm以上の基準検査のみに頼れば、この薬害が見落とされることになるのであります。したがって、その有毒性、有害性について研究調査を行われたことがあるのかどうか、この点の安全性の保証ができるのかどうか、国民の米に対する不安を直ちに解消すべきであります。総理並びに農水大臣、厚生大臣それぞれの所見を伺います。
第三に、総理、まず韓国米の輸入交渉を直ちに中止し、安全性の確認されない五十三年産米の主食供給を即時中止することを国民の前に明らかにすべきであります。そして、日本国民の米は日本の農家によって安全に供給するという見地から減反政策を転換し、我が党が提案している米の備蓄制度を確立すべきであります。
そこで、まず本年度の青刈りを完熟させて飯米として提供すること、さらに他用途米についても、これを主食用として供給できるよう転換を図ることを検討すべきと思うかどうか。国民の米不足に対する不安を解消することが必要であります。総理、農水大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)
さて、ロンドン・サミットの経済宣言は、西側諸国に対して相変わらず公共支出の削減、構造的な調整という名の技術革新の必要性、労働市場の流動化政策、そして自由貿易主義の強調など、ただ羅列したにすぎないのであります。世界経済の均衡のとれた発展のために我が国がなすべき内政の課題は、勤労者の所得税減税、技術革新を進める投資減税、生活関連の公共投資、個人消費の拡大、労働時間の短縮とワークシェアリング、男女雇用差別の解消などを進め、外需主導型から内需主導型への安定成長、貿易摩擦の解消に向けて日本経済の構造的転換を進めるべきであります。
そこで最後に、昭和六十年度予算編成に関連して、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。
総理、概算要求枠の設定に当たって、ゼロシーリングからマイナスシーリングと厳しい予算削減方針をとり、来年度も今年度同様のシーリングを設けると伝えられています。しかし、今や政府のシーリング方式の欠陥と限界が明らかになってきているのであります。
すなわち、一、政府の景気抑制型の予算編成は、経済の拡大と安定的成長にとって望ましくないこと、二、一律マイナスシーリングを言いながら、他方における防衛関係費の四年連続の優先増額扱いなどは、公正な痛みの分かち合いとはなっていないこと、三番目に、福祉、教育費の削減が集中的に行われ、社会的に弱い立場の人たちの負担増がふえていること、そして最後に、「増税なき財政再建」路線が「財政再建なき大衆増税」へと切りかえられようとしていることが明らかであります。(拍手)
そこで、第一に、政府がこれまで続けてきた財政政策を転換する意思があるかどうかをお尋ねします。厳しい概算要求に基づいた大蔵原案から政府案の作成というように当初予算を編成して、その過程で福祉や教育費を事前に抑え、しかる後に、秋の経済の指標を見た上で補正予算で景気下支えを行うという今日の財政の運営は、国民生活にも財政赤字の打開にとっても好ましい結果をもたらしていないのが実情であります。そこで、当初予算の編成に当たって、その段階から、生活重視、経済構造転換を積極的に盛り込んだ予算を組む方針に変更すべきだと考えますが、総理の所見をお示しいただきたいのであります。(拍手)
第二に、来年度予算の概算要求枠、いわゆるシーリングの設定についてであります。経常部門一〇%減、投資部門五%減の一律マイナスシーリング方式を続けられるのかどうか、その際に防衛関係費は聖域扱いとなり、五年連続の優先増額を認めることになるのかならないのか、仮にマイナスシーリングを設けるような場合でも、防衛関係費をその対象にすると約束できるのかどうかなど、総理の明快な所見を承りたいのであります。(拍手)
第三に、中曽根総理と財界が進めた行政改革による財政再建路線が破綻した今、積極的な財政政策によって経済成長と内需拡大を推し進め、それによって財政赤字の解消を図ることが必要であるという財政政策の転換を求める声が、国民の中からは当然にあるとしても、与党の内部からも出ているのが現状であります。これに対し、財界と大蔵省は依然として批判的でありますが、総理はどちらの声に耳を傾けられるおつもりなのか、お考えをお伺いしたいのであります。
以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕