中曽根康弘の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 渡部議員にお答えいたします。
 まず、サミット出発前の国会の紛糾についての御質問でございます。
 国会延長問題に絡みまして、また政治倫理問題等にも絡みまして、このような空白が続いたことは甚だ遺憾でございます。今回、各党間の話し合いによりまして審議再開に至りまして、感謝しておる次第でございます。今後とも各党の話し合いをまめに行いまして、協調国会を実現してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 なお、政倫協の結論につきましては、十分自民党としても尊重してまいりたいと思っておる次第でございます。いわゆる有責議員の徴罰対象の拡大の検討の問題につきましても、政倫協の結論に対しまして私たちは尊重してまいりたいと思っております。
 次に、今回のサミットの成果、意義いかんという御質問でございます。
 今次のサミットにおきましては、やはり政治、経済問題等について、これからの世界に対する政策の方向をサミット構成国で明らかにしたという点に意義があるのではないかと思っております。サミット構成国のGNPだけでも大体世界のGNPの五〇%以上になります。したがいまして、経済的にも政治的にも非常に影響力のある国の集合体でございますので、政治、経済についての世界的な政策を明らかにするということは非常に意味のあることではないかと思っております。
 なお、細部にわたりましては外務大臣から御答弁願うことにいたします。
 特に、五つの文書が取りまとめられましたことは、各国の協調の成果であると考えております。
 米国の高金利体系あるいは財政赤字問題等につきましては、サミットにおきましても、我々も発言もし、御努力も願い、合意の形成も行ったのでございます。特に我が国といたしましては、貿易のアンバランスの問題あるいは債務国の債務の超過負担の問題等々の考慮もありまして、高金利の問題はぜひとも回避しなければならぬ、また財政赤字削減を行う必要があるということも主張した次第なのでございます。
 なお、新国際ラウンドにつきましては、この前申し上げましたような状態で、期日を明示できなかったのは甚だ遺憾でございますけれども、しかし、その必要性が確認されたことと、それからその取り組み及び目的及びタイミングにつきまして、できるだけ早く決めようということが合意されたことは大きな前進であり、今後、ガット構成国と十分協議して推進してまいりたいと思います。
 石油の緊急融通につきましては、今世界の状態を見ますと、ほとんどだぶついておりまして、心配する状態ではございません。この点は、今回のロンドン・サミットの宣言にも盛られたところでございます。しかし、我が国といたしましては、万一の際にも十分の備えをしておく必要があるという意味において、さらに各国が協調して努力していくという言葉を入れてもらったということなのでございます。
 債務累積国の問題につきましては、協力の精神に基づいて、債務累積国の政治的、経済的困難にも配慮しつつ、債務累積国自身が所要の経済及び財政金融政策の変更を行うことを支援し、各債務国の状況に応じてケース・バイ・ケースで柔軟性を持って対処するという合意でございます。具体的には、債務国が経済再建努力をみずから払っている場合には民間債務の多年度にわたる繰り延べを奨励する、IMF、世銀の役割強化の検討に積極的に参加する、開発途上国への直接投資の流れを促進する、開発途上国への市場の一層の開放等に努力する、こういうことでまいりたいと思っております。
 次に、内需を中心にした経済成長、生活問題等に対する御質問がございました。
 我が国の経済は、業種別、組織別等に多少ばらつきが残っておりますが、全体としては拡大、上昇の緒につきつつあると思っております。サミットの合意を踏まえ、今後とも適切かつ機動的な経済運営により、物価の安定基調を維持しつつ、民間需要を中心とする内需の拡大に努力してまいりたいと思っております。
 次に、六十年度予算編成に関する御質問でございますが、六十五年度特例公債依存体質からの脱却という大きな目標のもとに、「増税なき財政再建」という理念を掲げて、そして臨調答申を最大限に尊重していくというのが私たちの基本線でございます。そういう基本線を維持しつつ、歳出歳入全般にわたってこの見直しを行いまして、合理的な編成を行いたいと思っております。
 次に、サミットが政治に傾斜し過ぎてはいないかという御質問でございますが、経済のもとはやはり平和であります。平和と通商が自由に行えるような状態でなければ経済の繁栄もございません。そういう意味において、政治に関係する部分が出てくることは当然でもございます。決して政治に傾斜しているという意味ではございません。経済の繁栄と、それから政治の安定、平和の維持、こういう面におきまして、その関連において我々は論議をしてきたということなのでございます。
 次に、サミットの合意、これは何度も確認された国際ルールを言っているだけではないかという御質問でございますが、しかし、平和と軍縮、東西関係あるいはイラン・イラク紛争等について率直に合意が形成された、そして宣言あるいは議長声明として、これが正式に発出されたという点において意味があると思うのであります。これらを基礎にいたしまして、今後、東西間の対話の促進あるいは世界的な紛争の予防、核軍縮の進展等について積極的に努力してまいりたいと思っております。
 対ソ関係につきましては、領土問題というものをわきに置いて通ることはできません。しかし、それと同時に、我々はソ連との間にできるだけ対話を拡大していく努力もしてまいりたいと思っております。したがいまして、議員交流あるいは経済人の交流あるいは文化交流等を広げていきまして、対話の基礎を広げていく努力をしてまいりたいと思います。
 私の各種の発言について御引用がございましたけれども、大部分の発言は誤解に基づくものが多いのでございまして、私の真意はその都度申し上げているとおりなので、私の態度は一貫して平和主義であるということを申し上げる次第であります。(拍手)
 次に、サミットヘの国民の期待であった平和・反核・軍縮の実現に我が国はどういう行動をしたかという点でございますけれども、先ほど来申し上げているように、具体的には東西間の対話を進める、世界的規模において武力を行使せずという合意を形成した次第でございます。INF、STARTへの速急な復帰を呼びかけて、世界的緊張を緩和するように今後とも努力してまいりたいと思っております。
 次に、トマホークの問題及び武器の輸出の問題について御質問がございました。
 安保条約を守り、非核三原則を厳守していくという従前の方針を堅持してまいるつもりでございます。武器の輸出につきましては、国会の御決議を尊重してまいるつもりでおります。
 次に、シーリングにつきまして、政策別シーリングを設定すべきではないかという御質問でございます。
 傾聴に値する御提言であるとは思いますが、実際問題といたしまして、今歳出の徹底した節減合理化をやって、概算要求という形で予算編成をやっているわけでありますが、各省庁の概算要求の総額の限度額をこれは示しているものでありまして、各省庁はこの範囲内で各種施策について優先順位の厳しい選択をみずから行う、こういう形で概算要求を行ってきておるのでございまして、このような努力でまあいいのではないか、そう思っております。
 また、概算要求設定前に野党とも協議すべきではないか、予算編成大綱を早期策定すべきではないかというお話でございます。
 与野党間の話し合いを進めるということは大事でございます。予算編成につきましても、随時国会の御議論あるいはそのほかの場所におきまして御意見を伺って、参考にしてまいりたいと思っておるところでございますが、現下の流動的な情勢のもとで、予算編成方針あるいは予算編成大綱を早目に決定することは、実は極めて困難なのでございます。これらは今まで大体十二月に決めてきておるところでございます。今のような状態から見まして、これを早めるということはなかなか困難であると思います。しかし、予算に関する御意見につきましては、その過程におきましても十分参考にさせていただきたいと思っておる次第でございます。
 また、予算編成の基本方針として、減税あるいは投資減税あるいは行政改革、財政改革の実施を行うべきではないかという御質問、あるいはGNP一%以内の防衛費を厳守すべきではないかという御質問でございます。
 所得税減税については、五十九年度に初年度八千七百億円の大幅減税を行ったばかりでございます。さらに減税を行うことは今のところ難しい状態です。中小企業につきましては、五十九年度に新たに投資促進税制を創設するなど可能な限りの配慮をしてまいってきております。行財政改革につきましては、先般来申し上げますように、臨調答申の線に沿って鋭意努力してまいるつもりであり、防衛費につきましては、昭和五十一年の三木内閣の防衛費に関する閣議決定の方針については、これを守ってまいるつもりでございます。
 なお、健保法改正問題につきましては、原案が最善の案であると考えております。各方面の御理解をいただきたいと思っております。
 米の不足につきましては、先ほど来申し上げているように、韓国からの米の返還は加工原料用米についての緊急かつ臨時的な措置でありまして、用途に応じた米の安定供給という重責を果たす上で、必要かつやむを得ないものと考えております。米の安全性の確保につきましては、今後とも万全を期す所存でございます。今般の問題は五十三年産米に起因する限られた問題でありまして、主食用の米の需給については万全を期しております。今後とも、米の安定供給につきましては政府は万全を期してまいります。
 定数の不均衡是正の問題については、最高裁の判決もありまして、できるだけ速やかに是正をする必要があると認識して、今その努力をしておるところでございます。今党内におきまして、各方面の意見を聴取いたしまして、調整案をつくるべく懸命の努力をしておるということを御報告申し上げる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 110105254X03019840619_013

発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1984-06-19

院: 衆議院

会議名: 本会議